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9.ヤンセン卿
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「急に尋ねて悪いな。」
「ヤンセンが邸に来るなんて、珍しい。
何があった?」
スペンサーの邸に、慌てたヤンセンがやって来た。
応接室で、向かい合ってソファに座る。
「テオドラがやらかした。」
「妹だよな?」
僕はヤンセンにワインを注ぎながら尋ねる。
「ああ、庭師の男との不貞をモーガン卿に見られたんだ。
何をやっているんだ、テオドラは。」
ヤンセンは頭をぐちゃぐちゃに掻いている。
「ああ、それは修羅場だね。」
「急遽、ウチの両親とウトマン侯爵夫妻と当事者も含めて話し合いしたそうだ。」
「そうなるよな。」
「それでさぁ、テオドラに不貞をやめさせて、一応かたはついたんだけれど、もう一つ問題があってね、モーガン卿がウトマン侯爵に話した時、マリアンナ夫人もその場にいたんだって。
モーガン卿は興奮していて、マリアンナ夫人がいたことを気づかなかったんだそうだ。
それで今は噂が広がるのではないかと、そっちの方が気になっているらしい。
モーガン卿からしたら、メンツ丸潰れだからな。
でも、不思議とウトマン侯爵夫婦だけは大丈夫だと言うらしいんだ。
口止め料も払っていないのに。」
「それなら、大丈夫だ。
マリアンナが人に話すことはないよ。」
「スペンサーは前からマリアンナ夫人を信じているけれど、どうしてなんだ?
君を一度裏切った女だぞ。」
「わからないかい?
マリアンナは悪女と言われているけれど、彼女と関わった僕やボレック公爵の話が漏れているかい?
ドブソン子爵についてだけは、僕のことが好きだったユーリエ侯爵夫人のために話したけれど、それ以外では何も聞かないはずだ。」
「確かにそう言われれば、ないな。
悪女ならスペンサーやボレック公爵を利用するために噂を流すこともやりそうだけれども。」
「だから、安心していい。
マリアンナのことは信じれないだろうけれど、僕の言うことは信じるだろう?
だから、モーガン卿に大丈夫だと言ってやってくれ。」
「わかった。
信じるよ。」
ヤンセンは勢いよく来たものの、最後は大人しく戻って行った。
リアの周りには秘密が溢れている。
けれども、リアは決して漏らさない。
だからこそ、悪女の仕事やらをやっているんだから。
ウトマン侯爵の邸にいたとなると、ウトマン侯爵夫妻もまたリアの顧客と言うことになる。
リアがウトマン侯爵の邸で何をしているのかが知りたい。
リアが教えてくれないならば、ウトマン侯爵夫妻に聞ければいいのだが。
「マリアンナ、私最近どんどん元気になったの。
ボレック様とダンスが踊れそうだから、ついに彼のプロポーズを受けるわ。」
邸では、お母様が満面の笑みで、ボレック公爵と微笑み合っている。
「おめでとう、お母様。
ボレック公爵様。」
「ありがとう。」
お母様は病いを克服し、愛するボレック公爵とついに幸せを掴んだ。
私にとってこれほど嬉しいことはない。
「それでね、マリアンナ、早速だけど、この後すぐにボレック様の邸に移るわ。
彼が一秒も待てないって言うから。」
「申し訳ないないね、マリアンナ夫人」
「ふふ、いいわよ。
ボレック公爵様のお気持ちはわかっているから。」
「ありがとう。
荷物は後から邸の者が引き取りに伺うよ。」
「ええ、構わないわ。
お母様、幸せになってね。」
「落ち着いたら、ボレック様の邸に遊びに来て。
マリアンナをいつでも歓迎するわ。」
「そうだよ。
僕の邸で一緒に暮らさないか?
