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第2章 王位継承
第24話 決闘裁判その一
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ーー決闘裁判当日の朝
私は普段よりも早く目を覚ました、あたりは薄暗く、まだ夜明け前といった感じである、殿下やフリージアさんはまだ寝ているため、起こさないようにそっと部屋からでる。
城の中庭に行く。
一応中庭とよばれていはいるが、緑もなにもなくただ茶色の土が敷き詰められているだけのもので、木でできた人型の人形が等間隔で置かれており、それにむかって剣の練習などをここ兵士たちはしている。
左腕のケガはまだ治るまでは時間はかかるであろう、私は剣を抜きためしに振ってみる
「うっ」
二度三度振ると左腕に痛みが走る。
この状態で戦えるのか…不安を感じる。
木の人形の前に立ち、瞑想し右手一本で剣を持ち、丹田の部分で水平に構える。
意識を剣先に集中させる。
剣と自分が次第に一体になっていく感覚。
一気に振りぬく。
スパーンという音ともに、木人は左右二つに分かれる。
「フー」
斬れた木人の切り口をみて、私は落胆を覚える。
両手で切っていれば、その切断面は真っすぐで、寸分の狂いもない。
今までそのような切り口しかみてきたことはない。
右手一本での切り口はすこし歪みが生じている。
右手一本で戦うのはーー無理か…
相手が並みのやつであれば、可能であろうが処刑人とまで呼ばれた男…
私の覚悟も決めなければならない。
ーー斬る覚悟に斬られる覚悟
ヨルド様から指摘を受け考えていた。一朝一夕で身につくものではない…
ならば今の私にしかできない覚悟…
部屋に戻るや否や、殿下が私の方に駆け寄ってくる。
「調子はどう?」
「左腕はまだもどっていません、ですが勝機はあるとおもいます」
殿下は曇りのない綺麗な瞳で私をみて
「僕たちの命レクシアに預ける」
とおしゃってくれた。
私は跪いて
「光栄の至りです、お任せ下さい」
と誓いを立てた。
ここポルトでは、決闘裁判はショーアップされ興行の側面が大きくなっている、そのため闘技場で大勢の観客の前で行われる。
昼前に迎えがきて、闘技場に私と殿下、フリージアさんにケフィア様が連れて行かれる。
私が負ければその場で3人が処刑される、それだけは何としても避けなければならない、負けることはゆるされない。
控室はある程度の広さがある、しかし出入り口には衛兵がおり、逃げ出すことはできないようになっている。
私は、鉄製の兜をかぶり革の鎧を身にまとい、下半身は茶色の綿でできたズボンをはき、腰に差した剣を抜く、ファニル鋼の刃先が虹色に輝き名剣であることをものがたっている。
ーーグレンさん必ず、殿下をお守りしますと剣に祈りを込め剣を鞘に納める。
時折、地鳴りにも似た大歓声が控室まで届く。
4人は何も言わず、ひたすらその時を待つ。
控室のドアがノックされる。
ーー中の4人に緊張が走る
ドアをあけて入ってきたのはフェイルさんであった。
張り詰めた空気にフェイルさんは
「ご、ごめんなさい…」
謝ってでていこうとする。
「ちょちょっとなんのようなのよフェイル」
ケフィア様に呼び止められハッとして、手に持っていた紙袋を渡す。
「これ痛み止めです、傷口に塗れば半時間はもちます」
「あなたこれをとどけにきたの?」
「ええ、ヨルド様の弟子が負けるわけにはいきませんから」
「ありがとう、さっそく使わせてもらうよ」
服の袖をまくりあげ、包帯を外す、ピンクになった傷口が現れてくる、その傷口にフェイルさんからもらった薬をつける。
「うん、痛くないありがとう」
塗ってすぐ効くはずもないが、塗ったということで多少痛みが緩和したような気がする。
「頑張って下さい、みんなのために」
「わかってる」
控室のドアがノックされる。
ドアが開く。
「出番です、全員出てきてください」
4人で闘技場の舞台に向かう。
私達が現れると地鳴りのような歓声があがる。
