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第2部 美少女天才ゲーマー編

第0話 神崎マナ

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 バトロワから3ヶ月が経った。

 その間、夏休みがあったりといろいろなリアルイベントやらゲーム内イベントををこなし、そして新学期が始まった。

「ん? また見てるわ」
 学校の中庭で昼休みにタケシといつものようにアルター談義をしていると、視線を感じタケシに告げる。

 最近よく見かける女の子、この学校で知らない男子学生はいないといっていもいい。長い黒髪に大きな瞳の美少女。

 名前を『神崎かんざきマナ』という。

「んな! 俺たち陰キャをみるわけないだろうマナ様が」
「でも最近よく神崎に見られてる気がするんだけどな」
「ねぇぇよ! いくらアルターでデバフの王って持ち上げられてても、そりゃゲームの中だけだぞ! 神崎マナがお前のことをみるわけがない」

 タケシが必死に否定するのもわからんでもない、所謂カーストで最上位のグループに属している神崎マナが俺たちのことを見るなんてありえるはずもないことなのだから。

 ふと見ると神崎の姿は無くなっている。やっぱタケシの言う通り気の所為か……

 俺が神崎のいた方を向いているとタケシが話しかけてくる。
「今日は何するんだ?」
「んーなにしようかなぁ。ダンジョン攻略のメンバーもいないしなぁ……暇だからロジャーさんと一緒に素材とりに行こうかなぁ」
「ふーん」

「ねぇ!」
 どこからか女の子の高い声が聞こえる。

 俺たちに女の子が話しかけてくるはずもないから無視してタケシに話しかける。
「タケシはどうすんの?」
「俺か? 悪魔の生贄をやらないとだから今日はINしない」

「ねぇ……」

「なんだそれ?」
「新しくでたホラーゲームな。VRでホラーゲームやるとおしっこちびりそうになるぞ。お前もやる?」
「……無理……」
「だろうなぁ」
 そう言ってタケシが笑う……すると

「ねぇってっば!! 無視すんな!! 」
 その女の子の声は明らかに俺たち向けられた物で、振り返るとそこにはハタハタとスカートをなびかせる神崎マナの姿があった。

「……お、俺達になんのようだ!! 」
 タケシはきょどりながら神崎に話しかける。

 そんなことはお構いなしに神崎は俺たちに話しかけてくる。
「あんた達、アルターオンラインやってるんでしょ?」
 まさかあの神崎マナからその言葉が出てくるとは思わなかった……

 俺とタケシはきょとんとしながら目を合わせてコクリと頷く。

「私も今日から始めるから色々と教えて欲しいの」
 突然の宣言に俺とタケシは何が起こったのか理解できなかった。
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