8 / 54
中学のエース
しおりを挟む
純は中学生になってからも自分で練習メニューを組み立てていた。淡々と自分で組み立てたメニューをこなし、その後は寄り道せずに帰っていく淡白な生活。純にとってはこれが青春なので、ほかは要らないと割り切っていた。カラオケに行ったり友達と夜通し遊び通したりすることの何が楽しいのかわからなかった。
「純、この後カラオケ行かね?」
「誘ってくれてありがとな、でも用があるから、また今度な」
「そっか、じゃあな!」
「あぁ、またな」
そう、休むという用事が純にはある。疲れは敵、明日へ持ち越すことは若い肉体といえど許されることではない。純はよく寝る子であった。
そして時は経ち、2年に進級する。純はエースになっていた。この時の純はより速い球をより疲れないように投げようと努力している。160キロ超えの豪速球は男子なら皆一度は憧れるものなのだ。
変化球はドロップカーブとシュートが使えるレベルになった。ストレート系の3種類もより磨きをかけており好調であった。しかし何故か最近よくボールが捉えられるようになっていた。と言ってもゴロやフライといった打ち損ないばかりだが対応され始めていたのだ。
(なんでだ?……一人で考えてもわからないし岡部に明日聞いてみるか)
純は宿題を終わらせてすぐに寝た。次の日、純は岡部に話を聞きに行く。
「なぁ、最近球がバレてる気がしないか?」
純は岡部に自分の持ち玉を軽く説明している。バッテリーを組んだ二人の前では他校の選手はヒットが打てない。しかし同じ校内の選手にはヒットが時折打たれるようになっていた。純は焦りを感じていた。
恐らく何度も見て慣れ始めてきたのであろう、なんて考えは純に浮かばなかった。自信過剰である。
「うーん、よくわからねぇけど……多分3種類のストレートで球の初速が微妙に違うんじゃねーかな?」
岡部は面倒くさいと思ったのかテキトーな感じで答える。今では純と岡部は友達で気軽に話し合える関係だ。そんな関係といえど純がすごい剣幕で絡んでいるものだから将也の顔はげんなりしていた。
「マジ?」
「個人的にはフォーシームジャイロが一番速くてツーシームジャイロが一番遅い気がするな」
それを聞いて純は少し考え込む。
「同じ速度にするか……速くするのは難しそうだな」
「いっそのこと遅くしてもいいんじゃねーかな?」
特に深くは考えていない岡部の発言に純は光明を見出した。
「それだ!ストレート系を同じ速度で投げれるようにしてみるわ。いや……ストレート系だけじゃなくて変化球の球速も調整できた方がいいな!」
「おい?どこに行くんだ?おい!話聞いてるか?……薄々気付いてはいたけどアイツ、マジで変わってるなぁ」
純は岡部を置いて練習を開始した。そして一年後と少し経った頃、中学時代最後の大会が終わった。
「……ごめん!」
「くそっ……」
「みんな、ごめん……」
「泣くな、岡部」
純たちのチームは県2位で幕を閉じた。あれから純はストレート系を全て同じ速度で投げれるようになった。校内の選手ですらボールを捉えることは難しくなっていて今回の大会も純の失点は0のまま。
身長は伸びに伸びて184センチメートル。高いリリースポイントから繰り出される球は更なる武器になった。
さらにいつも抑えながら球を投げるのでスタミナの消耗による制球力の低下が少なくなり、より際どいコースを狙い続けるようになっていた。
純は最高のコンディションで試合に臨み無失点のまま中継ぎに託した。その託した一投目。外角に甘く入ったストレートに力一杯のフルスイング。
バットが真芯を捉え白球はアーチを描く。
ピッチャーがボールの行き先を見送る。ボールは風の後押しを受け観客席に吸い込まれていった。全員が唖然としていた。
純達はこの一点を返すことが出来ず敗退することになった。結果を見れば純達のチームは敗退した。だが純だけみればその異様さがわかる。純は一点も取られていない。だが純は試合に負けて泣いていた。純は個人プレー大好きだがそれとは別に勝てないことが純粋に悔しかった。
『くそっ、次は絶対優勝してやる!』
純の目はすでに甲子園に向いていた。涙がスッと止まり平常運転に戻る。それから暫くして、部活に行くことがなくなっても純は岡部にキャッチャーマスクとプロテクターを被せて投球練習をしていた。
「岡部、どこにいく?」
「先に純から聞かせてくれよ。なぁどこ行くんだ?」
「雪月」
雪月高校は純の今いる家の近くで最も野球が強い高校だ。純の返答を聞いた岡部がウキウキで話し始める。
「俺もそうなんだよ!スポーツ推薦受かっちゃってさ!」
「良かったな」
「ん?純は?推薦は?」
「え?推薦?」
純は推薦入学の存在が分からなかった。自分には関係ないと思っていたので覚えていなかったのだ。
「推薦、知らない?」
「一般以外にあるのか?」
「あそこ去年の偏差値65だぞ?」
「そうだな、今年は64らしいぞ」
そして冬が過ぎ春を迎え桜が咲く頃。純は雪月高校の全校生徒の前に立っていた。
『だから学年首席にスピーチさせるのはおかしいって……』
結局周りの大人の懇願に負けて、純はスピーチをすることになった。断れないのがまた純らしいというべきか。スピーチを終え席に戻ると後ろに岡部 将也がニタニタと笑みを浮かべながら座っていた。
「さすが首席」
「……先生が見てる」
「うおっ……マジじゃん。悪りぃ」
純が注意すると将也はビシッと背筋を伸ばして黙った。無事に入学式が終わると将也がすぐに純に話しかけてくる。
「つーかまたデカくなったな?」
「2メートルまでは成長する予定」
「そんなの……ってお前の家系ならあり得る話だな」
岡部が純を見上げながら歩き始める。階段を4階まで登り1組の扉を開ける。階段が長い、と愚痴をこぼす岡部。それには純も同感だった。
純はドアの上部分の梁を少しをくぐるように教室の中に入り、教卓に一番近い最前列の一番左に座る。ちなみに岡部の席は一番左の一番後ろの列だ。
居眠りしやすい席だが大丈夫なのだろうか、と純は心配をする。その心配が必要ないことを願うが、恐らく必要であろう。
その後先生が教室に入って来たり、色々配布物があったりと忙しくなり、少し上の空で話を聞いていた純の名前が突然呼ばれる。
「伊藤 純 君。自己紹介をお願いします」
「はい、伊藤 純 。大体55歳です」
なにも考えていない時とっさに出る言葉というのは大体ありのままの言葉である。突然のボケに教室から笑いが出る。
「15歳だな?……ユーモアがあってよろしい、ですが真面目にやるように」
「はい、伊藤 純 15歳です。特技、趣味どちらも野球です。野球以外に取り柄はありませんが、よろしくお願いします」
「……」
彼は学年主席である。
「……えーはい、ありがとうございます。では次の方」
少し上の空だったためテキトーなことを口走ってしまったなー、と純は後悔したが教室の皆から向けられる視線が和らいだので別にいいかなと純は考えていた。自己紹介の時の鉄板ネタにでもしようかとも考えていた。
そして恒例の部活動見学……だが廊下からバタバタと足音が聞こえる。
「失礼しますっ。野球部です。伊藤 純はここにいますか」
暑苦しいさわやかなお兄さんが登場した。
「はい、野球部ですね。今から行きます」
「よし連行!岡部とやらも一緒に来い!」
「うおっ?!ちょっと先輩方? 先輩方ァ?!」
野球部のユニフォームを着た生徒達が教室に乗り込み純と将也を攫っていくのを教室にいた先生と生徒達は口を開けながら見ていた。そして連行される純だが周りの人達と背丈が同じくらいなので今は将也だけが大人数で囲まれているように見えていた。
そして野球部の部室に着くと純と将也はペンを持たされた。
「部活動登録書にサインを」
「はい、書きました。ところで練習はもう初めて大丈夫ですか?」
「おう!いいぞ!」
「ダメです、ダメですよぉー!まだ仮入部期間なんですから」
そこへ学年担当の教師が乗り込んでくる。それはもちろん『純たちが野球部に拐われた』と純の教室担当の先生から連絡が入ったためである。
「何故です?私は大丈夫ですよ」
「岡部さんは違うでしょう?」
「あ、サインこれでいいですか?」
岡部もノリノリでサインをしていたが『楷書で書くように』と書き直しを命じられていた。楷書で書いても字が汚いと書き直しを命じられて純に助けを求めていた。
「なぁ、どうしたらいいんだよぉ~」
「んなもん知るか、丁寧に書け」
「これでも限界まで丁寧に書いてるんだけどなぁ」
「汚い、やり直し」
「うげぇ……」
2週間後の日曜日。中学校と同じように入部届の提出期限の日がきた。まぁ、純と岡部には対して関係のない話であったが。なんだかんだで将也の入部届は受理された。今年野球部に入る一年生30人が全員一列に並ぶ。
「では、一人づつ自己紹介をしろ!」
純は鬼コーチと呼ばれている人物を見つめる。コーチの手元には選手達の情報が詰まったファイルとパソコンが置いてあった。監督は純を見つめるとニヒルな笑みを浮かべた。
そんな監督であるが実は手元の資料を見ながら困惑していた。
『伊藤 純。親は両方とも野球関連の仕事はしておらず、小学校から機械のようなピッチングをねぇ……ん?なんでこいつ公式の試合で一回も失点してないんだ?いくらなんでもおかしいだろ』
そして手元の資料から顔を上げて純を見つめる。背が高い、ガタイがいい。がどんなピッチングをするかは見てみないとわからない。
『やはり実物を見てみないことにはわからないな』
監督はそう思い話を始めた。
「早速だが実力を見てみたい。一年生でチームを2つ作って試合を一回やってみろ。勝った方は上級生のチームと戦わせる」
コーチは一年生同士でチームを組み戦わせることにした。
「あ、それと伊藤 純と岡部 将也」
「はい」
「はい!」
「お前らは別れろ。流石に3年間もバッテリーを組んでる奴はここには他にいないからな」
岡部の顔色は悪くなっていた。
「純以外の奴のボールとかあんまり受けたことないんだが」
彼はそう呟いた。
「純、この後カラオケ行かね?」
「誘ってくれてありがとな、でも用があるから、また今度な」
「そっか、じゃあな!」
「あぁ、またな」
そう、休むという用事が純にはある。疲れは敵、明日へ持ち越すことは若い肉体といえど許されることではない。純はよく寝る子であった。
そして時は経ち、2年に進級する。純はエースになっていた。この時の純はより速い球をより疲れないように投げようと努力している。160キロ超えの豪速球は男子なら皆一度は憧れるものなのだ。
変化球はドロップカーブとシュートが使えるレベルになった。ストレート系の3種類もより磨きをかけており好調であった。しかし何故か最近よくボールが捉えられるようになっていた。と言ってもゴロやフライといった打ち損ないばかりだが対応され始めていたのだ。
(なんでだ?……一人で考えてもわからないし岡部に明日聞いてみるか)
純は宿題を終わらせてすぐに寝た。次の日、純は岡部に話を聞きに行く。
「なぁ、最近球がバレてる気がしないか?」
純は岡部に自分の持ち玉を軽く説明している。バッテリーを組んだ二人の前では他校の選手はヒットが打てない。しかし同じ校内の選手にはヒットが時折打たれるようになっていた。純は焦りを感じていた。
恐らく何度も見て慣れ始めてきたのであろう、なんて考えは純に浮かばなかった。自信過剰である。
「うーん、よくわからねぇけど……多分3種類のストレートで球の初速が微妙に違うんじゃねーかな?」
岡部は面倒くさいと思ったのかテキトーな感じで答える。今では純と岡部は友達で気軽に話し合える関係だ。そんな関係といえど純がすごい剣幕で絡んでいるものだから将也の顔はげんなりしていた。
「マジ?」
「個人的にはフォーシームジャイロが一番速くてツーシームジャイロが一番遅い気がするな」
それを聞いて純は少し考え込む。
「同じ速度にするか……速くするのは難しそうだな」
「いっそのこと遅くしてもいいんじゃねーかな?」
特に深くは考えていない岡部の発言に純は光明を見出した。
「それだ!ストレート系を同じ速度で投げれるようにしてみるわ。いや……ストレート系だけじゃなくて変化球の球速も調整できた方がいいな!」
「おい?どこに行くんだ?おい!話聞いてるか?……薄々気付いてはいたけどアイツ、マジで変わってるなぁ」
純は岡部を置いて練習を開始した。そして一年後と少し経った頃、中学時代最後の大会が終わった。
「……ごめん!」
「くそっ……」
「みんな、ごめん……」
「泣くな、岡部」
純たちのチームは県2位で幕を閉じた。あれから純はストレート系を全て同じ速度で投げれるようになった。校内の選手ですらボールを捉えることは難しくなっていて今回の大会も純の失点は0のまま。
身長は伸びに伸びて184センチメートル。高いリリースポイントから繰り出される球は更なる武器になった。
さらにいつも抑えながら球を投げるのでスタミナの消耗による制球力の低下が少なくなり、より際どいコースを狙い続けるようになっていた。
純は最高のコンディションで試合に臨み無失点のまま中継ぎに託した。その託した一投目。外角に甘く入ったストレートに力一杯のフルスイング。
バットが真芯を捉え白球はアーチを描く。
ピッチャーがボールの行き先を見送る。ボールは風の後押しを受け観客席に吸い込まれていった。全員が唖然としていた。
純達はこの一点を返すことが出来ず敗退することになった。結果を見れば純達のチームは敗退した。だが純だけみればその異様さがわかる。純は一点も取られていない。だが純は試合に負けて泣いていた。純は個人プレー大好きだがそれとは別に勝てないことが純粋に悔しかった。
『くそっ、次は絶対優勝してやる!』
純の目はすでに甲子園に向いていた。涙がスッと止まり平常運転に戻る。それから暫くして、部活に行くことがなくなっても純は岡部にキャッチャーマスクとプロテクターを被せて投球練習をしていた。
「岡部、どこにいく?」
「先に純から聞かせてくれよ。なぁどこ行くんだ?」
「雪月」
雪月高校は純の今いる家の近くで最も野球が強い高校だ。純の返答を聞いた岡部がウキウキで話し始める。
「俺もそうなんだよ!スポーツ推薦受かっちゃってさ!」
「良かったな」
「ん?純は?推薦は?」
「え?推薦?」
純は推薦入学の存在が分からなかった。自分には関係ないと思っていたので覚えていなかったのだ。
「推薦、知らない?」
「一般以外にあるのか?」
「あそこ去年の偏差値65だぞ?」
「そうだな、今年は64らしいぞ」
そして冬が過ぎ春を迎え桜が咲く頃。純は雪月高校の全校生徒の前に立っていた。
『だから学年首席にスピーチさせるのはおかしいって……』
結局周りの大人の懇願に負けて、純はスピーチをすることになった。断れないのがまた純らしいというべきか。スピーチを終え席に戻ると後ろに岡部 将也がニタニタと笑みを浮かべながら座っていた。
「さすが首席」
「……先生が見てる」
「うおっ……マジじゃん。悪りぃ」
純が注意すると将也はビシッと背筋を伸ばして黙った。無事に入学式が終わると将也がすぐに純に話しかけてくる。
「つーかまたデカくなったな?」
「2メートルまでは成長する予定」
「そんなの……ってお前の家系ならあり得る話だな」
岡部が純を見上げながら歩き始める。階段を4階まで登り1組の扉を開ける。階段が長い、と愚痴をこぼす岡部。それには純も同感だった。
純はドアの上部分の梁を少しをくぐるように教室の中に入り、教卓に一番近い最前列の一番左に座る。ちなみに岡部の席は一番左の一番後ろの列だ。
居眠りしやすい席だが大丈夫なのだろうか、と純は心配をする。その心配が必要ないことを願うが、恐らく必要であろう。
その後先生が教室に入って来たり、色々配布物があったりと忙しくなり、少し上の空で話を聞いていた純の名前が突然呼ばれる。
「伊藤 純 君。自己紹介をお願いします」
「はい、伊藤 純 。大体55歳です」
なにも考えていない時とっさに出る言葉というのは大体ありのままの言葉である。突然のボケに教室から笑いが出る。
「15歳だな?……ユーモアがあってよろしい、ですが真面目にやるように」
「はい、伊藤 純 15歳です。特技、趣味どちらも野球です。野球以外に取り柄はありませんが、よろしくお願いします」
「……」
彼は学年主席である。
「……えーはい、ありがとうございます。では次の方」
少し上の空だったためテキトーなことを口走ってしまったなー、と純は後悔したが教室の皆から向けられる視線が和らいだので別にいいかなと純は考えていた。自己紹介の時の鉄板ネタにでもしようかとも考えていた。
そして恒例の部活動見学……だが廊下からバタバタと足音が聞こえる。
「失礼しますっ。野球部です。伊藤 純はここにいますか」
暑苦しいさわやかなお兄さんが登場した。
「はい、野球部ですね。今から行きます」
「よし連行!岡部とやらも一緒に来い!」
「うおっ?!ちょっと先輩方? 先輩方ァ?!」
野球部のユニフォームを着た生徒達が教室に乗り込み純と将也を攫っていくのを教室にいた先生と生徒達は口を開けながら見ていた。そして連行される純だが周りの人達と背丈が同じくらいなので今は将也だけが大人数で囲まれているように見えていた。
そして野球部の部室に着くと純と将也はペンを持たされた。
「部活動登録書にサインを」
「はい、書きました。ところで練習はもう初めて大丈夫ですか?」
「おう!いいぞ!」
「ダメです、ダメですよぉー!まだ仮入部期間なんですから」
そこへ学年担当の教師が乗り込んでくる。それはもちろん『純たちが野球部に拐われた』と純の教室担当の先生から連絡が入ったためである。
「何故です?私は大丈夫ですよ」
「岡部さんは違うでしょう?」
「あ、サインこれでいいですか?」
岡部もノリノリでサインをしていたが『楷書で書くように』と書き直しを命じられていた。楷書で書いても字が汚いと書き直しを命じられて純に助けを求めていた。
「なぁ、どうしたらいいんだよぉ~」
「んなもん知るか、丁寧に書け」
「これでも限界まで丁寧に書いてるんだけどなぁ」
「汚い、やり直し」
「うげぇ……」
2週間後の日曜日。中学校と同じように入部届の提出期限の日がきた。まぁ、純と岡部には対して関係のない話であったが。なんだかんだで将也の入部届は受理された。今年野球部に入る一年生30人が全員一列に並ぶ。
「では、一人づつ自己紹介をしろ!」
純は鬼コーチと呼ばれている人物を見つめる。コーチの手元には選手達の情報が詰まったファイルとパソコンが置いてあった。監督は純を見つめるとニヒルな笑みを浮かべた。
そんな監督であるが実は手元の資料を見ながら困惑していた。
『伊藤 純。親は両方とも野球関連の仕事はしておらず、小学校から機械のようなピッチングをねぇ……ん?なんでこいつ公式の試合で一回も失点してないんだ?いくらなんでもおかしいだろ』
そして手元の資料から顔を上げて純を見つめる。背が高い、ガタイがいい。がどんなピッチングをするかは見てみないとわからない。
『やはり実物を見てみないことにはわからないな』
監督はそう思い話を始めた。
「早速だが実力を見てみたい。一年生でチームを2つ作って試合を一回やってみろ。勝った方は上級生のチームと戦わせる」
コーチは一年生同士でチームを組み戦わせることにした。
「あ、それと伊藤 純と岡部 将也」
「はい」
「はい!」
「お前らは別れろ。流石に3年間もバッテリーを組んでる奴はここには他にいないからな」
岡部の顔色は悪くなっていた。
「純以外の奴のボールとかあんまり受けたことないんだが」
彼はそう呟いた。
0
あなたにおすすめの小説
俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。
true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。
それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。
これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。
日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。
彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。
※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。
※内部進行完結済みです。毎日連載です。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。
すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。
だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。
イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。
変わり果てた現実を前に、
夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。
深い後悔と悲しみに苛まれながら、
失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。
しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。
贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。
そして、母の心を知っていく子供たち。
イネスが求める愛とは、
そして、幸せとは――。
私のドレスを奪った異母妹に、もう大事なものは奪わせない
文野多咲
恋愛
優月(ゆづき)が自宅屋敷に帰ると、異母妹が優月のウェディングドレスを試着していた。その日縫い上がったばかりで、優月もまだ袖を通していなかった。
使用人たちが「まるで、異母妹のためにあつらえたドレスのよう」と褒め称えており、優月の婚約者まで「異母妹の方が似合う」と褒めている。
優月が異母妹に「どうして勝手に着たの?」と訊けば「ちょっと着てみただけよ」と言う。
婚約者は「異母妹なんだから、ちょっとくらいいじゃないか」と言う。
「ちょっとじゃないわ。私はドレスを盗られたも同じよ!」と言えば、父の後妻は「悪気があったわけじゃないのに、心が狭い」と優月の頬をぶった。
優月は父親に婚約解消を願い出た。婚約者は父親が決めた相手で、優月にはもう彼を信頼できない。
父親に事情を説明すると、「大げさだなあ」と取り合わず、「優月は異母妹に嫉妬しているだけだ、婚約者には異母妹を褒めないように言っておく」と言われる。
嫉妬じゃないのに、どうしてわかってくれないの?
優月は父親をも信頼できなくなる。
婚約者は優月を手に入れるために、優月を襲おうとした。絶体絶命の優月の前に現れたのは、叔父だった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる