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38.塔の中の面会

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「うーん、どうするかな。」

 キャロライナに見つめられたレオナルドは、しばし考える。

「じゃあ、こう言うのどう?
 シーラとルイスの間の壁にドアをつける。
 でも、それは夜中だけしか開かない。

 朝までにこの部屋に戻らなければ、強制転移で、この部屋に戻される。
 魔力酔い付きだよ。

 朝には、食事が運ばれてくるから、この部屋にいないわけにはいかないから。

 それでもいいなら、その指輪に魔力込めてあげる。

 ルイスの部屋からは、来れないことにする。
 ルイスには、好き勝手に女に会うのは、許されない。

 それでは、ルイスのせいで、人生が狂った人達がうかばれないから。」

 そう言って、レオナルドはキャロライナをちらっと見る。

「あいつには、女性が来てくれる感謝を学ばせたい。

 だから、嫌なことされたら、二度と行かないと脅し、しばらく行かないといい。 

 それに、本当に嫌になったら、もう二度と行かなくてもいいし。

 この条件でのむかい?
 それとも、このままか?」

「もちろんのむわ。
 正直、年とったら、壁をつたって行くのは、きついなって思ってたのよ。
 落ちるのも、怖いし。」

「キャロはどう?
 これでいい?」

「文句なしよ。」

「よし、じゃあ、指輪見せて。」

 そう言うと、すぐにただの指輪は魔力を帯びた指輪に変わる。

「よし、これで、夜になったら、壁にドアが出現するから、ルイスのところに行けばいい。

 ただし、戻らない時の魔力酔いは一日中寝込むぐらいのめまいだから、気をつけて。

 後は、ちょっと隣の男に話をつけて来る。
 キャロはここで待ってて。」

 そう言うと隣の部屋に、レオナルドは転移して行った。




「おい、お前。」

「うわっ、お前こそ誰だ?」

 気づいたら、立っているレオナルドにルイスは驚愕の表情で固まる。

 ルイスは、元々女性を取っ替え引っ換えして生きてきたので、今塔の中で、シーラしか会えない生活はつらく、げっそりと痩せていた。

 そして、地下牢で、一度会っているが、その時の大勢の中のレオナルドを覚えてはいない。

「俺は魔法師だよ。
 これからのことを説明する。

 夜中になると、今まで通り女がこの部屋に来るだろう。
 今夜からは、窓じゃなく、ドアから来る。

 だが、お前からは隣に行けない。
 お前は来てもらうのを待つしかない。

 だから、一人の女を大切にしろ。
 その女に嫌われたら、一生一人の人生だ。
 よく考えろ。」

「何急に来て、勝手なことを。」

「せっかく忠告に来てやったんだぞ。
 個人的には、お前をボコボコにしてやりたいよ。
 嫌われたくないから、抑えているだけ。

 まぁ、でも、お前に見る目があって、彼女を手放さなかったら、今の俺達はなかったから、特別に許してやる。

 じゃあ、わかったな。
 俺はずっとお前を見張るからな。」

 そう言い残し、隣に転移し、キャロライナとシーラのところへ戻る。

 後には、キョトンとしたルイスが残された。



「おかえり、レオ。」

「あいつにも、説明して来たよ。」

「ありがとう、レオ。」

「じゃあ、戻るか。」

「そうね、じゃあ、さよなら。
 その内来るかもしれないし、来ないかもしれないわ。」

「ありがとう。
 どんなに、嫌なこと言われても、見捨てないところが、姉に似てるわ、あんた。」

「そう?
 多分私、あなたの知ってるお姉さんより、強いと思うわ。」

「まぁ、そうかもね。」

 昔の自分なら、ここまでシーラと本音で話すことはなかっただろう。

 今の私はレオナルドに愛されて、自分に自信が持てるようになった。

 だからこそ、目を背けたくなる相手とでも、冷静に話せる。

 人に傷つけられたと悲しむだけの自分から、相手を心の底から信頼し、お互いに助け合って生きる幸せを知っている。

 私はこうして、これからも、自分を大切にして、生きていく。
 レオナルドの隣で。

 二人は手を繋ぎ、ローレンス邸に帰るのだ。
 心地よい二人の我が家へ。
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