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第2章 騎士学校
第45話 パックの実力
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「じゃあシャウラ、パックと戦ってみて」
俺達は学校の道場に戻り、2人に声を掛ける。
驚きの表情を見せシャウラが口を開く。
「え?僕と?」
「苦手でも基本は出来てるでしょ?パックの実力を測るにはちょうどいいと思うんだ。俺やマーフだと強すぎるしなぁ」
「そっか…じゃあやってみるよ」
シャウラはしょうがないという感じで、木剣を持ち道場の中央に立つ
俺はパックに話しかける。
「それじゃパックも思うように一回戦ってみて」
「はい!」
目を輝かせながらパックは返事をシャウラの向かい側に立つ。
「素人と立たせて大丈夫なの?構えもなってないし」
心配そうな口ぶりでマーフが俺に話しかけてくる。
確かにパックの構えは腰が引け、その構えでは打ち込むことも難しいといった感じでマーフが心配するのも分かる。
俺の合図で試合が始まった。合図を出した途端、シャウラから仕掛ける。思いっきり剣を振りあげながら間合い詰め、一気に振り下ろす。なかなか鋭い振りだ。パックはそれを逃げるようにかわす。そしてシャウラもそれを追いかけて剣を振る。必死な表情でそれをかわすパック。ただ逃げ回るパックに剣を振るシャウラ、シャウラが次第にパックを追い詰める。
追い詰められたパックはヤケクソのように剣を振るった。それをシャウラにかわされシャウラの一撃がパックの頭の上でピタリと止まる。
嬉しさからか、少し顔を綻ばせたシャウラが声を上げる。
「僕の勝ち!」
パックは肩で息をし悔しそうな表情を見せる。
「これじゃ素人いじめてるだけじゃないのよ」
呆れたような目でマーフが俺のことを見る。
「あいつ…森で学んだこと何もしてないな」
そう呟き俺は手をあげ、パックに近づき耳打ちをする。それを聞いたパックは頷く。
「じゃあ、始めようか」
そう言って俺が中央から離れる。
怪訝そうな顔したマーフが俺に話しかける。
「なにを吹き込んで来たのよ?」
「まあ、見てろって次パックが勝つぞ」
「それはないわよ」
俺はマーフに試合を見るように促す。
パックは一旦目を閉じ、呼吸を整えている。さっきの構えとは違い自然体で突っ立っている。それを見たシャウラは
「ラグウェルから何を吹き込まれたのか知らないけど、これほどの実力差は埋まらないよ!」
さっきと同じように剣を振り上げ間合いを詰めてくる。シャウラの剣がパックの間合いに入った瞬間、パックは目を開く。
シャウラの振り下ろされた剣はパックの体をかすめるように空を切る。その瞬間、シャウラは驚きの表情をみせ、体勢を崩したシャウラにパックの剣が胴体に当たる前でピタッと止まる。
シャウラと勝ったパックも二人してきょとんした表情をし、マーフは驚きの表情で俺のことを見る。
それを見て俺はしたり顔をでマーフに話しかける。
「だから勝つって言ったろ?」
「動きが全然ちがうじゃない」
「これがパックの実力ってことさ」
肩を落としたシャウラはパックに話しかける。
「さっきと全く動きが違うんだけど、ラグウェルはなんて言ったの?」
「師匠があの森でウサギを捕まえたと時を思い出せって」
「それだけ?」
「うん。それだけ」
その会話を聞いたマーフが俺に話しかける。
「どういう意味よ」
「動物を捕まえるときって、動物の気配や息遣いを感じるまで集中をする。そして逃げる動物の一歩先を読んで捕まえるんだ」
「パックはそれをやったってこと?」
「うん。それができるようになると、相手の動きが読める。一歩先を読んで勝てる」
「それを鍛えるために、5日間の森生活をやったのね」
「一か八かの賭けだったけどな」
パックとシャウラがこっちにやってきて、シャウラが俺に話しかけてくる。
「パック君凄いよ…本当に優勝できるかもしれない」
パックの方を見ると頭を掻いて照れているような素振りを見せそしてポツリと呟く。
「イヴァンにも勝てるかな…」
「イヴァン?」
「うん…この間、俺のことを殴った奴」
「ああ、あのデカイ奴か」
「うん、あいつ去年のちびっこ剣術大会でも優勝したんだ」
それを聞いたマーフが会話に入ってくる。
「それってもしかしてライコフ家の?」
「うん」
「マーフ知ってんの?」
「ええ、知ってるわよ。うちとも付き合いのある貴族だし、あそこの嫌味なオヤジがずっと息子のこと自慢してたから覚えちゃったわよ」
マーフはパックの背中をパーンと叩き
「絶対優勝しなさい!あのクソオヤジをギャフンと言わせたいわ」
パックはマーフを真っ直ぐに見つめ
「うん、絶対イヴァンにも勝って優勝してみせる」
