2 / 12
2.彼の帰還
しおりを挟む
オースティン様が騎士となり砦に旅立つと、私の社交会での評判はさらに悪化した。
愛する二人を引き裂いて、自分が結婚できないならと、オースティン様を騎士として、激戦地へ送った超悪役令嬢とのことだ。
さらに、テレーザ様は悲恋に破れ、その反動で、20歳も年上の男性と結婚して、湯水にように、好きなだけお金を使う悪女になったらしい。
どうやら、それも私のせいになっていた。
私は二人の幸せのために、身を引いただけなのに、何故こうなるのかわからない。
けれども、私に関わると不幸になる噂の力は凄かった。
それこそ、侯爵家の権力を使って、婚約しようとしてみても、相手は仕返しが怖くて心を病んだとか、婚約者にと指名されそうになると王都から逃亡したりして、私から男性達はことごとく逃げて行った。
そして、ついに私は結婚を諦めた。
私と結婚してくれる人は王都中もうどこにもおらず、無理して結婚しようとすると、相手を不幸にすると認めざるを得なかった。
そんなある日、オースティン様が激戦地の砦から凱旋して来たとの噂が立ち、王都はまた、騒がしくなった。
生きて帰れたのは、彼を好きだった者として、心から嬉しいと思うが、この先彼と関わるつもりはまるで無かった。
私の方が二人に振り回されて、新たな婚約者も見つけられず、もうこりごりだったから。
だか、何故か侯爵家に王からの書状が届き、私は王宮に駆り出される。
煌びやかな王宮の王の間で待つと、王がオースティン様を従えて、やって来る。
そして、王は私を見つけると上機嫌で、
「エミリア嬢、待たせたな。
オースティンは、このたび、砦近くの面倒な隣国を制圧し、我が領土にすることで、国土を広げてくれた。
大変喜ばしいことだ。
それで、その領地を引き続き、オースティンに守ってもらう代わりに、余はその地をオースティンに授けることにした。
今日から、オースティンはその土地の領主となる。
なので、余は、オースティンの爵位を公爵にしてやったぞ。
そして、褒章として、オースティンが、そなたを妻にと望んでくれた。
エミリア嬢は王都では、評判がすこぶる悪い。
彼方の地で、結婚して、オースティンと共に暮らすのは、いい案じゃろ。
早速、オースティンと行くが良い。」
驚いて、オースティン様を見ると、久しぶりに彼と目が合った。
碧眼は強い眼差しで、私を捉え、違を認めないと感じた。
数年ぶりに会った彼は、美しく、逞しい騎士のいで立ちで、私は彼の存在感に圧倒された。
だとしても、何てことを言ってくれるの?
オースティン様。
私達はうまくいかないってもう実証済みなのに、また、繰り返すと言うの?
もしかして、今度こそ彼から、婚約破棄をするための大掛かりな何かなの?
だって、今の彼なら、公爵と言う地位も、領地もあって、元々美しい顔立ちなのだから、好みの令嬢をいくらでも選べるはず。
なのに、どうして再びの私?
でも、今私達二人は爵位が逆転した上、王の命まである。
オースティン様は王命にしてしまえば、下位の私が拒否できないと、わかっているからこそ、この場に私を呼び出したのね。
「謹んでお受けいたします。」
これ以外の返答は私には、用意されていなかった。
愛する二人を引き裂いて、自分が結婚できないならと、オースティン様を騎士として、激戦地へ送った超悪役令嬢とのことだ。
さらに、テレーザ様は悲恋に破れ、その反動で、20歳も年上の男性と結婚して、湯水にように、好きなだけお金を使う悪女になったらしい。
どうやら、それも私のせいになっていた。
私は二人の幸せのために、身を引いただけなのに、何故こうなるのかわからない。
けれども、私に関わると不幸になる噂の力は凄かった。
それこそ、侯爵家の権力を使って、婚約しようとしてみても、相手は仕返しが怖くて心を病んだとか、婚約者にと指名されそうになると王都から逃亡したりして、私から男性達はことごとく逃げて行った。
そして、ついに私は結婚を諦めた。
私と結婚してくれる人は王都中もうどこにもおらず、無理して結婚しようとすると、相手を不幸にすると認めざるを得なかった。
そんなある日、オースティン様が激戦地の砦から凱旋して来たとの噂が立ち、王都はまた、騒がしくなった。
生きて帰れたのは、彼を好きだった者として、心から嬉しいと思うが、この先彼と関わるつもりはまるで無かった。
私の方が二人に振り回されて、新たな婚約者も見つけられず、もうこりごりだったから。
だか、何故か侯爵家に王からの書状が届き、私は王宮に駆り出される。
煌びやかな王宮の王の間で待つと、王がオースティン様を従えて、やって来る。
そして、王は私を見つけると上機嫌で、
「エミリア嬢、待たせたな。
オースティンは、このたび、砦近くの面倒な隣国を制圧し、我が領土にすることで、国土を広げてくれた。
大変喜ばしいことだ。
それで、その領地を引き続き、オースティンに守ってもらう代わりに、余はその地をオースティンに授けることにした。
今日から、オースティンはその土地の領主となる。
なので、余は、オースティンの爵位を公爵にしてやったぞ。
そして、褒章として、オースティンが、そなたを妻にと望んでくれた。
エミリア嬢は王都では、評判がすこぶる悪い。
彼方の地で、結婚して、オースティンと共に暮らすのは、いい案じゃろ。
早速、オースティンと行くが良い。」
驚いて、オースティン様を見ると、久しぶりに彼と目が合った。
碧眼は強い眼差しで、私を捉え、違を認めないと感じた。
数年ぶりに会った彼は、美しく、逞しい騎士のいで立ちで、私は彼の存在感に圧倒された。
だとしても、何てことを言ってくれるの?
オースティン様。
私達はうまくいかないってもう実証済みなのに、また、繰り返すと言うの?
もしかして、今度こそ彼から、婚約破棄をするための大掛かりな何かなの?
だって、今の彼なら、公爵と言う地位も、領地もあって、元々美しい顔立ちなのだから、好みの令嬢をいくらでも選べるはず。
なのに、どうして再びの私?
でも、今私達二人は爵位が逆転した上、王の命まである。
オースティン様は王命にしてしまえば、下位の私が拒否できないと、わかっているからこそ、この場に私を呼び出したのね。
「謹んでお受けいたします。」
これ以外の返答は私には、用意されていなかった。
1,060
お気に入りに追加
1,230
あなたにおすすめの小説

