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4.その先には

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「ようこそ、我がローレンス邸へ。」

 男の人は立ち上がり、キャロライナを立ち上がらせようと手を伸ばした。

「ありがとうございます。」

 手を取り、立ち上がる。

 キャロライナは何が何だかわからないけど、少なくとも、牢から出られたのは、現実のようだった。

 それにしても、美しい邸の庭先。
 白い立派な邸には、その周りに広大な庭が広がり、邸の周りには綺麗な花々が咲き誇っている。

 この男の人からは想像できないが、本人が言うのだから、ここが彼の家なんだろう。

 早速男の人は、自己紹介を始めた。

「俺はレオナルド・ローレンス。
 よろしくな。
 レオでいい。」

「私はキャロライナ・グウェンよ。
 キャロって呼んで。」

「わかった、キャロ。
 色々話すことはあるけど、とりあえず、風呂とご飯だね。」

「はい、同意見です。」

 すると、邸の方から、壮年の男性が走って来る。

「よくぞ、ご無事で、レオナルド様。」

「ああ、なんとかな。
 トラバス、すぐに風呂とご飯の準備頼む。」

「かしこまりました。
 そちらの女性は?」

「彼女はキャロライナ。
 細かい説明は後だ。
 彼女の部屋は客室で。」

「はい、ではキャロライナ様こちらへ。」

 トラバスによって、キャロライナが案内されたのは、色みの落ち着いた客室で、そこで待っていた侍女を紹介された。

「こちらはエイダです。
 この者に、何なりとお申し付けください。」

「よろしくお願いします。
 私はキャロライナよ。」

「キャロライナ様、よろしくお願いします。
 入浴はすぐできます。
 こちらへ。」

 案内された浴室にはたっぷりとお湯の入った風呂が用意されていて、薔薇のいい香りが広がっている。

牢の床に直に寝ていた私は、思わず泣きたくなるぐらい嬉しい。

「お風呂に入るお手伝いはいかがしますか?」

「自分で大丈夫です。」

 侯爵家と言っても、名ばかりで底辺の方の暮らしだったので、自分で身体を洗うのは、当たり前だった。
 ここには、いい香りの石鹸まである。

 あんなぼろぼろの服を着ていたけど、私より、よっぽどいい暮らしのあの人はいったい何者なんだろう?

 まぁ、いいわ。
 とりあえず、お湯に浸かれる幸せを満喫するわ。

 浴室を出ると、エイダが待ち構えていて、あっという間に、髪を整え、素敵なドレスを着せてくれた。

「キャロライナ様は、ルビーのような美しい瞳ですからね、シックなドレスがとてもお似合いです。」

 エイダが着せてくれたドレスは、黒をベースに白のレースをたっぷりあしらった、ほっそりとしたシルエットのドレスだった。

「こう言うドレスは初めてだわ。
 ありがとう。
 これはどなたかの物なの?」

「まさか、レオナルド様が新しい物を懇意にしているお店の者を呼んで、選んだのですわ。」

「えっ、私がお湯に浸かっている間に?」

「はい。
 ドレスもおつけになってる宝石も靴もです。
 自ずからお選びになっています。」

 あの人はいったい何者なの?


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