僕の娘として。」
「ありがとうございます。
よく考えてみます。
この男爵家の邸をどうするかも。」
「あなたに任せるわ。
本当ならカウレンが逃げた時に、取り壊していてもおかしくなかったのですから。」
「わかったわ。
考えてみる。
今までありがとう、お母様。」
お母様と抱きしめ合った後、晴れ晴れとした気分で自分の居室に戻った。
居室で一人頑張って来た自分を褒めてあげる。
お父様にお母様の治療をやめると脅されたあの日から、嫌なドブソン子爵との結婚生活を経て、悪女と呼ばれる現在まで、私はただ前を見て、自分の決断に悔むことなく、生きて来た。
そんな自分を誇らしく思う。
けれども今、お母様はボレック公爵と幸せを手に入れて、私には何が残ったのだろう。
一人で生きるピアノの仕事があるのはありがたい。
それでも、私は急にぽっかりと心に穴が空いたように孤独を感じる。
お母様がボレック公爵と結婚するとなると、私はもう何も頑張らなくてもいい。
ボレック公爵の邸に行って、お母様と共にお世話になることもできる。
けれどもそれは私の幸せなの?
私の幸せは。
その時心に浮かんだのは、スペンサーだった。
私がずっと好きで、どんな時も私を思ってくれていた人。
スペンサーに会いたい。
ボレック公爵とバーバラ夫人が結婚する知らせは瞬く間に貴族中を駆け巡った。
ボレック公爵と噂があったのは、マリアンナだったが、実はバーバラ夫人だったとは、誰しもが予想していなかった。
ボレック公爵は再婚とは言え、元男爵夫人と結婚することは到底有り得ない。
けれども、王の承認まで得ている以上、ほぼ確定事項だった。
その知らせを受けて、ヤンセンが慌ててダルレ邸にやって来た。
「スペンサー、また時間を取らせて悪かったな。」
「いや、気にするな。」
スペンサーの邸で再びヤンセンとワインを飲む。
「マリアンナ夫人の母のこと驚きだったな。」
「ああ、僕はてっきりマリアンナがボレック公爵と付き合っていると思っていた。」
「スペンサーだけでなくみんなそう思っていたよ。
夜会に二人で参加していたんだから。
二人は付き合っていたから、夜会に行っていたのではないとしたら、何のために出ていたんだろう?」
「多分、人脈作りだろうな。」
「その可能性は高い。
ウトマン侯爵邸にいたのだって、何かしていたからだろう?
ただの友人のはずがないからな。」
「そうだ。
でも、何をしていたかは、絶対に教えてくれないんだ。」
「そうなのか?
だから、テオドラの不貞の噂も広まらないんだな。
あれから、しばらく経ったけれど、テオドラの不貞の話は漏れていない。
スペンサーの言った通りだ。」
「ああ、そうだな。」
「ところで、マリアンナ夫人は今は、ボレック公爵の義娘だから、僕達より爵位は上になったよ。
結果的に。」
「ああ、そうだな。」
「だったら、スペンサーとマリアンナ夫人との結婚もありうるぞ。
スペンサー、まだ好きなんだろ?」
「ヤンセンがそんなことを言うのは、爵位が変わったからか?」
「それもあるけれど、違う。
マリアンナ夫人がテオドラのことをバラさなかったからだ。
正直僕がマリアンナ夫人のことをよく思ってないことは、彼女も知っていたと思う。
二人が付き合っていた頃から、嫌な顔をしていたからね。
もし、そんな時にテオドラの不貞を知ったら、僕にやり返すチャンスを得たと、吹聴して歩くことができたんだよ。
彼女には。」
「確かにそう考えることもできるな。」
「でも、彼女はしなかった。
僕が彼女だったら、やり返してた。
だから、彼女はスペンサーが言う通りの女性なのかもしれないと思ったんだ。
スペンサーは彼女なら、絶対に漏らさないってわかっていたんだから。
それだけ信頼できる相手なら、爵位の問題も無くなったんだし、もう一度彼女と話してみたら?」
「そうするよ。」