舞台の真ん中に、正装をした男が立っている。
「みんなさん静粛に!」
男がそう叫ぶと歓声がピタリとやむ。
「これから行われるのは、決闘裁判!!」
男がそういうと観客席から歓声が巻き起こる。
男が人差し指を手に当てるとまた静寂に包まれる。
「罪状は王に対する不敬罪にてケフィア妃以下4人の裁判である」
歓声が巻き起こる。
「ケフィア妃側の代行者はレクシア!」
私は名前を呼ばれ、前にでて頭を下げる。
観衆の反応は乏しい
「王側の代行者は」
ここで男はためを入れる、そのために観衆は息を呑む
「処刑人ことメェェェガァァァァスゥゥゥゥ」
今日一番の歓声が巻き起こり、闘技場全体がゴゴゴゴゴと地鳴りのように揺れた。
頭から目の部分に穴の開いたズタ袋をかぶり、体には革の胸当てに下半身は股間のみを隠している革でできたパンツ姿で、手には剣というよりも鉄の塊と形容するような巨大な物体をもつ山のような大男が入場してくる。
この男が処刑人メーガスと呼ばれている男だ。
メーガスは入場するなり、貴賓席に座る王と王の右手、左手に礼をする。
処刑人メーガス、決闘裁判100戦負けなし。
まさに最強。対戦相手からすれば最凶
そのメーガスの前に、手足を縛られた男が運ばれてきた。
そしてこれから始まるのはそのショーの一つだ。
「た、助けてくれ!」
手足を縛られた男性が助けを求める
メーガスがその男の前に立ち、鉄の塊を振り上げる。
「うおおおおおお」
観客席がどよめき、観客たちの興奮は最高潮に達しているように見える。
メーガスが鉄の塊をその男に向かって振り下ろす。
私は目を開き、その一部始終を見る。
鉄の塊の先が落ちたさきの地面から血があふれ出し、メーガスもその返り血を全身に浴びている。
男だったものはただの肉の塊として、メーガスが振り下ろしたものの先に存在していた。
メーガスはその塊を指さし、私のほうをもう一度指さした。
正装の男と、ソルフィン殿下ら3人が退場し、舞台には私とメーガス2人だけになる。
ドラが鳴り響くと同時にメーガスが私突っ込んでくる。
そのスピードは山のような体とは思えないスピードで、一瞬で間合いを詰められる。
剣を抜く暇も与えないというのはこのことであろう、私は剣を抜くことをあきらめ、振り上げられた鉄塊の行く先をみる。
私の頭の上から振り下ろされる。
ドーンという音ともに土煙が舞う。
鉄塊により、地面がへこむ。
完全にとらえたと思っていたのであろう、メーガスは首をかしげ、そのまま二の太刀として私がかわした方向に鉄塊を振り上げる。
鼻先をかすめていく鉄塊。
観客たちが息を呑むのが聞こえてくる、それまで歓声があがっていたのが一気に静まり返る。
ファーストコンタクトはこんなところか…
メーガスは目の前にいる相手が只者ではないと悟ったのか、頭からかぶっていたズタ袋を外した。
メーガスの顔は右頬に大きな傷がはいり髪の毛をそり上げ、異様な雰囲気を醸し出している。
私は剣を抜き両手で構える。
薬の効果か、痛みは感じられない。
そして目を閉じ、集中力を高める。
観客一人、一人の息遣いが聞こえてくる、メーガスの心臓の鼓動すら感じられる。
メーガスが再びつっこんでくる。
目を開き剣を振る。
空気を切り裂く音が聞こえると同時に、鉄と鉄がぶつかる高い金属音がする。
私の一撃は鉄塊により、体には届いていない。
そのまま振りかぶり、二の太刀を浴びせようとするが、これも鉄塊に阻まれる。
すこし左腕に痛みを感じる。
そのまま間合いをとり、メーガスの周りをゆっくりと周る。
私は考えを巡らせる。
真剣では私の攻撃は届かない、まだ覚悟が足りていないということ…それならば
私は構えていた剣を鞘に納め、地面に置く
観客席からどよめきが起こる。
「おい、あいつ負けを認めたんじゃね?」
メーガスコールが巻き起こる。
メーガスがゆっくりと私の前に立ち鉄塊を振り上げる。
闘技場全体が揺れるような歓声に包まれ、メーガスが鉄塊を振り下ろす。
振り下ろされた鉄塊の先から、土煙が舞いあがっている。
