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第9話 眠れる美少女
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「契約成立ですね」
支配人からメモを渡される。
「今からその場所に行って下さい。そこで前金の受け渡しとなります」
「はい……」
支配人と別れてギルドを後にし、メモ書きの場所を確認するとそこは貴族達が住まう高級住宅街。流石に言ったことのない場所なので瞬間移動は使えないので歩いてその場所に行く。
前金で金貨3枚貰ったら穴に即瞬間移動して紙を引く。頭の中で最速ムーブのシミュレーションを繰り返す。高速機転のおかげか、そのシミュレーションはめちゃくちゃスムーズ。
グッとガッツポーズをする。頭の中で★★★★★が引けたのだ。
そんなことをしながら30分程歩くとメモの場所に辿り着ついた。門の向こうに広がる手入れの行き届いた大きな庭、その奥には白い壁の大きなお屋敷がある。
す、すげぇぇ……並の貴族じゃねぇぇ
門の横に槍を持った守衛さんがおり、声を掛ける。
「あのぉギルドの支配人にこちらに来るように言われたのですが」
俺のことを上から下まで舐めるように見た守衛さんは「少々お待ち下さい」と言って屋敷の方に向かった。
屋敷から燕尾服を来た白髪頭の髭紳士が一人こちらへやって来て門を開ける。髭紳士はにこやかな表情で俺に話しかける。
「私はアリステル家の執事長、ディアゴですこちらへどうぞ」
「え?アリステル?」
俺は思わず聞き返してしまった。
アリステル家は名門貴族のうちの一つ。ワットの家のファフナー家が霞む程の名家で俺みたいな平民が敷地に入ることすら憚られる。
「なにか問題でも?」
「い、いえ……俺……じゃねぇぇ自分の様な平民が敷地に入ってもいいのかなって……」
「問題ありません。失礼ですがお名前は?」
ディアゴさんはそう言って俺の顔を見る。あ、そうだ名乗らきゃ
「自分、ウェブ、ウェブ・ステイといいます」
ディアゴさんに案内され一緒に広い庭を歩く。
「ギルドの支配人とは古くからの知り合いでして」
「そうなんですね」
「はい。それで直接依頼をしたということです」
などと話をしながら庭を歩く。
天国のように手入れが行き届いた庭で、この庭の草とか土は美味しく頂けそうと勘違いしそうになるほど。
お屋敷の前に辿り着いたディアゴさんはそれまでのにこやかな表情を一変させ厳しい表情でこう言った。
「ウェブ様、これから見たり聞いたりしたことは他言無用でお願いします」
俺はその迫力気圧されて「はい」と返事をすることしか出来なかった。
お屋敷の中は高そうな調度品が沢山あり、綺羅びやかなのだがどこか重々しい空気感が漂っている。
「こちらです」
お屋敷の中を暫く歩いて一つの部屋の前に通される。
ディアゴさんはノックもせずにその扉を開く、ピンクの可愛らしい壁紙が目に飛び込んできて女の子部屋だというのがひと目で分かる。
「こちらへ」
ディアゴさんにそう言われ少し緊張しながらその部屋の中に入っていく。天蓋付きの大きなベッドの真ん中に横たわっているのは一人の少女。真っ黒な長い髪で端正に整った美しい顔をしているが、その瞳は開くことなく眠り続けている。歳の頃は17,8といった所。
「これは…」
「この御方はアリステル家のご令嬢アリシア様です」
「アリシア様……」
ディアゴさんは物悲しそうな表情で話を続ける。
「アリシア様がお目覚めにならなくなって1ヶ月が立ちます……」
「1ヶ月……原因は分かってるんですか?」
俺がそう言うとディアゴさん拳を握りしめてこういった。
「……呪いです……」
「呪い……」
「そうです。暗黒教団というのご存知ですか?」
名前だけは聞いたことがある……教団とは名乗っているがなんでもする後ろ暗い集団。
「名前だけは聞いたことあります」
「アリステル家は名門貴族……その地位を守る為に後ろ暗いことをしていたこともあります。現当主がその関係を断ち切ろうとしたばかりに……」
「呪いを掛けられたと……」
「ええ……アリシア様がお目覚めにならなくなって奥方様もすっかり床にふせるようになってしまい……このままでアリステル家が滅んでしまいます……」
「仕事の依頼とはこの呪いを解くことですか?」
「はい。呪詛を掛けた本人、暗黒教団教祖の討伐……本来ならば当主本人があなた様にお会いしてご依頼するべきなのでしょうが、何分多忙故、執事長である私からお願いをする所存であります」
「それが金貨6枚ということですか?」
「はい。手付金3枚、成功報酬3枚。少ないですか?」
「いえ!! ありがとうございます! 受けます!」
「では手付金の金貨3枚を……」
ディアゴさんは小袋から金貨3枚を俺に渡す。
やるぞ、最速ムーブ。頭の中で何度もシミュレーションしたやつだ。
「すいません。ちょっと出てきます。すぐに戻ってくるんでここにいてください」
そう言うとディアゴさん「え?」というような顔をする。
「じゃ!」
そういうと俺は穴に瞬間移動をした。
支配人からメモを渡される。
「今からその場所に行って下さい。そこで前金の受け渡しとなります」
「はい……」
支配人と別れてギルドを後にし、メモ書きの場所を確認するとそこは貴族達が住まう高級住宅街。流石に言ったことのない場所なので瞬間移動は使えないので歩いてその場所に行く。
前金で金貨3枚貰ったら穴に即瞬間移動して紙を引く。頭の中で最速ムーブのシミュレーションを繰り返す。高速機転のおかげか、そのシミュレーションはめちゃくちゃスムーズ。
グッとガッツポーズをする。頭の中で★★★★★が引けたのだ。
そんなことをしながら30分程歩くとメモの場所に辿り着ついた。門の向こうに広がる手入れの行き届いた大きな庭、その奥には白い壁の大きなお屋敷がある。
す、すげぇぇ……並の貴族じゃねぇぇ
門の横に槍を持った守衛さんがおり、声を掛ける。
「あのぉギルドの支配人にこちらに来るように言われたのですが」
俺のことを上から下まで舐めるように見た守衛さんは「少々お待ち下さい」と言って屋敷の方に向かった。
屋敷から燕尾服を来た白髪頭の髭紳士が一人こちらへやって来て門を開ける。髭紳士はにこやかな表情で俺に話しかける。
「私はアリステル家の執事長、ディアゴですこちらへどうぞ」
「え?アリステル?」
俺は思わず聞き返してしまった。
アリステル家は名門貴族のうちの一つ。ワットの家のファフナー家が霞む程の名家で俺みたいな平民が敷地に入ることすら憚られる。
「なにか問題でも?」
「い、いえ……俺……じゃねぇぇ自分の様な平民が敷地に入ってもいいのかなって……」
「問題ありません。失礼ですがお名前は?」
ディアゴさんはそう言って俺の顔を見る。あ、そうだ名乗らきゃ
「自分、ウェブ、ウェブ・ステイといいます」
ディアゴさんに案内され一緒に広い庭を歩く。
「ギルドの支配人とは古くからの知り合いでして」
「そうなんですね」
「はい。それで直接依頼をしたということです」
などと話をしながら庭を歩く。
天国のように手入れが行き届いた庭で、この庭の草とか土は美味しく頂けそうと勘違いしそうになるほど。
お屋敷の前に辿り着いたディアゴさんはそれまでのにこやかな表情を一変させ厳しい表情でこう言った。
「ウェブ様、これから見たり聞いたりしたことは他言無用でお願いします」
俺はその迫力気圧されて「はい」と返事をすることしか出来なかった。
お屋敷の中は高そうな調度品が沢山あり、綺羅びやかなのだがどこか重々しい空気感が漂っている。
「こちらです」
お屋敷の中を暫く歩いて一つの部屋の前に通される。
ディアゴさんはノックもせずにその扉を開く、ピンクの可愛らしい壁紙が目に飛び込んできて女の子部屋だというのがひと目で分かる。
「こちらへ」
ディアゴさんにそう言われ少し緊張しながらその部屋の中に入っていく。天蓋付きの大きなベッドの真ん中に横たわっているのは一人の少女。真っ黒な長い髪で端正に整った美しい顔をしているが、その瞳は開くことなく眠り続けている。歳の頃は17,8といった所。
「これは…」
「この御方はアリステル家のご令嬢アリシア様です」
「アリシア様……」
ディアゴさんは物悲しそうな表情で話を続ける。
「アリシア様がお目覚めにならなくなって1ヶ月が立ちます……」
「1ヶ月……原因は分かってるんですか?」
俺がそう言うとディアゴさん拳を握りしめてこういった。
「……呪いです……」
「呪い……」
「そうです。暗黒教団というのご存知ですか?」
名前だけは聞いたことがある……教団とは名乗っているがなんでもする後ろ暗い集団。
「名前だけは聞いたことあります」
「アリステル家は名門貴族……その地位を守る為に後ろ暗いことをしていたこともあります。現当主がその関係を断ち切ろうとしたばかりに……」
「呪いを掛けられたと……」
「ええ……アリシア様がお目覚めにならなくなって奥方様もすっかり床にふせるようになってしまい……このままでアリステル家が滅んでしまいます……」
「仕事の依頼とはこの呪いを解くことですか?」
「はい。呪詛を掛けた本人、暗黒教団教祖の討伐……本来ならば当主本人があなた様にお会いしてご依頼するべきなのでしょうが、何分多忙故、執事長である私からお願いをする所存であります」
「それが金貨6枚ということですか?」
「はい。手付金3枚、成功報酬3枚。少ないですか?」
「いえ!! ありがとうございます! 受けます!」
「では手付金の金貨3枚を……」
ディアゴさんは小袋から金貨3枚を俺に渡す。
やるぞ、最速ムーブ。頭の中で何度もシミュレーションしたやつだ。
「すいません。ちょっと出てきます。すぐに戻ってくるんでここにいてください」
そう言うとディアゴさん「え?」というような顔をする。
「じゃ!」
そういうと俺は穴に瞬間移動をした。
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