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2章 ワインを求めて、三千里(誇張)
ワインの聖地の、おっさんです
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ガタリ、ゴトリ。馬車が揺れる。帝都から離れるにつれ、また路面状況が悪くなってきた。帝国の道路交通省は何をやっているのか、いや道の整備だと警察の管轄だったか……まぁここは日本ではないのでどちらも存在しないし、考えたところで意味のないことだ。
どうも、おっさんです。あと1時間くらいでボルド領のワインを作ってる街に到着します。昔ながらの田園風景的なものか、どこかで見たフランスチックな長閑な田舎町を想像してたんですが、予想を遥かに超える田舎だった。
風景としては広大なブドウ畑とたまに見えるどでかい家、そんな感じだ。当然、あのデカい家に突撃してワインください、だとか、ブドウください、なんてことを言えるほど図太い神経はしていない ── なんせもう38歳+αの気遣いができるおっさんである ── のでワインが集積されるような大きい街を目指しているわけだ。
何事もなく到着、とりあえずワインの値段だけでも見ておこうか。どうせ手持ちの金じゃ足りないだろうけど。
そんなわけでワインの集積所へ。
「直接買い付けにきた口かい?……悪いねぇ、全部帝都に売却が決定してるんだよ」
「買い付けってわけじゃないんですけど。あー、先買いですか」
「それも100年先までね」
「そうですか、それは失礼しました」
ワインはダメか、そもそも非売品という。残念な結果だよ。じゃあ、次策だ。ぶどうを買おうぜ!
「せっかくきたので、ブドウだけでも買えませんかね」
「ブドウを? あんたも物好きだねぇ」
「キャンプで料理をするときにでも使ってみようと思いまして」
いわゆるワイン煮込み的な感じの料理を作れないかなぁ、と思ってね。まぁ、それは建前ってやつだけど。
「でも悪いけどそれも出来ないのよ~」
「全てワイン用ですか」
「そうよー? でも料理に使うって発想はいい発想ね。ほら、あそこのレストランあるでしょ?あそこでワイン煮込みを作ってるのよ。しかも、格安でね。上の人には秘密よ?」
「あぁ、それはありがたいですね。実は美味しいものに目がなくて。では」
「まぁまぁ、もう少し話していきなさいよ。あなた都会の人でしょう?」
しまったー!……話が長いタイプのおばちゃんに気に入られてしまった。確かに色々情報をくれたのはありがたいけども、こういう時のおばちゃんはまずいな。なんせ話が終わらない。そのうち子供まで集まってきた。娯楽が少ない田舎にいくと度々こういうことが起きるのは困ったもんである。
なぜ綺麗なお姉さんではなく、小さなお子様や妙齢のおばさま達ばかりにモテなくてはならないのか……もしかしたら取得している特性でおかしなシナジーが生まれているかもしれない、後でちゃんと確認しよう。
それからというものの、2時間ほど俺はその場に拘束され、なぜか吟遊詩人も寄ってきて即興の舞台的なものまでやることになってしまった。取っててよかった、宴会芸ランク2……まさか役に立つとは。意外と汎用性の高い特性で助かった。
そしてなぜか知らぬうちに豊穣神教会に厄介になることになっていた。
あれ、なんかおかしいぞ。俺はそのままワイン煮込み料理を食って宿で寝る予定だったのに。大いなる流れが俺を変な方向に引っ張って行こうとしている。
このなんか嫌で作為的な流れは試練神様な気がする。この感じ、多分そうだ。人に難事を与え、苦労し、苦労して、限界の中で成長したり死んでいく様を見て愉悦に浸るあのお方だぁ……うわぁ、なんか、なんだろうな
嫌な予感がしてきた
いや、本当にアーサーに与えた試練を悉く潰してしまったのは本当に悪かったと思います、だから英雄譚にもならない地味な癖して、無駄に高難易度な厄介事を定期的に俺にぶん投げてくるのはやめろください。
いや、でも経験値的に見るとまぁまぁ美味しいんだよな。試練神様の試練を乗り越えるとドカっと経験値貰えるし。ただ、俺に投げられる試練って普通にやると1ミス1デス上等なのばっかりだからなぁ。嫌だなぁ。喜捨してるだけの方がローリスクハイリターンで大好きなんだけどなぁ。
そんなことを考えているからそんな試練を投げられる、そうですよね。えぇ、知ってますけども。さて、今回はどんな試練とどんな報酬なんでしょうかね。楽しみダナー。
と、いうことで豊穣神教会です。普通にワインありますけどどういうことですかね。いや、わかるぞ。見えてきた見えてきた。それは奉納されるはずのワインだな? そして俺への報酬と見た。つまり、ここの豊穣神教会の何かしらのお願い事を聞けってことかな?
「実は、困ったことがありまして」
ほら見ろ、当たりだ。今度はどこまでお使いに行けばいいんですか。前回みたいに死神が昔に落として紛失した剣の捜索とかはやめてくれよ。結局あれ死神が応急処置で手渡されてた鎌を気に入ってて受け取り拒否されてるからな? 再配達はいつすればいいんですかね。
さて、何かな。討伐系か、採取系か……捜索やら調査系は私の技能構築的にあまり向いてないのでやめて欲しいのですけども。
「困り事とはなんでしょう?」
「実は神託がありまして、モグラが近々出るのでそれを討伐せよと」
「モグラ……ですか?」
まさかの害獣退治……これ大量発生系か。前はイナゴだったからな、今回も大変なことになりそうだ。イナゴの時は網持ってめちゃくちゃ振り回してなんとかしたけど今回はそうもいかんよな……
「清浄な気を纏っている剣を持った神官を頼れとのことでしたので」
「えぇ、もちろん。微力ながら尽くさせて頂きますとも」
俺、どう見ても神官じゃないし、この剣めちゃ安物だけどね。というか俺の着てる服は旅人装束だし、間違えても何かしらの護衛か冒険者でしょ。
「あと、私たちが近づくと危ないとのことでしたので協力はできませんが」
「構いませんよ、足を挫いたら大変ですからね」
モグラの大群ってことは最悪地盤沈下するからな。異世界のモグラはやべーんだ。爪が鉄の一歩手前位の硬さしてるし、引っかかれたら普通に怪我する(1敗)。
その日は夜も暗いので教会で飯を食うことになった。
出てきたものは、パン2つと野菜のクズで作られたスープと野菜の漬物と蒸した芋だ。これは……他の人の前でじゃがバタチーズは出来ないな、我慢しよう。
まずはスープから。……いや、なんとなく予想はしてたけど、味が薄い。もしや俺は修行しにきてしまったのだろうか、そんなはずはないのだけど。これ本当にちゃんと塩入ってる? スープの中に鶏ガラでも入れてやりたいが、俺という人間は鶏ガラなんて持ち歩く人間じゃないんで許して欲しい。
よく味わえば味が何かしらするはず、そう思ったけどね……やっぱり薄いものは薄いのよ。パンにつけたらもう味が感じられないからな。これはパンの味がしっかりしてるせいかもしれないけれど、それにしたって味薄くね?
