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第2章 王位継承
第28話 死者の丘
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あたり一面に横たわる剣や槍を突き立てられた死体。
革でできた鎧を着た血まみれの男が這いながら、その場から逃げ出そうとしている
それをみつけて、血まみれで槍を持った男が革鎧の男をその手に持った槍で背中から突き刺す。
革鎧の男は血を吐き出し、その場に倒れこみ絶命する。
赤く染まった空の下、そんな場面が至るところで繰り返されている。
死屍累々の光景が広がり、折り重なるように倒れた人々が私と殿下のいる場所が小高い丘になっていたことさえ忘れさせる。
むせかえるような血の匂い、時折聞こえる呻き声。
横たわる死体は両軍を合わせを1000超えた。
消耗戦だった。
フロイトの陣営は丘の上に陣を構え、私たちを迎えうつ
800対1100、数の上では我々の有利、地の利は向こうにあり、ほぼ同等の戦力であった。
両軍の複数回に渡る大規模なぶつかり合い、一進一退の攻防、膠着状態が続く。
しかし、じわじわと私達の軍勢が押し始める。
士気の高さと戦いの正当性、この違いが徐々に現れ膠着状態を打破し始める。
そして、それは相手に焦りを生じさせる。
焦りは判断を鈍らせ、対策は後手に回り悪循環を生じさせる。
フロイト陣営ではまさに、その悪循環に陥っていた。
そして決断する、ここで引くのか、賭けにでるのか。
フロイトは賭けに出た。
本陣に伝令兵が報告に来る。
その報告を私が殿下に伝える。
「殿下、形勢は我々の有利です、フロイト陣営はその陣形を徐々に崩し後退を始めています」
「そうか、わが方が有利か」
その報告を聞き少し安堵をしたように見えた。
やっと長い戦も終盤か…このまま押し切れれば…
そのときである、すぐそば聞こえるはずのない雄たけびを聞いた。
「おおおおおおおおお」
まさかフロイトの声?
血にまみれの甲冑を纏ったフロイトが15騎あまりの騎兵の先頭を走り、馬上槍を片手にそのまま殿下が座る本陣へ突っ込んできている。
それを阻止しようと、周囲の騎士たちがフロイトの前に立ちふさがる。
それらをフロイトは手にもつ馬上槍で一蹴し、まっすぐにこちらに向けてつっこんでくる。
兵士の一人に馬上槍を突き刺し、そのまま槍がぬけないとみるやすぐに剣を抜く。
私も殿下の前に立ち、剣を抜く。
ここで殿下を失うわけにはいかない!フロイトを討ち取る!
名前を叫び
「フロイト!!!」
剣を構え、剣先をフロイトに向ける。
馬が加速をし、私の前に迫ってくる、おおきなフロイトの体がさらに大きく見える。
恐らくフロイトは一撃離脱を考えているはず、その一撃さえ防ぐことができれば、私たちの勝ちだ。
私の周囲の時間の流れが遅くなる。
馬の足運びの一つ一つがゆっくりになる。
私は馬上のフロイトを狙い剣を引き、突きの態勢に入る。
突きを繰りだそうとした瞬間。
「ふん、お前に用はない」
すると眼前で馬は天高く飛び上がり、私の突きは空をきった。
そして流れるように、フロイトはかかげた右手を振り下ろす。
その右手の行く先にははっきりとソルフィン殿下を捉えており、私の目にはその斬撃は、ソルフィン殿下を真っ二つにしているように見えた。
あとほんの少し、ほんの少しだけ、剣の位置が奥であれば…
あとほんの少し、ほんの少しだけ 殿下の位置が前であれば…
戦いの神はフロイトに微笑んでいたであろう。
「くそっ浅かった、運にも見放されちまったか」
フロイトはそう捨て台詞を吐き、そのまま本陣から走り去っていく。
「殿下!!」
私は殿下のもとに駆け寄る。
殿下は唖然としそのまま立ち尽くしている。
フロイトの剣は甲冑と薄皮1枚だけを切り裂き、殿下の胸に1本の赤い筋がスーッと入っている。
「殿下、よくご無事で…」
「あ、あと1歩前にでてたら死んでいた…」
「私がいながら、このような失態本当に申し訳ございません」
「う、うん、大丈夫生きてるから…」
殿下は引きつりながら笑顔をみせた。
その作戦の失敗とともにフロイトは50名程度の騎士を連れ逃走を図った、大将を失った敵軍は総崩れとなり、逃げ出そうとして殺されるもの、捕虜になるくらいならと自死を選ぶもの敵本陣は死体の山となった。
そして戦は私たちの勝利で幕を閉じた。
しかしその被害は大きく我々は半分の戦力を失った、敵軍はほぼ壊滅状態となり、王都を警備する騎士団100名程度と逃走した50名ほどの戦力しか有していないと思われる。
夕焼けに染まる死者の丘に殿下と二人立ち尽くす
「これだけの犠牲が…」
殿下が物悲しそうな表情でつぶやいた。
「ええ、私も戦は初めての経験でした」
「戦とはこれほど無残で残酷なものなのか」
「私もこれまで本や机の上での戦しかしりませんでした」
「なぜ、同じ国民同士で殺しあわなければならぬのか」
「信じるものの違い、己の信念」
「私がしっかりとしていればこのような悲劇は…」
「殿下が玉座につかれたらこの者たちをちゃんと弔いましょう」
