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第3章 鴉
第73話 リリカとレグルス
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「今までの祖人は、部族をまとめるものが居なかった」
リリカはレグルスに話をし始める。レグルスは腕を組みリリカの話を真剣でに聞いている。
「ロレンツォか…」
「それもある。しかし奴だけではまとめきれるはずがない。奴は所詮人間、祖人ではない」
「なるほど…ロレンツォがまとめているわけではないととすれば、報告にあった祖人イゴソか」
「そうだ…イゴソというカリスマがロレンツォに力を与えている。」
「ということは、イゴソが討てば…」
「そうだ。要石を失った祖人はバラバラになる」
「小が大に勝るには大将を討て…兵法の基本だな…しかしどうやってイゴソ狙う?敵もそれをわかっているはずだろう?」
リリカはニヤリと笑いレグルスに話を続ける。
「なぜ祖人共がイゴソの言う事なら聞くのか、それはその力の強さその器に惹かれているからだ。だから前線の近くにいなければ祖人たちには認められない」
「なるほど…しかしいくら前線の近くにいるとはいえ、1500の兵で討てるものなのか?」
「一ついいですか。祖人達は雪と氷の世界で育った。そして今十王国は雨季」
それを聞いたレグルスはハッとした顔をする。
「雨か…」
「はい。そしてウィンタールからこの地までの道のりは険しい」
全てを聞かずとも悟ったレグルスは明るい表情になり何やら紙にかきながら話をする。
「騎士団長は私が説得する」
「ありがとうレグルス」
「俺と君の仲だろ?」
「ああ、そうだな」
リリカは昔懐かしむような表情を見せる。
そして俺たちはレグルスの部屋を後にする。
騎士団本部の中を歩きながらリリカが口を開く。
「ふーなんとかなりそうだな…」
「副長のおかげです」
「レグルスだけでも危機感を持っていたことが救いだったな」
「確かに…」
「あいつは剣の腕だけは昔から確かだった。ただそれだけだったのに、いつの間にか頼れる剣聖様になったな」
「副長は剣聖の過去を知っているんですか?」
「ああ、あいつとは古い付き合いだからな。私が鴉になる前の…」
◇◆◇
「なんでこんな奴が!」
黒い髪をショートカットにした冷ややかな顔をした美しい顔をした女性が肩で息をしながら木剣を手に呟く。その相手側には寝癖の付いたブラウンの髪で気の抜けた顔をした男が立っている。
「リリカさんでしたっけ?力みすぎですね」
「うっさい!私はこう見えてもウィンタール最強といわれているんだ!」
そう言うと、剣を構えリリカは男に斬りかかる。
男はひょいっとその剣を弾き飛ばす。リリカの持っていた木剣がくるくると宙を舞い、カランコロンと板張りの床に落ちる。
「くそ!こんな男に負けるなんて…一生の不覚…」
リリカは目に涙を溜めている。
「大丈夫だよ。俺は20代目の剣聖になる男だから俺に負けてもそれは不名誉なことじゃない」
リリカはこの男を目の敵にしていた。騎士団に3年前に同期で入団。奴は騎士学校出身で剣の腕はピカイチと言われていたがそれ以外はちゃらんぽらんで全く頼りにならない男、一方のリリカはウィンタールという地方出身のため血の滲むような努力とその才能で極めて優秀な成績で騎士団に入団したのだ。
最近王都に盗賊の被害が相次いでおり、この二人に白羽の矢が立ち調査するということになった。
そしてさっきの戦いは、彼女と後の剣聖レグルスがコンビを組むこととなり、彼の実力に懐疑的だったリリカが練習試合を申し込んだ結果だった。
二人は調査のために街に出る。
腰には帯剣をし、きちっとした詰め襟をしシワひとつない騎士団の制服をリリカは着ている。一方のレグルスは詰め襟を崩し適当に制服を着ている。
「へぇぇそりゃ大変だねおばちゃん」
レグルスは市場のおばちゃんと話をしていた。
一方のリリカは盗賊が入ったという建物の中に入りなにかないかと探す。
建物の調査を終え、レグルスを待つリリカ。
30分ほど待っているとレグルスが手に果物を大量に持って現れる。
「果物屋のおばちゃんの売上も盗まれてらしくて、売上に貢献してきましたよ」
それを聞いて呆れながら話をするリリカ。
「こっちは手がかりになりそうなものはなかった。それでなにか情報はあったのか?」
首を捻って思い出すような素振りをする。
「…いやなんもありませんでしたね」
「…ただ買い物しただけか」
「このリンゴ美味しいですよ」
そう言ってリリカにリンゴを投げる。
