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夢破れて
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龍宮院達が入部してから5ヶ月。野球部には3年の姿がなくなっていた。
甲子園4回戦敗退。それが結果だった。
甲子園前日は雨が降っていた。
次の日には晴れていたおかげかグラウンドの状態はなんとか回復していた。
気温は30度を超えており湿度は高い。
野球をするのに適しているとは言えないそんな日に夏の大会は始まった。
雪月高校は2回戦までを大差をつけて勝ち上がった。
去年の夏の甲子園に優勝したのにも関わらず春の甲子園に呼ばれていなかったことが功を奏したようだ。
相手はこちらチームの対策を全く取れていなかった。
ちなみに春の甲子園に呼ばれていない理由はただ単に秋の大会に出ていなかったというのが理由かもしれない。
完璧に申し込みを忘れていたミスでありコーチが平謝りしていたのは記憶に新しい。
2回戦までは癖の強い3年生達の強みを一方的に押し付ける形で点をもぎ取りバッターをねじ伏せていた。
そして3回戦。弱点が露呈する形になった。
甲子園のサイレンが雲ひとつない青空に響く。
雪月高校は裏に攻撃することになった。
1回表、その初球。アウトローの速球が打たれた。
次のバッターにもその次のバッターにも打たれた。
アウトを取れないままに1点を取られた。
明らかに配球が読み切られていた。キャッチャーが配球を変えるとピッチャーは投げにくそうであるがなんとか三振を取ることができた。
その後ダブルプレーで1回を終えたが散々なスタートとなった。
そして攻撃、これもうまくいかなかった。
バットに当てようと思って振ると上手くいかないのだ。
何やら打ちづらいところに集中的に打ちにくい球がくる。
弱点コースを調べ尽くされ三振やゴロの嵐。
決め球、キャッチャーのコースの使い方の癖を見抜かれ打たれ放題。
ピッチャーのモーションで癖がある変化球は役に立たず盗塁もされ放題。
別に3年生の先輩達が下手だった訳ではなかった。
相手が上手かった。
情報を活かせるだけの基礎力とチームプレーができていた。
先輩達は一芸特化だった為にその穴を突かれ続けた。
3回を終えて0-6。中継ぎに交代してなんとかその回のアウトをもぎ取る。
そして打順が一周して4番から始まる4回裏、一芸特化が牙を剥いた。
1番から9番までがホームランを狙うフルスイングをし始めた。
苦手コースや得意コースもあるがそれは比較的というもの。
それに加えてミートしようとしないのならば3年の先輩達にその苦手や得意といったコースはなかった。
なぜなら練習の時はミート打ちなんてしていなかったのだから。
球をよく見て三振になるのなら思いっきり振って三振の方が、という思考になったのだろう。
0-3のカウントからでも思いっきり振って行くスタイルが見事にハマる。
そもそも先輩達のバッティングはゴロではなくフライを目指すもので打球速度を上げることに重点が置かれていた。
負けそうになりミートという考え方……否、迷いを捨てたバッティングは進化した。
金属バットということもありよくボールが飛ぶ
フライボール革命、それを高校生で実践に移した。
6回を終えて9-13。もう1人のピッチャーに交代してなんとか乗り切る。
こうなればもう乱打戦。相手校は総合力とチームプレーで点をもぎ取るチームだが、こちらは打撃一芸特化。
9回表。19-17。
稀に見ぬ乱打戦。
乱打戦となれば分があるのはこちら側だった。
しかし4人いるピッチャー全員が投げた。
甲子園4回戦はピッチャーの疲労が溜まっており十分なパフォーマンスを発揮することができなかった。
4人いるピッチャーのうち2人は投げられないと判断され、残る2人のうち1人は1イニングだけの登板となった。
結果としてピッチャーが8回にいなくなった。
9回、マウンドに野手が上がった。
フォームなんてものを知らないぐちゃぐちゃのフォームから150キロが出た。電光掲示板を見た彼自身が1番驚いていた。
見よう見まねのカットボールが140キロを出し、ぐちゃぐちゃのフォームからは癖球がでる。
本来控えのキャッチャーであった彼が1イニングをまさかの無失点に抑えた。
しかし点差が離れすぎていた。
4回戦敗退であったが、全員がホームランを2本以上打ったチームは他にないだろう。
甲子園が終わってみれば本塁打数は全校の中でトップであった。
今大会の本塁打数の記録のトップ5は全員雪月高校の選手である。
その先輩達が口々に言った。
「コーチ……ありがとうございました!」
その先輩はショートだった。ちなみに今大会の本塁打数7位のお方である。