メーガスは片膝をつき、腹部を押さえる。
私はメーガスの後ろに木剣をもって立っていた。
私は普段よりも早く目を覚ました、あたりは薄暗く、まだ夜明け前といった感じである、殿下やフリージアさんはまだ寝ているため、起こさないようにそっと部屋からでる。
城の中庭に行く。
一応中庭とよばれていはいるが、緑もなにもなくただ茶色の土が敷き詰められているだけのもので、木でできた人型の人形が等間隔で置かれており、それにむかって剣の練習などをここ兵士たちはしている。
左腕のケガはまだ治るまでは時間はかかるであろう、私は剣を抜きためしに振ってみる
「うっ」
二度三度振ると左腕に痛みが走る。
この状態で戦えるのか…不安を感じる。
木の人形の前に立ち、瞑想し右手一本で剣を持ち、丹田の部分で水平に構える。
意識を剣先に集中させる。
剣と自分が次第に一体になっていく感覚。
一気に振りぬく。
スパーンという音ともに、木人は左右二つに分かれる。
「フー」
斬れた木人の切り口をみて、私は落胆を覚える。
両手で切っていれば、その切断面は真っすぐで、寸分の狂いもない。
今までそのような切り口しかみてきたことはない。
右手一本での切り口はすこし歪みが生じている。
右手一本で戦うのはーー無理か…
相手が並みのやつであれば、可能であろうが処刑人とまで呼ばれた男…
私の覚悟も決めなければならない。
ーー斬る覚悟に斬られる覚悟
ヨルド様から指摘を受け考えていた。一朝一夕で身につくものではない…
ならば今の私にしかできない覚悟…
部屋に戻るや否や、殿下が私の方に駆け寄ってくる。
「調子はどう?」
「左腕はまだもどっていません、ですが勝機はあるとおもいます」
殿下は曇りのない綺麗な瞳で私をみて
「僕たちの命レクシアに預ける」
とおしゃってくれた。
私は跪いて
「光栄の至りです、お任せ下さい」
と誓いを立てた。
ここポルトでは、決闘裁判はショーアップされ興行の側面が大きくなっている、そのため闘技場で大勢の観客の前で行われる。
昼前に迎えがきて、闘技場に私と殿下、フリージアさんにケフィア様が連れて行かれる。
私が負ければその場で3人が処刑される、それだけは何としても避けなければならない、負けることはゆるされない。
控室はある程度の広さがある、しかし出入り口には衛兵がおり、逃げ出すことはできないようになっている。
私は、鉄製の兜をかぶり革の鎧を身にまとい、下半身は茶色の綿でできたズボンをはき、腰に差した剣を抜く、ファニル鋼の刃先が虹色に輝き名剣であることをものがたっている。
ーーグレンさん必ず、殿下をお守りしますと剣に祈りを込め剣を鞘に納める。
時折、地鳴りにも似た大歓声が控室まで届く。
4人は何も言わず、ひたすらその時を待つ。
控室のドアがノックされる。
ーー中の4人に緊張が走る
ドアをあけて入ってきたのはフェイルさんであった。
張り詰めた空気にフェイルさんは
「ご、ごめんなさい…」
謝ってでていこうとする。
「ちょちょっとなんのようなのよフェイル」
ケフィア様に呼び止められハッとして、手に持っていた紙袋を渡す。
「これ痛み止めです、傷口に塗れば半時間はもちます」
「あなたこれをとどけにきたの?」
「ええ、ヨルド様の弟子が負けるわけにはいきませんから」
「ありがとう、さっそく使わせてもらうよ」
服の袖をまくりあげ、包帯を外す、ピンクになった傷口が現れてくる、その傷口にフェイルさんからもらった薬をつける。
「うん、痛くないありがとう」
塗ってすぐ効くはずもないが、塗ったということで多少痛みが緩和したような気がする。
「頑張って下さい、みんなのために」
「わかってる」
控室のドアがノックされる。
ドアが開く。
「出番です、全員出てきてください」
4人で闘技場の舞台に向かう。
私達が現れると地鳴りのような歓声があがる。
舞台の真ん中に、正装をした男が立っている。
「みんなさん静粛に!」
男がそう叫ぶと歓声がピタリとやむ。
「これから行われるのは、決闘裁判!!」
男がそういうと観客席から歓声が巻き起こる。
