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第2章 騎士学校
第16話 基礎体力
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「シャウラなんか青い顔してるけどなんで?」
「基礎体力の授業ってのは一番しんどいやつだよ。特にあのエグルストンがする基礎体力はイビリだよ」
「それでみんな嫌がってたのか」
エグルストンは周りの空気もお構いなしに授業を進める。
「それじゃ今から腕立て俺が良いというまで」
シャウラは俺の顔を見てほらねってというような表情を見せる。
みんなその場でうつ伏せなり腕立て伏せの姿勢になる。
エグルストンは大きな麻袋を足元に置いている。そしてもう一度俺の方を見て
「そうだラグウェル君は期待の新人だから、ただ腕立てをしてもらってもつまらないだろ?だから私からプレゼントをあげよう」
そういってその麻袋を俺の背中に乗せる。その麻袋が乗った瞬間ズシリと両腕に重みを感じる。
「どうだい?ラグウェル君、君のために特製の重りを用意した。わが校始まって以来の編入生だからねぇ、その期待に応えるためにも他の人と同じ練習をしてはいけないと思うんだよ。どうだいラグウェル君、重くてできないってことはないだろう?」
その重りは大人の男一人分程度はあるような重さで、俺は大人一人を背負って腕立て伏せをすることになる。そして両腕で自分の体重と重りの重さ支えながら笑顔でエグルストンに答える。
「これぐらいなら大丈夫です」
エグルストンは少しムッとしていたが
「ほうなら見せて貰おうか、はじめ!!
生徒たちは一糸乱れぬ動きで腕立て伏せを始める。全員で回数を言った後に全員で返事をし一定のリズムで腕立て伏せをする。
「1」
「はい!」
「2」
「はい!」
20回をすぎたあたりから脱落する生徒たちが出てき始める。
それをみたエグルストンは大きなため息をつき怒り始める。
「はぁぁ、情けないそんなことで騎士になろうというのか?お前たちは!!50回もできずに脱落したものは点数なしだからな!」
そういってエグルストンは何やら紙に書き始めた。どうやらチェックをしているらしい。
そうこうしているうちにシャウラも苦悶の表情を浮かべ始め30回を過ぎるとそのまま起き上がれなくなる。
50回を超えるとクラス大半の人間が脱落する。
それをみてエグルストンは
「情けないなぁ…俺が学生の頃はみんな50回は必ず超えていたのになぁ」
嫌味を口にする。
俺はリズミカルに表情も変えずひたすら腕立てをしていた。エグルストンはそれを見てチッと舌打ちをし嫌な笑顔を浮かべ
「お、さすがラグウェル君!表情一つ変えずに腕立てとはやるねぇ、重さが足りないようだな」
そう言って隣にいるシャウラに声を掛ける。
「ラグウェル君は重さが足りないらしい、そこのお前ラグウェル君の上に乗りたまえ」
シャウラはオロオロとうろたえた様子で俺の事を見る。シャウラの方を向いて顔を上げコクリと頷く。するとズシっと重みを感じた。
シャウラは俺の背中にすわり小声で「ごめん」と一言謝った。
それでも俺はリズミカルに腕立てを続ける。100を超えた辺りからエグルストンは驚きとも畏怖ともいえるような表情を浮かべるようになり、120超えるころには他の生徒みんなが脱落し、俺だけが残る事態となり、少し焦ったように声を上ずらせ
「じゃあ腕立てはこの辺でやめにするか」
と言った。
シャウラが背中から降りる。そして俺の背中に乗っている麻袋を下ろそうとしてくれていたが、あまりにも重さに動かすことができなかった。
「ありがとう」
俺はシャウラに礼を言いゆっくりと麻袋を床に下ろし立ち上がる。
「もう終わりですか先生」
エグルストンは焦った様子で
「あ、ああ時間も限られているからな、腕立てだけをし続けるわけにもいかんだろ」
とバツが悪そうに話した。
俺がシャウラの隣に戻ると心配そうに声を掛けてくる。
「大丈夫?」
「うん、あれぐらい大丈夫だよ。気絶したアルファルド背負ってを木を登ったり、足を負傷したアルファルドを背負って岩山を登ったりしてたからさ」
シャウラは少し引き気味に返事をする。
「…へぇぇ」
「意識して鍛えたつもりもないんだけどね、こんなことやるよりも実際に戦った方が何倍も強くなるとおもうけどなぁ」
エグルストンは腕組みをし口を開く。
「次はウサギ飛び俺がいいというまで」
俺は例のごとく麻袋を背負わされ、延々とウサギ飛びをやらされる。講堂を50周はしたであろう。ほとんどの生徒たちがリタイアする中、重りを背負って涼しい顔をしてクリアする俺をみてエグルストンは右足をトントンとゆすり、イライラしているように見える。
「やめだ!やめ!うさぎ飛びやめ!!!」
ウサギ飛びをしているのが俺一人にになったところでエグルストンは叫び止めさせた。
苦虫をつぶしたような顔をしていたエグルストンは何かを思いついたのかこれならというような表情をする。
しかし彼は一番やってはいけない選択肢を取ってしまった。
「基礎訓練はやめだ!!これから実践訓練にうつる」
どよめく生徒たち。
シャウラもおどろいたような顔をしている。
「なんでみんなびっくりしてんの?あんな基礎訓練なんてやっても強くなんないって」
「それならいいけど…普通の実践訓練なら…」
エグルストンは木剣1本だけ持ち出してくる。
「これから丸腰の時に剣を持った相手と戦わなければならないという実践形式の訓練を行う。剣を振るうのは当然この俺だ」
生徒たちは顔を見合わせ、生徒の一人が質問をする。
「せ…先生と丸腰で戦えということですか」
「そういうことだな。俺と戦いたい奴は出てこい。俺に勝てたら満点をくれてやる」
「基礎体力の授業ってのは一番しんどいやつだよ。特にあのエグルストンがする基礎体力はイビリだよ」
「それでみんな嫌がってたのか」
エグルストンは周りの空気もお構いなしに授業を進める。
「それじゃ今から腕立て俺が良いというまで」
シャウラは俺の顔を見てほらねってというような表情を見せる。
みんなその場でうつ伏せなり腕立て伏せの姿勢になる。
エグルストンは大きな麻袋を足元に置いている。そしてもう一度俺の方を見て
「そうだラグウェル君は期待の新人だから、ただ腕立てをしてもらってもつまらないだろ?だから私からプレゼントをあげよう」
そういってその麻袋を俺の背中に乗せる。その麻袋が乗った瞬間ズシリと両腕に重みを感じる。
「どうだい?ラグウェル君、君のために特製の重りを用意した。わが校始まって以来の編入生だからねぇ、その期待に応えるためにも他の人と同じ練習をしてはいけないと思うんだよ。どうだいラグウェル君、重くてできないってことはないだろう?」
その重りは大人の男一人分程度はあるような重さで、俺は大人一人を背負って腕立て伏せをすることになる。そして両腕で自分の体重と重りの重さ支えながら笑顔でエグルストンに答える。
「これぐらいなら大丈夫です」
エグルストンは少しムッとしていたが
「ほうなら見せて貰おうか、はじめ!!