「ああ」
この戦に勝利した私達はついに王都にたどり着いたのであった。
革でできた鎧を着た血まみれの男が這いながら、その場から逃げ出そうとしている
それをみつけて、血まみれで槍を持った男が革鎧の男をその手に持った槍で背中から突き刺す。
革鎧の男は血を吐き出し、その場に倒れこみ絶命する。
赤く染まった空の下、そんな場面が至るところで繰り返されている。
死屍累々の光景が広がり、折り重なるように倒れた人々が私と殿下のいる場所が小高い丘になっていたことさえ忘れさせる。
むせかえるような血の匂い、時折聞こえる呻き声。
横たわる死体は両軍を合わせを1000超えた。
消耗戦だった。
フロイトの陣営は丘の上に陣を構え、私たちを迎えうつ
800対1100、数の上では我々の有利、地の利は向こうにあり、ほぼ同等の戦力であった。
両軍の複数回に渡る大規模なぶつかり合い、一進一退の攻防、膠着状態が続く。
しかし、じわじわと私達の軍勢が押し始める。
士気の高さと戦いの正当性、この違いが徐々に現れ膠着状態を打破し始める。
そして、それは相手に焦りを生じさせる。
焦りは判断を鈍らせ、対策は後手に回り悪循環を生じさせる。
フロイト陣営ではまさに、その悪循環に陥っていた。
そして決断する、ここで引くのか、賭けにでるのか。
フロイトは賭けに出た。
本陣に伝令兵が報告に来る。
その報告を私が殿下に伝える。
「殿下、形勢は我々の有利です、フロイト陣営はその陣形を徐々に崩し後退を始めています」
「そうか、わが方が有利か」
その報告を聞き少し安堵をしたように見えた。
やっと長い戦も終盤か…このまま押し切れれば…
そのときである、すぐそば聞こえるはずのない雄たけびを聞いた。
「おおおおおおおおお」
まさかフロイトの声?
血にまみれの甲冑を纏ったフロイトが15騎あまりの騎兵の先頭を走り、馬上槍を片手にそのまま殿下が座る本陣へ突っ込んできている。
それを阻止しようと、周囲の騎士たちがフロイトの前に立ちふさがる。
それらをフロイトは手にもつ馬上槍で一蹴し、まっすぐにこちらに向けてつっこんでくる。
兵士の一人に馬上槍を突き刺し、そのまま槍がぬけないとみるやすぐに剣を抜く。
私も殿下の前に立ち、剣を抜く。
ここで殿下を失うわけにはいかない!フロイトを討ち取る!
名前を叫び
「フロイト!!!」
剣を構え、剣先をフロイトに向ける。
馬が加速をし、私の前に迫ってくる、おおきなフロイトの体がさらに大きく見える。
恐らくフロイトは一撃離脱を考えているはず、その一撃さえ防ぐことができれば、私たちの勝ちだ。
私の周囲の時間の流れが遅くなる。
馬の足運びの一つ一つがゆっくりになる。
私は馬上のフロイトを狙い剣を引き、突きの態勢に入る。
突きを繰りだそうとした瞬間。
「ふん、お前に用はない」
すると眼前で馬は天高く飛び上がり、私の突きは空をきった。
そして流れるように、フロイトはかかげた右手を振り下ろす。
その右手の行く先にははっきりとソルフィン殿下を捉えており、私の目にはその斬撃は、ソルフィン殿下を真っ二つにしているように見えた。
あとほんの少し、ほんの少しだけ、剣の位置が奥であれば…
あとほんの少し、ほんの少しだけ 殿下の位置が前であれば…
戦いの神はフロイトに微笑んでいたであろう。
「くそっ浅かった、運にも見放されちまったか」
フロイトはそう捨て台詞を吐き、そのまま本陣から走り去っていく。
「殿下!!」
私は殿下のもとに駆け寄る。
殿下は唖然としそのまま立ち尽くしている。
フロイトの剣は甲冑と薄皮1枚だけを切り裂き、殿下の胸に1本の赤い筋がスーッと入っている。
「殿下、よくご無事で…」
「あ、あと1歩前にでてたら死んでいた…」
「私がいながら、このような失態本当に申し訳ございません」
「う、うん、大丈夫生きてるから…」
殿下は引きつりながら笑顔をみせた。
その作戦の失敗とともにフロイトは50名程度の騎士を連れ逃走を図った、大将を失った敵軍は総崩れとなり、逃げ出そうとして殺されるもの、捕虜になるくらいならと自死を選ぶもの敵本陣は死体の山となった。
そして戦は私たちの勝利で幕を閉じた。
しかしその被害は大きく我々は半分の戦力を失った、敵軍はほぼ壊滅状態となり、王都を警備する騎士団100名程度と逃走した50名ほどの戦力しか有していないと思われる。
夕焼けに染まる死者の丘に殿下と二人立ち尽くす
「これだけの犠牲が…」
殿下が物悲しそうな表情でつぶやいた。
「ええ、私も戦は初めての経験でした」
「戦とはこれほど無残で残酷なものなのか」
「私もこれまで本や机の上での戦しかしりませんでした」
「なぜ、同じ国民同士で殺しあわなければならぬのか」
「信じるものの違い、己の信念」
「私がしっかりとしていればこのような悲劇は…」
「殿下が玉座につかれたらこの者たちをちゃんと弔いましょう」
「ああ」
この戦に勝利した私達はついに王都にたどり着いたのであった。
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