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第2章 騎士学校
第50話 卒業
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マーフが学校を去り、2年が経った。第2王子と正式に婚約したという話が王都を駆け巡った。一方の俺達はというと、学校の卒業を明日に控えている。
――2年前
マーフが学校を去った翌日、学校で中庭で俺はシャウラに話しかける。
「俺、剣聖になりたいんだけど…どうすればなれるんだ?」
シャウラは驚いたような表情をしている。
「ずっとまえから君は剣聖を目指しているものと思ってたよ」
「いや…俺は今の剣聖に勝つつもりだったけど、称号としての剣聖には興味なかった」
「どうしてなろうと思ったの?」
「…あいつと…約束したから」
「分かった…一番の近道は騎士団に入ることじゃないかな…それで周囲から王国最強と認められれば」
「そっか。あいつ…剣聖はそうやってなったんだな…」
「20代剣聖場合は19代が不在ってこともあったからね」
「決めた!俺は騎士団に入って21代目剣聖になる!」
「そっかじゃあ、卒業したらお別れだね」
「そうか…シャウラは」
シャウラは学校を卒業後、軍略家になるべく王国軍に入るつもりであると前に言っていた。座学の成績も優秀だしシャウラなら希望の部署に行けるだろうとロンドも太鼓判を押していた。
2年前から俺達は別々の道を歩きはじめようとしていた。
――そして卒業の日の朝
まだ肌寒い春の日の朝…俺はいつもの時間に目が覚める。
この寮ともお別れになる。騎士団に入団がすることが決まっていたので騎士団本部の近くにある寮に引っ越すことが決まっており、とりたてて荷物もそれほどないので、先に騎士団の寮に荷物は運んでいた。
朝食を終え、最後の制服に身を通し3年間世話になった部屋を後にし寮を出て門に向かう。
寮の門ではいつものようにシャウラが待っている。
「おはようラグウェル」
「おはようシャウラ」
朝の挨拶を終え、俺達は学校に向かう。教室にはよらず、そのまま講堂に行く。決められた席に座りその時を待つ。
ほかの生徒たちも入ってくる。俺達の学年は結局120人余が卒業を迎え、その半数が騎士団に入るということであった。騎士団入りしないものはシャウラのように国軍に入ったり、地方出身で故郷に帰るものなどがいる。
来賓席をみると背中まで伸びた綺麗な真っ赤な髪をした真っ青なドレスを来たマーフによく似た顔をした女性とその横に金髪碧眼で端正な顔をした少しだけ年上にみえる男性が座っている。校長や他の来賓たちがその人物にペコペコしながら挨拶をしているところをみるとかなりの大物ようである。
マーフと目があうこともあったが反応らしい反応はなかった。彼女ももう別の道を歩きだしたのだ。今日この場にいるのは騎士学校の卒業式に王家のもの来賓として来たのだ。
そして校長のムルジムが講堂の壇上に立つ。そして生徒の名前を読み上げ、名前を呼ばれた生徒は立ち上がる。順番に呼ばれ、俺の番になり「はい!」と返事をし立ち上がる。
全員が名前を呼ばれ、立ち上がり校長が話を始める。
「私がこの学校を卒業したのが…」
長い…話が長い…今は校長の騎士団時代の話だ…
校長は学生時代の話から騎士団時代の話そして今の話へとなり
「それではこれで話を終わります。皆さんおめでとう」
その場に校長以外ホッとした空気が流れる。
来賓の挨拶が始まり、第二王子セネバと呼ばれたマーフの隣にいた男性が登壇する。
「ムルジム校長の話が長かったので僕からは手短にお祝いの言葉を述べたいと思います」
場内がわっと沸きそれまでのうんざりした空気が一変し明るい空気が流れる。
「我妻が2年前お世話になったということもあり、今回卒業式に始めて参加させていただきました。騎士団に行かれる方や国軍に入られる方が多いと聞いています。ざっとみるからに私と年も近いでしょう。私とともにこれからの十王国の未来を一緒に切り開いて行きましょう。これにて私の挨拶を終わります。おめでとうございます」
他の来賓達の挨拶も終わり卒業式が終わった。
俺とシャウラは校門に立つ。
「そういや僕たちが始めてあったのは、街で君が迷ってたときだったね」
遠くを見つめシャウラは昔話を始める。
「そうだったな」
「第一印象はね。汚くて臭い変な奴だと思ってたよ。それを学校に案内するなんてー!ってね」
「あはははは、確かにあんときは3ヶ月ぐらい風呂入ってなかったからな」
「あれは強烈だったよ」
俯いてしんみりとするシャウラ。
「今日でお別れだね…マーフもこの場にいたかっただろうな」
「…うん、でも最後に俺達にその姿を見せてくれた。あれがあいつの精一杯の別れの挨拶さ」
「うん。そうだね彼女はもう王家の人間だからね…」
「明日から騎士団かぁ。授業中みたいに寝るわけにもいかないよな」
「そうだよ!君は彼女との約束もあるからね」
「ああ、俺は剣聖を目指す。お前は軍略家を目指す」
「うん。向いている方向は違うけど、お互い頑張ろう!!」