「ありがとうございました!」
その先輩はセカンドだった。本塁打数5位のお方である。
それに続いて他の先輩達も感謝の言葉を述べると泣きながら去っていった。
最後に残った選手がコーチに話しかける。
「コーチ、その……実力で自分は選ばれたんですよね?」
「そうだ。お前は守備はそこそこできるし打撃もそれなりにできるだろう」
コーチは普通にそう答えた。
その答えにその選手は不満を覚えているようだ。
「なんで秋山じゃなかったんですか」
「それは……」
コーチは少し詰まった。実際には悩んでいたからだ。
そこで『3年だから』という気持ちが働いていないとは言い切れなかった。
「自分は秋山に代わりに行って欲しかった。秋山の代わりに自分が出たせいで勝ちを潰してしまったと考えると他の奴らに申し訳ない!」
「千草!そんなことはない!撤回しろ!」
「しません。今なら言えます。自分より秋山や澄田の方が自分より優れた外野手でした。甲子園に行くべきだったのはあいつらでした」
「……」
「すみません。自分が言いたいことは以上です。
スゥー……今まで本当にありがとうございましたっ!」
その3年生も言いたいことを言い終えるとスッキリした顔で帰っていった。
甲子園に出るほどに野球に情熱を注いでいた選手が『自分は甲子園に出なければよかった』と言われたことがコーチにとって衝撃だった。
そんなコーチ達の状況を全く知らずに純達は練習に明け暮れていた。
バットを振るう隅田は首を振った。隣でバットを振るった角田も同じように首を横に振りバットを置いた。
「俺たちの打撃はダメだな、捨てよう」
「先輩達が凄すぎるだけなんですよね」
ため息をつきながらニコニコとグラブを左手につけるところへツッコミを入れるスミダが1人。
「もっとどうにかしようとしろよ。バントとかさ」
「「いや、お前のバントはもっと無理」」
先輩達は最初から打撃強化を軸に練習していた為、スミダ達のそれとはかけ離れたスイング速度を誇っていた。
隅田と角田は打撃をある程度捨てることにしたようだ。
いつも通りのバッティングセンタースタイルでいくらしい。
澄田はそれを呆れたように見ていたが反対はしないようだ。
この2人は適当なフォームでも2割強は打つからだ。
そして澄田は自分のフォームだけでも徹底的に見直すことにした。
隅田と角田は更に守備に磨きをかけるようだ。
基礎的な動きをずっと続けている。これが楽しいのかは知らないがきっと楽しいのだろう。
むしろ楽しんでいたら勝手に守備に磨きがかかるというのが正しい表現なのかもしれない……
秋山は甲子園3回戦に心を奪われたらしく長打を楽に放つコツを探っているようだ。
首を傾げてはホームランを打っている。
その飛距離は隣にいる鎌瀬に負けていた。
「どうやったらそんなに飛ぶんだよ!」
「うーん、ちょっと上向き……大体15から20度くらい上向きにアッパースイング思いっきりバットを振ればいいかな。あっボールの中心のちょこっと下に当てるといいよ」
「そんなのでいいのか……おぉ飛ぶなぁ!って鎌瀬お前どこまで飛ばすんだよ!」
将也はいろんなところの練習に顔を出しては一緒に練習して別のところに移動するという謎の動きを見せていた。コンバートする気はないらしい。
「調子どう?」
「うーんまぁまぁかな」
「俺はあんまりだな」
「へぇ。結構バッティング最近調子いいと思うけど?」
「わかる?でも送球がうまくいかないんだよな」
光希は軽く調整する程度で本格的に練習はしていなかった。本人曰く『成長痛が来た!やった!』とのことである。背が伸びることを祈ろう。
調整しているのに少しずつコントロールに乱れが見られるのはきっと痛みのせいだろう。
「おーい、光希!乱れてるぞ!」
「そんなのはわかってるよ!」
新野はしきりにフォームを確認していた。特にクイックを早くしているようだ。一ノ瀬と互いに投球について相談しあっている。
「これで3秒は切れますね」
「盗塁を刺せれば一気に有利になれますからね」
「この0.1秒は大きい」
「次ワインドアップのフォームの再確認しましょう」
そして、純は龍宮院に絡まれていた。
「お願いします。コツとかなんでもいいんで教えてもらえないでしょうか」
龍宮院が頭を下げる。純は困った、という顔をする。
「いや、コーチに聞いた方が」
「コーチも伊藤先輩に教えてもらえと」
明らかに嫌な顔をしつつも純は放っておくことが出来なかった。
「えぇ……まぁいいや。で何について悩んでるんだ?」
「全部です」
純、思考停止。
全部とか言われても何からやればいいか分からないのである。
なので適当に教えれそうなことを教えることにした。
「全部……ね、まぁいいや、スライダー教えるからさっさと覚えてくれ」
純自身ももっと投げ込みたいので自分が投げつつ暇な時に教えることにしたようだ。
彼らの目標は2週間後、秋の大会優勝。
この秋の大会は春の甲子園への切符になる。
甲子園4回戦敗退。それが結果だった。
甲子園前日は雨が降っていた。
次の日には晴れていたおかげかグラウンドの状態はなんとか回復していた。
気温は30度を超えており湿度は高い。
野球をするのに適しているとは言えないそんな日に夏の大会は始まった。
雪月高校は2回戦までを大差をつけて勝ち上がった。
去年の夏の甲子園に優勝したのにも関わらず春の甲子園に呼ばれていなかったことが功を奏したようだ。
相手はこちらチームの対策を全く取れていなかった。
ちなみに春の甲子園に呼ばれていない理由はただ単に秋の大会に出ていなかったというのが理由かもしれない。
完璧に申し込みを忘れていたミスでありコーチが平謝りしていたのは記憶に新しい。
2回戦までは癖の強い3年生達の強みを一方的に押し付ける形で点をもぎ取りバッターをねじ伏せていた。
そして3回戦。弱点が露呈する形になった。
甲子園のサイレンが雲ひとつない青空に響く。
雪月高校は裏に攻撃することになった。
1回表、その初球。アウトローの速球が打たれた。
次のバッターにもその次のバッターにも打たれた。
アウトを取れないままに1点を取られた。
明らかに配球が読み切られていた。キャッチャーが配球を変えるとピッチャーは投げにくそうであるがなんとか三振を取ることができた。
その後ダブルプレーで1回を終えたが散々なスタートとなった。
そして攻撃、これもうまくいかなかった。
バットに当てようと思って振ると上手くいかないのだ。
何やら打ちづらいところに集中的に打ちにくい球がくる。
弱点コースを調べ尽くされ三振やゴロの嵐。
決め球、キャッチャーのコースの使い方の癖を見抜かれ打たれ放題。
ピッチャーのモーションで癖がある変化球は役に立たず盗塁もされ放題。
別に3年生の先輩達が下手だった訳ではなかった。
相手が上手かった。
情報を活かせるだけの基礎力とチームプレーができていた。
先輩達は一芸特化だった為にその穴を突かれ続けた。
3回を終えて0-6。中継ぎに交代してなんとかその回のアウトをもぎ取る。
そして打順が一周して4番から始まる4回裏、一芸特化が牙を剥いた。
1番から9番までがホームランを狙うフルスイングをし始めた。
苦手コースや得意コースもあるがそれは比較的というもの。
それに加えてミートしようとしないのならば3年の先輩達にその苦手や得意といったコースはなかった。
なぜなら練習の時はミート打ちなんてしていなかったのだから。
球をよく見て三振になるのなら思いっきり振って三振の方が、という思考になったのだろう。
0-3のカウントからでも思いっきり振って行くスタイルが見事にハマる。
そもそも先輩達のバッティングはゴロではなくフライを目指すもので打球速度を上げることに重点が置かれていた。
負けそうになりミートという考え方……否、迷いを捨てたバッティングは進化した。
金属バットということもありよくボールが飛ぶ
フライボール革命、それを高校生で実践に移した。
6回を終えて9-13。もう1人のピッチャーに交代してなんとか乗り切る。
こうなればもう乱打戦。相手校は総合力とチームプレーで点をもぎ取るチームだが、こちらは打撃一芸特化。
9回表。19-17。
稀に見ぬ乱打戦。
乱打戦となれば分があるのはこちら側だった。
しかし4人いるピッチャー全員が投げた。
甲子園4回戦はピッチャーの疲労が溜まっており十分なパフォーマンスを発揮することができなかった。
4人いるピッチャーのうち2人は投げられないと判断され、残る2人のうち1人は1イニングだけの登板となった。
結果としてピッチャーが8回にいなくなった。
9回、マウンドに野手が上がった。
フォームなんてものを知らないぐちゃぐちゃのフォームから150キロが出た。電光掲示板を見た彼自身が1番驚いていた。
見よう見まねのカットボールが140キロを出し、ぐちゃぐちゃのフォームからは癖球がでる。
本来控えのキャッチャーであった彼が1イニングをまさかの無失点に抑えた。
しかし点差が離れすぎていた。
4回戦敗退であったが、全員がホームランを2本以上打ったチームは他にないだろう。
甲子園が終わってみれば本塁打数は全校の中でトップであった。
今大会の本塁打数の記録のトップ5は全員雪月高校の選手である。
その先輩達が口々に言った。
「コーチ……ありがとうございました!」
その先輩はショートだった。ちなみに今大会の本塁打数7位のお方である。
「ありがとうございました!」
その先輩はセカンドだった。本塁打数5位のお方である。
それに続いて他の先輩達も感謝の言葉を述べると泣きながら去っていった。
最後に残った選手がコーチに話しかける。
