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第8話 騎士アンドリュー
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ゴーン、ゴーンと修道院の鐘の音が響く。
メアリーさんは仕事をしている手を止め、私に話しかけてくる。
「さあ、選定の時間よ。とりあえず中庭に行きましょう」
そう言われメアリーさんと一緒に中庭に向かう。
他の聖女たちも浮足だった感じ同じ場所に向かって歩いている。
歩きながらメアリーさんが私に向かって話しかけてくる。
「中庭で騎士様のお姿を拝見することのができるの」
「そうなんですか」
「騎士様のお姿を拝見した後、聖堂で選定が始まるの」
ここでその騎士が気に入らなければ、選定に参加しないという選択をとることができるということらしい。そして窓の外から中庭を伺うことができる。
美しい芝生が生え揃った中庭、その中心に金髪のロングヘアーを風になびかせる銀色の甲冑を纏った騎士の姿。
遠目でひと目見ただけで、その騎士の姿に目を奪われる。離れた場所からでも分かる端正に整ったマスクに、甲冑を纏っていても分かる均整の取れた体型、男ってここまで美しくなれるのだろうか? と思える程。
でも中身は女の人のはず……なのに所作や立ち振舞いは気品溢れる男のそれで、本物の騎士と言わんばかり。
それもそのはず、騎士は騎士学校で厳しい訓練を積んで、騎士としての立ち振る舞いや騎士道を叩き込まれる。そして騎士もまたこの選定に臨む為にふるいに掛けられ選ばれた1名がこの選定に進むことができるのだ。
そう騎士もまた男の中の男ということ。その所作や立ち振舞いが男のそれなのは当然のことなのだ。
その姿を一緒に見たメアリーさんが「やっぱりね」と呟く。
「やっぱりってどういうことですか?」
「あの騎士はシスターカスリーンと懇意にしていた騎士アンドリューよ」
「言ってましたね。それじゃ今日の選定はシスターカスリーンで決まりでしょうか?」
「ええ。私とシスターカスリーンはほぼ同じ徳、普通ならシスターカスリーンを選ぶでしょうね」
そう話をしていると
「アンドリューさまーーー!!」
とシスターカスリーンがスカートを手で持って慌てた様子で中庭を駆けていくのが見える。
するとアンドリューは跪いて、シスターカスリーンを出迎える。
その姿はもう選定をする必要があるのだろうかというほど自然な感じ。シスターカスリーンがアンドリューの側によって話しかけるとアンドリューが立ち上がる。
何を話しているのかはここまでは聞こえてこないが、そのシスターカスリーンの表情はまさに女という感じを匂わせる。
アンドリューもまんざらではないと言う感じでシスターカスリーンと話をしているのがわかる。私達はそれを黙って遠くから見つめることしか出来ない。
他の聖女達もその様子を見て首を横に振って今回はチャンスなしという感じで立ち去っていく。
私はその二人の様子を見ているとふと疑問に思ってメアリーさんに話しかける。
「騎士選定ってやる必要あるんですかね?」
「ふふ、あれをみたらもう決まりって思っちゃうでしょ……でもね、騎士選定でひっくり返ることが結構あるのよ。それはそれで見ものよ」
といってメアリーさんはニヤっと笑う。まるで自分に勝ち目があると言わんばかりに。
アンドリューはシスターカスリーンに案内されて院内の中に入っていく。
「さあ、私達は聖堂に向かいましょうか」
「はい」
メアリーさんに勝算はあるのかしら? 何故か自信があるように見えるのだけれど……
聖堂に向かう途中、シスターカスリーンの取り巻きの聖女達が現れる。
「あら、シスターメアリー、あの二人の様子を見ても選定に参加されるのですか? もう二人で決まりと思いますが?」
「さっき、シスターカスリーンは徳で選ばれると言ってたわよね? アンドリュー様は気高いお方だから、徳で効率プレイするために徳が高い方を選ばれると、なら私にもチャンスがあるということじゃないかしら?」
そういうと取り巻きの聖女は真っ赤な顔をして反論をする。
「……徳においても人においてもシスターカスリーンがあなたを上回ってらっしゃるから選ばれるのはシスターカスリーンで決まりです!!」
「あら、そんなに大きなお声を出されますと徳が下がりますわよ」
「……」
メアリーさんの言葉に何も反論ができなくなった聖女はそのまま俯いと何も言えなくなってしまった。
するとメアリーさんの小さな身体が大きく見える。
「それじゃシスターアレクシア行きましょう」
そう声を掛けられ私はメアリーさんと聖堂に向かった。
メアリーさんは仕事をしている手を止め、私に話しかけてくる。
「さあ、選定の時間よ。とりあえず中庭に行きましょう」
そう言われメアリーさんと一緒に中庭に向かう。
他の聖女たちも浮足だった感じ同じ場所に向かって歩いている。
歩きながらメアリーさんが私に向かって話しかけてくる。
「中庭で騎士様のお姿を拝見することのができるの」
「そうなんですか」
「騎士様のお姿を拝見した後、聖堂で選定が始まるの」
ここでその騎士が気に入らなければ、選定に参加しないという選択をとることができるということらしい。そして窓の外から中庭を伺うことができる。
美しい芝生が生え揃った中庭、その中心に金髪のロングヘアーを風になびかせる銀色の甲冑を纏った騎士の姿。
遠目でひと目見ただけで、その騎士の姿に目を奪われる。離れた場所からでも分かる端正に整ったマスクに、甲冑を纏っていても分かる均整の取れた体型、男ってここまで美しくなれるのだろうか? と思える程。
でも中身は女の人のはず……なのに所作や立ち振舞いは気品溢れる男のそれで、本物の騎士と言わんばかり。
それもそのはず、騎士は騎士学校で厳しい訓練を積んで、騎士としての立ち振る舞いや騎士道を叩き込まれる。そして騎士もまたこの選定に臨む為にふるいに掛けられ選ばれた1名がこの選定に進むことができるのだ。
そう騎士もまた男の中の男ということ。その所作や立ち振舞いが男のそれなのは当然のことなのだ。
その姿を一緒に見たメアリーさんが「やっぱりね」と呟く。
「やっぱりってどういうことですか?」
「あの騎士はシスターカスリーンと懇意にしていた騎士アンドリューよ」
「言ってましたね。それじゃ今日の選定はシスターカスリーンで決まりでしょうか?」
「ええ。私とシスターカスリーンはほぼ同じ徳、普通ならシスターカスリーンを選ぶでしょうね」
そう話をしていると
「アンドリューさまーーー!!」
とシスターカスリーンがスカートを手で持って慌てた様子で中庭を駆けていくのが見える。
するとアンドリューは跪いて、シスターカスリーンを出迎える。
その姿はもう選定をする必要があるのだろうかというほど自然な感じ。シスターカスリーンがアンドリューの側によって話しかけるとアンドリューが立ち上がる。
何を話しているのかはここまでは聞こえてこないが、そのシスターカスリーンの表情はまさに女という感じを匂わせる。
アンドリューもまんざらではないと言う感じでシスターカスリーンと話をしているのがわかる。私達はそれを黙って遠くから見つめることしか出来ない。
他の聖女達もその様子を見て首を横に振って今回はチャンスなしという感じで立ち去っていく。
私はその二人の様子を見ているとふと疑問に思ってメアリーさんに話しかける。
「騎士選定ってやる必要あるんですかね?」
「ふふ、あれをみたらもう決まりって思っちゃうでしょ……でもね、騎士選定でひっくり返ることが結構あるのよ。それはそれで見ものよ」
といってメアリーさんはニヤっと笑う。まるで自分に勝ち目があると言わんばかりに。
アンドリューはシスターカスリーンに案内されて院内の中に入っていく。
「さあ、私達は聖堂に向かいましょうか」
「はい」
メアリーさんに勝算はあるのかしら? 何故か自信があるように見えるのだけれど……
聖堂に向かう途中、シスターカスリーンの取り巻きの聖女達が現れる。
「あら、シスターメアリー、あの二人の様子を見ても選定に参加されるのですか? もう二人で決まりと思いますが?」
「さっき、シスターカスリーンは徳で選ばれると言ってたわよね? アンドリュー様は気高いお方だから、徳で効率プレイするために徳が高い方を選ばれると、なら私にもチャンスがあるということじゃないかしら?」
そういうと取り巻きの聖女は真っ赤な顔をして反論をする。
「……徳においても人においてもシスターカスリーンがあなたを上回ってらっしゃるから選ばれるのはシスターカスリーンで決まりです!!」
「あら、そんなに大きなお声を出されますと徳が下がりますわよ」
「……」
メアリーさんの言葉に何も反論ができなくなった聖女はそのまま俯いと何も言えなくなってしまった。
するとメアリーさんの小さな身体が大きく見える。
「それじゃシスターアレクシア行きましょう」
そう声を掛けられ私はメアリーさんと聖堂に向かった。
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