シャウラは右手をそっと差し出す。俺も右手を差し出し二人で校門の前で握手をする。
そしてお互いは別の方向へと歩き出した。
第2章―完―
――2年前
マーフが学校を去った翌日、学校で中庭で俺はシャウラに話しかける。
「俺、剣聖になりたいんだけど…どうすればなれるんだ?」
シャウラは驚いたような表情をしている。
「ずっとまえから君は剣聖を目指しているものと思ってたよ」
「いや…俺は今の剣聖に勝つつもりだったけど、称号としての剣聖には興味なかった」
「どうしてなろうと思ったの?」
「…あいつと…約束したから」
「分かった…一番の近道は騎士団に入ることじゃないかな…それで周囲から王国最強と認められれば」
「そっか。あいつ…剣聖はそうやってなったんだな…」
「20代剣聖場合は19代が不在ってこともあったからね」
「決めた!俺は騎士団に入って21代目剣聖になる!」
「そっかじゃあ、卒業したらお別れだね」
「そうか…シャウラは」
シャウラは学校を卒業後、軍略家になるべく王国軍に入るつもりであると前に言っていた。座学の成績も優秀だしシャウラなら希望の部署に行けるだろうとロンドも太鼓判を押していた。
2年前から俺達は別々の道を歩きはじめようとしていた。
――そして卒業の日の朝
まだ肌寒い春の日の朝…俺はいつもの時間に目が覚める。
この寮ともお別れになる。騎士団に入団がすることが決まっていたので騎士団本部の近くにある寮に引っ越すことが決まっており、とりたてて荷物もそれほどないので、先に騎士団の寮に荷物は運んでいた。
朝食を終え、最後の制服に身を通し3年間世話になった部屋を後にし寮を出て門に向かう。
寮の門ではいつものようにシャウラが待っている。
「おはようラグウェル」
「おはようシャウラ」
朝の挨拶を終え、俺達は学校に向かう。教室にはよらず、そのまま講堂に行く。決められた席に座りその時を待つ。
ほかの生徒たちも入ってくる。俺達の学年は結局120人余が卒業を迎え、その半数が騎士団に入るということであった。騎士団入りしないものはシャウラのように国軍に入ったり、地方出身で故郷に帰るものなどがいる。
来賓席をみると背中まで伸びた綺麗な真っ赤な髪をした真っ青なドレスを来たマーフによく似た顔をした女性とその横に金髪碧眼で端正な顔をした少しだけ年上にみえる男性が座っている。校長や他の来賓たちがその人物にペコペコしながら挨拶をしているところをみるとかなりの大物ようである。
マーフと目があうこともあったが反応らしい反応はなかった。彼女ももう別の道を歩きだしたのだ。今日この場にいるのは騎士学校の卒業式に王家のもの来賓として来たのだ。
そして校長のムルジムが講堂の壇上に立つ。そして生徒の名前を読み上げ、名前を呼ばれた生徒は立ち上がる。順番に呼ばれ、俺の番になり「はい!」と返事をし立ち上がる。
全員が名前を呼ばれ、立ち上がり校長が話を始める。
「私がこの学校を卒業したのが…」
長い…話が長い…今は校長の騎士団時代の話だ…
校長は学生時代の話から騎士団時代の話そして今の話へとなり
「それではこれで話を終わります。皆さんおめでとう」
その場に校長以外ホッとした空気が流れる。
来賓の挨拶が始まり、第二王子セネバと呼ばれたマーフの隣にいた男性が登壇する。
「ムルジム校長の話が長かったので僕からは手短にお祝いの言葉を述べたいと思います」
場内がわっと沸きそれまでのうんざりした空気が一変し明るい空気が流れる。
「我妻が2年前お世話になったということもあり、今回卒業式に始めて参加させていただきました。騎士団に行かれる方や国軍に入られる方が多いと聞いています。ざっとみるからに私と年も近いでしょう。私とともにこれからの十王国の未来を一緒に切り開いて行きましょう。これにて私の挨拶を終わります。おめでとうございます」
他の来賓達の挨拶も終わり卒業式が終わった。
俺とシャウラは校門に立つ。
「そういや僕たちが始めてあったのは、街で君が迷ってたときだったね」
遠くを見つめシャウラは昔話を始める。
「そうだったな」
「第一印象はね。汚くて臭い変な奴だと思ってたよ。それを学校に案内するなんてー!ってね」
「あはははは、確かにあんときは3ヶ月ぐらい風呂入ってなかったからな」
「あれは強烈だったよ」
俯いてしんみりとするシャウラ。
「今日でお別れだね…マーフもこの場にいたかっただろうな」
「…うん、でも最後に俺達にその姿を見せてくれた。あれがあいつの精一杯の別れの挨拶さ」
「うん。そうだね彼女はもう王家の人間だからね…」
「明日から騎士団かぁ。授業中みたいに寝るわけにもいかないよな」
「そうだよ!君は彼女との約束もあるからね」
「ああ、俺は剣聖を目指す。お前は軍略家を目指す」
「うん。向いている方向は違うけど、お互い頑張ろう!!」
シャウラは右手をそっと差し出す。俺も右手を差し出し二人で校門の前で握手をする。
そしてお互いは別の方向へと歩き出した。
第2章―完―
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