リアは、こうなることがわかっていても、現実になるまでは微塵も僕に教えようとしない。
まさに秘密を守る悪女そのものだ。
こうやってリアは僕の心を揺り動かす。
彼女に振り回されているのはわかっていても、僕は再び君に手を伸ばそうとする。
再び彼女から離れて、僕はもう彼女のすべてを受け入れる覚悟ができた。
秘密があっても、そばにいたい。
どんなに突き放されても、僕はリアしか欲しくないのだから。
「ヤンセンが邸に来るなんて、珍しい。
何があった?」
スペンサーの邸に、慌てたヤンセンがやって来た。
応接室で、向かい合ってソファに座る。
「テオドラがやらかした。」
「妹だよな?」
僕はヤンセンにワインを注ぎながら尋ねる。
「ああ、庭師の男との不貞をモーガン卿に見られたんだ。
何をやっているんだ、テオドラは。」
ヤンセンは頭をぐちゃぐちゃに掻いている。
「ああ、それは修羅場だね。」
「急遽、ウチの両親とウトマン侯爵夫妻と当事者も含めて話し合いしたそうだ。」
「そうなるよな。」
「それでさぁ、テオドラに不貞をやめさせて、一応かたはついたんだけれど、もう一つ問題があってね、モーガン卿がウトマン侯爵に話した時、マリアンナ夫人もその場にいたんだって。
モーガン卿は興奮していて、マリアンナ夫人がいたことを気づかなかったんだそうだ。
それで今は噂が広がるのではないかと、そっちの方が気になっているらしい。
モーガン卿からしたら、メンツ丸潰れだからな。
でも、不思議とウトマン侯爵夫婦だけは大丈夫だと言うらしいんだ。
口止め料も払っていないのに。」
「それなら、大丈夫だ。
マリアンナが人に話すことはないよ。」
「スペンサーは前からマリアンナ夫人を信じているけれど、どうしてなんだ?
君を一度裏切った女だぞ。」
「わからないかい?
マリアンナは悪女と言われているけれど、彼女と関わった僕やボレック公爵の話が漏れているかい?
ドブソン子爵についてだけは、僕のことが好きだったユーリエ侯爵夫人のために話したけれど、それ以外では何も聞かないはずだ。」
「確かにそう言われれば、ないな。
悪女ならスペンサーやボレック公爵を利用するために噂を流すこともやりそうだけれども。」
「だから、安心していい。
マリアンナのことは信じれないだろうけれど、僕の言うことは信じるだろう?
だから、モーガン卿に大丈夫だと言ってやってくれ。」
「わかった。
信じるよ。」
ヤンセンは勢いよく来たものの、最後は大人しく戻って行った。
リアの周りには秘密が溢れている。
けれども、リアは決して漏らさない。
だからこそ、悪女の仕事やらをやっているんだから。
ウトマン侯爵の邸にいたとなると、ウトマン侯爵夫妻もまたリアの顧客と言うことになる。
リアがウトマン侯爵の邸で何をしているのかが知りたい。
リアが教えてくれないならば、ウトマン侯爵夫妻に聞ければいいのだが。
「マリアンナ、私最近どんどん元気になったの。
ボレック様とダンスが踊れそうだから、ついに彼のプロポーズを受けるわ。」
邸では、お母様が満面の笑みで、ボレック公爵と微笑み合っている。
「おめでとう、お母様。
ボレック公爵様。」
「ありがとう。」
お母様は病いを克服し、愛するボレック公爵とついに幸せを掴んだ。
私にとってこれほど嬉しいことはない。
「それでね、マリアンナ、早速だけど、この後すぐにボレック様の邸に移るわ。
彼が一秒も待てないって言うから。」
「申し訳ないないね、マリアンナ夫人」
「ふふ、いいわよ。
ボレック公爵様のお気持ちはわかっているから。」
「ありがとう。
荷物は後から邸の者が引き取りに伺うよ。」
「ええ、構わないわ。
お母様、幸せになってね。」
「落ち着いたら、ボレック様の邸に遊びに来て。
マリアンナをいつでも歓迎するわ。」
「そうだよ。
僕の邸で一緒に暮らさないか?
