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6.これまでのこと
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「さぁ、少しずつ食べようね。」
ベッドに横になるセシーリアの上体を支えながら起こし、ユリウスは自ら甲斐甲斐しく、セシーリアに食事を食べさせる。
「ありがとう、ユリウス。
でも、忙しいだろうから、一人で食べるわ。」
「無理しないで。
僕は好きでやっているんだから。」
そう言って、世話を続ける。
申し訳ないとは思うけれど、まだ、全然力は入らないので、支えてもらいながら食べる。
「もう食べれないわ。
残してごめんなさい。」
「いいんだよ。
だんだん食べれるようになるさ。」
そう言って、セシーリアをまたベッドに寝かせてくれる。
「聞きたいことが色々あるの。
教えてくれる?」
「ああ、いいよ。
何から聞きたい?」
「まずは、何故、私はここにいるのか、からね。」
「マイルズ国に西国が攻め入ったことを知った僕はフィルミノ国と合同演習しているマイルズの各兵達とうちの兵と共に、マイルズ国にいた西国を討ち取ったんだ。
でも、残念ながら、マイルズ国に着いた時には、王と王妃はすでに亡くなっていたよ。
周囲の者から、マイルズ王はバーンハルトと君を逃したと聞いて、二人を探し出すことにしたんだ。
マイルズ国からフェルミノ国へ続く森にいることは見当がついたけれど、二人共足取りは途絶えたまま、なかなか見つけることができなかった。
ここにいなければ、生き残ることは不可能だと思われるところを重点的に探して、やっと君を見つけ出したんだ。
間に合ったのは本当に奇跡だよ。」
「ありがとう。
まさかメインデルト国に連れて来られるとは思わなかったわ。」
「ああ、君はギリギリだったから、僕が信頼している医師団でないと安心できなくて、連れて来てしまった。」
「バーンハルトはどうなったかしら?」
「彼のことはわからない。
見つかったと言う情報は入って来ていないよ。」
「じゃあ、マイルズ国は?」
「君の兄のイーサンがとりあえず治めている。
僕は反対に西国も統治することになった。
だから、元々あった四つの国は二つになったんだよ。」
「だったら、ユリウスはより忙しくなったのでしょう?」
「まぁ、そうだけど、家臣達もいるし、そもそも西国の脅威がなくなったから、フェルミノ国は元々親交国だし、国内の反発勢力を監視していれば良いだけから、むしろ精神的にはラクだよ。」
「まぁ、それなら良かったわ。」
「だから、君は気にせず、ゆっくりしていればいいよ。」
「ありがとう。
とりあえず、体調が良くなるまでお世話になるわ。」
セシーリアは、久しぶりの安心感に包まれた幸せに感謝して、再び眠るのだった。
ベッドに横になるセシーリアの上体を支えながら起こし、ユリウスは自ら甲斐甲斐しく、セシーリアに食事を食べさせる。
「ありがとう、ユリウス。
でも、忙しいだろうから、一人で食べるわ。」
「無理しないで。
僕は好きでやっているんだから。」
そう言って、世話を続ける。
申し訳ないとは思うけれど、まだ、全然力は入らないので、支えてもらいながら食べる。
「もう食べれないわ。
残してごめんなさい。」
「いいんだよ。
だんだん食べれるようになるさ。」
そう言って、セシーリアをまたベッドに寝かせてくれる。
「聞きたいことが色々あるの。
教えてくれる?」
「ああ、いいよ。
何から聞きたい?」
「まずは、何故、私はここにいるのか、からね。」
「マイルズ国に西国が攻め入ったことを知った僕はフィルミノ国と合同演習しているマイルズの各兵達とうちの兵と共に、マイルズ国にいた西国を討ち取ったんだ。
でも、残念ながら、マイルズ国に着いた時には、王と王妃はすでに亡くなっていたよ。
周囲の者から、マイルズ王はバーンハルトと君を逃したと聞いて、二人を探し出すことにしたんだ。
マイルズ国からフェルミノ国へ続く森にいることは見当がついたけれど、二人共足取りは途絶えたまま、なかなか見つけることができなかった。
ここにいなければ、生き残ることは不可能だと思われるところを重点的に探して、やっと君を見つけ出したんだ。
間に合ったのは本当に奇跡だよ。」
「ありがとう。
まさかメインデルト国に連れて来られるとは思わなかったわ。」
「ああ、君はギリギリだったから、僕が信頼している医師団でないと安心できなくて、連れて来てしまった。」
「バーンハルトはどうなったかしら?」
「彼のことはわからない。
見つかったと言う情報は入って来ていないよ。」
「じゃあ、マイルズ国は?」
「君の兄のイーサンがとりあえず治めている。
僕は反対に西国も統治することになった。
だから、元々あった四つの国は二つになったんだよ。」
「だったら、ユリウスはより忙しくなったのでしょう?」
「まぁ、そうだけど、家臣達もいるし、そもそも西国の脅威がなくなったから、フェルミノ国は元々親交国だし、国内の反発勢力を監視していれば良いだけから、むしろ精神的にはラクだよ。」
「まぁ、それなら良かったわ。」
「だから、君は気にせず、ゆっくりしていればいいよ。」
「ありがとう。
とりあえず、体調が良くなるまでお世話になるわ。」
セシーリアは、久しぶりの安心感に包まれた幸せに感謝して、再び眠るのだった。
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