手放したくない理由
ねむたん
恋愛
公爵令嬢エリスと王太子アドリアンの婚約は、互いに「務め」として受け入れたものだった。貴族として、国のために結ばれる。
しかし、王太子が何かと幼馴染のレイナを優先し、社交界でも「王太子妃にふさわしいのは彼女では?」と囁かれる中、エリスは淡々と「それならば、私は不要では?」と考える。そして、自ら婚約解消を申し出る。
話し合いの場で、王妃が「辛い思いをさせてしまってごめんなさいね」と声をかけるが、エリスは本当にまったく辛くなかったため、きょとんとする。その様子を見た周囲は困惑し、
「……王太子への愛は芽生えていなかったのですか?」
と問うが、エリスは「愛?」と首を傾げる。
同時に、婚約解消に動揺したアドリアンにも、側近たちが「殿下はレイナ嬢に恋をしていたのでは?」と問いかける。しかし、彼もまた「恋……?」と首を傾げる。
大人たちは、その光景を見て、教育の偏りを大いに後悔することになる。

そんなにその方が気になるなら、どうぞずっと一緒にいて下さい。私は二度とあなたとは関わりませんので……。
しげむろ ゆうき
恋愛
男爵令嬢と仲良くする婚約者に、何度注意しても聞いてくれない
そして、ある日、婚約者のある言葉を聞き、私はつい言ってしまうのだった
全五話
※ホラー無し

