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第37話 色街慕情その4
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アリシアは今日はこっちに着いたばかりなので、夜は父親と国王に招かれて晩餐会ということで、誤解が解けると慌てて帰って行った。
寮に戻った俺にデュークが話し掛けてくる。
「アリシアさんって、アリステル家のお嬢様なんですね」
「うん」
「どんな馴れ初めなんですか? あんな名門貴族のお嬢様と普通は知り合えませんよ」
アリシアとの馴れ初めをデュークに説明をした。
するとデュークは目を輝かせて話を聞く。
「すごいです!!」
そういってデュークは本棚に沢山置かれた本を指差してこういった。
「恋愛小説を地でいってるじゃないですか!!」
「そ、そうか? 俺読んだことないんで……」
「フフフ、だからですよ。アリシアさんが泣いて出て行ってるのにぼーっと眺めてたりとか、僕がいなきゃ今頃二人は悲恋ですよ!! 恋愛小説でなにも学んでないんですか?」
「は?」
俺がそう言うとデュークは驚きの表情を見せ、部屋にあるびっしりと本が詰まった本棚を指差す。
「ほら、あれ恋愛小説でしょ? ほら前に説明しましたよ」
なんかそんなこと言ってたような……全く興味がないからスルーしてたんだけど……
「そ、そうか……」
「前に自由に読んで良いっていったじゃないですかぁ」
「そ、そうだっけ……・」
するとデュークは本棚の前に立つと何冊か俺の前に持ってくる。
「これはパープルイゴール先生が書いている騎士物語。これは騎士であるブライトさんが貴族の女の子にモテモテになる話で……」
デュークはずっと騎士物語の解説を続けている。
「まあでもブライトさんはいろんな貴族の人とお付き合いするんですけどねー」
「な、なるほど……」
「あ! ウェブさんとアリシアさんの話、僕の小説にしてもいいですよね」
夜遅くまであーでもない、こーでもないとなにかを書いてると思ったら……
「小説書いてたのか」
「え! 知らなかったんですか? 僕ずっと書いてたのに」
「う、うん……」
「ちなみにこれ僕の最高傑作です。あーでもウェブさんとアリシアさんの話を小説にすればその作品を遥かに超えるものができるかも!! とりあえずそれを読んで感想くださいね」
ちなみにタイトルは『彼女が好きな人はお強いお方』
こんな時、一体どういう顔すれば良いのか誰か教えてくれ……
「あ、ああ今度読んでおくから……」
「じゃあ今から騎士物語を読みましょう!」
こうしてなぜか恋愛小説を夜遅くまで読む羽目になってしまった。
――翌朝。
「ふぁぁぁぁ。眠い……」
デュークは珍しく俺より早く起きている。
「おはようございます!」
「おはよう……」
「いやあ。ウェブさんとアリシアさんの話を聞いてから創作意欲がわきまくって徹夜で書いてましたよ」
「そ、そうか……」
ということで二人で朝の支度をして騎士団本部でアレジオを待つ。
いつものように現れるアレジオ。しかし妙に不機嫌そうな感じ。
俺からアレジオに挨拶をする。
「おはようございます」
「ふん」
やっぱり不機嫌……ああそうか、セリカちゃん早退するって言ってたからセリカちゃんに会えなかったら不機嫌なんだ。
「行くぞ」
アレジオはそう言うと一人歩いていく。
デュークが俺に小声で話しかけてくる。
「アレジオさん機嫌悪いですね」
「お気入りの女の子に嫌われたんじゃね?」
「っぷ! あの人なら有り得そうププ……」
アレジオの後ろを付いて歩いていくと色街に到着をする。しかし朝から開いてる店は流石になく、女の子やお店の人たちが掃除をしたり、店先で話をしたりしているがみんなアレジオをみるとコソコソと話をしている。
まあ、俺の耳はそんな話も聞こえてくるわけだが。
「あいつらよ。グラットン娼館で好き勝手にやって剣を突きつけてお前か! お前か!って2時間も居座ったらしいわよ。」
「最悪! なにが騎士よ。乞食より立ち悪いじゃない」
アレジオがやったことが俺たちの所為になってるんだけど……
「それに先頭のあの男、今はロミアン娼館に入り浸ってるらしいけど変な癖があるらしいわ」
「変な癖?」
「そう、あいつは……ふじょ」
あーーーー!! こ、これ以上は俺が知っては行けない世界に踏み入れちゃう!! 聴覚を他のところに回して気を紛らわせようとする。
