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大規模襲撃イベント バハムート編
第3話 ヘパイス財団
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――翌日。
今日は雨、梅雨入りしたとかなんとかTVで言ってた。雨だからいつものように、中庭で昼飯が食べれないので教室で焼きそばパンをほうばる。
ガラッと教室の扉が開く、昼休みだから特に珍しい光景でもないのだが、タケシが俺の顔を見て一直線にやってくる。
ほんとこいつ友達いんのか? いっつも俺のところに来てるんだよなぁ
「エイジ! 一人か? まあ一人だよな。お前の友達、俺ぐらいだもんな!! 」
「そりゃこっちのセリフだってーの。毎日、毎日俺に話しかけてきてるじゃねーか! 」
「ほら、お前も一人だし」
そう言うとタケシはどかっと俺の席の前の誰も座っていない席に座る。
「で? 何の用? 」
「あーそれそれ、さっき襲撃戦が終わったらしい。アルターのアプリ見てみ」
「……え?」
そう言われてスマホにインストールしてあるアルターオンラインのアプリを起動する。スキンヘッドで無表情の俺のアバターが表示される。そのアバターのサイドには様々な項目があり、その中には闘技場ランキングなどもある。襲撃情報というところをタップする。
バハムート襲撃情報
6月4日12時 グリール 防衛失敗 ロックダウン中
6月3日18時 ファールース 防衛失敗 ロックダウン中
「あら12時から始まったのか」
「そうなんだよ! 平日の12時に始まって防衛が成功するはずねぇだろ! 」
声を荒げたタケシは周囲の注目を浴び、頭を掻きながら苦笑いをしてみせる。
「まあ……確かになぁ……そんな時間にやられてもって感じだな」
「そうだろ? 1日1回しかない襲撃戦なのに」
そっかー今日の襲撃戦はないのか……そしたら闘技場いってダンジョン行って今日は終わりかな……
何かを思い出したようにタケシが話しかけてくる。
「そうだエイジお前、貢献度いくつだった? 」
「3」
「え? 」
語気強めでもう一度言う。
「スリィィポインツ! 」
信じられないといった表情のタケシ。
「俺が26だったから、バハムートに麻痺入れたお前はもっと高いかと思ってたわ」
「防衛で飛竜倒した方がポイント入るみたいだよ」
「へぇぇ、それどこ情報? 」
「貢献度1位のユーリさん情報」
俺がそう言うとタケシはびっくりしたような表情で座っていた椅子から転げ落ちそうになる。
「え? ユーリってあのレッドデビルの? 」
「うん」
「は? なんで知り合いなんだよ! 」
「初めたばっかりの頃にお世話になったんだよ。って言ってなかったっけ? 」
「あーそういえばそんなこと言ってたけど、そんな名前のヤツなんて一杯いるだろ」
「ユーリさんってそんなに有名なの? 」
「ああ。最強の攻略クラン、レッドデビルの最強の女グラディエーター赤髪のユーリって言われてるよ」
「へぇぇそうなんだ。ユーリさん有名人だったんだ」
「GMに斬りかかったお前より有名だよ」
「ちょっと何言ってるかわかんないっすね」
「GMをゴールドモンスターと勘違いした男はここです! 」
「うるせー! 」
そんなこんなで昼休みも終わり、かったるい午後の授業をぼーっと聞いて、やっとのこと下校の時間を迎える。
まっしぐらに家に帰ると、ヘルメット被り即IN。
INした直後、ピロピロとTELが鳴る。その相手は……ヘパイスという表示。
無視するか……
ピロピロとしつこくTELが鳴り続ける。フレンド解除しときゃ良かったって向こうが解除しないと意味ないか……こういうときはブロックリストってやつぶち込んどけばいいんかな? TELを即切ってぶち込んでおこう。
まあ今は出るしかないか……
「なんだよ……それじゃあな」
不機嫌感満載で答えTELを終了する。
メニューを開いてヘパイスをブロックリストに……
ピロピロとまたTELが鳴る。ヘパイスという表示
「うるせーー!!」
そう言ってTELを切ろうとすると
「待て! 待ってください!! 」
慌てた様子でそう言うヘパイス。
ん? やけに下手にでてんじゃん?
「……何の用だよ」
「あー良かった。ちょっと話をきいてください。この度全財産を投げ売ってバハムートを倒すことを目的にしたクランを作ろうかと」
「……どうせあんたのことだから貢献度上げてレアアイテムゲットなんて考えてるんだろ?」
「い、いえいえ滅相もない。心を入れ替えたんです! 今まであくどいことをして稼いで来ました。そこで皆さんに還元しても良い頃だろうと……街が封鎖されると大変ですしね……」
「ふーん……そんなにいいアイテムが貰えるの?」
ヘパイスは小声になる。
「……ここだけの話、生産職貢献度1位にはゴールデンハンマーが与えられるという噂が……」
「ふーん。それで俺にそのクランに入ってあんたの貢献度を上げる手伝いをしろと……」
下手にでていたヘパイスはその声色を変え、それまで高かった声が低くなる。
「……あー敬語めんどくせー。ぶっちゃけて言ってそうだよ。あんたのスキルは唯一無二で、バハムートにすらデバフ入るんでしょ?」
「……」
「やっぱり入るんだ 金ならあんたが見たこと無いぐらい支払うからうちのクラン、ヘパイス財団に入ること考えてくれない?」
「……」
「それじゃ。またTEL頂戴」
そう言ってヘパイスはTELを切った。
今日は雨、梅雨入りしたとかなんとかTVで言ってた。雨だからいつものように、中庭で昼飯が食べれないので教室で焼きそばパンをほうばる。
ガラッと教室の扉が開く、昼休みだから特に珍しい光景でもないのだが、タケシが俺の顔を見て一直線にやってくる。
ほんとこいつ友達いんのか? いっつも俺のところに来てるんだよなぁ
「エイジ! 一人か? まあ一人だよな。お前の友達、俺ぐらいだもんな!! 」
「そりゃこっちのセリフだってーの。毎日、毎日俺に話しかけてきてるじゃねーか! 」
「ほら、お前も一人だし」
そう言うとタケシはどかっと俺の席の前の誰も座っていない席に座る。
「で? 何の用? 」
「あーそれそれ、さっき襲撃戦が終わったらしい。アルターのアプリ見てみ」
「……え?」
そう言われてスマホにインストールしてあるアルターオンラインのアプリを起動する。スキンヘッドで無表情の俺のアバターが表示される。そのアバターのサイドには様々な項目があり、その中には闘技場ランキングなどもある。襲撃情報というところをタップする。
バハムート襲撃情報
6月4日12時 グリール 防衛失敗 ロックダウン中
6月3日18時 ファールース 防衛失敗 ロックダウン中
「あら12時から始まったのか」
「そうなんだよ! 平日の12時に始まって防衛が成功するはずねぇだろ! 」
声を荒げたタケシは周囲の注目を浴び、頭を掻きながら苦笑いをしてみせる。
「まあ……確かになぁ……そんな時間にやられてもって感じだな」
「そうだろ? 1日1回しかない襲撃戦なのに」
そっかー今日の襲撃戦はないのか……そしたら闘技場いってダンジョン行って今日は終わりかな……
何かを思い出したようにタケシが話しかけてくる。
「そうだエイジお前、貢献度いくつだった? 」
「3」
「え? 」
語気強めでもう一度言う。
「スリィィポインツ! 」
信じられないといった表情のタケシ。
「俺が26だったから、バハムートに麻痺入れたお前はもっと高いかと思ってたわ」
「防衛で飛竜倒した方がポイント入るみたいだよ」
「へぇぇ、それどこ情報? 」
「貢献度1位のユーリさん情報」
俺がそう言うとタケシはびっくりしたような表情で座っていた椅子から転げ落ちそうになる。
「え? ユーリってあのレッドデビルの? 」
「うん」
「は? なんで知り合いなんだよ! 」
「初めたばっかりの頃にお世話になったんだよ。って言ってなかったっけ? 」
「あーそういえばそんなこと言ってたけど、そんな名前のヤツなんて一杯いるだろ」
「ユーリさんってそんなに有名なの? 」
「ああ。最強の攻略クラン、レッドデビルの最強の女グラディエーター赤髪のユーリって言われてるよ」
「へぇぇそうなんだ。ユーリさん有名人だったんだ」
「GMに斬りかかったお前より有名だよ」
「ちょっと何言ってるかわかんないっすね」
「GMをゴールドモンスターと勘違いした男はここです! 」
「うるせー! 」
そんなこんなで昼休みも終わり、かったるい午後の授業をぼーっと聞いて、やっとのこと下校の時間を迎える。
まっしぐらに家に帰ると、ヘルメット被り即IN。
INした直後、ピロピロとTELが鳴る。その相手は……ヘパイスという表示。
無視するか……
ピロピロとしつこくTELが鳴り続ける。フレンド解除しときゃ良かったって向こうが解除しないと意味ないか……こういうときはブロックリストってやつぶち込んどけばいいんかな? TELを即切ってぶち込んでおこう。
まあ今は出るしかないか……
「なんだよ……それじゃあな」
不機嫌感満載で答えTELを終了する。
メニューを開いてヘパイスをブロックリストに……
ピロピロとまたTELが鳴る。ヘパイスという表示
「うるせーー!!」
そう言ってTELを切ろうとすると
「待て! 待ってください!! 」
慌てた様子でそう言うヘパイス。
ん? やけに下手にでてんじゃん?
「……何の用だよ」
「あー良かった。ちょっと話をきいてください。この度全財産を投げ売ってバハムートを倒すことを目的にしたクランを作ろうかと」
「……どうせあんたのことだから貢献度上げてレアアイテムゲットなんて考えてるんだろ?」
「い、いえいえ滅相もない。心を入れ替えたんです! 今まであくどいことをして稼いで来ました。そこで皆さんに還元しても良い頃だろうと……街が封鎖されると大変ですしね……」
「ふーん……そんなにいいアイテムが貰えるの?」
ヘパイスは小声になる。
「……ここだけの話、生産職貢献度1位にはゴールデンハンマーが与えられるという噂が……」
「ふーん。それで俺にそのクランに入ってあんたの貢献度を上げる手伝いをしろと……」
下手にでていたヘパイスはその声色を変え、それまで高かった声が低くなる。
「……あー敬語めんどくせー。ぶっちゃけて言ってそうだよ。あんたのスキルは唯一無二で、バハムートにすらデバフ入るんでしょ?」
「……」
「やっぱり入るんだ 金ならあんたが見たこと無いぐらい支払うからうちのクラン、ヘパイス財団に入ること考えてくれない?」
「……」
「それじゃ。またTEL頂戴」
そう言ってヘパイスはTELを切った。
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