24 / 39
24.証言の代償
しおりを挟む
席に座った男性と向き合うと、
「それでは、お時間をいただきありがとうございます。
早速、確認したいのですが、あなたが正義感を出したと言うのは、少し前、王宮で起きた令嬢の階段転落事件のことですか?」
とキャロライナが話すと、
それを聞いた瞬間、その男性は息をのんだ。
「どうしてそれを?」
「やはり、そうでしたか。
自己紹介が遅れましたが、私はあなたが証言してくださった、無実の令嬢です。
キャロライナ・グウェンと申します。
お礼を申し上げるのが遅くなり、誠に申し訳ございません。
それと、無実と証言してくれたこと、心より感謝申し上げます。」
そう言って、キャロライナは立ち上がりカーテシーをする。
「えっ、あなたが?
別人に思えるのですが。」
「ああ、彼女には、認識阻害魔法がかかっている。
こうしたら、わかるかな?」
そう言って、レオナルドがキャロライナの魔法を解くと、その男性は納得した顔をする。
「この人です。
全然離れた位置にいたのに、何故か捕まえられていったのは。
その当時、周りにいた人々はみんなおかしいと思っていながら、おかしいとは言えなかった。
みんな巻き込まれたくなかったんですよ。
こちらこそ、その場ですぐに言っていたら、変わっていたかもしれないと、後から、何度後悔したことか。
でも、結局言い出すまで、2日間もかかりました。
こちらこそ、勇気を出せなくて、すみません。」
そう言って、男性は頭を下げる。
「気になさらないでください。
実際、あなたが証言してくれた時には、無実を訴えるのを諦めて、こちら、レオナルド・ローレンスさんと言うのですけど、この方がダーネル王国に転移させて、くれたんですよ。」
「そうでしたか。
良かった。
僕が勇気を出さなかったせいで、一人の無実の女性が、罪に問われ、一生牢の中から出られないかもしれないと考えると、夜も眠れないほど、悩みました。」
「私はあの時、みんなに見放されたと思っていました。
私のことを心配してくれた人がいたなんて、あの時の自分に教えてあげたかった。
改めて、ありがとうございます。
失礼ですが、名前を伺っても?」
「私はエイデンと申します。
王宮のウエイターをしていました。
それで、あなたのことを見たのです。
あなたはこの国の侯爵家の方ですからね。
失礼のないようにするのは、王宮で働くものの基本です。」
「そうなのですね。」
「僕が当局に真実を訴えると、突き落とした女性が捕らえられました。
しかし、無実のあなたを確認せずに捕らえたことで、近衛騎士達は責任をとらされたようで、私を恨んで嫌がらせをするようになりました。
元々、この国の役人をよく思っていませんでしたが、ついに見切りをつけて、ダーネル王国に行くことにしたんです。
でも、役人達はそれでも私に嫌がらせをし足りないのか、国境を越えさせないように、手をまわしたようです。
それで、仕方がないので、こちらで働かせてもらっていたのです。」
やはり、私の無実の証言をした方は、巻き込まれたばっかりに、大変な思いをされていた。
「エイデンさん、ぜひ私達にダーネル王国に行くお手伝いをさせてください。
その後、一日ぐらいは具合が悪くなるんですが、聞いていただけますか?」
「それでは、お時間をいただきありがとうございます。
早速、確認したいのですが、あなたが正義感を出したと言うのは、少し前、王宮で起きた令嬢の階段転落事件のことですか?」
とキャロライナが話すと、
それを聞いた瞬間、その男性は息をのんだ。
「どうしてそれを?」
「やはり、そうでしたか。
自己紹介が遅れましたが、私はあなたが証言してくださった、無実の令嬢です。
キャロライナ・グウェンと申します。
お礼を申し上げるのが遅くなり、誠に申し訳ございません。
それと、無実と証言してくれたこと、心より感謝申し上げます。」
そう言って、キャロライナは立ち上がりカーテシーをする。
「えっ、あなたが?
別人に思えるのですが。」
「ああ、彼女には、認識阻害魔法がかかっている。
こうしたら、わかるかな?」
そう言って、レオナルドがキャロライナの魔法を解くと、その男性は納得した顔をする。
「この人です。
全然離れた位置にいたのに、何故か捕まえられていったのは。
その当時、周りにいた人々はみんなおかしいと思っていながら、おかしいとは言えなかった。
みんな巻き込まれたくなかったんですよ。
こちらこそ、その場ですぐに言っていたら、変わっていたかもしれないと、後から、何度後悔したことか。
でも、結局言い出すまで、2日間もかかりました。
こちらこそ、勇気を出せなくて、すみません。」
そう言って、男性は頭を下げる。
「気になさらないでください。
実際、あなたが証言してくれた時には、無実を訴えるのを諦めて、こちら、レオナルド・ローレンスさんと言うのですけど、この方がダーネル王国に転移させて、くれたんですよ。」
「そうでしたか。
良かった。
僕が勇気を出さなかったせいで、一人の無実の女性が、罪に問われ、一生牢の中から出られないかもしれないと考えると、夜も眠れないほど、悩みました。」
「私はあの時、みんなに見放されたと思っていました。
私のことを心配してくれた人がいたなんて、あの時の自分に教えてあげたかった。
改めて、ありがとうございます。
失礼ですが、名前を伺っても?」
「私はエイデンと申します。
王宮のウエイターをしていました。
それで、あなたのことを見たのです。
あなたはこの国の侯爵家の方ですからね。
失礼のないようにするのは、王宮で働くものの基本です。」
「そうなのですね。」
「僕が当局に真実を訴えると、突き落とした女性が捕らえられました。
しかし、無実のあなたを確認せずに捕らえたことで、近衛騎士達は責任をとらされたようで、私を恨んで嫌がらせをするようになりました。
元々、この国の役人をよく思っていませんでしたが、ついに見切りをつけて、ダーネル王国に行くことにしたんです。
でも、役人達はそれでも私に嫌がらせをし足りないのか、国境を越えさせないように、手をまわしたようです。
それで、仕方がないので、こちらで働かせてもらっていたのです。」
やはり、私の無実の証言をした方は、巻き込まれたばっかりに、大変な思いをされていた。
「エイデンさん、ぜひ私達にダーネル王国に行くお手伝いをさせてください。
その後、一日ぐらいは具合が悪くなるんですが、聞いていただけますか?」
13
お気に入りに追加
53
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
【完結】真実の愛はおいしいですか?
ゆうぎり
恋愛
とある国では初代王が妖精の女王と作り上げたのが国の成り立ちだと言い伝えられてきました。
稀に幼い貴族の娘は妖精を見ることができるといいます。
王族の婚約者には妖精たちが見えている者がなる決まりがありました。
お姉様は幼い頃妖精たちが見えていたので王子様の婚約者でした。
でも、今は大きくなったので見えません。
―――そんな国の妖精たちと貴族の女の子と家族の物語
※童話として書いています。
※「婚約破棄」の内容が入るとカテゴリーエラーになってしまう為童話→恋愛に変更しています。
悪女の秘密は彼だけに囁く
月山 歩
恋愛
夜会で声をかけて来たのは、かつての恋人だった。私は彼に告げずに違う人と結婚してしまったのに。私のことはもう嫌いなはず。結局夫に捨てられた私は悪女と呼ばれて、あなたは遊び人となり、再びあなたは私を諦めずに誘うのね。
幽閉された王子と愛する侍女
月山 歩
恋愛
私の愛する王子様が、王の暗殺の容疑をかけられて離宮に幽閉された。私は彼が心配で、王国の方針に逆らい、侍女の立場を捨て、彼の世話をしに駆けつける。嫌疑が晴れたら、私はもう王宮には、戻れない。それを知った王子は。
呪いを受けて醜くなっても、婚約者は変わらず愛してくれました
しろねこ。
恋愛
婚約者が倒れた。
そんな連絡を受け、ティタンは急いで彼女の元へと向かう。
そこで見たのはあれほどまでに美しかった彼女の変わり果てた姿だ。
全身包帯で覆われ、顔も見えない。
所々見える皮膚は赤や黒といった色をしている。
「なぜこのようなことに…」
愛する人のこのような姿にティタンはただただ悲しむばかりだ。
同名キャラで複数の話を書いています。
作品により立場や地位、性格が多少変わっていますので、アナザーワールド的に読んで頂ければありがたいです。
この作品は少し古く、設定がまだ凝り固まって無い頃のものです。
皆ちょっと性格違いますが、これもこれでいいかなと載せてみます。
短めの話なのですが、重めな愛です。
お楽しみいただければと思います。
小説家になろうさん、カクヨムさんでもアップしてます!
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
とまどいの花嫁は、夫から逃げられない
椎名さえら
恋愛
エラは、親が決めた婚約者からずっと冷淡に扱われ
初夜、夫は愛人の家へと行った。
戦争が起こり、夫は戦地へと赴いた。
「無事に戻ってきたら、お前とは離婚する」
と言い置いて。
やっと戦争が終わった後、エラのもとへ戻ってきた夫に
彼女は強い違和感を感じる。
夫はすっかり改心し、エラとは離婚しないと言い張り
突然彼女を溺愛し始めたからだ
______________________
✴︎舞台のイメージはイギリス近代(ゆるゆる設定)
✴︎誤字脱字は優しくスルーしていただけると幸いです
✴︎なろうさんにも投稿しています
私の勝手なBGMは、懐かしすぎるけど鬼束ちひろ『月光』←名曲すぎ
迎えに行ったら、すでに君は行方知れずになっていた
月山 歩
恋愛
孤児院で育った二人は彼が貴族の息子であることから、引き取られ離れ離れになる。好きだから、一緒に住むために準備を整え、迎えに行くと、少女はもういなくなっていた。事故に合い、行方知れずに。そして、時をかけて二人は再び巡り会う。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
雪解けの白い結婚 〜触れることもないし触れないでほしい……からの純愛!?〜
川奈あさ
恋愛
セレンは前世で夫と友人から酷い裏切りを受けたレスられ・不倫サレ妻だった。
前世の深い傷は、転生先の心にも残ったまま。
恋人も友人も一人もいないけれど、大好きな魔法具の開発をしながらそれなりに楽しい仕事人生を送っていたセレンは、祖父のために結婚相手を探すことになる。
だけど凍り付いた表情は、舞踏会で恐れられるだけで……。
そんな時に出会った壁の花仲間かつ高嶺の花でもあるレインに契約結婚を持ちかけられる。
「私は貴女に触れることもないし、私にも触れないでほしい」
レインの条件はひとつ、触らないこと、触ることを求めないこと。
実はレインは女性に触れられると、身体にひどいアレルギー症状が出てしまうのだった。
女性アレルギーのスノープリンス侯爵 × 誰かを愛することが怖いブリザード令嬢。
過去に深い傷を抱えて、人を愛することが怖い。
二人がゆっくり夫婦になっていくお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる