37 / 39
37.妹の行方
しおりを挟む
結婚式を間近に控え、キャロライナはシーラがどうしているか、心配になって来た。
時々、俯く様子があり、レオナルドはキャロライナが妹のことを心配していることをなんとなく感じていた。
「そろそろオーブリー国に行くかい?
気になってるんだろ?」
「実は、うん、そう。」
「そう言う時は、悩んでないで、俺に言って。」
「そうだね。
でも、シーラは私に会いたくないかもしれないし。」
「会わなくても、どうしているかを知ったら、キャロは気が楽になるんじゃないか?」
「うん、ありがとう。」
「クヨクヨしてるなんて、らしくないよ。」
キャロライナとレオナルドはオーブリー国の地下牢に行ったが、シーラはもういなくなっていた。
最初に地下牢に捕らえられた時、貴族は塔に幽閉すると、言われた覚えがある。
そっちに移っているならと、塔の中に転移し、探し出した。
塔の小さな一室に、シイラは閉じ込められていたが、ここでは風呂が使えるのか、牢よりも快適そうである。
「久しぶり。」
「ああ、あの時の女ね。
前回一緒に消えた男も一緒ね。
急に消えるなんて、魔法使いなのね、あんた。」
「まぁ、そんなところ。
その指はどうしたの?」
シーラの指先はひび割れて、血が滲んでいる。
「ああ、これ?
ふふ、これはね、夜中に壁をつたって、ルイスに会いに行ってるの。」
「ルイスもここにいるの?」
「ルイスを知っているの?
ルイスは私のものよ。」
「知り合いなだけ。
興味はないわ。」
「ならいいけど、ルイスはね、調子に乗って、同時に何人もの女性と付き合ったんだって。
そしたら、その中の一人が王族で、玉の輿に乗る気満々だったけど、結局、色んな女と同時に付き合っていたことが、舞踏会の会場でバレて、一時騒然となったらしいわ。
王族の女は恥をかかされたって、大騒ぎで、でも、みんな女達は真剣に付き合っていたから、その場で殴り合いの喧嘩も勃発して、収拾がつかなくなったみたい。
でも、結局は全てルイスのせいだから、ルイスが責任とるなら、殴り合った女達も怒りをおさめるってことで、ルイスは牢に入り、この件は終わりになったらしいわ。
それで、同じ塔に幽閉されている私の出番がやって来たと言うわけ。」
「でも、ルイスは女性を幸せにできない男よ。」
「私はね、そんなこと最初から知ってるの。
わかってて、好きなの。
それに今は私しかいないから。
さすがに、ルイスを諦められないからって、ここまでやって来る女はいなかったわ。
だから、今は私だけなの。」
「でも、壁をつたってって、外の?」
「当たり前じゃない。」
「落ちたら、命がないじゃない?
しかも夜?
危険よ。」
「わかっているわ。
でも、私はそれでもいいのよ。」
キャロライナは初めて知った。
シーラがそれほどまでに、ルイスを好きだと。
私のルイスへの思いは、シーラと比べたら、全然なかったも同然だ。
今私にとって、ルイスはどうでもいい。
でも、シーラの気持ちは私がレオナルドにむける思いと多分それほど変わらない。
私達は結局、似たもの姉妹なのだ。
私だって、最後に見るのは、レオナルドがいいって、思っている。
それが、魔獣討伐のさなかであっても。
この塔から、罪人であるシーラを救い出すのはやはり罪を償うという意味で、許されないと思う。
でも、姉として、シーラの危険な行動はやめさせたい。
悩んだ私は、レオナルドを見つめた。
時々、俯く様子があり、レオナルドはキャロライナが妹のことを心配していることをなんとなく感じていた。
「そろそろオーブリー国に行くかい?
気になってるんだろ?」
「実は、うん、そう。」
「そう言う時は、悩んでないで、俺に言って。」
「そうだね。
でも、シーラは私に会いたくないかもしれないし。」
「会わなくても、どうしているかを知ったら、キャロは気が楽になるんじゃないか?」
「うん、ありがとう。」
「クヨクヨしてるなんて、らしくないよ。」
キャロライナとレオナルドはオーブリー国の地下牢に行ったが、シーラはもういなくなっていた。
最初に地下牢に捕らえられた時、貴族は塔に幽閉すると、言われた覚えがある。
そっちに移っているならと、塔の中に転移し、探し出した。
塔の小さな一室に、シイラは閉じ込められていたが、ここでは風呂が使えるのか、牢よりも快適そうである。
「久しぶり。」
「ああ、あの時の女ね。
前回一緒に消えた男も一緒ね。
急に消えるなんて、魔法使いなのね、あんた。」
「まぁ、そんなところ。
その指はどうしたの?」
シーラの指先はひび割れて、血が滲んでいる。
「ああ、これ?
ふふ、これはね、夜中に壁をつたって、ルイスに会いに行ってるの。」
「ルイスもここにいるの?」
「ルイスを知っているの?
ルイスは私のものよ。」
「知り合いなだけ。
興味はないわ。」
「ならいいけど、ルイスはね、調子に乗って、同時に何人もの女性と付き合ったんだって。
そしたら、その中の一人が王族で、玉の輿に乗る気満々だったけど、結局、色んな女と同時に付き合っていたことが、舞踏会の会場でバレて、一時騒然となったらしいわ。
王族の女は恥をかかされたって、大騒ぎで、でも、みんな女達は真剣に付き合っていたから、その場で殴り合いの喧嘩も勃発して、収拾がつかなくなったみたい。
でも、結局は全てルイスのせいだから、ルイスが責任とるなら、殴り合った女達も怒りをおさめるってことで、ルイスは牢に入り、この件は終わりになったらしいわ。
それで、同じ塔に幽閉されている私の出番がやって来たと言うわけ。」
「でも、ルイスは女性を幸せにできない男よ。」
「私はね、そんなこと最初から知ってるの。
わかってて、好きなの。
それに今は私しかいないから。
さすがに、ルイスを諦められないからって、ここまでやって来る女はいなかったわ。
だから、今は私だけなの。」
「でも、壁をつたってって、外の?」
「当たり前じゃない。」
「落ちたら、命がないじゃない?
