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第10話 新教育係
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聖堂で院長がメアリーさんに話しかける。
「それではシスターメアリー皆にお別れを言ってきなさい」
「わかりました」
メアリーさんはアンドリューさんにちょこんとお辞儀をして聖堂を離れる。私もその後を追いかける。
メアリーさんはくるっと振り返って私に話しかけてくる。
「救国編に入ったら修道院には戻ってこれなくなるわ。だからこうやってお別れの時間があるの……」
「もうメアリーさんと会えないんですよね……」
「うん。そうよ……短い間だったけどね」
「出会って4時間でお別れなんて……」
「ありがとう。そう言ってもらって嬉しいわ。教育係の後任は決めてあるから安心して」
「はい……」
私はどうしても一つ気になることがあって問いかける。
「メアリーさんどうして選ばれると思ってたんですか? 」
メアリーさんのその表情や仕草は選定での勝ちを確信しているそれに見えた。
「簡単なことよ。騎士学校との交流のときからアンドリュー様の私を見る目が違ってたもの。あれは私と同じ匂いがしたの」
あ……そうだったこのゲームの容姿は……AIが判定した理想の容姿……これ以上の詮索は止めておいた方がいい……
「な、なるほど……」
「それにシスターカスリーンはアンドリューとリアルの連絡先を交換していなかったらしいの。懇意の中になるとリアルの連絡先を交換する人達もいる……それをしなかったということは、アンドリュー様がシスターカスリーンの事をそれほどに思ってなかったという事。だから同じ徳ならば勝ち目はあると踏んだわけ」
「色んな駆け引きがあるんですね……」
「そりゃ女同士だからねって男か」
そう言って笑うとメアリーさんが進み始め私がその後について歩く。
廊下ですれ違う人達はみなメアリーさんに「おめでとう」と祝福の言葉を掛ける。その1人1人に丁寧に答える。
そしてシスターアンドレアの姿がある。シスターアンドレアは女走りで近寄ってくるとメアリーさんの手を取って「おめでとう!」と自分のことのように喜んで見せる。
「あ、ありがとうございます」
シスターアンドレアの前ではあのメアリーさんも緊張しており、その緊張がここまで伝わってくる。
「あなただったら私と同じ所までこれると思ったのに」
シスターアンドレアが寂しそうにそう言った。
「私がアンドレア様に肩を並べるなど恐れ多いです……」
「貴方にはその素質があったのに……まあいいわ、救国編頑張ってくださいね」
シスターアンドレアと別れて、角を曲がるフーっとため息をつくメアリーさん。
そしてメアリーさんがポツリと呟く。
「あの人に素質があるって言われるのは流石に怖いわ」
「で、ですね……」
た、確かに……あの人に素質を見いだされるのは……
炊事場、掃除区域、洗濯場と次々に移動をする。
「いないわねぇ」
誰かを探しているようなメアリーさん。
「誰か探してるんですか?」
「私の後任……あなたの教育係よ……」
そう言うと正面からメアリーさんと同じ身長ぐらいで丸顔で可愛らしい感じの眼鏡っ子が、ブツブツと独り言を言いながら上の空で歩いてくる。それを見つけたメアリーさんが「いたいた」と言う。
メアリーさんがその眼鏡っ子に声をかける
「クレア!」
「あ! メアリーさん!! 」
その眼鏡っ子はそう言って駆け寄っくると躓いて派手に転倒する。
「あいたたた……」
「ったくクレアは本当にドジっ子だよね」
「えへへ」
そう言ってシスタークレアが立ち上がってメアリーさんに話しかける。
「メアリーさん聞きましたよ! おめでとうございます! てっきりシスターカスリーンが選ばれるばっかり思ってたので僕、選定行かなかったんですよ」
「これが私の実力よ」
「流石ですメアリーさん」
実力というかお互いロ……
「クレア、話があるんだけどいいかしら?」
「はい。いいですよ」
「私、今この子、シスターアレクシアの教育係なの。基本は教えてあるけど、まだ細々としたことがあるからあなたに教育係を引き継いでもらいたくていいかしら?」
「メアリーさんの頼みを断れる分けないじゃないですか。僕でよければ引き受けますよ」
メアリーさんがこっちを向いて、私に話しかける。
「決まったわ。あなた後任のシスタークレアよ」
メアリーさんがそういうと、シスタークレアはスカートを開いてちょこんとお辞儀をしながら話かけてくる。
「シスターメアリーから教育係を引き継ぐことになったクレアです。シスターアレクシア宜しくね」
「は、はいよろしくおねがいします」
そう言って私はお辞儀をする。
「それじゃあとは後はお願いねクレア。私はあいさつ回りがあるから」
「はい。了解でっす」
そう言ってクレアさんが敬礼をする。
メアリーさんは改まって私に話しかけてくる。
「じゃあね。アレクシア、立派な聖女になることを祈ってるわ」
「あ、ありがとうございます!」
メアリーさんはそう言うと私達の前から去っていった。
「僕もメアリーさんが教育係だったんだよ。同じ仲間だね」
「そうだったんですねぇ」
「寂しいな……メアリーさんが居なくなる……」
「ですね……私はまだ4時間ぐらいしか一緒にいませんでしたけど……」
「僕、メアリーさんに凄くよくしてもらってたんだよね……僕の他にも教育してた人いるのに……」
まあ……この人の容姿とこのボクっ子でくらっとこないロの人はいないと思います……クレアさんは無自覚なのかもしれないけど……