「姉さん。こんなこともう止めよう」
どこからはリンさんの声でそういったのが微かに聞こえた気がした。
寮に戻った俺にデュークが話し掛けてくる。
「アリシアさんって、アリステル家のお嬢様なんですね」
「うん」
「どんな馴れ初めなんですか? あんな名門貴族のお嬢様と普通は知り合えませんよ」
アリシアとの馴れ初めをデュークに説明をした。
するとデュークは目を輝かせて話を聞く。
「すごいです!!」
そういってデュークは本棚に沢山置かれた本を指差してこういった。
「恋愛小説を地でいってるじゃないですか!!」
「そ、そうか? 俺読んだことないんで……」
「フフフ、だからですよ。アリシアさんが泣いて出て行ってるのにぼーっと眺めてたりとか、僕がいなきゃ今頃二人は悲恋ですよ!! 恋愛小説でなにも学んでないんですか?」
「は?」
俺がそう言うとデュークは驚きの表情を見せ、部屋にあるびっしりと本が詰まった本棚を指差す。
「ほら、あれ恋愛小説でしょ? ほら前に説明しましたよ」
なんかそんなこと言ってたような……全く興味がないからスルーしてたんだけど……
「そ、そうか……」
「前に自由に読んで良いっていったじゃないですかぁ」
「そ、そうだっけ……・」
するとデュークは本棚の前に立つと何冊か俺の前に持ってくる。
「これはパープルイゴール先生が書いている騎士物語。これは騎士であるブライトさんが貴族の女の子にモテモテになる話で……」
デュークはずっと騎士物語の解説を続けている。
「まあでもブライトさんはいろんな貴族の人とお付き合いするんですけどねー」
「な、なるほど……」
「あ! ウェブさんとアリシアさんの話、僕の小説にしてもいいですよね」
夜遅くまであーでもない、こーでもないとなにかを書いてると思ったら……
「小説書いてたのか」
「え! 知らなかったんですか? 僕ずっと書いてたのに」
「う、うん……」
「ちなみにこれ僕の最高傑作です。あーでもウェブさんとアリシアさんの話を小説にすればその作品を遥かに超えるものができるかも!! とりあえずそれを読んで感想くださいね」
ちなみにタイトルは『彼女が好きな人はお強いお方』
こんな時、一体どういう顔すれば良いのか誰か教えてくれ……
「あ、ああ今度読んでおくから……」
「じゃあ今から騎士物語を読みましょう!」
こうしてなぜか恋愛小説を夜遅くまで読む羽目になってしまった。
――翌朝。
「ふぁぁぁぁ。眠い……」
デュークは珍しく俺より早く起きている。
「おはようございます!」
「おはよう……」
「いやあ。ウェブさんとアリシアさんの話を聞いてから創作意欲がわきまくって徹夜で書いてましたよ」
「そ、そうか……」
ということで二人で朝の支度をして騎士団本部でアレジオを待つ。
いつものように現れるアレジオ。しかし妙に不機嫌そうな感じ。
俺からアレジオに挨拶をする。
「おはようございます」
「ふん」
やっぱり不機嫌……ああそうか、セリカちゃん早退するって言ってたからセリカちゃんに会えなかったら不機嫌なんだ。
「行くぞ」
アレジオはそう言うと一人歩いていく。
デュークが俺に小声で話しかけてくる。
「アレジオさん機嫌悪いですね」
「お気入りの女の子に嫌われたんじゃね?」
「っぷ! あの人なら有り得そうププ……」
アレジオの後ろを付いて歩いていくと色街に到着をする。しかし朝から開いてる店は流石になく、女の子やお店の人たちが掃除をしたり、店先で話をしたりしているがみんなアレジオをみるとコソコソと話をしている。
まあ、俺の耳はそんな話も聞こえてくるわけだが。
「あいつらよ。グラットン娼館で好き勝手にやって剣を突きつけてお前か! お前か!って2時間も居座ったらしいわよ。」
「最悪! なにが騎士よ。乞食より立ち悪いじゃない」
アレジオがやったことが俺たちの所為になってるんだけど……
「それに先頭のあの男、今はロミアン娼館に入り浸ってるらしいけど変な癖があるらしいわ」
「変な癖?」
「そう、あいつは……ふじょ」
あーーーー!! こ、これ以上は俺が知っては行けない世界に踏み入れちゃう!! 聴覚を他のところに回して気を紛らわせようとする。
「姉さん。こんなこともう止めよう」
どこからはリンさんの声でそういったのが微かに聞こえた気がした。
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