夕方になり、一旦騎士団本部に戻り、レグルスと別れたリリカは意を決した表情で上司である騎士長の元へ向かい騎士長を見つけ話しかける。
「騎士長…私にレグルスとのコンビは無理です」
「そうかね?優秀な二人で良いコンビになると思ったのだがね…」
「…」
「もう少し様子見てはどうかね?」
「…はい…」
これ以上騎士長と話すことは無駄と悟ったリリカは騎士長と別れ、調べ物を始める。そして夜の帳が降りる頃。
「調べ物をしているとすっかり遅くなってしまった」
騎士団本部から出てくる駆け足で出てくるリリカの姿があった。その前を行く私服着た男がいる。リリカはその男に見覚えがあった。
あのちゃらんぽらん男のレグルスだ。
リリカはその後をつける。昼間は人通りで溢れている市場の通りが夜には人通りがなく閑散としているそこにレグルスが一人歩いている。
その様子を隠れて伺う。
「まさかあいつが?」
リリカに疑念が浮かぶ。
暫くレグルスの様子を見ていると、レグルスの動きが止まり、身を隠しているその視線の先の店の扉が開いている。
まさか…
リリカはレグルスの側に行き話しかける。
「まさか盗賊か?」
「恐らく…鍵が壊されていますからね…ってあれリリカさんなんでここにいるんです?」
「しっ!出てくるぞ」
男二人組が扉から現れ手に大きな鞄を持って出てくる。
レグルスとリリカが飛び出しレグルスが声を掛ける。
「あれ?こんな夜分遅くなにしてるんですか?」
ビクッとした二人組の一人が答える
「ちょいと忘れ物をしたもので」
リリカが呆れながら話す。
「忘れ物をして鍵を壊すのか」
二人の男は顔を見合わせ、懐からナイフを取り出す。
「死にて―のか!このクソが」
そういいながらリリカとレグルスに襲いかかる。
2人共、仕事終わりで帯剣はしていない。リリカに突っ込んできた盗賊は、リリカに手を捕まれあっという間に後ろ手にされナイフを地面に落とす。
レグルスに襲いかかった盗賊は、首元に手刀の一撃を受け昏倒している。
「それじゃ騎士団本部へ連行しますか」
「ああ、そうだな」
――次の日
騎士長がリリカの姿を見つけ話しかけてくる。
「よくやったじゃないか。やはり二人を選んだ私の目に狂いはなかった」
「そうですね…どうやらいいコンビのようです」
それから2人で色々な事件を解決した。
そして私は鴉になる道を選んだ。
◇◆◇
そして、2週間が経とうとしていた。
リリカはレグルスに話をし始める。レグルスは腕を組みリリカの話を真剣でに聞いている。
「ロレンツォか…」
「それもある。しかし奴だけではまとめきれるはずがない。奴は所詮人間、祖人ではない」
「なるほど…ロレンツォがまとめているわけではないととすれば、報告にあった祖人イゴソか」
「そうだ…イゴソというカリスマがロレンツォに力を与えている。」
「ということは、イゴソが討てば…」
「そうだ。要石を失った祖人はバラバラになる」
「小が大に勝るには大将を討て…兵法の基本だな…しかしどうやってイゴソ狙う?敵もそれをわかっているはずだろう?」
リリカはニヤリと笑いレグルスに話を続ける。
「なぜ祖人共がイゴソの言う事なら聞くのか、それはその力の強さその器に惹かれているからだ。だから前線の近くにいなければ祖人たちには認められない」
「なるほど…しかしいくら前線の近くにいるとはいえ、1500の兵で討てるものなのか?」
「一ついいですか。祖人達は雪と氷の世界で育った。そして今十王国は雨季」
それを聞いたレグルスはハッとした顔をする。
「雨か…」
「はい。そしてウィンタールからこの地までの道のりは険しい」
全てを聞かずとも悟ったレグルスは明るい表情になり何やら紙にかきながら話をする。
「騎士団長は私が説得する」
「ありがとうレグルス」
「俺と君の仲だろ?」
「ああ、そうだな」
リリカは昔懐かしむような表情を見せる。
そして俺たちはレグルスの部屋を後にする。
騎士団本部の中を歩きながらリリカが口を開く。
「ふーなんとかなりそうだな…」
「副長のおかげです」
「レグルスだけでも危機感を持っていたことが救いだったな」
「確かに…」
「あいつは剣の腕だけは昔から確かだった。ただそれだけだったのに、いつの間にか頼れる剣聖様になったな」
「副長は剣聖の過去を知っているんですか?」
「ああ、あいつとは古い付き合いだからな。私が鴉になる前の…」
◇◆◇
「なんでこんな奴が!」
黒い髪をショートカットにした冷ややかな顔をした美しい顔をした女性が肩で息をしながら木剣を手に呟く。その相手側には寝癖の付いたブラウンの髪で気の抜けた顔をした男が立っている。