スープのことは一旦忘れよう。それにしてもパンが美味いのは救いだな。これでパンまで不味かったら俺はどうしたら良いのか途方に暮れていたかもしれないし。なんならパンは帝都のパンより美味いからな。この芳醇とでも言えばいいのか分からないが、凄くいい香りのパン……もしかして、ワイン使ってないか? いや、流石に気のせいだよな。
さて、漬物だ。これは大根の漬物だな。シャクシャクしてて美味しい。香りはそんなに強くなくて酸味も結構マイルドな食べやすい漬物だ。スープと一緒に食べると丁度いい感じ。結構あっさりしているのに癖になる美味さ、お土産に1つ欲しいな、後で聞いてみようか。
最後、晩餐の中で異形を放つ蒸した芋……本当に蒸した芋だ。蒸した芋に塩振ってあるだけ。マヨもチーズもバターも何もかけてない。ただの芋と塩。特殊な調理方法とかもなんもしてない。なんなら皮付き。
とりあえず、かぶりついてみた。
うん、芋と塩の味。そりゃ芋と塩食ってるんだからそうだよな。素材本来の美味さってやつだ。……芋自体もともと美味いからな、普通に美味い。これ今日の夜飯で1番美味いかもしれない。
この素朴さには、塩握りに通じる何かを感じるよね。帝国の人はもしかしたら、死ぬ前に何食べたいって質問に蒸した芋って答えるのかもしれないな。パンって答える人の方が多い気もするけどな。
そしてこれもスープと一緒に食べると良い塩加減。これ完璧に狙ってやってるな。バランスよく食べると美味しくなるように作られた食事、これはこれでありかもしれない。
うん、全部食い切ってみれば普通に美味しかったな。それでも俺はワイン煮込みが食べたかった……あと1つ言わせてもらうならタンパク質が足りねぇ。後でこっそり持ってきたプロテイン飲もう。プロテインって言ってカッコつけてるが、ただの大豆100%の粉末だけどな。
きな粉って言うな、誰がなんと言ってもこれはプロテインだ。
その後、子供達に適当な話をして寝かしつけ、俺はその後、適当に準備をして寝た。ちょっと喜捨したい症候群を発症しそうだ。ここに喜捨したら経験値を、いつもより割高で貰えるよなぁ、でも帰りにカレーとワイン煮込み食わないといけないし……
手持ち0ゼニーです。もうワイン煮込みもカレーも諦めます。そういえば9本ワイン買ってたから自分で作れるわ。カレーは……諦めるか。いやぁ、良いことをした後は気分がいいなぁ!……やっぱカレー食べたいよ。
朝です。どうも、おっさんです。今日はモグラを討伐していきます。用意するものはこちら、タネも仕掛けもない数打ちのショートソード(刃渡り約68cm、鋼製)そして適当に投げやすい石ころ5つ、そしてスコップですね。
あいにく、私はスコップを使った戦闘術の特性のランクをまるで上げていないのでビームも波動砲も打てませんが、これは後処理用なので戦闘に使う予定はありません。
今日のメインウェポンはこちらのロングソード。4年前に武器屋の樽に入ってる数打ちの品の中からいい感じのを掘り出したものですね。切れ味は最近、試し切りしたので問題ありません。ちょっと鞘が汚れてきているのが最近の悩みです。
そしてサブウェポンの石ころです。教会の裏手で拾ってきたばかりのものになります。これは空からの敵襲を警戒して持っておきます。いざという時は体感時速3600キロで石ころを投げてショットガンの代わりとします。石ころに豊穣神様の力が籠っていれば多分当たるでしょう。
装備の確認以上!終わり!
「本当に大丈夫ですか」
「ええ、問題ありません」
というわけで現場に到着しました。なんもない平野ですね。長閑だぁ……
唐突に揺れる地面、とうとう来ました。
討伐クエスト、モグラを狩猟せよ!唐突に頭の中で流れ出すBGM。
テッテレーテー、テレレテーレテンテン、テテテーテテテーテーテー。
さー気分を盛り上げて行こう。どうせ面倒ごとが起きるに違いない! 今日は空から隕石が降ってくるかな? それとも地面から竹槍が生えてくるかな?
おい、話が違うぞ。モグラじゃなくて土竜じゃねーか!
どりゅう……じめん、ドラゴンタイプのモンスター。普段は地面の中で眠っているが、腹を空かせると地面から飛び出ては周りの生き物を襲う困ったモンスターじゃ。ちなみにドラゴンは等倍。氷は程度によっては効くが多分半減だと思う。フェアリーは……この世界のフェアリーはやべーから弱点だろうな。
ところで、この世界では漢字は使われていないはずなんですがモグラとどりゅうを間違えるってどういうことなんですかね、女神さまぁ?!あ、どりゅうのオトモにモグラも付いてくるんですね。
さて、某狩猟ゲームでは土やら泥を身に纏っているモンスターはそこまで強くない印象だったかもしれませんが……まぁこの世界、奇跡も魔術もあるので注意が必要になってます。
大量発生したモグラの処理に手間取り戦闘が長くなったので割愛。最終的にスコップでどりゅうくんの身包みを剥ぐことに成功しました。どりゅうくんの身につけている泥は農業的に非常に価値が高いのでね、リリースせねばなりません。また泥をつけて帰ってくるんだぞー。
ちなみにモグラの処理というのはどりゅう君に食べさせるという方法。捌いたモグラを吐く寸前まで無理やりに食わせたから当分暴れることはないだろうよ。衣食住足りて……えっとなんだっけ礼節を知るだっけ、多分どりゅう君は腹一杯だし……あ、身包み剥いでたわ、住処からも追い出しちゃったわ……うーん、強く生きろどりゅう君。
ちなみに今回の個体は子供だったから、もし殺してたらモンスターペアレントが出張してきて、さらにとんでもないことになってたからこれが最良なんだよね。
さて、クエストクリアなので……その前に穴ボコになったここをどうするかだよな。まぁ、依頼内容に含まれてないし放置でいいか。サービス過剰にすると後からサービスしなかった時に文句を言われるからな。
そんなわけで依頼の達成報告。
「ちゃんとモグラの群れは退治しましたよ」
「そうですか、怪我人が出る前に事態が治って良かったです」
さて、じゃあ報酬を頂こうかな。
「このワイン、受け取っても?」
「えぇ、構いませんよ。実のところ……もうここで3000年以上ワインを奉納しているものですから豊穣神様も少し飽きていられる様なのです……ほら、そこにちょっとしたワインの山があるでしょう?年々天にお持ち帰りなさる量が減っているのです」
……あー、なるほど?
「お聞きしたいのですが、この辺りに太陽神、もしくは夜月神様の教会は」
「それがこのあたりには豊穣神様の教会しかないものでして」
これ、そこまで込みですね? えぇ、わかっておりますとも。討伐&お使いクエストだったわけだ。でもあれだ。信仰ランク5以上ならさ、自分が教会の代わりにもなるんだぜ? つまり、お使いクエストはほぼ無視できる!
「じゃあ、ここで奉納させて頂いても?」
「まさか……大司祭様であられましたか」
「そんな大層な人間ではありませんよ」
本当に、本当に助祭相当の扱いだからそんな態度を取らないでください……背中がむず痒くなってくる。それに奉納するのは夜月神様にだけだしな。太陽神には悪いが、夫婦なんだから2柱で仲良く晩酌してくれ。
夜月神教の教えで女性は浮気に寛容になりなさい、という教えがかなり有名なので夜月神様はかなりおおらかな神という印象が世間一般では強いけど……実は男は浮気してはならないって教えもあるんだよね。
この辺りちゃんと気にして忖度しましょう。死と安寧、静止と夜……そういうのを司る神様の機嫌を損ねるわけにはいかんだろう?
こういうの、信仰系の特性を取得し過ぎた弊害がモロに出てます。神に近くなった結果お怒りも結構受けやすいわけです。ここ、奉納先をミスったら1デス案件ね。
俺的には豊穣神LOVEだけど、生きてないと食うことも出来ないから仕方ないんや……はい、奉納完了。クエストクリアです。
高級ワインゲット~うおうおおおyeah yeah yeah!!ついでにお土産でぶどうも貰いました。ぶどうは……酸っぱいけど味めっちゃ濃厚だった、粒の大きさが結構小さいのに驚くほど濃厚。ただ、瑞々しさってのはまるでないね。味が濃縮ぶどうって感じだったし。
さて、帰りたいところなんだけれども……路銀ねぇわ。これじゃ辻馬車にも乗れないよ。どうにかしなきゃな。路銀は一体どこに行ってしまったんだろうね。いやぁ、不思議だなぁ。……俺の馬鹿め。
おっさんです、路銀どうにかしました。具体的には豊穣神様の試練に潜っていい感じに稼いできました。5層まで行って水汲んできたよ!……水汲み重労働すぎんだろ。
はい、それだけで3日経ちました。
そろそろお店で美味しいご飯が食べたい。そして金がある。ここはワインの聖地で美味しいワイン煮込みのお店がある!
こうなったらよ……食うしかないよな、ワイン煮込みをよォ!
どうも、おっさんです。あと1時間くらいでボルド領のワインを作ってる街に到着します。昔ながらの田園風景的なものか、どこかで見たフランスチックな長閑な田舎町を想像してたんですが、予想を遥かに超える田舎だった。
風景としては広大なブドウ畑とたまに見えるどでかい家、そんな感じだ。当然、あのデカい家に突撃してワインください、だとか、ブドウください、なんてことを言えるほど図太い神経はしていない ── なんせもう38歳+αの気遣いができるおっさんである ── のでワインが集積されるような大きい街を目指しているわけだ。
何事もなく到着、とりあえずワインの値段だけでも見ておこうか。どうせ手持ちの金じゃ足りないだろうけど。
そんなわけでワインの集積所へ。
「直接買い付けにきた口かい?……悪いねぇ、全部帝都に売却が決定してるんだよ」
「買い付けってわけじゃないんですけど。あー、先買いですか」
「それも100年先までね」
「そうですか、それは失礼しました」
ワインはダメか、そもそも非売品という。残念な結果だよ。じゃあ、次策だ。ぶどうを買おうぜ!
「せっかくきたので、ブドウだけでも買えませんかね」
「ブドウを? あんたも物好きだねぇ」
「キャンプで料理をするときにでも使ってみようと思いまして」
いわゆるワイン煮込み的な感じの料理を作れないかなぁ、と思ってね。まぁ、それは建前ってやつだけど。
「でも悪いけどそれも出来ないのよ~」
「全てワイン用ですか」
「そうよー? でも料理に使うって発想はいい発想ね。ほら、あそこのレストランあるでしょ?あそこでワイン煮込みを作ってるのよ。しかも、格安でね。上の人には秘密よ?」
「あぁ、それはありがたいですね。実は美味しいものに目がなくて。では」
「まぁまぁ、もう少し話していきなさいよ。あなた都会の人でしょう?」
しまったー!……話が長いタイプのおばちゃんに気に入られてしまった。確かに色々情報をくれたのはありがたいけども、こういう時のおばちゃんはまずいな。なんせ話が終わらない。そのうち子供まで集まってきた。娯楽が少ない田舎にいくと度々こういうことが起きるのは困ったもんである。
なぜ綺麗なお姉さんではなく、小さなお子様や妙齢のおばさま達ばかりにモテなくてはならないのか……もしかしたら取得している特性でおかしなシナジーが生まれているかもしれない、後でちゃんと確認しよう。
それからというものの、2時間ほど俺はその場に拘束され、なぜか吟遊詩人も寄ってきて即興の舞台的なものまでやることになってしまった。取っててよかった、宴会芸ランク2……まさか役に立つとは。意外と汎用性の高い特性で助かった。
そしてなぜか知らぬうちに豊穣神教会に厄介になることになっていた。
あれ、なんかおかしいぞ。俺はそのままワイン煮込み料理を食って宿で寝る予定だったのに。大いなる流れが俺を変な方向に引っ張って行こうとしている。
このなんか嫌で作為的な流れは試練神様な気がする。この感じ、多分そうだ。人に難事を与え、苦労し、苦労して、限界の中で成長したり死んでいく様を見て愉悦に浸るあのお方だぁ……うわぁ、なんか、なんだろうな
嫌な予感がしてきた
いや、本当にアーサーに与えた試練を悉く潰してしまったのは本当に悪かったと思います、だから英雄譚にもならない地味な癖して、無駄に高難易度な厄介事を定期的に俺にぶん投げてくるのはやめろください。
いや、でも経験値的に見るとまぁまぁ美味しいんだよな。試練神様の試練を乗り越えるとドカっと経験値貰えるし。ただ、俺に投げられる試練って普通にやると1ミス1デス上等なのばっかりだからなぁ。嫌だなぁ。喜捨してるだけの方がローリスクハイリターンで大好きなんだけどなぁ。
そんなことを考えているからそんな試練を投げられる、そうですよね。えぇ、知ってますけども。さて、今回はどんな試練とどんな報酬なんでしょうかね。楽しみダナー。
と、いうことで豊穣神教会です。普通にワインありますけどどういうことですかね。いや、わかるぞ。見えてきた見えてきた。それは奉納されるはずのワインだな? そして俺への報酬と見た。つまり、ここの豊穣神教会の何かしらのお願い事を聞けってことかな?
「実は、困ったことがありまして」
ほら見ろ、当たりだ。今度はどこまでお使いに行けばいいんですか。前回みたいに死神が昔に落として紛失した剣の捜索とかはやめてくれよ。結局あれ死神が応急処置で手渡されてた鎌を気に入ってて受け取り拒否されてるからな? 再配達はいつすればいいんですかね。
さて、何かな。討伐系か、採取系か……捜索やら調査系は私の技能構築的にあまり向いてないのでやめて欲しいのですけども。
「困り事とはなんでしょう?」
「実は神託がありまして、モグラが近々出るのでそれを討伐せよと」
「モグラ……ですか?」
まさかの害獣退治……これ大量発生系か。前はイナゴだったからな、今回も大変なことになりそうだ。イナゴの時は網持ってめちゃくちゃ振り回してなんとかしたけど今回はそうもいかんよな……
「清浄な気を纏っている剣を持った神官を頼れとのことでしたので」
「えぇ、もちろん。微力ながら尽くさせて頂きますとも」
俺、どう見ても神官じゃないし、この剣めちゃ安物だけどね。というか俺の着てる服は旅人装束だし、間違えても何かしらの護衛か冒険者でしょ。
「あと、私たちが近づくと危ないとのことでしたので協力はできませんが」
「構いませんよ、足を挫いたら大変ですからね」
モグラの大群ってことは最悪地盤沈下するからな。異世界のモグラはやべーんだ。爪が鉄の一歩手前位の硬さしてるし、引っかかれたら普通に怪我する(1敗)。
その日は夜も暗いので教会で飯を食うことになった。
出てきたものは、パン2つと野菜のクズで作られたスープと野菜の漬物と蒸した芋だ。これは……他の人の前でじゃがバタチーズは出来ないな、我慢しよう。
まずはスープから。……いや、なんとなく予想はしてたけど、味が薄い。もしや俺は修行しにきてしまったのだろうか、そんなはずはないのだけど。これ本当にちゃんと塩入ってる? スープの中に鶏ガラでも入れてやりたいが、俺という人間は鶏ガラなんて持ち歩く人間じゃないんで許して欲しい。
よく味わえば味が何かしらするはず、そう思ったけどね……やっぱり薄いものは薄いのよ。パンにつけたらもう味が感じられないからな。これはパンの味がしっかりしてるせいかもしれないけれど、それにしたって味薄くね?
スープのことは一旦忘れよう。それにしてもパンが美味いのは救いだな。これでパンまで不味かったら俺はどうしたら良いのか途方に暮れていたかもしれないし。なんならパンは帝都のパンより美味いからな。この芳醇とでも言えばいいのか分からないが、凄くいい香りのパン……もしかして、ワイン使ってないか? いや、流石に気のせいだよな。
さて、漬物だ。これは大根の漬物だな。シャクシャクしてて美味しい。香りはそんなに強くなくて酸味も結構マイルドな食べやすい漬物だ。スープと一緒に食べると丁度いい感じ。結構あっさりしているのに癖になる美味さ、お土産に1つ欲しいな、後で聞いてみようか。
最後、晩餐の中で異形を放つ蒸した芋……本当に蒸した芋だ。蒸した芋に塩振ってあるだけ。マヨもチーズもバターも何もかけてない。ただの芋と塩。特殊な調理方法とかもなんもしてない。なんなら皮付き。
