13 / 71
神楽様は強引②
しおりを挟む
神楽様は教室に入ると、僕の目の前の席に何のためらいもなく座った。もちろん、ここは神楽様の席でもなんでもないのであるが、そんなことは気にしないのがこの神楽様という人間なのだ。僕にはできないことをする神楽様は、かっこよく見えた。別に、自分の席ではない席に座ることなど、誰だってできるようなことであり、実際に、ちょっと僕が席を離れた内に勝手に僕の席に座っている人は山ほどいる。臆病な僕はなんにもそこで言うことができないのであるが。
僕は理由にもなっていない、理由を並べ、頭の中で神楽様をどんどん美化していくのだ。無意識的に。次から次へと。今の僕にとっては、彼がどんなことをしてもかっこいいし、美しい。
そうこう考えているうちに、神楽様は足を組んで僕の顔を覗き込んできていた。ほんの少し小首をかしげ、不思議そうにのぞき込んでいるようにも感じられる。目を合わせられないでいる僕には本当のところは分からないが、なんとなく、そういう雰囲気だった。もちろん、僕の幻想かもしれないけれども。それに、いつもより、子どもっぽく感じられる。上目遣いというか、何て言うか。そう、あれ?、僕は、何を考えているのだろうか。不覚にも、僕は神楽様をかわいいと思ってる。なぜだろうか。僕は眼を合わすことに臆病になっていたはずなのに、今度は眼を合わせずにはいられなくなっていた。その、子どもっぽい、いたずっら子のその表情を見たくてたまらなくなった。どんどん、僕はその笑顔に引き付けられる。吸い込まれていた行くのだ。
それは、どっかの白うさぎを追いかけるような感覚だった。僕は深い穴にためらいなく入るのだ。ゆっくりとゆっくりと、落とし穴に落ちていく。重力何て今の僕には関係ない。白うさぎの神楽様は、僕を穴の奥深くへと誘い込むのだ。
僕は理由にもなっていない、理由を並べ、頭の中で神楽様をどんどん美化していくのだ。無意識的に。次から次へと。今の僕にとっては、彼がどんなことをしてもかっこいいし、美しい。
そうこう考えているうちに、神楽様は足を組んで僕の顔を覗き込んできていた。ほんの少し小首をかしげ、不思議そうにのぞき込んでいるようにも感じられる。目を合わせられないでいる僕には本当のところは分からないが、なんとなく、そういう雰囲気だった。もちろん、僕の幻想かもしれないけれども。それに、いつもより、子どもっぽく感じられる。上目遣いというか、何て言うか。そう、あれ?、僕は、何を考えているのだろうか。不覚にも、僕は神楽様をかわいいと思ってる。なぜだろうか。僕は眼を合わすことに臆病になっていたはずなのに、今度は眼を合わせずにはいられなくなっていた。その、子どもっぽい、いたずっら子のその表情を見たくてたまらなくなった。どんどん、僕はその笑顔に引き付けられる。吸い込まれていた行くのだ。
それは、どっかの白うさぎを追いかけるような感覚だった。僕は深い穴にためらいなく入るのだ。ゆっくりとゆっくりと、落とし穴に落ちていく。重力何て今の僕には関係ない。白うさぎの神楽様は、僕を穴の奥深くへと誘い込むのだ。
0
お気に入りに追加
59
あなたにおすすめの小説
すずらん通り商店街の日常 〜悠介と柊一郎〜
ドラマチカ
BL
恋愛に疲れ果てた自称社畜でイケメンの犬飼柊一郎が、ある時ふと見つけた「すずらん通り商店街」の一角にある犬山古書店。そこに住む綺麗で賢い黒猫と、その家族である一見すると儚げ美形店主、犬山悠介。
恋に臆病な犬山悠介と、初めて恋をした犬飼柊一郎の物語。
※猫と話せる店主等、特殊設定あり


代わりでいいから
氷魚彰人
BL
親に裏切られ、一人で生きていこうと決めた青年『護』の隣に引っ越してきたのは強面のおっさん『岩間』だった。
不定期に岩間に晩御飯を誘われるようになり、何時からかそれが護の楽しみとなっていくが……。
ハピエンですがちょっと暗い内容ですので、苦手な方、コメディ系の明るいお話しをお求めの方はお気を付け下さいませ。
他サイトに投稿した「隣のお節介」をタイトルを変え、手直ししたものになります。


隣のチャラ男くん
木原あざみ
BL
チャラ男おかん×無気力駄目人間。
お隣さん同士の大学生が、お世話されたり嫉妬したり、ごはん食べたりしながら、ゆっくりと進んでいく恋の話です。
第9回BL小説大賞 奨励賞ありがとうございました。
いとしの生徒会長さま
もりひろ
BL
大好きな親友と楽しい高校生活を送るため、急きょアメリカから帰国した俺だけど、編入した学園は、とんでもなく変わっていた……!
しかも、生徒会長になれとか言われるし。冗談じゃねえっつの!

風紀“副”委員長はギリギリモブです
柚実
BL
名家の子息ばかりが集まる全寮制の男子校、鳳凰学園。
俺、佐倉伊織はその学園で風紀“副”委員長をしている。
そう、“副”だ。あくまでも“副”。
だから、ここが王道学園だろうがなんだろうが俺はモブでしかない────はずなのに!
BL王道学園に入ってしまった男子高校生がモブであろうとしているのに、主要キャラ達から逃げられない話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる