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16.レオナルドの妹の悩み
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リーフェン王が紹介してくれたのは、若い魔法師だった。
優しい微笑みは穏やか人柄を表し、二人はすぐに打ち解けた。
手を繋がないと私のギフトが使えないので、二人は夫婦という設定で、新婚旅行にやって来ていることにした。
魔法師はダニエルと言う名前で、認識阻害魔法を使い、キャロライナの瞳を紫にし、髪は茶色から、シルバーに変えてくれた。
オーブリー王国では、私はお尋ね者なので、キイナと言う偽名を使うことにする。
そして、指輪はレオナルド以外が、私の魔力を使えないようになっているので、外して持った。
「ダニエル、ここだわ。」
転移魔法で、オーブリー王国に転移し、トラバスに聞いて来たレオナルドの妹の家の前に立って、呼び鈴を鳴らす。
そして、出て来た若い女性に、
「こんにちは、私レオの代理で来たの。
キイナと呼んで欲しいわ。」
と明るく話かけるが、
レオナルドの妹のサマーは不信そうに二人をじろじろ見る。
「本当にレオの代理で来たのか、信じられないよね。」
「はい」
「急ぎで対応した方がいい手紙がサマーさんから、レオのところに来たから、私が代理で来たの。
今、レオは辺境に行ってて、すぐにこちらに来ることはできないの。
じゃあ、信じてもらえるようにレオのことを話すわ。」
「はい。」
「邸の執事はトラバス。
親友はリー。
軍馬を飼っていて、お気に入りの場所は丘の上。
子供の頃の夢は治癒魔法師よ。」
「あなたはレオとどう言う関係?
恋人なの?」
「それは違うけど、私達は魔法を使うパートナーなの。」
「ふーん。
まぁ入って。」
家の中に入って、テーブルを囲み、座る。
居心地の良さそうな、子供用ベッドに赤ちゃんが眠っている。
「こちらは、リーフェン様から、紹介してもらった魔法師のダニエルよ。
私は本当はキャロライナと言う名前なの。
でも、外では絶対にキイナで、呼んでね。
私もレオと同じく、お尋ね者なのよ。
早速だけど、何があったの?
聞かせてくれる?」
「はい。
息子のトミーが、魔力があることがわかると、役人が来て、魔法師にするって、連れて行こうとしたの、私とトミーを。
魔力のコントロールが必要だから、教会で暮らすようにって。
トミーはまだ、一歳にもみたないのに。
私達家族を離れ離れに、しようとしたのよ。
それで、夫のジョンが抵抗したら、役人達が、ジョンを無理矢理連れて行ったの。
ジョンを解放したければ、トミーを教会に入れるようにって、言っていたわ。」
そう言って、サマーは泣き出す。
「最初からレオの言うことを聞いて、ダーネル王国に住めば良かった。
レオはトミーに魔力があるから、いつか役人に目をつけられる可能性があるって心配していたの。
でも、ジョンはこっちの国の人で、こっちがいいって言うから、住んでいたけど、レオに続いて、ジョンも捕まるなんて。
レオは魔力があるから、何とか牢から逃れたけど、ジョンは魔力もないし、どうしたらいいのかわからないわ。」
「なるほどね。
相変わらず酷いわね、この国は。
ダニエル、例えば私と二人で役人に捕まって、牢に入った後、ジョンさんも一緒に三人で転移して、脱出することは可能かしら?」
「残念ながら、僕はレオナルド様ほど魔力が強くないんだ。
でも、キイナと魔力合わせるなら、できるかもしれない。
三人転移か、どうだろう。
キイナの魔力を合わせるとどうなのかが、わからないよ。」
「とりあえず、サマーさんとトミーを転移させれるか、やってみましょうか?」
「そうだね。
それできてからだよな、牢に入るのは。
リスクが高いし、先にサマーさん達を安全なところに避難させた方が良い。」
「サマーさん、とりあえず、もうこの国に住むのは、諦めてもらっていいですか?
私、牢に入ったことあるんですが、あそこでは、話なんて聞いてもらえません。
自分達で逃げるしかないんです。
逃げた後は、お尋ね者になってしまうので、この国にはもう住めなくなるんです。
ジョンさんを転移させれるかは、やってみないとわかりません。
サマーさん達の安全確保をするために、ジョンさん救出の前に、サマーさんとトミーをレオの邸に転移させます。
その後、ジョンさんを救出にむかいます。」
「どうして、そこまでしてくれるの?」
「私はレオに助けてもらって、今、こうして自由にしていれています。
もし、レオならサマーさん達を絶対に助けると思うから、私も助けます。
ダニエルはどう?
ジョンさんの方は帰れなくなる危険も伴うから、先にサマーさん達を転移させて、レオを待つって言う選択肢もあるわ。」
「僕は大丈夫だよ。
うまくいかなくても、後からレオナルド様来るだろ?」
「多分」
「じゃサマーさん、持って行きたい荷物をまとめて。
まず、それを転移させようか。
箱で二つにして。
僕とキイナで一つずつ持つから。」
「ふふ、引っ越しみたいね。」
「うん、もうここに住めないって、そう言うことだからね。
本当は必要な物を全部運んでやりたいけど、ジョンさんも心配だから、何回も転移を繰り返す時間がない。
それと、サマーさん、一つ伝えないといけないことがあるんですが、転移すると、魔力酔いって言って、一日ぐらいは具合が悪くなるから、そこは我慢してほしい。」
「わかりました。
よろしくお願いします。」
優しい微笑みは穏やか人柄を表し、二人はすぐに打ち解けた。
手を繋がないと私のギフトが使えないので、二人は夫婦という設定で、新婚旅行にやって来ていることにした。
魔法師はダニエルと言う名前で、認識阻害魔法を使い、キャロライナの瞳を紫にし、髪は茶色から、シルバーに変えてくれた。
オーブリー王国では、私はお尋ね者なので、キイナと言う偽名を使うことにする。
そして、指輪はレオナルド以外が、私の魔力を使えないようになっているので、外して持った。
「ダニエル、ここだわ。」
転移魔法で、オーブリー王国に転移し、トラバスに聞いて来たレオナルドの妹の家の前に立って、呼び鈴を鳴らす。
そして、出て来た若い女性に、
「こんにちは、私レオの代理で来たの。
キイナと呼んで欲しいわ。」
と明るく話かけるが、
レオナルドの妹のサマーは不信そうに二人をじろじろ見る。
「本当にレオの代理で来たのか、信じられないよね。」
「はい」
「急ぎで対応した方がいい手紙がサマーさんから、レオのところに来たから、私が代理で来たの。
今、レオは辺境に行ってて、すぐにこちらに来ることはできないの。
じゃあ、信じてもらえるようにレオのことを話すわ。」
「はい。」
「邸の執事はトラバス。
親友はリー。
軍馬を飼っていて、お気に入りの場所は丘の上。
子供の頃の夢は治癒魔法師よ。」
「あなたはレオとどう言う関係?
恋人なの?」
「それは違うけど、私達は魔法を使うパートナーなの。」
「ふーん。
まぁ入って。」
家の中に入って、テーブルを囲み、座る。
居心地の良さそうな、子供用ベッドに赤ちゃんが眠っている。
「こちらは、リーフェン様から、紹介してもらった魔法師のダニエルよ。
私は本当はキャロライナと言う名前なの。
でも、外では絶対にキイナで、呼んでね。
私もレオと同じく、お尋ね者なのよ。
早速だけど、何があったの?
聞かせてくれる?」
「はい。
息子のトミーが、魔力があることがわかると、役人が来て、魔法師にするって、連れて行こうとしたの、私とトミーを。
魔力のコントロールが必要だから、教会で暮らすようにって。
トミーはまだ、一歳にもみたないのに。
私達家族を離れ離れに、しようとしたのよ。
それで、夫のジョンが抵抗したら、役人達が、ジョンを無理矢理連れて行ったの。
ジョンを解放したければ、トミーを教会に入れるようにって、言っていたわ。」
そう言って、サマーは泣き出す。
「最初からレオの言うことを聞いて、ダーネル王国に住めば良かった。
レオはトミーに魔力があるから、いつか役人に目をつけられる可能性があるって心配していたの。
でも、ジョンはこっちの国の人で、こっちがいいって言うから、住んでいたけど、レオに続いて、ジョンも捕まるなんて。
レオは魔力があるから、何とか牢から逃れたけど、ジョンは魔力もないし、どうしたらいいのかわからないわ。」
「なるほどね。
相変わらず酷いわね、この国は。
ダニエル、例えば私と二人で役人に捕まって、牢に入った後、ジョンさんも一緒に三人で転移して、脱出することは可能かしら?」
「残念ながら、僕はレオナルド様ほど魔力が強くないんだ。
でも、キイナと魔力合わせるなら、できるかもしれない。
三人転移か、どうだろう。
キイナの魔力を合わせるとどうなのかが、わからないよ。」
「とりあえず、サマーさんとトミーを転移させれるか、やってみましょうか?」
「そうだね。
それできてからだよな、牢に入るのは。
リスクが高いし、先にサマーさん達を安全なところに避難させた方が良い。」
「サマーさん、とりあえず、もうこの国に住むのは、諦めてもらっていいですか?
私、牢に入ったことあるんですが、あそこでは、話なんて聞いてもらえません。
自分達で逃げるしかないんです。
逃げた後は、お尋ね者になってしまうので、この国にはもう住めなくなるんです。
ジョンさんを転移させれるかは、やってみないとわかりません。
サマーさん達の安全確保をするために、ジョンさん救出の前に、サマーさんとトミーをレオの邸に転移させます。
その後、ジョンさんを救出にむかいます。」
「どうして、そこまでしてくれるの?」
「私はレオに助けてもらって、今、こうして自由にしていれています。
もし、レオならサマーさん達を絶対に助けると思うから、私も助けます。
ダニエルはどう?
ジョンさんの方は帰れなくなる危険も伴うから、先にサマーさん達を転移させて、レオを待つって言う選択肢もあるわ。」
「僕は大丈夫だよ。
うまくいかなくても、後からレオナルド様来るだろ?」
「多分」
「じゃサマーさん、持って行きたい荷物をまとめて。
まず、それを転移させようか。
箱で二つにして。
僕とキイナで一つずつ持つから。」
「ふふ、引っ越しみたいね。」
「うん、もうここに住めないって、そう言うことだからね。
本当は必要な物を全部運んでやりたいけど、ジョンさんも心配だから、何回も転移を繰り返す時間がない。
それと、サマーさん、一つ伝えないといけないことがあるんですが、転移すると、魔力酔いって言って、一日ぐらいは具合が悪くなるから、そこは我慢してほしい。」
「わかりました。
よろしくお願いします。」
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