僕の娘として。」
「ありがとうございます。
よく考えてみます。
この男爵家の邸をどうするかも。」
「あなたに任せるわ。
本当ならカウレンが逃げた時に、取り壊していてもおかしくなかったのですから。」
「わかったわ。
考えてみる。
今までありがとう、お母様。」
お母様と抱きしめ合った後、晴れ晴れとした気分で自分の居室に戻った。
居室で一人頑張って来た自分を褒めてあげる。
お父様にお母様の治療をやめると脅されたあの日から、嫌なドブソン子爵との結婚生活を経て、悪女と呼ばれる現在まで、私はただ前を見て、自分の決断に悔むことなく、生きて来た。
そんな自分を誇らしく思う。
けれども今、お母様はボレック公爵と幸せを手に入れて、私には何が残ったのだろう。
一人で生きるピアノの仕事があるのはありがたい。
それでも、私は急にぽっかりと心に穴が空いたように孤独を感じる。
お母様がボレック公爵と結婚するとなると、私はもう何も頑張らなくてもいい。
ボレック公爵の邸に行って、お母様と共にお世話になることもできる。
けれどもそれは私の幸せなの?
私の幸せは。
その時心に浮かんだのは、スペンサーだった。
私がずっと好きで、どんな時も私を思ってくれていた人。
スペンサーに会いたい。
ボレック公爵とバーバラ夫人が結婚する知らせは瞬く間に貴族中を駆け巡った。
ボレック公爵と噂があったのは、マリアンナだったが、実はバーバラ夫人だったとは、誰しもが予想していなかった。
ボレック公爵は再婚とは言え、元男爵夫人と結婚することは到底有り得ない。
けれども、王の承認まで得ている以上、ほぼ確定事項だった。
その知らせを受けて、ヤンセンが慌ててダルレ邸にやって来た。
「スペンサー、また時間を取らせて悪かったな。」
「いや、気にするな。」
スペンサーの邸で再びヤンセンとワインを飲む。
「マリアンナ夫人の母のこと驚きだったな。」
「ああ、僕はてっきりマリアンナがボレック公爵と付き合っていると思っていた。」
「スペンサーだけでなくみんなそう思っていたよ。
夜会に二人で参加していたんだから。
二人は付き合っていたから、夜会に行っていたのではないとしたら、何のために出ていたんだろう?」
「多分、人脈作りだろうな。」
「その可能性は高い。
ウトマン侯爵邸にいたのだって、何かしていたからだろう?
ただの友人のはずがないからな。」
「そうだ。
でも、何をしていたかは、絶対に教えてくれないんだ。」
「そうなのか?
だから、テオドラの不貞の噂も広まらないんだな。
あれから、しばらく経ったけれど、テオドラの不貞の話は漏れていない。
スペンサーの言った通りだ。」
「ああ、そうだな。」
「ところで、マリアンナ夫人は今は、ボレック公爵の義娘だから、僕達より爵位は上になったよ。
結果的に。」
「ああ、そうだな。」
「だったら、スペンサーとマリアンナ夫人との結婚もありうるぞ。
スペンサー、まだ好きなんだろ?」
「ヤンセンがそんなことを言うのは、爵位が変わったからか?」
「それもあるけれど、違う。
マリアンナ夫人がテオドラのことをバラさなかったからだ。
正直僕がマリアンナ夫人のことをよく思ってないことは、彼女も知っていたと思う。
二人が付き合っていた頃から、嫌な顔をしていたからね。
もし、そんな時にテオドラの不貞を知ったら、僕にやり返すチャンスを得たと、吹聴して歩くことができたんだよ。
彼女には。」
「確かにそう考えることもできるな。」
「でも、彼女はしなかった。
僕が彼女だったら、やり返してた。
だから、彼女はスペンサーが言う通りの女性なのかもしれないと思ったんだ。
スペンサーは彼女なら、絶対に漏らさないってわかっていたんだから。
それだけ信頼できる相手なら、爵位の問題も無くなったんだし、もう一度彼女と話してみたら?」
「そうするよ。」
リアは、こうなることがわかっていても、現実になるまでは微塵も僕に教えようとしない。
まさに秘密を守る悪女そのものだ。
こうやってリアは僕の心を揺り動かす。
彼女に振り回されているのはわかっていても、僕は再び君に手を伸ばそうとする。
再び彼女から離れて、僕はもう彼女のすべてを受け入れる覚悟ができた。
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