男が人差し指を手に当てるとまた静寂に包まれる。
「罪状は王に対する不敬罪にてケフィア妃以下4人の裁判である」
歓声が巻き起こる。
「ケフィア妃側の代行者はレクシア!」
私は名前を呼ばれ、前にでて頭を下げる。
観衆の反応は乏しい
「王側の代行者は」
ここで男はためを入れる、そのために観衆は息を呑む
「処刑人ことメェェェガァァァァスゥゥゥゥ」
今日一番の歓声が巻き起こり、闘技場全体がゴゴゴゴゴと地鳴りのように揺れた。
頭から目の部分に穴の開いたズタ袋をかぶり、体には革の胸当てに下半身は股間のみを隠している革でできたパンツ姿で、手には剣というよりも鉄の塊と形容するような巨大な物体をもつ山のような大男が入場してくる。
この男が処刑人メーガスと呼ばれている男だ。
メーガスは入場するなり、貴賓席に座る王と王の右手、左手に礼をする。
処刑人メーガス、決闘裁判100戦負けなし。
まさに最強。対戦相手からすれば最凶
そのメーガスの前に、手足を縛られた男が運ばれてきた。
そしてこれから始まるのはそのショーの一つだ。
「た、助けてくれ!」
手足を縛られた男性が助けを求める
メーガスがその男の前に立ち、鉄の塊を振り上げる。
「うおおおおおお」
観客席がどよめき、観客たちの興奮は最高潮に達しているように見える。
メーガスが鉄の塊をその男に向かって振り下ろす。
私は目を開き、その一部始終を見る。
鉄の塊の先が落ちたさきの地面から血があふれ出し、メーガスもその返り血を全身に浴びている。
男だったものはただの肉の塊として、メーガスが振り下ろしたものの先に存在していた。
メーガスはその塊を指さし、私のほうをもう一度指さした。
正装の男と、ソルフィン殿下ら3人が退場し、舞台には私とメーガス2人だけになる。
ドラが鳴り響くと同時にメーガスが私突っ込んでくる。
そのスピードは山のような体とは思えないスピードで、一瞬で間合いを詰められる。
剣を抜く暇も与えないというのはこのことであろう、私は剣を抜くことをあきらめ、振り上げられた鉄塊の行く先をみる。
私の頭の上から振り下ろされる。
ドーンという音ともに土煙が舞う。
鉄塊により、地面がへこむ。
完全にとらえたと思っていたのであろう、メーガスは首をかしげ、そのまま二の太刀として私がかわした方向に鉄塊を振り上げる。
鼻先をかすめていく鉄塊。
観客たちが息を呑むのが聞こえてくる、それまで歓声があがっていたのが一気に静まり返る。
ファーストコンタクトはこんなところか…
メーガスは目の前にいる相手が只者ではないと悟ったのか、頭からかぶっていたズタ袋を外した。
メーガスの顔は右頬に大きな傷がはいり髪の毛をそり上げ、異様な雰囲気を醸し出している。
私は剣を抜き両手で構える。
薬の効果か、痛みは感じられない。
そして目を閉じ、集中力を高める。
観客一人、一人の息遣いが聞こえてくる、メーガスの心臓の鼓動すら感じられる。
メーガスが再びつっこんでくる。
目を開き剣を振る。
空気を切り裂く音が聞こえると同時に、鉄と鉄がぶつかる高い金属音がする。
私の一撃は鉄塊により、体には届いていない。
そのまま振りかぶり、二の太刀を浴びせようとするが、これも鉄塊に阻まれる。
すこし左腕に痛みを感じる。
そのまま間合いをとり、メーガスの周りをゆっくりと周る。
私は考えを巡らせる。
真剣では私の攻撃は届かない、まだ覚悟が足りていないということ…それならば
私は構えていた剣を鞘に納め、地面に置く
観客席からどよめきが起こる。
「おい、あいつ負けを認めたんじゃね?」
メーガスコールが巻き起こる。
メーガスがゆっくりと私の前に立ち鉄塊を振り上げる。
闘技場全体が揺れるような歓声に包まれ、メーガスが鉄塊を振り下ろす。
振り下ろされた鉄塊の先から、土煙が舞いあがっている。
メーガスは片膝をつき、腹部を押さえる。
私はメーガスの後ろに木剣をもって立っていた。
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