「リリカさんでしたっけ?力みすぎですね」
「うっさい!私はこう見えてもウィンタール最強といわれているんだ!」
そう言うと、剣を構えリリカは男に斬りかかる。
男はひょいっとその剣を弾き飛ばす。リリカの持っていた木剣がくるくると宙を舞い、カランコロンと板張りの床に落ちる。
「くそ!こんな男に負けるなんて…一生の不覚…」
リリカは目に涙を溜めている。
「大丈夫だよ。俺は20代目の剣聖になる男だから俺に負けてもそれは不名誉なことじゃない」
リリカはこの男を目の敵にしていた。騎士団に3年前に同期で入団。奴は騎士学校出身で剣の腕はピカイチと言われていたがそれ以外はちゃらんぽらんで全く頼りにならない男、一方のリリカはウィンタールという地方出身のため血の滲むような努力とその才能で極めて優秀な成績で騎士団に入団したのだ。
最近王都に盗賊の被害が相次いでおり、この二人に白羽の矢が立ち調査するということになった。
そしてさっきの戦いは、彼女と後の剣聖レグルスがコンビを組むこととなり、彼の実力に懐疑的だったリリカが練習試合を申し込んだ結果だった。
二人は調査のために街に出る。
腰には帯剣をし、きちっとした詰め襟をしシワひとつない騎士団の制服をリリカは着ている。一方のレグルスは詰め襟を崩し適当に制服を着ている。
「へぇぇそりゃ大変だねおばちゃん」
レグルスは市場のおばちゃんと話をしていた。
一方のリリカは盗賊が入ったという建物の中に入りなにかないかと探す。
建物の調査を終え、レグルスを待つリリカ。
30分ほど待っているとレグルスが手に果物を大量に持って現れる。
「果物屋のおばちゃんの売上も盗まれてらしくて、売上に貢献してきましたよ」
それを聞いて呆れながら話をするリリカ。
「こっちは手がかりになりそうなものはなかった。それでなにか情報はあったのか?」
首を捻って思い出すような素振りをする。
「…いやなんもありませんでしたね」
「…ただ買い物しただけか」
「このリンゴ美味しいですよ」
そう言ってリリカにリンゴを投げる。
夕方になり、一旦騎士団本部に戻り、レグルスと別れたリリカは意を決した表情で上司である騎士長の元へ向かい騎士長を見つけ話しかける。
「騎士長…私にレグルスとのコンビは無理です」
「そうかね?優秀な二人で良いコンビになると思ったのだがね…」
「…」
「もう少し様子見てはどうかね?」
「…はい…」
これ以上騎士長と話すことは無駄と悟ったリリカは騎士長と別れ、調べ物を始める。そして夜の帳が降りる頃。
「調べ物をしているとすっかり遅くなってしまった」
騎士団本部から出てくる駆け足で出てくるリリカの姿があった。その前を行く私服着た男がいる。リリカはその男に見覚えがあった。
あのちゃらんぽらん男のレグルスだ。
リリカはその後をつける。昼間は人通りで溢れている市場の通りが夜には人通りがなく閑散としているそこにレグルスが一人歩いている。
その様子を隠れて伺う。
「まさかあいつが?」
リリカに疑念が浮かぶ。
暫くレグルスの様子を見ていると、レグルスの動きが止まり、身を隠しているその視線の先の店の扉が開いている。
まさか…
リリカはレグルスの側に行き話しかける。
「まさか盗賊か?」
「恐らく…鍵が壊されていますからね…ってあれリリカさんなんでここにいるんです?」
「しっ!出てくるぞ」
男二人組が扉から現れ手に大きな鞄を持って出てくる。
レグルスとリリカが飛び出しレグルスが声を掛ける。
「あれ?こんな夜分遅くなにしてるんですか?」
ビクッとした二人組の一人が答える
「ちょいと忘れ物をしたもので」
リリカが呆れながら話す。
「忘れ物をして鍵を壊すのか」
二人の男は顔を見合わせ、懐からナイフを取り出す。
「死にて―のか!このクソが」
そういいながらリリカとレグルスに襲いかかる。
2人共、仕事終わりで帯剣はしていない。リリカに突っ込んできた盗賊は、リリカに手を捕まれあっという間に後ろ手にされナイフを地面に落とす。
レグルスに襲いかかった盗賊は、首元に手刀の一撃を受け昏倒している。
「それじゃ騎士団本部へ連行しますか」
「ああ、そうだな」
――次の日
騎士長がリリカの姿を見つけ話しかけてくる。
「よくやったじゃないか。やはり二人を選んだ私の目に狂いはなかった」
「そうですね…どうやらいいコンビのようです」
それから2人で色々な事件を解決した。
そして私は鴉になる道を選んだ。
◇◆◇
そして、2週間が経とうとしていた。
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