力強く答えた。
俺達は学校の道場に戻り、2人に声を掛ける。
驚きの表情を見せシャウラが口を開く。
「え?僕と?」
「苦手でも基本は出来てるでしょ?パックの実力を測るにはちょうどいいと思うんだ。俺やマーフだと強すぎるしなぁ」
「そっか…じゃあやってみるよ」
シャウラはしょうがないという感じで、木剣を持ち道場の中央に立つ
俺はパックに話しかける。
「それじゃパックも思うように一回戦ってみて」
「はい!」
目を輝かせながらパックは返事をシャウラの向かい側に立つ。
「素人と立たせて大丈夫なの?構えもなってないし」
心配そうな口ぶりでマーフが俺に話しかけてくる。
確かにパックの構えは腰が引け、その構えでは打ち込むことも難しいといった感じでマーフが心配するのも分かる。
俺の合図で試合が始まった。合図を出した途端、シャウラから仕掛ける。思いっきり剣を振りあげながら間合い詰め、一気に振り下ろす。なかなか鋭い振りだ。パックはそれを逃げるようにかわす。そしてシャウラもそれを追いかけて剣を振る。必死な表情でそれをかわすパック。ただ逃げ回るパックに剣を振るシャウラ、シャウラが次第にパックを追い詰める。
追い詰められたパックはヤケクソのように剣を振るった。それをシャウラにかわされシャウラの一撃がパックの頭の上でピタリと止まる。
嬉しさからか、少し顔を綻ばせたシャウラが声を上げる。
「僕の勝ち!」
パックは肩で息をし悔しそうな表情を見せる。
「これじゃ素人いじめてるだけじゃないのよ」
呆れたような目でマーフが俺のことを見る。
「あいつ…森で学んだこと何もしてないな」
そう呟き俺は手をあげ、パックに近づき耳打ちをする。それを聞いたパックは頷く。
「じゃあ、始めようか」
そう言って俺が中央から離れる。
怪訝そうな顔したマーフが俺に話しかける。
「なにを吹き込んで来たのよ?」
「まあ、見てろって次パックが勝つぞ」
「それはないわよ」
俺はマーフに試合を見るように促す。
パックは一旦目を閉じ、呼吸を整えている。さっきの構えとは違い自然体で突っ立っている。それを見たシャウラは
「ラグウェルから何を吹き込まれたのか知らないけど、これほどの実力差は埋まらないよ!」
さっきと同じように剣を振り上げ間合いを詰めてくる。シャウラの剣がパックの間合いに入った瞬間、パックは目を開く。
シャウラの振り下ろされた剣はパックの体をかすめるように空を切る。その瞬間、シャウラは驚きの表情をみせ、体勢を崩したシャウラにパックの剣が胴体に当たる前でピタッと止まる。
シャウラと勝ったパックも二人してきょとんした表情をし、マーフは驚きの表情で俺のことを見る。
それを見て俺はしたり顔をでマーフに話しかける。
「だから勝つって言ったろ?」
「動きが全然ちがうじゃない」
「これがパックの実力ってことさ」
肩を落としたシャウラはパックに話しかける。
「さっきと全く動きが違うんだけど、ラグウェルはなんて言ったの?」
「師匠があの森でウサギを捕まえたと時を思い出せって」
「それだけ?」
「うん。それだけ」
その会話を聞いたマーフが俺に話しかける。
「どういう意味よ」
「動物を捕まえるときって、動物の気配や息遣いを感じるまで集中をする。そして逃げる動物の一歩先を読んで捕まえるんだ」
「パックはそれをやったってこと?」
「うん。それができるようになると、相手の動きが読める。一歩先を読んで勝てる」
「それを鍛えるために、5日間の森生活をやったのね」
「一か八かの賭けだったけどな」
パックとシャウラがこっちにやってきて、シャウラが俺に話しかけてくる。
「パック君凄いよ…本当に優勝できるかもしれない」
パックの方を見ると頭を掻いて照れているような素振りを見せそしてポツリと呟く。
「イヴァンにも勝てるかな…」
「イヴァン?」
「うん…この間、俺のことを殴った奴」
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それを聞いたマーフが会話に入ってくる。
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「うん」
「マーフ知ってんの?」
「ええ、知ってるわよ。うちとも付き合いのある貴族だし、あそこの嫌味なオヤジがずっと息子のこと自慢してたから覚えちゃったわよ」
マーフはパックの背中をパーンと叩き
「絶対優勝しなさい!あのクソオヤジをギャフンと言わせたいわ」
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「うん、絶対イヴァンにも勝って優勝してみせる」
力強く答えた。
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