無実の令嬢と魔法使いは、今日も地味に骨折を治す

月山 歩

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30.新しい指輪

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 しっかり栄養補給したレオナルドとキャロライナは王都の宝石店に再び来ている。

「今度は以前よりもっと石が大きいやつにして。
 以前より込める魔力が複雑になってるから。」

「複雑って。」

「前はギフトを隠して、俺以外の魔力を使おうとするやつをすべて弾けばいいだけの簡単な魔法を込めていたけど、それだとダニエルとかと協力する時に指輪を外されてしまう。

 前は我慢したけど、今は絶対にダメ。

 だから、今回はギフトを隠して、俺と俺以外の俺が認めたやつは魔力を使えるけど、俺以外がキャロに性的な意味で触ろうとするやつを全部弾く魔法にする。

 何か文句ある?」

「ううん、好き。」

 そう言えば、レオナルドはわかりやすく、赤くなる。

「それ、今言う?」

「だって、私達、明日闘いに行くんだよ。
 だから、遠慮しない。
 言える時に言う。」

「そうだな。
 俺も好きだ。」

「ふふ、まずは指輪を選びましょうか。」

 そう言って、急に甘々になるカップルを、宝石店では当たり前に受けとめる。

 ここに来るカップルは皆同じで、イチャイチャするか、しないかは関係なく、心は常にイチャイチャしているものだから。

「石が大きいのは、こちらになります。」

 店員が教えてくれたショーケースには、以前つけていたものより、格段に石が大きい指輪が並んでいる。

「まあ、これくらい石が大きかったら、魔力も収まりきるな。」

「レオ、ここらへんにあるのは大き過ぎるわ。
 これからはどんな時もつけたいと思っているし。

 ごめん、はっきり言うと邪魔になる。」

「お客様、でしたら石が大きいのではなく、小さめの石が全体に入ったものはいかがでしょうか?」

「ああ、それなら一個ずつに分けて、魔力込めるから、大丈夫だ。」

「それなら、良かった。
じゃあ、これにする。」

 キャロライナが選んだのは、青色のサファイアを中心に、細かなダイヤモンドがいっぱい入った指輪だった。

 レオナルドは、キャロライナが自分の瞳の色の宝石を中心に配置した指輪を選んでくれたことに気をよくすると、大きく頷き、帰りの馬車の中で、一つ一つに魔力を込め、複雑な保護魔法の指輪は出来上がるのだった。
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