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第四話
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「アインさん! 娘を助けていただきありがとうございます! 妻からも話があったと思いますが、お代は結構ですので是非うちに泊まっていってください!」
「えっと……はい。そうさせていただきます」
フィーネの活躍で落ち着きを取り戻し、ティナを解放したマイトは正に直角と言えるほどの角度でアインへ頭を下げた。心から感謝しているのはわかるが、その凄まじい勢いに若干引いてしまったアインを誰も責められないだろう。
「はぁ……お父さん、後は私が案内するからどっか行ってて」
「はぅっ!? ティナが冷たいよ母さん!」
「ティナももう年頃なんですから、お父さんもそろそろ娘離れしなきゃね」
「嫌だよぉ!」
「アインさん、部屋に案内しますので早く行きましょ!」
「あ、あぁ」
ティナは別段マイトが嫌いではない。むしろこの思春期を迎える年代にしては珍しく、非常に仲の良い親子だろう。だが、さすがにあれほどまでの暴走を好きな人に見られるのは恥ずかしすぎた。
そんなティナの心境を不貞腐れたような表情からなんとなく読み取ったアインは苦笑いを浮かべるしかなかった。
それでも、ティナはすぐに笑顔を浮かべ部屋までの短い時間に食事の時間やアクアの施設説明をしてくれた。中でもアインが驚いたのは露天風呂があることだった。
地下に使われていない水脈があることを水の魔術を得意とするフィーネが発見、水質も良好だった為それを宿の裏手に引きマイトが得意とする炎の魔術で温めるという、魔術がある程度扱える二人だからできた荒技だ。
源泉を利用したわけではない為効能などは特にないが、客を呼び込む為の策としては多少の効果はあったらしい。
「着きましたよ。こちらの部屋を使ってください」
ティナに案内された部屋は三階の角部屋だった。隣には誰も宿泊客はいないようだ。静かな部屋を用意してくれたのか、それとも客が少ないだけなのか……実際の理由はわからないが客が少ないのだと当たりをつけて経営が心配になるアイン。とはいえ所持金が少ない為アクアに無料で泊まれることになったのは素直にありがたかった。
「では夕食は六時から十時までであればいつでもとれますのでお好きな時間にどうぞ。今日は私の時間がとれなくて全部お母さんの料理ですが、明日は私も用意しますので絶対食べてくださいね」
「ああ、ティナからのお礼だもんな。楽しみにしてるよ」
「ふふ、ではごゆっくりどうぞ」
「ああ。案内してれてありがとな」
最後に軽くお辞儀をして階段を降りていくティナ。どうやら今からもう一仕事あるようだ。魔物に襲われたばかりだというのにバイタルに活動する姿は立派だが、それができるのは若さ故かそれとも恋する乙女だからなのか。
ティナが見えなくなるまで見送ったアインはようやく部屋へと入ることにした。室内には簡素なベッドが一つに、書き物ができそうな机が一つ。特に特徴はないが、掃除は行き届いていて贅沢を言わなければ十分すぎる環境と言える。
旅の疲れが出たのか少ない荷物を机に置くと、そのままベッドに倒れこむようにして顔を埋めた。
「賑やかな家族だな……」
柔らかな布団が体を包み込み、眠りにつきそうになりながら考えるのはティナの家族の事だった。
一見知的で落ち着いているように見えるが熱血漢のマイトと、その熱さを受け入れるマイペースなフィーネ。ティナはまともに見えるが感情が表に出やすいようで、見ていて飽きない。少ない時間しか接していないはずだが、三人の人となりは嫌と言うほど理解できた。
などと他人の考察をしていたが、うつ伏せでいることに苦しくなり寝返りをうつと机に置いていた剣が視界に入ってきた。ゴブリンとの戦いで使用しただけで、買ったばかりの剣。けれどアインにはそれが今どういった状態かは鞘に収まっていても分かってしまう。
「はぁ……やっぱり壊れたか」
念のための確認で鞘から出した剣は、長年使用したかのようにボロボロに朽ち果てていた。これでは、もはや鈍器としても使用はできない。
「また買い替えなきゃいけないな」
自分の得物が破損してしまったというのにアインに悲愴感はないが、それも当然と言える。元々が安物であり、そもそもがアインの力に耐えうる武器は未だ巡り会えたことがないのだ。簡単に破損するのが前提としているのならばその度に悲しむのも時間の無駄でしかない。
とはいえ、普段はここまであっさりと壊したりはしない。安物とはいえ出費を考えれば大切に使うに越したことはないので、耐久性を考えて振るっている。
ところが、今回ゴブリンの殲滅では視認できない程の速度を出していた。魔力で剣の強度を強化していたが、元が大したことなければそれにも限界がある。結果として耐久性を超えた使用により破損してしまったというわけだ。
それがわかっていた為、アクアに着くまでに武器屋と加冶屋があることは確認している。明日にでも替えを買いに行こうと考えるものの手持ちの金額では購入できないことはわかりきっていた。
だとすれば稼ぐしかない。短時間で効率よく稼げる仕事など都合よく転がっているわけもないが、それは力も持たない一般人の話。危険は伴うが条件に合致する仕事が戦士にはある。
魔物は種族で食用や武器の素材など、様々な部位が生活に用いられている。つまり魔物を人々を護る為に討伐するのではなく、利益の為に狩るということだ。
国に仕える兵士や商人に雇われた傭兵などを除く戦士の大半は、魔物を狩ることで収入を得ている。彼らは通称ハンターと呼ばれていて、ギルドと呼ばれる組織で統制がとられている。
ギルドに属していない者は手数料こそ発生するが、様々な品を換金できる。リーナは小さな村ではあるが、支部から出張所が出店されているので明日にでもそれなりに懐は暖かくなるだろう。
もっとも、急いで剣を買う必要もない。なにせ威圧だけで大半の魔物は怯え、狂化した魔物が相手でも無手でどうにでもなるのだ。得物が剣だから腰に下げておきたい、その程度の認識でしかない。
さっぱりしたい。突然そう思ったアインは朽ちてしまった剣を鞘に収めると浴室へ向かった。水回りはカビやサビなとが出て大変なはずだが、室内と同じように浴室も掃除が行き届いている。純粋に管理ができているとも言えるが、ここでも水の魔術を活用して更に衛生面を向上させているのだろう。
アクアの宿屋としての質の高さに驚きつつ、ならばなぜ客足が少ないのかを疑問に感じるアイン。純粋に宣伝不足か他に要因があるのか。しかし、考えても答えは出るわけもないため考えるのをやめて風呂に入ることにした。
浴室には多少足をのばせそうな風呂桶があるが、浸かるのは寝る前にして今は軽くシャワーだけで済ませることにした。眠気覚ましの意味で熱いお湯を浴びると、いたる方向へ飛び跳ねていた髪がお湯に濡れた事でしんなりとして下りてきた。
水分を含んだ為か艶を帯びた髪は、中性的で整った容姿と相まって女性に見えなくもない。もちろんアインは男性だが、その胸にはある特徴があった。決して女性特有の膨らみがあるわけではない。ただ左胸、心臓部におびただしいほどの血管が浮かんでいたのだ。
アインにしてみれば見慣れたいつもの光景でしかなく、特に気にせずシャワーを浴び終える。着替えながら時計を見てみれば既に六時を超えていた為、食堂へ向かうのであった。
「えっと……はい。そうさせていただきます」
フィーネの活躍で落ち着きを取り戻し、ティナを解放したマイトは正に直角と言えるほどの角度でアインへ頭を下げた。心から感謝しているのはわかるが、その凄まじい勢いに若干引いてしまったアインを誰も責められないだろう。
「はぁ……お父さん、後は私が案内するからどっか行ってて」
「はぅっ!? ティナが冷たいよ母さん!」
「ティナももう年頃なんですから、お父さんもそろそろ娘離れしなきゃね」
「嫌だよぉ!」
「アインさん、部屋に案内しますので早く行きましょ!」
「あ、あぁ」
ティナは別段マイトが嫌いではない。むしろこの思春期を迎える年代にしては珍しく、非常に仲の良い親子だろう。だが、さすがにあれほどまでの暴走を好きな人に見られるのは恥ずかしすぎた。
そんなティナの心境を不貞腐れたような表情からなんとなく読み取ったアインは苦笑いを浮かべるしかなかった。
それでも、ティナはすぐに笑顔を浮かべ部屋までの短い時間に食事の時間やアクアの施設説明をしてくれた。中でもアインが驚いたのは露天風呂があることだった。
地下に使われていない水脈があることを水の魔術を得意とするフィーネが発見、水質も良好だった為それを宿の裏手に引きマイトが得意とする炎の魔術で温めるという、魔術がある程度扱える二人だからできた荒技だ。
源泉を利用したわけではない為効能などは特にないが、客を呼び込む為の策としては多少の効果はあったらしい。
「着きましたよ。こちらの部屋を使ってください」
ティナに案内された部屋は三階の角部屋だった。隣には誰も宿泊客はいないようだ。静かな部屋を用意してくれたのか、それとも客が少ないだけなのか……実際の理由はわからないが客が少ないのだと当たりをつけて経営が心配になるアイン。とはいえ所持金が少ない為アクアに無料で泊まれることになったのは素直にありがたかった。
「では夕食は六時から十時までであればいつでもとれますのでお好きな時間にどうぞ。今日は私の時間がとれなくて全部お母さんの料理ですが、明日は私も用意しますので絶対食べてくださいね」
「ああ、ティナからのお礼だもんな。楽しみにしてるよ」
「ふふ、ではごゆっくりどうぞ」
「ああ。案内してれてありがとな」
