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ももまるあや

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第五話 順風満帆?

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 夏先先生のもとを後にした私たちは、とりあえず二人で歌割りを確認することにした。藍さんはアンドロイドだし、普通の人よりも口が回るかもしれない。
「ここだね、藍さん。Cメロのここが、早口みたい。藍さんちょっと歌ってみて」
 藍さんの歌は完璧だった。早い部分もまさに機械といった感じでスラスラ発音されている。三人目なんて当分いらないだろう。私の歌割は勝手にちょっと目立つところを拝借したけれど、藍さんは文句も言わずに譲ってくれる。自分のパートは難しいCメロとかなのに。藍さんには「ずるい」とか「目立ちたい」「損したくない」という感情はないのかしら。今の場合、無い方がラッキー?
 
 「藍さん、そういえば振り付けのほうはどなったんだっけ」
作詞作曲は揃ったものの、アイドルたるものダンスを忘れてはいけない。
[PAPAPIPO先生はご多忙で海外にいるそうです。ですのでこれからマスカさんに作曲していただいた曲を送り、それから振り付け動画を送っていただく予定です]
わお!海外でも活動してるなんて相当有名な方なのかな。
「なんかさ、こんなすごい人たちに作詞作曲振付してもらえるなんて私たち運が良すぎると思わない?」
正直、こんなにトントン拍子でいくとは思わなかった。私たち実はラッキーガール?ニヤニヤしていると、藍さんは気まずそうな顔になった。アンドロイドの気まずそうな顔は貴重だ。
[そのことなのですが…大変言いにくいのですが、どうやら叔父様から根回しがあったようなのです]
「ね、根回し!?どういうこと!?」
[叔父様が、私たちのプロデューサーを名乗って料金などを支払い、よろしく頼むと頭を下げられたと…]
「そ、そんな。私たち二人で上手くやってたと思ったのに、全部叔父さんのおかげだったってこと?」
私はいつまで経っても叔父さんの腕の中で守られてるんだ。自分の力だけでこんなに上手くいくはずないんだ。
「藍さん、私悔しい。作詞作曲振付をしてくれる人は根回ししてもらったわけだけど、この先のことは全部私たちだけでやってみたい」
[キラリさん…承知いたしました。キラリさんの想いは、私から叔父様に申し上げておきます]
「ありがとう!藍さん!」
瞳の中に炎が散る私をよそに、藍さんはやっぱり表情を変えない。
「藍さんって、まだ感情ないの?」
使い魔のアンドロイドは、通常魔女と触れ合うことによって感情を自覚していく。
[感情がないわけではありません。嬉しい出来事があれば嬉しさを表現する言葉を用いますし、悲しいことがあれば、悲しさを表現する言葉を用います]
「言葉だけなの?表情は…あ、でもさっき気まずそうな顔してたよね!」
[はい。表情については、私が感情を覚えたものからリンクされるようにプログラミングされています。]
ということは「嬉しい」感情はまだ覚えてなくて、「気まずい」感情は覚えてるってこと!?な、なんでだ…。
前に「使い魔の心の教育」という本で読んだことがある。使い魔が感情をなかなか覚えられなかったり偏りがあったりするのは、主人である魔女に問題があるんだって。でもでも、私のどこに問題があるのかわかんないよ~!

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