生徒たちは一糸乱れぬ動きで腕立て伏せを始める。全員で回数を言った後に全員で返事をし一定のリズムで腕立て伏せをする。
「1」
「はい!」
「2」
「はい!」
20回をすぎたあたりから脱落する生徒たちが出てき始める。
それをみたエグルストンは大きなため息をつき怒り始める。
「はぁぁ、情けないそんなことで騎士になろうというのか?お前たちは!!50回もできずに脱落したものは点数なしだからな!」
そういってエグルストンは何やら紙に書き始めた。どうやらチェックをしているらしい。
そうこうしているうちにシャウラも苦悶の表情を浮かべ始め30回を過ぎるとそのまま起き上がれなくなる。
50回を超えるとクラス大半の人間が脱落する。
それをみてエグルストンは
「情けないなぁ…俺が学生の頃はみんな50回は必ず超えていたのになぁ」
嫌味を口にする。
俺はリズミカルに表情も変えずひたすら腕立てをしていた。エグルストンはそれを見てチッと舌打ちをし嫌な笑顔を浮かべ
「お、さすがラグウェル君!表情一つ変えずに腕立てとはやるねぇ、重さが足りないようだな」
そう言って隣にいるシャウラに声を掛ける。
「ラグウェル君は重さが足りないらしい、そこのお前ラグウェル君の上に乗りたまえ」
シャウラはオロオロとうろたえた様子で俺の事を見る。シャウラの方を向いて顔を上げコクリと頷く。するとズシっと重みを感じた。
シャウラは俺の背中にすわり小声で「ごめん」と一言謝った。
それでも俺はリズミカルに腕立てを続ける。100を超えた辺りからエグルストンは驚きとも畏怖ともいえるような表情を浮かべるようになり、120超えるころには他の生徒みんなが脱落し、俺だけが残る事態となり、少し焦ったように声を上ずらせ
「じゃあ腕立てはこの辺でやめにするか」
と言った。
シャウラが背中から降りる。そして俺の背中に乗っている麻袋を下ろそうとしてくれていたが、あまりにも重さに動かすことができなかった。
「ありがとう」
俺はシャウラに礼を言いゆっくりと麻袋を床に下ろし立ち上がる。
「もう終わりですか先生」
エグルストンは焦った様子で
「あ、ああ時間も限られているからな、腕立てだけをし続けるわけにもいかんだろ」
とバツが悪そうに話した。
俺がシャウラの隣に戻ると心配そうに声を掛けてくる。
「大丈夫?」
「うん、あれぐらい大丈夫だよ。気絶したアルファルド背負ってを木を登ったり、足を負傷したアルファルドを背負って岩山を登ったりしてたからさ」
シャウラは少し引き気味に返事をする。
「…へぇぇ」
「意識して鍛えたつもりもないんだけどね、こんなことやるよりも実際に戦った方が何倍も強くなるとおもうけどなぁ」
エグルストンは腕組みをし口を開く。
「次はウサギ飛び俺がいいというまで」
俺は例のごとく麻袋を背負わされ、延々とウサギ飛びをやらされる。講堂を50周はしたであろう。ほとんどの生徒たちがリタイアする中、重りを背負って涼しい顔をしてクリアする俺をみてエグルストンは右足をトントンとゆすり、イライラしているように見える。
「やめだ!やめ!うさぎ飛びやめ!!!」
ウサギ飛びをしているのが俺一人にになったところでエグルストンは叫び止めさせた。
苦虫をつぶしたような顔をしていたエグルストンは何かを思いついたのかこれならというような表情をする。
しかし彼は一番やってはいけない選択肢を取ってしまった。
「基礎訓練はやめだ!!これから実践訓練にうつる」
どよめく生徒たち。
シャウラもおどろいたような顔をしている。
「なんでみんなびっくりしてんの?あんな基礎訓練なんてやっても強くなんないって」
「それならいいけど…普通の実践訓練なら…」
エグルストンは木剣1本だけ持ち出してくる。
「これから丸腰の時に剣を持った相手と戦わなければならないという実践形式の訓練を行う。剣を振るうのは当然この俺だ」
生徒たちは顔を見合わせ、生徒の一人が質問をする。
「せ…先生と丸腰で戦えということですか」
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