「それじゃアレクシアちゃん行こっか、買い出しイベントがあるから」
そう言われて私はクレアさんに付いていった。
「それではシスターメアリー皆にお別れを言ってきなさい」
「わかりました」
メアリーさんはアンドリューさんにちょこんとお辞儀をして聖堂を離れる。私もその後を追いかける。
メアリーさんはくるっと振り返って私に話しかけてくる。
「救国編に入ったら修道院には戻ってこれなくなるわ。だからこうやってお別れの時間があるの……」
「もうメアリーさんと会えないんですよね……」
「うん。そうよ……短い間だったけどね」
「出会って4時間でお別れなんて……」
「ありがとう。そう言ってもらって嬉しいわ。教育係の後任は決めてあるから安心して」
「はい……」
私はどうしても一つ気になることがあって問いかける。
「メアリーさんどうして選ばれると思ってたんですか? 」
メアリーさんのその表情や仕草は選定での勝ちを確信しているそれに見えた。
「簡単なことよ。騎士学校との交流のときからアンドリュー様の私を見る目が違ってたもの。あれは私と同じ匂いがしたの」
あ……そうだったこのゲームの容姿は……AIが判定した理想の容姿……これ以上の詮索は止めておいた方がいい……
「な、なるほど……」
「それにシスターカスリーンはアンドリューとリアルの連絡先を交換していなかったらしいの。懇意の中になるとリアルの連絡先を交換する人達もいる……それをしなかったということは、アンドリュー様がシスターカスリーンの事をそれほどに思ってなかったという事。だから同じ徳ならば勝ち目はあると踏んだわけ」
「色んな駆け引きがあるんですね……」
「そりゃ女同士だからねって男か」
そう言って笑うとメアリーさんが進み始め私がその後について歩く。
廊下ですれ違う人達はみなメアリーさんに「おめでとう」と祝福の言葉を掛ける。その1人1人に丁寧に答える。
そしてシスターアンドレアの姿がある。シスターアンドレアは女走りで近寄ってくるとメアリーさんの手を取って「おめでとう!」と自分のことのように喜んで見せる。
「あ、ありがとうございます」
シスターアンドレアの前ではあのメアリーさんも緊張しており、その緊張がここまで伝わってくる。
「あなただったら私と同じ所までこれると思ったのに」
シスターアンドレアが寂しそうにそう言った。
「私がアンドレア様に肩を並べるなど恐れ多いです……」
「貴方にはその素質があったのに……まあいいわ、救国編頑張ってくださいね」
シスターアンドレアと別れて、角を曲がるフーっとため息をつくメアリーさん。
そしてメアリーさんがポツリと呟く。
「あの人に素質があるって言われるのは流石に怖いわ」
「で、ですね……」
た、確かに……あの人に素質を見いだされるのは……
炊事場、掃除区域、洗濯場と次々に移動をする。
「いないわねぇ」
誰かを探しているようなメアリーさん。
「誰か探してるんですか?」
「私の後任……あなたの教育係よ……」
そう言うと正面からメアリーさんと同じ身長ぐらいで丸顔で可愛らしい感じの眼鏡っ子が、ブツブツと独り言を言いながら上の空で歩いてくる。それを見つけたメアリーさんが「いたいた」と言う。
メアリーさんがその眼鏡っ子に声をかける
「クレア!」
「あ! メアリーさん!! 」
その眼鏡っ子はそう言って駆け寄っくると躓いて派手に転倒する。
「あいたたた……」
「ったくクレアは本当にドジっ子だよね」
「えへへ」
そう言ってシスタークレアが立ち上がってメアリーさんに話しかける。
「メアリーさん聞きましたよ! おめでとうございます! てっきりシスターカスリーンが選ばれるばっかり思ってたので僕、選定行かなかったんですよ」
「これが私の実力よ」
「流石ですメアリーさん」
実力というかお互いロ……
「クレア、話があるんだけどいいかしら?」
「はい。いいですよ」
「私、今この子、シスターアレクシアの教育係なの。基本は教えてあるけど、まだ細々としたことがあるからあなたに教育係を引き継いでもらいたくていいかしら?」
「メアリーさんの頼みを断れる分けないじゃないですか。僕でよければ引き受けますよ」
メアリーさんがこっちを向いて、私に話しかける。
「決まったわ。あなた後任のシスタークレアよ」
メアリーさんがそういうと、シスタークレアはスカートを開いてちょこんとお辞儀をしながら話かけてくる。
「シスターメアリーから教育係を引き継ぐことになったクレアです。シスターアレクシア宜しくね」
「は、はいよろしくおねがいします」
そう言って私はお辞儀をする。
「それじゃあとは後はお願いねクレア。私はあいさつ回りがあるから」
「はい。了解でっす」
そう言ってクレアさんが敬礼をする。
メアリーさんは改まって私に話しかけてくる。
「じゃあね。アレクシア、立派な聖女になることを祈ってるわ」
「あ、ありがとうございます!」
メアリーさんはそう言うと私達の前から去っていった。
「僕もメアリーさんが教育係だったんだよ。同じ仲間だね」
「そうだったんですねぇ」
「寂しいな……メアリーさんが居なくなる……」
「ですね……私はまだ4時間ぐらいしか一緒にいませんでしたけど……」
「僕、メアリーさんに凄くよくしてもらってたんだよね……僕の他にも教育してた人いるのに……」
まあ……この人の容姿とこのボクっ子でくらっとこないロの人はいないと思います……クレアさんは無自覚なのかもしれないけど……
「それじゃアレクシアちゃん行こっか、買い出しイベントがあるから」
そう言われて私はクレアさんに付いていった。
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