最後に軽くお辞儀をして階段を降りていくティナ。どうやら今からもう一仕事あるようだ。魔物に襲われたばかりだというのにバイタルに活動する姿は立派だが、それができるのは若さ故かそれとも恋する乙女だからなのか。
ティナが見えなくなるまで見送ったアインはようやく部屋へと入ることにした。室内には簡素なベッドが一つに、書き物ができそうな机が一つ。特に特徴はないが、掃除は行き届いていて贅沢を言わなければ十分すぎる環境と言える。
旅の疲れが出たのか少ない荷物を机に置くと、そのままベッドに倒れこむようにして顔を埋めた。
「賑やかな家族だな……」
柔らかな布団が体を包み込み、眠りにつきそうになりながら考えるのはティナの家族の事だった。
一見知的で落ち着いているように見えるが熱血漢のマイトと、その熱さを受け入れるマイペースなフィーネ。ティナはまともに見えるが感情が表に出やすいようで、見ていて飽きない。少ない時間しか接していないはずだが、三人の人となりは嫌と言うほど理解できた。
などと他人の考察をしていたが、うつ伏せでいることに苦しくなり寝返りをうつと机に置いていた剣が視界に入ってきた。ゴブリンとの戦いで使用しただけで、買ったばかりの剣。けれどアインにはそれが今どういった状態かは鞘に収まっていても分かってしまう。
「はぁ……やっぱり壊れたか」
念のための確認で鞘から出した剣は、長年使用したかのようにボロボロに朽ち果てていた。これでは、もはや鈍器としても使用はできない。
「また買い替えなきゃいけないな」
自分の得物が破損してしまったというのにアインに悲愴感はないが、それも当然と言える。元々が安物であり、そもそもがアインの力に耐えうる武器は未だ巡り会えたことがないのだ。簡単に破損するのが前提としているのならばその度に悲しむのも時間の無駄でしかない。
とはいえ、普段はここまであっさりと壊したりはしない。安物とはいえ出費を考えれば大切に使うに越したことはないので、耐久性を考えて振るっている。
ところが、今回ゴブリンの殲滅では視認できない程の速度を出していた。魔力で剣の強度を強化していたが、元が大したことなければそれにも限界がある。結果として耐久性を超えた使用により破損してしまったというわけだ。
それがわかっていた為、アクアに着くまでに武器屋と加冶屋があることは確認している。明日にでも替えを買いに行こうと考えるものの手持ちの金額では購入できないことはわかりきっていた。
だとすれば稼ぐしかない。短時間で効率よく稼げる仕事など都合よく転がっているわけもないが、それは力も持たない一般人の話。危険は伴うが条件に合致する仕事が戦士にはある。
魔物は種族で食用や武器の素材など、様々な部位が生活に用いられている。つまり魔物を人々を護る為に討伐するのではなく、利益の為に狩るということだ。
国に仕える兵士や商人に雇われた傭兵などを除く戦士の大半は、魔物を狩ることで収入を得ている。彼らは通称ハンターと呼ばれていて、ギルドと呼ばれる組織で統制がとられている。
ギルドに属していない者は手数料こそ発生するが、様々な品を換金できる。リーナは小さな村ではあるが、支部から出張所が出店されているので明日にでもそれなりに懐は暖かくなるだろう。
もっとも、急いで剣を買う必要もない。なにせ威圧だけで大半の魔物は怯え、狂化した魔物が相手でも無手でどうにでもなるのだ。得物が剣だから腰に下げておきたい、その程度の認識でしかない。
さっぱりしたい。突然そう思ったアインは朽ちてしまった剣を鞘に収めると浴室へ向かった。水回りはカビやサビなとが出て大変なはずだが、室内と同じように浴室も掃除が行き届いている。純粋に管理ができているとも言えるが、ここでも水の魔術を活用して更に衛生面を向上させているのだろう。
アクアの宿屋としての質の高さに驚きつつ、ならばなぜ客足が少ないのかを疑問に感じるアイン。純粋に宣伝不足か他に要因があるのか。しかし、考えても答えは出るわけもないため考えるのをやめて風呂に入ることにした。
浴室には多少足をのばせそうな風呂桶があるが、浸かるのは寝る前にして今は軽くシャワーだけで済ませることにした。眠気覚ましの意味で熱いお湯を浴びると、いたる方向へ飛び跳ねていた髪がお湯に濡れた事でしんなりとして下りてきた。
水分を含んだ為か艶を帯びた髪は、中性的で整った容姿と相まって女性に見えなくもない。もちろんアインは男性だが、その胸にはある特徴があった。決して女性特有の膨らみがあるわけではない。ただ左胸、心臓部におびただしいほどの血管が浮かんでいたのだ。
アインにしてみれば見慣れたいつもの光景でしかなく、特に気にせずシャワーを浴び終える。着替えながら時計を見てみれば既に六時を超えていた為、食堂へ向かうのであった。
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