しかも夜?
危険よ。」
「わかっているわ。
でも、私はそれでもいいのよ。」
キャロライナは初めて知った。
シーラがそれほどまでに、ルイスを好きだと。
私のルイスへの思いは、シーラと比べたら、全然なかったも同然だ。
今私にとって、ルイスはどうでもいい。
でも、シーラの気持ちは私がレオナルドにむける思いと多分それほど変わらない。
私達は結局、似たもの姉妹なのだ。
私だって、最後に見るのは、レオナルドがいいって、思っている。
それが、魔獣討伐のさなかであっても。
この塔から、罪人であるシーラを救い出すのはやはり罪を償うという意味で、許されないと思う。
でも、姉として、シーラの危険な行動はやめさせたい。
悩んだ私は、レオナルドを見つめた。
17
お気に入りに追加
53
あなたにおすすめの小説
悪女の秘密は彼だけに囁く
月山 歩
恋愛
夜会で声をかけて来たのは、かつての恋人だった。私は彼に告げずに違う人と結婚してしまったのに。私のことはもう嫌いなはず。結局夫に捨てられた私は悪女と呼ばれて、あなたは遊び人となり、再びあなたは私を諦めずに誘うのね。
幽閉された王子と愛する侍女
月山 歩
恋愛
私の愛する王子様が、王の暗殺の容疑をかけられて離宮に幽閉された。私は彼が心配で、王国の方針に逆らい、侍女の立場を捨て、彼の世話をしに駆けつける。嫌疑が晴れたら、私はもう王宮には、戻れない。それを知った王子は。
呪いを受けて醜くなっても、婚約者は変わらず愛してくれました
しろねこ。
恋愛
婚約者が倒れた。
そんな連絡を受け、ティタンは急いで彼女の元へと向かう。
そこで見たのはあれほどまでに美しかった彼女の変わり果てた姿だ。
全身包帯で覆われ、顔も見えない。
所々見える皮膚は赤や黒といった色をしている。
「なぜこのようなことに…」
愛する人のこのような姿にティタンはただただ悲しむばかりだ。
同名キャラで複数の話を書いています。
作品により立場や地位、性格が多少変わっていますので、アナザーワールド的に読んで頂ければありがたいです。
この作品は少し古く、設定がまだ凝り固まって無い頃のものです。
皆ちょっと性格違いますが、これもこれでいいかなと載せてみます。
短めの話なのですが、重めな愛です。
お楽しみいただければと思います。
小説家になろうさん、カクヨムさんでもアップしてます!
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
迎えに行ったら、すでに君は行方知れずになっていた
月山 歩
恋愛
孤児院で育った二人は彼が貴族の息子であることから、引き取られ離れ離れになる。好きだから、一緒に住むために準備を整え、迎えに行くと、少女はもういなくなっていた。事故に合い、行方知れずに。そして、時をかけて二人は再び巡り会う。
とまどいの花嫁は、夫から逃げられない
椎名さえら
恋愛
エラは、親が決めた婚約者からずっと冷淡に扱われ
初夜、夫は愛人の家へと行った。
戦争が起こり、夫は戦地へと赴いた。
「無事に戻ってきたら、お前とは離婚する」
と言い置いて。
やっと戦争が終わった後、エラのもとへ戻ってきた夫に
彼女は強い違和感を感じる。
夫はすっかり改心し、エラとは離婚しないと言い張り
突然彼女を溺愛し始めたからだ
______________________
✴︎舞台のイメージはイギリス近代(ゆるゆる設定)
✴︎誤字脱字は優しくスルーしていただけると幸いです
✴︎なろうさんにも投稿しています
私の勝手なBGMは、懐かしすぎるけど鬼束ちひろ『月光』←名曲すぎ
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
雪解けの白い結婚 〜触れることもないし触れないでほしい……からの純愛!?〜
川奈あさ
恋愛
セレンは前世で夫と友人から酷い裏切りを受けたレスられ・不倫サレ妻だった。
前世の深い傷は、転生先の心にも残ったまま。
恋人も友人も一人もいないけれど、大好きな魔法具の開発をしながらそれなりに楽しい仕事人生を送っていたセレンは、祖父のために結婚相手を探すことになる。
だけど凍り付いた表情は、舞踏会で恐れられるだけで……。
そんな時に出会った壁の花仲間かつ高嶺の花でもあるレインに契約結婚を持ちかけられる。
「私は貴女に触れることもないし、私にも触れないでほしい」
レインの条件はひとつ、触らないこと、触ることを求めないこと。
実はレインは女性に触れられると、身体にひどいアレルギー症状が出てしまうのだった。
女性アレルギーのスノープリンス侯爵 × 誰かを愛することが怖いブリザード令嬢。
過去に深い傷を抱えて、人を愛することが怖い。
二人がゆっくり夫婦になっていくお話です。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
婚約して三日で白紙撤回されました。
Mayoi
恋愛
貴族家の子女は親が決めた相手と婚約するのが当然だった。
それが貴族社会の風習なのだから。
そして望まない婚約から三日目。
先方から婚約を白紙撤回すると連絡があったのだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる