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第5章 魔法の国のスピカ
第100話 戦線布告
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「これが我々の戦力です」
クロエとアビゲイルに連れられ私は街の外れにある倉庫にやって来ている。
父の葬儀から早いもので1年が過ぎた。あのアビゲイルの演説の後、国民は私を導く者として迎え入れ、それに押し切られるように始祖の家の人間も私を導く者として認めた。全て宰相アビゲイルのシナリオ通りなんだろう。
そしてまだ若いからという理由から政治的なことは全てアビゲイルとクロエに任せて欲しいと言われ……私は首を立てに振る選択肢しか無かった。
アビゲイルやクロエの全てを信用していたわけじゃない……でも私が導く者になるために尽力をしてくれている。国民のことを考えているということだけで私は彼らの提案に首を立てに振るしか無かった。
そして今日は軍事顧問という役職についたクロエが私に見せたいものがあるということでこの倉庫にやって来た。
私がそれを見る意味はあるの?と少しだけ疑問に思ったのだが……
倉庫の扉をクロエが開くと縦横に規則正しく並べられた木人形が無数にある。その手には大きな包丁のような剣や、長い槍を握っているものなど様々。
技術者だろうか?白衣を着た男が私達のもとにやってきて
「導く者のスピカ様に会えて光栄です!今から説明をさせていただきます」
「はい」
男の目は輝いて生き生きしているように見える。
「これは傀儡兵というものです。お手伝い用の木偶人形を兵器に転用したもので、魔石に込められた魔力によって280日の連続運用ができます」
そう言うとその男は一つの傀儡兵に近寄り手をかざす。
それまで力なく首を下げていた傀儡兵が首をもたげ動き始める。
「外の世界では魔法を使えるものはいません。この傀儡兵のように剣や槍をもって戦うのが一般的です」
クロエが説明をし、腰に下げた剣を抜く。
そしてその傀儡兵の首をクロエが跳ね飛ばす。
ゴロゴロと首が転がるが、その傀儡兵は動き続ける。
頭を拾い上げた技術者がスピカに話しかける。
「人間というものは脆いものです。腕や脚を失うだけでその戦力は大幅に低下する。しかしこの傀儡兵は腕や脚を失っても戦力の低下をすることなく戦い続けることができます。もちろん休憩も食事も必要なく戦い続けることができるのです。」
その話が終わるとクロエは自信に溢れたような表情で話しかけてくる。
「この傀儡兵を用いれば、十王国は1ヶ月で落とすことができます」
アビゲイルも口を開く。
「どうですか。スピカ様。この傀儡兵を用いれば我が国の民を傷つけること無く約束の地に導くことができる」
「国民が傷つかないのであればこのまま進めてください」
これでいいんだ。これで……国民を導くこれが私の使命なんだ……
私の返事に技術者が嬉しそうにはい!と返事をした。
そして私が18の誕生日を迎えた。
「スピカ様どうぞこちらに」
宮殿に設けられた私の部屋にクロエとアビゲイルがやってくる。
正装をした私は光を放つ宝玉の前に立つ。
クロエの話によると傀儡兵100万体を用意、私の18の誕生日をもって十王国に侵攻を開始する。既に先行し岩石城という城に攻め込んでおり、すでに岩石城は落ちた。そして十王国に対してゲルニカを明け渡すかどうか迫るというもので拒否すればそのまま侵攻を開始するというものだった。
そして私は宝玉に話しかける。
第5章 魔法の国のスピカ編 完
クロエとアビゲイルに連れられ私は街の外れにある倉庫にやって来ている。
父の葬儀から早いもので1年が過ぎた。あのアビゲイルの演説の後、国民は私を導く者として迎え入れ、それに押し切られるように始祖の家の人間も私を導く者として認めた。全て宰相アビゲイルのシナリオ通りなんだろう。
そしてまだ若いからという理由から政治的なことは全てアビゲイルとクロエに任せて欲しいと言われ……私は首を立てに振る選択肢しか無かった。
アビゲイルやクロエの全てを信用していたわけじゃない……でも私が導く者になるために尽力をしてくれている。国民のことを考えているということだけで私は彼らの提案に首を立てに振るしか無かった。
そして今日は軍事顧問という役職についたクロエが私に見せたいものがあるということでこの倉庫にやって来た。
私がそれを見る意味はあるの?と少しだけ疑問に思ったのだが……
倉庫の扉をクロエが開くと縦横に規則正しく並べられた木人形が無数にある。その手には大きな包丁のような剣や、長い槍を握っているものなど様々。
技術者だろうか?白衣を着た男が私達のもとにやってきて
「導く者のスピカ様に会えて光栄です!今から説明をさせていただきます」
「はい」
男の目は輝いて生き生きしているように見える。
「これは傀儡兵というものです。お手伝い用の木偶人形を兵器に転用したもので、魔石に込められた魔力によって280日の連続運用ができます」
そう言うとその男は一つの傀儡兵に近寄り手をかざす。
それまで力なく首を下げていた傀儡兵が首をもたげ動き始める。
「外の世界では魔法を使えるものはいません。この傀儡兵のように剣や槍をもって戦うのが一般的です」
クロエが説明をし、腰に下げた剣を抜く。
そしてその傀儡兵の首をクロエが跳ね飛ばす。
ゴロゴロと首が転がるが、その傀儡兵は動き続ける。
頭を拾い上げた技術者がスピカに話しかける。
「人間というものは脆いものです。腕や脚を失うだけでその戦力は大幅に低下する。しかしこの傀儡兵は腕や脚を失っても戦力の低下をすることなく戦い続けることができます。もちろん休憩も食事も必要なく戦い続けることができるのです。」
その話が終わるとクロエは自信に溢れたような表情で話しかけてくる。
「この傀儡兵を用いれば、十王国は1ヶ月で落とすことができます」
アビゲイルも口を開く。
「どうですか。スピカ様。この傀儡兵を用いれば我が国の民を傷つけること無く約束の地に導くことができる」
「国民が傷つかないのであればこのまま進めてください」
これでいいんだ。これで……国民を導くこれが私の使命なんだ……
私の返事に技術者が嬉しそうにはい!と返事をした。
そして私が18の誕生日を迎えた。
「スピカ様どうぞこちらに」
宮殿に設けられた私の部屋にクロエとアビゲイルがやってくる。
正装をした私は光を放つ宝玉の前に立つ。
クロエの話によると傀儡兵100万体を用意、私の18の誕生日をもって十王国に侵攻を開始する。既に先行し岩石城という城に攻め込んでおり、すでに岩石城は落ちた。そして十王国に対してゲルニカを明け渡すかどうか迫るというもので拒否すればそのまま侵攻を開始するというものだった。
そして私は宝玉に話しかける。
第5章 魔法の国のスピカ編 完
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