オレ様＆ドＳな神楽様は、地味目な彼がお好きでした。

僕が彼を神楽様と呼ぶ理由③

　それからすぐに、さっきまでの話を横で聞いていた人たちが、彼の周りに集まってきた。皆、口々に自分のことを聞いた。
　僕はその彼の様子を、ただぼーっと見つめているだけだった。カッコいいな。自然とその言葉がもれた。自分でも不思議なくらい自然にどこにも引っかかることなくその言葉は僕の口からでてきた。しかしその言葉は、この騒がしい教室では意味もなすことなく、その場で直ぐに消えた。心の中で呟いているのと大差はなかった。
　彼のそういうカリスマ性はその時からあった。彼の周りにはすぐに人が集まるようになった。そんな彼は僕にはまぶしいくらいきらきらとしていた。
　帰りの道。校門を出るときに、彼がすぐ前を歩いていることに気がついた。中学までの僕だったら、きっと気がついても何も行動にはしなかっただろう。いや、今日あの出来事が起きるまでは僕は、気がかなかったことにしていただろう。でも、今の僕は違う。僕は何ももう躊躇うことはなかった。