「コーチ、その……実力で自分は選ばれたんですよね?」
「そうだ。お前は守備はそこそこできるし打撃もそれなりにできるだろう」
コーチは普通にそう答えた。
その答えにその選手は不満を覚えているようだ。
「なんで秋山じゃなかったんですか」
「それは……」
コーチは少し詰まった。実際には悩んでいたからだ。
そこで『3年だから』という気持ちが働いていないとは言い切れなかった。
「自分は秋山に代わりに行って欲しかった。秋山の代わりに自分が出たせいで勝ちを潰してしまったと考えると他の奴らに申し訳ない!」
「千草!そんなことはない!撤回しろ!」
「しません。今なら言えます。自分より秋山や澄田の方が自分より優れた外野手でした。甲子園に行くべきだったのはあいつらでした」
「……」
「すみません。自分が言いたいことは以上です。
スゥー……今まで本当にありがとうございましたっ!」
その3年生も言いたいことを言い終えるとスッキリした顔で帰っていった。
甲子園に出るほどに野球に情熱を注いでいた選手が『自分は甲子園に出なければよかった』と言われたことがコーチにとって衝撃だった。
そんなコーチ達の状況を全く知らずに純達は練習に明け暮れていた。
バットを振るう隅田は首を振った。隣でバットを振るった角田も同じように首を横に振りバットを置いた。
「俺たちの打撃はダメだな、捨てよう」
「先輩達が凄すぎるだけなんですよね」
ため息をつきながらニコニコとグラブを左手につけるところへツッコミを入れるスミダが1人。
「もっとどうにかしようとしろよ。バントとかさ」
「「いや、お前のバントはもっと無理」」
先輩達は最初から打撃強化を軸に練習していた為、スミダ達のそれとはかけ離れたスイング速度を誇っていた。
隅田と角田は打撃をある程度捨てることにしたようだ。
いつも通りのバッティングセンタースタイルでいくらしい。
澄田はそれを呆れたように見ていたが反対はしないようだ。
この2人は適当なフォームでも2割強は打つからだ。
そして澄田は自分のフォームだけでも徹底的に見直すことにした。
隅田と角田は更に守備に磨きをかけるようだ。
基礎的な動きをずっと続けている。これが楽しいのかは知らないがきっと楽しいのだろう。
むしろ楽しんでいたら勝手に守備に磨きがかかるというのが正しい表現なのかもしれない……
秋山は甲子園3回戦に心を奪われたらしく長打を楽に放つコツを探っているようだ。
首を傾げてはホームランを打っている。
その飛距離は隣にいる鎌瀬に負けていた。
「どうやったらそんなに飛ぶんだよ!」
「うーん、ちょっと上向き……大体15から20度くらい上向きにアッパースイング思いっきりバットを振ればいいかな。あっボールの中心のちょこっと下に当てるといいよ」
「そんなのでいいのか……おぉ飛ぶなぁ!って鎌瀬お前どこまで飛ばすんだよ!」
将也はいろんなところの練習に顔を出しては一緒に練習して別のところに移動するという謎の動きを見せていた。コンバートする気はないらしい。
「調子どう?」
「うーんまぁまぁかな」
「俺はあんまりだな」
「へぇ。結構バッティング最近調子いいと思うけど?」
「わかる?でも送球がうまくいかないんだよな」
光希は軽く調整する程度で本格的に練習はしていなかった。本人曰く『成長痛が来た!やった!』とのことである。背が伸びることを祈ろう。
調整しているのに少しずつコントロールに乱れが見られるのはきっと痛みのせいだろう。
「おーい、光希!乱れてるぞ!」
「そんなのはわかってるよ!」
新野はしきりにフォームを確認していた。特にクイックを早くしているようだ。一ノ瀬と互いに投球について相談しあっている。
「これで3秒は切れますね」
「盗塁を刺せれば一気に有利になれますからね」
「この0.1秒は大きい」
「次ワインドアップのフォームの再確認しましょう」
そして、純は龍宮院に絡まれていた。
「お願いします。コツとかなんでもいいんで教えてもらえないでしょうか」
龍宮院が頭を下げる。純は困った、という顔をする。
「いや、コーチに聞いた方が」
「コーチも伊藤先輩に教えてもらえと」
明らかに嫌な顔をしつつも純は放っておくことが出来なかった。
「えぇ……まぁいいや。で何について悩んでるんだ?」
「全部です」
純、思考停止。
全部とか言われても何からやればいいか分からないのである。
なので適当に教えれそうなことを教えることにした。
「全部……ね、まぁいいや、スライダー教えるからさっさと覚えてくれ」
純自身ももっと投げ込みたいので自分が投げつつ暇な時に教えることにしたようだ。
彼らの目標は2週間後、秋の大会優勝。
この秋の大会は春の甲子園への切符になる。
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