あなたへの恋心を消し去りました
鍋
恋愛
私には両親に決められた素敵な婚約者がいる。
私は彼のことが大好き。少し顔を見るだけで幸せな気持ちになる。
だけど、彼には私の気持ちが重いみたい。
今、彼には憧れの人がいる。その人は大人びた雰囲気をもつ二つ上の先輩。
彼は心は自由でいたい言っていた。
その女性と話す時、私には見せない楽しそうな笑顔を向ける貴方を見て、胸が張り裂けそうになる。
友人たちは言う。お互いに干渉しない割り切った夫婦のほうが気が楽だって……。
だから私は彼が自由になれるように、魔女にこの激しい気持ちを封印してもらったの。
※このお話はハッピーエンドではありません。
※短いお話でサクサクと進めたいと思います。

【完結】どうかその想いが実りますように
おもち。
恋愛
婚約者が私ではない別の女性を愛しているのは知っている。お互い恋愛感情はないけど信頼関係は築けていると思っていたのは私の独りよがりだったみたい。
学園では『愛し合う恋人の仲を引き裂くお飾りの婚約者』と陰で言われているのは分かってる。
いつまでも貴方を私に縛り付けていては可哀想だわ、だから私から貴方を解放します。
貴方のその想いが実りますように……
もう私には願う事しかできないから。
※ざまぁは薄味となっております。(当社比)もしかしたらざまぁですらないかもしれません。汗
お読みいただく際ご注意くださいませ。
※完結保証。全10話+番外編1話です。
※番外編2話追加しました。
※こちらの作品は「小説家になろう」、「カクヨム」にも掲載しています。

その眼差しは凍てつく刃*冷たい婚約者にウンザリしてます*
音爽(ネソウ)
恋愛
義妹に優しく、婚約者の令嬢には極寒対応。
塩対応より下があるなんて……。
この婚約は間違っている?
*2021年7月完結

姉が私の婚約者と仲良くしていて、婚約者の方にまでお邪魔虫のようにされていましたが、全員が勘違いしていたようです
珠宮さくら
恋愛
オーガスタ・プレストンは、婚約者している子息が自分の姉とばかり仲良くしているのにイライラしていた。
だが、それはお互い様となっていて、婚約者も、姉も、それぞれがイライラしていたり、邪魔だと思っていた。
そこにとんでもない勘違いが起こっているとは思いもしなかった。

【完結】私の大好きな人は、親友と結婚しました
紅位碧子 kurenaiaoko
恋愛
伯爵令嬢マリアンヌには物心ついた時からずっと大好きな人がいる。
その名は、伯爵令息のロベルト・バミール。
学園卒業を控え、成績優秀で隣国への留学を許可されたマリアンヌは、その報告のために
ロベルトの元をこっそり訪れると・・・。
そこでは、同じく幼馴染で、親友のオリビアとベットで抱き合う二人がいた。
傷ついたマリアンヌは、何も告げぬまま隣国へ留学するがーーー。
2年後、ロベルトが突然隣国を訪れてきて??
1話完結です
【作者よりみなさまへ】
*誤字脱字多数あるかと思います。
*初心者につき表現稚拙ですので温かく見守ってくださいませ
*ゆるふわ設定です

完結 この手からこぼれ落ちるもの
ポチ
恋愛
やっと、本当のことが言えるよ。。。
長かった。。
君は、この家の第一夫人として
最高の女性だよ
全て君に任せるよ
僕は、ベリンダの事で忙しいからね?
全て君の思う通りやってくれれば良いからね?頼んだよ
僕が君に触れる事は無いけれど
この家の跡継ぎは、心配要らないよ?
君の父上の姪であるベリンダが
産んでくれるから
心配しないでね
そう、優しく微笑んだオリバー様
今まで優しかったのは?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる