良家で才能溢れる新人が加入するので、お前は要らないと追放された後、偶然お金を落とした穴が実はガチャで全財産突っ込んだら最強になりました

ぽいづん

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第11話 真贋を見極める確かな目

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目の前に青い球が現れグーンと拡大されていくと、黒い三角の頭巾を被って黒装束で全身を覆っている如何にも怪しげなやつが球の中央に現れる。

 こいつがシスディアスか。

「シスディアス見つけました」
「ど、どこですか!!」
 驚きの表情でディアゴさんが俺のことを見る。

「ほらこれ。球の中心に」

 ディアゴさんは首を傾げながらきょとんとした表情をしている
「……たま?」
「え?見えないんですか?」
「はい」と 真剣な表情で頷く。

 あー……これ他の人は見えないんだ……

「あなたしか見えない力なんですね……」
「まだ自分も慣れて無くてすいません」

「いえ、それで場所はどこなんですか?」
「ちょっとまって下さいね」

 人物に近く寄りすぎてどこか分かんないな……ただ暗いから地下っぽいけど……

 大きく映し出されているシスディアスから球を操作してゆっくりと引いて行くと地面を通り越して古びた神殿のような建物が映し出される。

 もうちょっと引いて……近くに街とかないかなぁ……森があって……湖かこれ?

 針葉樹の森を抜けると大きな湖が見え、その湖畔に街が広がっていた。

 この街はガルフのパーティに居たときに行ったことがあるな……名前は確か……

「分かりました」
「どこですか!」
「オオトゥの街の近くです」
「分かりました! オオトゥですね! ここからは1週間ほど掛かりますね……今から馬車を手配します」
 そう言ってディアゴさんは部屋から出ていこうとする。

「待って下さい。ディアゴさん、あなたはアリシアさんの側に居てあげて下さい。すぐに目を覚ますと思うので。それじゃ!」
「え?」というディアゴさんの顔を見ながら俺は瞬間移動、オオトゥの街と念じた。

 ――オオトゥの街

「らっしゃい! らっしゃい!」
 目の前には、湖で取れた魚を売っている露店が立ち並び、人々が行き交っている。前に来た時と変わらずに、この街は活気があり人が多い。

 魚を買いたい衝動に駆られるが、金も持ってないしディアゴさんにああやって格好つけて言った以上、1時間ぐらいで帰らないと格好が悪い。

 それに早く帰って金貨3枚でまたフェスが引きたい……さっき引いたのでも充分な強さはあるかもしれないけど、まだ強くなれるならなりたい! 

 報酬を貰ったらさっきの最速ムーブで穴に瞬間移動して……100連をする。★(特)コンプリートはまだだし……★★の(特)も増やしたいし、それにまだ★★★★★は1枚だけしか持ってない。

 とにかく金ができたら穴に突っ込まないと……そのためにはさっさとシスディアスをぶっ飛ばさないとだ。ここから西の森の中に例の神殿があったはず。

 千里眼! オオトゥの街!

 もう一度千里眼を使って場所を確認をする。間違いない西にまっすぐ行けば神殿が現れる。それを見て俺は軽く膝を曲げたり股を開いたりと走る為に準備をする。そしてふーっと息をつくと走り始めた。

 俺の素早さはSだから常人よりも速く走れるはず。10分もあれば多分着くはず。

 針葉樹の森の中を西に向かって走る……走る……走る……ひたすらに走る。



 ――30分後

 ……あれ? 結構走ったのに見えてこない……これ可怪しくないか? 今の俺の足ならもう着いてないと駄目だし、千里眼で確認して真っ直ぐに走ってればいいだけって確認もしたはず、迷うような道じゃない。

 千里眼! 俺!

 もう一度千里眼を使って位置を確認する。

 千里眼に映し出された俺の頭頂部。それをずっと引くと俯瞰で神殿までの位置が見えた。

 ……全く近づいてないだと……

 俺の位置は森に入ったばかりで神殿には全く近づいていない。

 これは何か魔法的な力で神殿に近づけないようにしているに違いない……正しい道を通過すれば目的地にたどり着けるとかそんな結界魔法があるというのを聞いたことがある。

 こんな時に役立ちそうな……俺の力は……

 ★★★審美眼(中)このスキルの説明書きは真贋を見極める確かな目! つまりこのスキルを使うことで神殿までの正しい道を表示できると思う。

 審美眼と念じてみる。すると一本の光の筋が木の間を縫うように走っているのが見えた。

 この光の筋の通りに進めば神殿にたどり着けるというわけか。

 その光の筋を頼りに木を縫うように全力で走ると、5分ほどで神殿に辿り着いた。

 そして神殿の中央には地下に通じる扉がある。その扉を開くと蝋燭が等間隔に置かれて、ゆらゆらと赤い炎が揺れている。

 一本道をまっすぐに進むと千里眼で見た黒い三角頭巾に黒装束の人間が祭壇のようなものに向かって立っている姿があった。

「お前がシスディアスか」
「ああ、アリステル家の者か……」
 年老いた男のような声をしたシスディアスはこっちを向き、黒い三角頭巾に開けられた目の穴から俺のことを見ていた。
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