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10.周りの評判
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「エミリア様、新しいドレスがどんどん仕上がって来ています。
最近ではオースティン様と仲が良ろしくて、皆もとっても喜んでますよ。」
クローネは嬉しそうだ。
今は私と侍女達で、邸の各部屋のクッションなどを縫っている。
「ええ、オースティン様の変化には本当に驚いたわ。」
「はい、でもこれで、この前のサネルマ様のようなオースティン様に近づこうとする方もいなくなるでしょうね。」
「そうね。
確かに効果は抜群ね。」
オースティン様の思惑通り、その後、恐ろしい勢いで、二人が仲が良いと言う噂が、領地中に駆け巡っている。
それに、今までと違って、一緒にドレスを作ったり、夜会に参加した時のオースティン様は終始私を離さず、その宣言通りに動いている。
あの時、オースティン様は最初から、こうしたかったと話していた。
それは最初の婚約の頃から、こうしたかったと言う意味で、私は始めの婚約中を通しても、オースティン様の本音を初めて知った気がしていた。
もし、最初の婚約で、今のオースティン様のようだったら、私はオースティン様が、他には好きな人はいないと言っていたことを信じただろう。
だとしたら、オースティン様は本当に最初から私のことを大切に思ってくれていたことになる。
私は噂を鵜呑みにして、すごい間違いをしてしまったのだろうか?
以前、婚約していた時、オースティン様が舞踏会で私と離れると、テレーザさんと話したり、ダンスを踊っていたことは、本当だ。
でも、それ以外の時は、愛し合う二人の噂は常にあったものの、オースティン様は私をむげにせずに、夜会でもエスコートしてくれていた。
それを私は勝手に、私と契約結婚するために、二人でいる時は、私のことを好きなどと言って、オースティン様は取り繕っていると思っていた。
これまでを振り返ると、私は今更、青ざめる思いだった。
一回目の婚約の時、私はオースティン様にこれ以上、問い詰めたり、口論したりが嫌で、一方的に婚約破棄したことは確かなのだから。
そして、オースティン様の言う通り一切の話し合いを拒んだ。
間違いに気づいた私は、今のオースティン様のやり方を、受け入れることにした。
こうしていれば、オースティン様は満足なのだろうし、私だってやっと本当に愛される実感が湧いて来て、オースティン様を信じれるようになって来た。
クッションを縫う手は、オースティン様とのことを考えると、止まりがちだった。
「私、以前はオースティン様の言葉を信じられず、彼を拒否してしまったの。
だから、彼は今、私に気持ちが伝わるように、行動で教えてくれようとしているんだわ。」
「そうでしたか。
こちらに来てからしばらくは、私共もオースティン様のエミリア様に対するお気持ちはわかりませんでした。
だから、エミリア様もそう思われて、当然です。
私なんて、最初エミリア様を蔑ろにするオースティン様を睨んでしまいましたし。」
「ふふ、そんなこともあったわね。
クローネにそう言われると、オースティン様の思いを勘違いしてしまうのは、私だけじゃないって安心できるわ。
今ちょうど、起きてしまったことの大半は、私のせいかなぁと思っていたところだったから。」
「エミリア様は、間違っていませんよ。
私がエミリア様の立場でも同じように思います。」
「ありがとう。
私こちらに来て、クローネと出会えて、とても良かったって思っているのよ。」
「こちらこそ、ありがとうございます。
オースティン様は以前の王と違って、ここを住みやすいいい街にしてくれましたし、エミリア様は貴族様とは思えないほど、私どもに良くしてくれますし、今、最大の問題だったお二人の仲も解決されて、お二人の結婚式を待つばかりなのが、嬉しくて仕方ありません。」
「ありがとう。
私も今は結婚式が楽しみなの。」
最近ではオースティン様と仲が良ろしくて、皆もとっても喜んでますよ。」
クローネは嬉しそうだ。
今は私と侍女達で、邸の各部屋のクッションなどを縫っている。
「ええ、オースティン様の変化には本当に驚いたわ。」
「はい、でもこれで、この前のサネルマ様のようなオースティン様に近づこうとする方もいなくなるでしょうね。」
「そうね。
確かに効果は抜群ね。」
オースティン様の思惑通り、その後、恐ろしい勢いで、二人が仲が良いと言う噂が、領地中に駆け巡っている。
それに、今までと違って、一緒にドレスを作ったり、夜会に参加した時のオースティン様は終始私を離さず、その宣言通りに動いている。
あの時、オースティン様は最初から、こうしたかったと話していた。
それは最初の婚約の頃から、こうしたかったと言う意味で、私は始めの婚約中を通しても、オースティン様の本音を初めて知った気がしていた。
もし、最初の婚約で、今のオースティン様のようだったら、私はオースティン様が、他には好きな人はいないと言っていたことを信じただろう。
だとしたら、オースティン様は本当に最初から私のことを大切に思ってくれていたことになる。
私は噂を鵜呑みにして、すごい間違いをしてしまったのだろうか?
以前、婚約していた時、オースティン様が舞踏会で私と離れると、テレーザさんと話したり、ダンスを踊っていたことは、本当だ。
でも、それ以外の時は、愛し合う二人の噂は常にあったものの、オースティン様は私をむげにせずに、夜会でもエスコートしてくれていた。
それを私は勝手に、私と契約結婚するために、二人でいる時は、私のことを好きなどと言って、オースティン様は取り繕っていると思っていた。
これまでを振り返ると、私は今更、青ざめる思いだった。
一回目の婚約の時、私はオースティン様にこれ以上、問い詰めたり、口論したりが嫌で、一方的に婚約破棄したことは確かなのだから。
そして、オースティン様の言う通り一切の話し合いを拒んだ。
間違いに気づいた私は、今のオースティン様のやり方を、受け入れることにした。
こうしていれば、オースティン様は満足なのだろうし、私だってやっと本当に愛される実感が湧いて来て、オースティン様を信じれるようになって来た。
クッションを縫う手は、オースティン様とのことを考えると、止まりがちだった。
「私、以前はオースティン様の言葉を信じられず、彼を拒否してしまったの。
だから、彼は今、私に気持ちが伝わるように、行動で教えてくれようとしているんだわ。」
「そうでしたか。
こちらに来てからしばらくは、私共もオースティン様のエミリア様に対するお気持ちはわかりませんでした。
だから、エミリア様もそう思われて、当然です。
私なんて、最初エミリア様を蔑ろにするオースティン様を睨んでしまいましたし。」
「ふふ、そんなこともあったわね。
クローネにそう言われると、オースティン様の思いを勘違いしてしまうのは、私だけじゃないって安心できるわ。
今ちょうど、起きてしまったことの大半は、私のせいかなぁと思っていたところだったから。」
「エミリア様は、間違っていませんよ。
私がエミリア様の立場でも同じように思います。」
「ありがとう。
私こちらに来て、クローネと出会えて、とても良かったって思っているのよ。」
「こちらこそ、ありがとうございます。
オースティン様は以前の王と違って、ここを住みやすいいい街にしてくれましたし、エミリア様は貴族様とは思えないほど、私どもに良くしてくれますし、今、最大の問題だったお二人の仲も解決されて、お二人の結婚式を待つばかりなのが、嬉しくて仕方ありません。」
「ありがとう。
私も今は結婚式が楽しみなの。」
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