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第1章 追放からの
第11話 重い剣
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僕はレンガ造りの倉庫ような場所に連れて行かれ、体を地面に降ろされる。
僕の体はご丁寧にロープでぐるぐるに体を巻かれ、口には布でできた猿轡を嵌められて大きな声が出せない。
建物の中は木箱が乱雑に置かれており、窓の外からも大きな満月の月明かりが建物の中を照らしている。その明かりに照らされた3人の人間がいる。
ワイズマン、リリム、エニシだ……
リリムが僕に話しかける。
「あんたが素直に私達のパーティに入るっていえばこんなことしなくても済んだのに」
「……」
「口にそんなもん嵌められてたら何もいえねーわな」
ワイズマンがそう言って口を挟む。
「とりあえず、やってみる?」
リリムがそう言うとエニシが紙のような物を持ち出してくる。
ワイズマンが俺に話しかける。
「それが何か分かるか?」
その紙はよく見るとギルドに提出するパーティ加入書と呼ばれる物だ。
「その紙にはお前が俺たちパーティに加入するということが書かれている。それにお前の拇印を押せば晴れてお前は俺たちのパーティってわけだ」
エニシが僕の背後に回って後ろ手になった手から親指で加入書に拇印を押す。
「押しました……どうですか? リリム、ワイズマン能力の向上は?」
ワイズマンは斧を取り出して振り回す。そして力を貯める素振りからブラッディウィンドを使用するのが分かる
かつての彼の力であれば、木箱を壊すことなど容易いはず。
それが……木箱はドンという音を立てて転がるるだけで、壊れたりはしていない。ワイズマンはふーとため息をついて苦虫をつぶしたような顔をする。
ワイズマンとエニシに会話が聞こえてくる。
「駄目だな。能力は上がってない」
「形式的な物ではダメということですね」
「これで上手く行けば楽だったがな」
「こいつほんとに触媒体質なの?」
リリムは疑っているといような感じで二人に話しかける。
「おそらく、さっきの加入書の結果、触媒体質の発動条件は自分の意思で加入をするという公算が高いです」
「でもこいつ自分で加入するって絶対に言わないよ」
「そうですね……加入するって言わせればいいんですよ。ありとあらゆる手を使ってでもね」
エニシの鋭い視線が僕に刺さる。
「ありとあらゆる手か……」
リリムがボソッと呟く。
「そうです。それでも触媒体質が発動しないということであれば、彼は我々にとっては必要のない人間ということです。まあどっちにしろ触媒体質が発動しなければ不必要な人間に変わりありませんがね」
エニシは冷淡にそう言い放つ。
「さあ、どうするブッザス? 痛いのは好きか? 」
ワイズマンはニヤッと嫌な笑顔を浮かべ告げた。
奴らは僕を拷問するつもりだ……パーティに入れと、自分の意思で入れと……
ワイズマンが僕の口の猿轡を外す。そして諭すように話しかけてくる。
「どうだ、ブッザス。俺たちもお前を殺したくはない。パーティに入らないか? パーティに入ったらお前は何もしなくていい。ただ俺たちと一緒にいるだけで銅ランクの報酬の1/4が貰えるんだいい話じゃないか?」
こいつらだけは絶対に許せない……一度ならず二度までも僕を傷つけて……ニーナやエイルまで裏切れと……しかも力づくで僕を従わせようとしている……
絶対仲間になんかならない……このままここで朽ち果ててでも……
……ちょっとまて冷静に考えるんだ……それでいいのか? それでこいつらに痛い目に合わせ、地獄に落とせることになるのか……こいつらは銅ランクからただ落ちるだけ……僕の命と引き換えに……そして罰を受けることもなく生きていく……
何かこいつらを陥れる方法があるはず……何か…考えろ……考えろ……
あ……
……思いついた…… しかし上手くいくかどうかはわからない……。ニーナやエイルのことを裏切るようなことになってしまう……それでもいいのか?
でもこれしか僕が取れる方法はない……
ごめんよ……ニーナ、エイル……
僕は口元をニヤリと歪めて、ワイズマンにこう言った。
「僕をデーモンの目にも涙に入れてくれ」
と……
◇◆◇
朝の光が街の郊外で野営をしている、ニーナを照らす。
「ふぁぁぁ」
と大きなあくびをして起きるニーナ。隣で寝てたエイルの姿がない。
「1、2、3」
と数字を数えるエイルの声が聞こえる。
ニーナがその声をの方を向くと、エイルが剣を持って素振りをしている。
ニーナはエイルに話しかける。
「おはようございます。エイルさん。ブッザスさん帰ってきてないんですね」
「ああ……大方、飲みすぎて道端ででも寝てるんだろ」
「ですねぇ……朝になりましたしもうすぐ帰ってくるでしょうかね? 」
「ああ……」
剣を振るエイルの顔は冴えない。その事に気がついたニーナはエイルに話しかける。
「どうしたんですかエイルさん」
エイルは剣を振る手を止めてニーナに話しかける。
「剣が……剣がいつもより重いんだ……」
「剣が重い?」
「ああ、以前パーティに入る前のような感じだ……」
「え? それってどういう……」
「分からない……」
そう言って首を傾げるエイル。
ほんの少し沈黙するとニーナはハッとするような素振りをしてエイルに話しかける。
「もしかしてステータスが下がったとか?」
「そうかもと思ってステータスカードを見たが変化はなかった」
「と、とにかくブッザスさんの帰りを待ちましょう」
「そうだな。ブッザスなら答えが分かるかもしれんしな」
こうして二人はブッザスの帰りを1時間程待ったが、帰ってこないため探しにいくこととした。
僕の体はご丁寧にロープでぐるぐるに体を巻かれ、口には布でできた猿轡を嵌められて大きな声が出せない。
建物の中は木箱が乱雑に置かれており、窓の外からも大きな満月の月明かりが建物の中を照らしている。その明かりに照らされた3人の人間がいる。
ワイズマン、リリム、エニシだ……
リリムが僕に話しかける。
「あんたが素直に私達のパーティに入るっていえばこんなことしなくても済んだのに」
「……」
「口にそんなもん嵌められてたら何もいえねーわな」
ワイズマンがそう言って口を挟む。
「とりあえず、やってみる?」
リリムがそう言うとエニシが紙のような物を持ち出してくる。
ワイズマンが俺に話しかける。
「それが何か分かるか?」
その紙はよく見るとギルドに提出するパーティ加入書と呼ばれる物だ。
「その紙にはお前が俺たちパーティに加入するということが書かれている。それにお前の拇印を押せば晴れてお前は俺たちのパーティってわけだ」
エニシが僕の背後に回って後ろ手になった手から親指で加入書に拇印を押す。
「押しました……どうですか? リリム、ワイズマン能力の向上は?」
ワイズマンは斧を取り出して振り回す。そして力を貯める素振りからブラッディウィンドを使用するのが分かる
かつての彼の力であれば、木箱を壊すことなど容易いはず。
それが……木箱はドンという音を立てて転がるるだけで、壊れたりはしていない。ワイズマンはふーとため息をついて苦虫をつぶしたような顔をする。
ワイズマンとエニシに会話が聞こえてくる。
「駄目だな。能力は上がってない」
「形式的な物ではダメということですね」
「これで上手く行けば楽だったがな」
「こいつほんとに触媒体質なの?」
リリムは疑っているといような感じで二人に話しかける。
「おそらく、さっきの加入書の結果、触媒体質の発動条件は自分の意思で加入をするという公算が高いです」
「でもこいつ自分で加入するって絶対に言わないよ」
「そうですね……加入するって言わせればいいんですよ。ありとあらゆる手を使ってでもね」
エニシの鋭い視線が僕に刺さる。
「ありとあらゆる手か……」
リリムがボソッと呟く。
「そうです。それでも触媒体質が発動しないということであれば、彼は我々にとっては必要のない人間ということです。まあどっちにしろ触媒体質が発動しなければ不必要な人間に変わりありませんがね」
エニシは冷淡にそう言い放つ。
「さあ、どうするブッザス? 痛いのは好きか? 」
ワイズマンはニヤッと嫌な笑顔を浮かべ告げた。
奴らは僕を拷問するつもりだ……パーティに入れと、自分の意思で入れと……
ワイズマンが僕の口の猿轡を外す。そして諭すように話しかけてくる。
「どうだ、ブッザス。俺たちもお前を殺したくはない。パーティに入らないか? パーティに入ったらお前は何もしなくていい。ただ俺たちと一緒にいるだけで銅ランクの報酬の1/4が貰えるんだいい話じゃないか?」
こいつらだけは絶対に許せない……一度ならず二度までも僕を傷つけて……ニーナやエイルまで裏切れと……しかも力づくで僕を従わせようとしている……
絶対仲間になんかならない……このままここで朽ち果ててでも……
……ちょっとまて冷静に考えるんだ……それでいいのか? それでこいつらに痛い目に合わせ、地獄に落とせることになるのか……こいつらは銅ランクからただ落ちるだけ……僕の命と引き換えに……そして罰を受けることもなく生きていく……
何かこいつらを陥れる方法があるはず……何か…考えろ……考えろ……
あ……
……思いついた…… しかし上手くいくかどうかはわからない……。ニーナやエイルのことを裏切るようなことになってしまう……それでもいいのか?
でもこれしか僕が取れる方法はない……
ごめんよ……ニーナ、エイル……
僕は口元をニヤリと歪めて、ワイズマンにこう言った。
「僕をデーモンの目にも涙に入れてくれ」
と……
◇◆◇
朝の光が街の郊外で野営をしている、ニーナを照らす。
「ふぁぁぁ」
と大きなあくびをして起きるニーナ。隣で寝てたエイルの姿がない。
「1、2、3」
と数字を数えるエイルの声が聞こえる。
ニーナがその声をの方を向くと、エイルが剣を持って素振りをしている。
ニーナはエイルに話しかける。
「おはようございます。エイルさん。ブッザスさん帰ってきてないんですね」
「ああ……大方、飲みすぎて道端ででも寝てるんだろ」
「ですねぇ……朝になりましたしもうすぐ帰ってくるでしょうかね? 」
「ああ……」
剣を振るエイルの顔は冴えない。その事に気がついたニーナはエイルに話しかける。
「どうしたんですかエイルさん」
エイルは剣を振る手を止めてニーナに話しかける。
「剣が……剣がいつもより重いんだ……」
「剣が重い?」
「ああ、以前パーティに入る前のような感じだ……」
「え? それってどういう……」
「分からない……」
そう言って首を傾げるエイル。
ほんの少し沈黙するとニーナはハッとするような素振りをしてエイルに話しかける。
「もしかしてステータスが下がったとか?」
「そうかもと思ってステータスカードを見たが変化はなかった」
「と、とにかくブッザスさんの帰りを待ちましょう」
「そうだな。ブッザスなら答えが分かるかもしれんしな」
こうして二人はブッザスの帰りを1時間程待ったが、帰ってこないため探しにいくこととした。
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