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10.すれ違う二人
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その頃、王子と王女が結婚した話はオーレリアにも届いていた。
その直後の妊娠の話も。
結婚して、子供まで授かった以上、いくら間接的とは言え、このまま二人が接点を持つのはよくないと思い、食堂を辞め、違う街に引っ越すことにした。
オーレリアが事情を話せる範囲でサリーに話すと、サリーは納得してくれて、ある男性を紹介してくれた。
「初めまして、モリスよ。
あなたが、リアね。
私は王都に両親がいるんだけど、私のことを理解してもらえず、自由に恋愛ができないことが不満で、街を出て行こうと思っていたの。
女性は対象外だから、安心して。」
「ええ、はい。」
「サリーはあなたが男に狙われ易いのを心配して、ほら、私って見た目男だから、男避けに結婚相手ってことにすれば、いいって考えているの。
だから、一緒に行かない?
あなたはどう思う?」
「男の人に構われないのは、嬉しいです。
今は想いを伝えられても、気持ちに答える気が起きなくて。
男性達がスルーしてくれると助かります。」
「じゃ決まりね。
私は逆に女を紹介されるのが、鬱陶しいの。
私は男が好きだから。
私達いいパートナーになれそうね。」
「はい、よろしくお願いします。」
二人はサリーに別れを告げ、食堂を後にした。
その翌日、怪しい二人組は食堂を訪れる。
「食事を作っていた女性と話をさせてほしい。」
「あら、一足遅かったわね。
リアは付き合っている彼と結婚して、この街をたったわ。」
「何だって?」
話していない方の黒髪の男は、がっくりと項垂れて、もう一人の男性に連れられて、帰って行った。
ライナートは王宮に戻っても、今度こそ、何もやる気が出ず、ボーっとしている。
執務はローレンスに引き継いだし、幸いにも王国は比較的平和で、王にならない王子に求められていることは少ない。
ライナートは今更思う。
どうして、僕はもっと早くに動かなかったのかと。
結婚と妊娠を聞いたら、オーレリアは僕を近づけない。
僕達はいつだって、相手の立場を思いやって来た。
だから、僕達は一緒になれない。
今は僕もリアが不貞をして、僕と会うことは、リアの人間性をおとしめる行為だから、そんなことリアに求めない。
やっと僕は自由になったのにね。
僕の心は立ち止まったまま生きていく。
リアが結婚したとして、僕の気持ちがさめることはないだろう。
むしろ、いつかリアを諦められるなら、僕は安らかに生きることができるだろう。
その直後の妊娠の話も。
結婚して、子供まで授かった以上、いくら間接的とは言え、このまま二人が接点を持つのはよくないと思い、食堂を辞め、違う街に引っ越すことにした。
オーレリアが事情を話せる範囲でサリーに話すと、サリーは納得してくれて、ある男性を紹介してくれた。
「初めまして、モリスよ。
あなたが、リアね。
私は王都に両親がいるんだけど、私のことを理解してもらえず、自由に恋愛ができないことが不満で、街を出て行こうと思っていたの。
女性は対象外だから、安心して。」
「ええ、はい。」
「サリーはあなたが男に狙われ易いのを心配して、ほら、私って見た目男だから、男避けに結婚相手ってことにすれば、いいって考えているの。
だから、一緒に行かない?
あなたはどう思う?」
「男の人に構われないのは、嬉しいです。
今は想いを伝えられても、気持ちに答える気が起きなくて。
男性達がスルーしてくれると助かります。」
「じゃ決まりね。
私は逆に女を紹介されるのが、鬱陶しいの。
私は男が好きだから。
私達いいパートナーになれそうね。」
「はい、よろしくお願いします。」
二人はサリーに別れを告げ、食堂を後にした。
その翌日、怪しい二人組は食堂を訪れる。
「食事を作っていた女性と話をさせてほしい。」
「あら、一足遅かったわね。
リアは付き合っている彼と結婚して、この街をたったわ。」
「何だって?」
話していない方の黒髪の男は、がっくりと項垂れて、もう一人の男性に連れられて、帰って行った。
ライナートは王宮に戻っても、今度こそ、何もやる気が出ず、ボーっとしている。
執務はローレンスに引き継いだし、幸いにも王国は比較的平和で、王にならない王子に求められていることは少ない。
ライナートは今更思う。
どうして、僕はもっと早くに動かなかったのかと。
結婚と妊娠を聞いたら、オーレリアは僕を近づけない。
僕達はいつだって、相手の立場を思いやって来た。
だから、僕達は一緒になれない。
今は僕もリアが不貞をして、僕と会うことは、リアの人間性をおとしめる行為だから、そんなことリアに求めない。
やっと僕は自由になったのにね。
僕の心は立ち止まったまま生きていく。
リアが結婚したとして、僕の気持ちがさめることはないだろう。
むしろ、いつかリアを諦められるなら、僕は安らかに生きることができるだろう。
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