とりあえず、かぶりついてみた。
うん、芋と塩の味。そりゃ芋と塩食ってるんだからそうだよな。素材本来の美味さってやつだ。……芋自体もともと美味いからな、普通に美味い。これ今日の夜飯で1番美味いかもしれない。
この素朴さには、塩握りに通じる何かを感じるよね。帝国の人はもしかしたら、死ぬ前に何食べたいって質問に蒸した芋って答えるのかもしれないな。パンって答える人の方が多い気もするけどな。
そしてこれもスープと一緒に食べると良い塩加減。これ完璧に狙ってやってるな。バランスよく食べると美味しくなるように作られた食事、これはこれでありかもしれない。
うん、全部食い切ってみれば普通に美味しかったな。それでも俺はワイン煮込みが食べたかった……あと1つ言わせてもらうならタンパク質が足りねぇ。後でこっそり持ってきたプロテイン飲もう。プロテインって言ってカッコつけてるが、ただの大豆100%の粉末だけどな。
きな粉って言うな、誰がなんと言ってもこれはプロテインだ。
その後、子供達に適当な話をして寝かしつけ、俺はその後、適当に準備をして寝た。ちょっと喜捨したい症候群を発症しそうだ。ここに喜捨したら経験値を、いつもより割高で貰えるよなぁ、でも帰りにカレーとワイン煮込み食わないといけないし……
手持ち0ゼニーです。もうワイン煮込みもカレーも諦めます。そういえば9本ワイン買ってたから自分で作れるわ。カレーは……諦めるか。いやぁ、良いことをした後は気分がいいなぁ!……やっぱカレー食べたいよ。
朝です。どうも、おっさんです。今日はモグラを討伐していきます。用意するものはこちら、タネも仕掛けもない数打ちのショートソード(刃渡り約68cm、鋼製)そして適当に投げやすい石ころ5つ、そしてスコップですね。
あいにく、私はスコップを使った戦闘術の特性のランクをまるで上げていないのでビームも波動砲も打てませんが、これは後処理用なので戦闘に使う予定はありません。
今日のメインウェポンはこちらのロングソード。4年前に武器屋の樽に入ってる数打ちの品の中からいい感じのを掘り出したものですね。切れ味は最近、試し切りしたので問題ありません。ちょっと鞘が汚れてきているのが最近の悩みです。
そしてサブウェポンの石ころです。教会の裏手で拾ってきたばかりのものになります。これは空からの敵襲を警戒して持っておきます。いざという時は体感時速3600キロで石ころを投げてショットガンの代わりとします。石ころに豊穣神様の力が籠っていれば多分当たるでしょう。
装備の確認以上!終わり!
「本当に大丈夫ですか」
「ええ、問題ありません」
というわけで現場に到着しました。なんもない平野ですね。長閑だぁ……
唐突に揺れる地面、とうとう来ました。
討伐クエスト、モグラを狩猟せよ!唐突に頭の中で流れ出すBGM。
テッテレーテー、テレレテーレテンテン、テテテーテテテーテーテー。
さー気分を盛り上げて行こう。どうせ面倒ごとが起きるに違いない! 今日は空から隕石が降ってくるかな? それとも地面から竹槍が生えてくるかな?
おい、話が違うぞ。モグラじゃなくて土竜じゃねーか!
どりゅう……じめん、ドラゴンタイプのモンスター。普段は地面の中で眠っているが、腹を空かせると地面から飛び出ては周りの生き物を襲う困ったモンスターじゃ。ちなみにドラゴンは等倍。氷は程度によっては効くが多分半減だと思う。フェアリーは……この世界のフェアリーはやべーから弱点だろうな。
ところで、この世界では漢字は使われていないはずなんですがモグラとどりゅうを間違えるってどういうことなんですかね、女神さまぁ?!あ、どりゅうのオトモにモグラも付いてくるんですね。
さて、某狩猟ゲームでは土やら泥を身に纏っているモンスターはそこまで強くない印象だったかもしれませんが……まぁこの世界、奇跡も魔術もあるので注意が必要になってます。
大量発生したモグラの処理に手間取り戦闘が長くなったので割愛。最終的にスコップでどりゅうくんの身包みを剥ぐことに成功しました。どりゅうくんの身につけている泥は農業的に非常に価値が高いのでね、リリースせねばなりません。また泥をつけて帰ってくるんだぞー。
ちなみにモグラの処理というのはどりゅう君に食べさせるという方法。捌いたモグラを吐く寸前まで無理やりに食わせたから当分暴れることはないだろうよ。衣食住足りて……えっとなんだっけ礼節を知るだっけ、多分どりゅう君は腹一杯だし……あ、身包み剥いでたわ、住処からも追い出しちゃったわ……うーん、強く生きろどりゅう君。
ちなみに今回の個体は子供だったから、もし殺してたらモンスターペアレントが出張してきて、さらにとんでもないことになってたからこれが最良なんだよね。
さて、クエストクリアなので……その前に穴ボコになったここをどうするかだよな。まぁ、依頼内容に含まれてないし放置でいいか。サービス過剰にすると後からサービスしなかった時に文句を言われるからな。
そんなわけで依頼の達成報告。
「ちゃんとモグラの群れは退治しましたよ」
「そうですか、怪我人が出る前に事態が治って良かったです」
さて、じゃあ報酬を頂こうかな。
「このワイン、受け取っても?」
「えぇ、構いませんよ。実のところ……もうここで3000年以上ワインを奉納しているものですから豊穣神様も少し飽きていられる様なのです……ほら、そこにちょっとしたワインの山があるでしょう?年々天にお持ち帰りなさる量が減っているのです」
……あー、なるほど?
「お聞きしたいのですが、この辺りに太陽神、もしくは夜月神様の教会は」
「それがこのあたりには豊穣神様の教会しかないものでして」
これ、そこまで込みですね? えぇ、わかっておりますとも。討伐&お使いクエストだったわけだ。でもあれだ。信仰ランク5以上ならさ、自分が教会の代わりにもなるんだぜ? つまり、お使いクエストはほぼ無視できる!
「じゃあ、ここで奉納させて頂いても?」
「まさか……大司祭様であられましたか」
「そんな大層な人間ではありませんよ」
本当に、本当に助祭相当の扱いだからそんな態度を取らないでください……背中がむず痒くなってくる。それに奉納するのは夜月神様にだけだしな。太陽神には悪いが、夫婦なんだから2柱で仲良く晩酌してくれ。
夜月神教の教えで女性は浮気に寛容になりなさい、という教えがかなり有名なので夜月神様はかなりおおらかな神という印象が世間一般では強いけど……実は男は浮気してはならないって教えもあるんだよね。
この辺りちゃんと気にして忖度しましょう。死と安寧、静止と夜……そういうのを司る神様の機嫌を損ねるわけにはいかんだろう?
こういうの、信仰系の特性を取得し過ぎた弊害がモロに出てます。神に近くなった結果お怒りも結構受けやすいわけです。ここ、奉納先をミスったら1デス案件ね。
俺的には豊穣神LOVEだけど、生きてないと食うことも出来ないから仕方ないんや……はい、奉納完了。クエストクリアです。
高級ワインゲット~うおうおおおyeah yeah yeah!!ついでにお土産でぶどうも貰いました。ぶどうは……酸っぱいけど味めっちゃ濃厚だった、粒の大きさが結構小さいのに驚くほど濃厚。ただ、瑞々しさってのはまるでないね。味が濃縮ぶどうって感じだったし。
さて、帰りたいところなんだけれども……路銀ねぇわ。これじゃ辻馬車にも乗れないよ。どうにかしなきゃな。路銀は一体どこに行ってしまったんだろうね。いやぁ、不思議だなぁ。……俺の馬鹿め。
おっさんです、路銀どうにかしました。具体的には豊穣神様の試練に潜っていい感じに稼いできました。5層まで行って水汲んできたよ!……水汲み重労働すぎんだろ。
はい、それだけで3日経ちました。
そろそろお店で美味しいご飯が食べたい。そして金がある。ここはワインの聖地で美味しいワイン煮込みのお店がある!
こうなったらよ……食うしかないよな、ワイン煮込みをよォ!
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大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
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ライオネルの言葉が本当なら確かにすごいことだ。
……本当なら……ね。
※完結まで執筆済み
【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する
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