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トップを狙え! PVP始めました

第9話 RMT

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「そういやムカデのリーダー負けたらしいじゃん」
 学校に着くなりタケシがウキウキで話し掛けてくる。

「俺ムカデ団のメンバーな」
 俺がそう言うとタケシはぁ?というような表情で
「は? なんでムカデなんかに入っちゃうかなー……」
 とすこしイライラした口調。

 俺はそれを気にせず顔を伏せ、落ち込んでいるアピールをしながら話す。
「あと、そのリーダーが負けた原因は俺な……」

「ま、まじか……そりゃ悪かったな……でもなんでお前が原因になったんだ?」

 俺は顔を上げ経緯をタケシに説明をする。

「ムカデ団のリーダーの弱点をポロッとヘパイスに漏らしちゃったんだよ」

「なるほど、ヘパイスがなんちゃら防衛軍と繋がっててそのリーダーが弱点を突かれてまけたってことか」
「まっそういうこと、あとエウロペア防衛軍な」

「ヘパイスが何の用事もないのにお前になんか連絡とるわけないだろ?」
 そう言ってタケシは俺の肩を叩く。

「そんな奴だとは思わなくて……」
「あいつは金にならないことはやらねーよ。ホレ」
 そう言ってタケシは俺にスマホを見せる。

 タケシのスマホにはゴーちゃんが開かれている。そのゴーちゃんのスレに目を落とすと

『ヘパイス被害者の会 PART12』

「こいつだけだから、アカウント名でスレまで建てられてる奴」
「パート12まで……」
「まあ買い占めて転売したり相場操作したり、スレで自作自演してステマしたり、やりたい放題やってたこともあるからな」

「まじか……」
「まあでも鍛冶の腕は確かだし、金も沢山もってるからやっかみ半分って感じだけどな」
「ああ……」

「でも、ヘパイスがなんちゃら防衛軍と絡んでるならヘパイスも年貢の納め時かもな」
「なんでよ?」

「俺のクランに元なんちゃら防衛軍の下っ端だったやつがいるんだけど、クランメンバーから金とかレア素材を集めてRMT業者に売ってるって噂がある」

「RMT?」
「リアルマネートレード、つまりゲームのお金を売って、本物のお金を得るってこと」

 俺は目を見開く。

「まじで! お金になるの? アルターのお金が? それなら頑張って稼いじゃおうかなー」
「バカか……規約違反だから。見つかったらアルターから追放になるぞ」
 そう言ってタケシは呆れたというような表情をする。

「まじか……」

「そのなんちゃら防衛軍って急激にメンバー増やしてたらしい。だからお前を騙してまで勝ちたかったんだろう。PvPからレイドレースにも参加するなんて噂もあったりするし」
「タケシ、お前結構詳しいのな」

「いや、そのなんちゃら防衛軍にいたやつからちょっと聞いただけだよ。今度そいつから詳しく聞いて調べてみるよ。そのなんちゃら防衛軍のやり方も気に入らんし」
「エウロペア防衛軍な」


 ◇◆◇

 ということで、学校が終わりアルター直IN

 フレリストをみるとシゲゾーはいない。ただキングはログインしている。

 やっぱりキングには謝らないとな……
 ムカデの洞窟にいってみるとキングが一人で佇んでいる。

 キングは俺を見つけ声を掛けてくる。
「あーエイジくんだ」

 ここはやっぱり……

 俺はキングの前に立ち頭を下げる。

「え?……」

 キングは突然のことに唖然としている。
「昨日、ショーグンにキングがうどん県って漏らしたの俺です! すいません!!! 」
「え……あーそれ……とにかく頭あげてよ……」

 俺が頭を上げるとキングはニッコリと笑って
「負けたのは俺が弱かったからだよ。強かったら負けてない。だからエイジくんは悪くないよ。どうせあの人と戦ってたら長丁場になってただろうしね」
 と全く気にしていない様子。

「でも俺が……」

「いいっていいって気にしてないから。時間切れで負けなんて前もあったし」
「キング……」
「それじゃ、僕そろそろ時間だから」
 そう言うとキングはブスンとその姿を消す。

 するとシゲゾーがやってくる

「あーいたいた」
 と声を掛けてくる。

「さっきまでキングがいたから」
「お前のことだから謝ってたんだろ」
「……」
 俺は黙って頷く。

 シゲゾーは暗い表情になり
「話は変わるがクランメンバーが半分になっちまった。はは……」
「え?」
 俺はクランメンバーリストをみると、スーさんやヤマちゃんの名前も無く、見知った他の名前も無くなっている。

「キング敗戦で、エウロペア防衛軍に入るからと言って辞めちまった」
「……」

 俺が俯いてしょぼんとしているとシゲゾーは俺の背中をバーンと叩く。
「お前のせいじゃないよ。キングだってそう言ってたろ?」
「で、でも」

「いいんだ。残りたい奴が残ればいい。立ち上げ当初なんて5人だけだったからな……それでPK2大クランなんて持ち上げられ始めて天狗になってたんだよ俺達はな……」
「……」

「だがしかし!! やられたらやり返す! 絶対にショーグンに勝つぞエイジ! 」

 こうして俺達は闘技場向かった。

 そして数日後……俺のレートは1856となり、エウロペア防衛軍のトップランカーの尻尾が見え始めた。
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