立ち飲み母ちゃん

くさなぎ秋良

文字の大きさ
上 下
3 / 14

第3話 手羽元の中華風煮物の線引き

しおりを挟む
 夜更けの台所からこんばんは。

 今夜は手羽元の中華煮です。

 手羽元を中華スープの素で煮込んだものですが、和風にだし汁で作ったときとはまた違う味わいです。
 もちろん肉は骨からほろっと取れちゃうくらい煮てあります。うちの息子たちは骨をしゃぶるんじゃないかという勢いで食らいつく一品。

 中華料理って大好き。
 でも、あんまり自宅で作ろうとは思わないんです。 
餃子くらいは……と思っても、あれはどうせ作るならたくさん作って大人数で楽しみたい。夫と二人では正直作る気になれないまま数年たちました。子どもたちがもう少し大きくなったら一緒に餃子包みます。

 中華料理独特の材料を集めても使い切る自信はない。火力も足りない。なのでお惣菜や外食で楽しむと割り切ってます。
 家事をこなす上では、どこかでそういう線引きをして楽するところはしないと身がもちませんわ。
でも『中華風』くらいなら楽しめます! 中華スープの素、万歳!

 ところで、私のパート先の工場では、中国人の実習生たちが働いています。みんな二十歳前後の若さで日本に来て、会社が用意したアパートに相部屋で住んでいます。

 お昼になるとみんな手作りのお弁当と金属製の箸を取り出して頬張ります。
 食べているのはご飯の上におかずを乗っけたお弁当が多いようで、おかずの見た目や匂いがいかにも中華料理。作り方が気になるところですが、私は中国語がわからないのです。そして実習生たちも日本語を勉強していますが、まだほとんど話せません。

 同僚は多国籍で中国人だけでなくブラジルやペルー、ベトナム、マレーシアの人もいます。悲しいことに差別的な発言をする日本人の先輩もいます。

 お昼時間にご飯を頬張り、おかずを交換し、動画を見せ合って笑い、おしゃべりを楽しむ実習生たちは日本人の若者と何も変わらない。実習生にも先輩にも良いところ困ったところがあるのは同じなんですけどね。

 ただ日本語を話せないだけ。そして差別する先輩は日本語しか話せないだけ。

 差別って区別の線引きするときに自分が上から相手を見て線を引いたら生まれる気がします。
 たまに自分がどこに立ってどう周りを見渡しているか、気をつけなきゃなと思います。
 だって自分の言動はまわりまわって自分にかえるってこと、四十路にもなると身にしみていますからね。


【深水家の手羽元の中華風煮物の作り方】

茹で卵を作っておきます。ネギもあると嬉しいですね。

深めの鍋で手羽元に軽く焼き目をつけたら水、中華スープの素、砂糖、みりん、酒、醤油、生姜、お好みでにんにくを入れます。

茹で卵を加えて落とし蓋をし、しばらくしたら蓋をとってネギを入れ煮詰めます。

どうぞ召し上がれ。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

さよならアヒージョ

くさなぎ秋良
エッセイ・ノンフィクション
家族について書いたエッセイ集。noteに掲載したものを加筆修正しています。表題作含め7作品。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

Webコンテンツ大賞の戦い方【模索してみよう!】

橘花やよい
エッセイ・ノンフィクション
アルファポリスのWebコンテンツ大賞。 読者投票もあるし、うまく戦いたいですよね。 ●応募作、いつから投稿をはじめましょう? ●そもそもどうやったら、読んでもらえるかな? ●参加時の心得は? といったことを、ゆるふわっと書きます。皆さまも、ゆるふわっと読んでくださいませ。 30日と31日にかけて公開します。

怠け者娘の料理修行

ひつじ
エッセイ・ノンフィクション
料理がめっちゃ美味い我がママ上 高校時代から、会食やら何やらで舌が肥えた父を十分満足させる弁当を作り上げる強者… 田舎に嫁に来てからは、昔のしきたりにめちゃうるさい大姑、姑2人を自慢の料理で堕としまくり、今や『旅行先の飯より家で食う飯が美味い』と言わせるほど… そんな母上の娘に生まれた私は、料理のりの字も分からん怠け者娘… ママ上が、おかず屋開いてくれれば万事解決するのに…泣 ってなわけで、怠け者でおまけにかなーり手遅れなほど腐腐腐な娘が、ママ上のレシピを取りあえず保存して、料理とはなんなのかを学ぶエッセーです! 完全に料理レシピを書いたり、覚えたりするためのモチベ維持のためだけに書いてます(^◇^;) ママ上は、分量を量らない感覚天才派なので、分量は分かりませぬ 泣 強いて言えば、いつも4人〜6人分〜8人分くらいの多めですねん 〜以下ママ上より激励〜 娘に残したい料理レシピ!! ちゃんと作れ! ※レシピは素人の怠け者娘が書いてるので、作ってまずくても責任は取れません きちんとしたレシピ本などで、調べてくださいませ 泣 いつか、ちゃんとしたご飯小説書けるように頑張ります!

道草日記2025【電子書籍作家の日々徒然】

その子四十路
エッセイ・ノンフィクション
原稿が終わらない。電子書籍作家『その子四十路』のまったく丁寧じゃない、道草を食ってばかりの暮らしの記録。 2025年1月〜 ↓昨年の記録はこちら ●混迷日記2024【電子書籍作家の日々徒然】

ポテチ ポリポリ ダイエット それでも痩せちゃった

ma-no
エッセイ・ノンフィクション
 この話は、筆者が毎夜、寝る前にボテチを食べながらもダイエットを成功させた話である。  まだ目標体重には届いていませんが、予想より早く体重が減っていっているので調子に乗って、その方法を書き記しています。  お腹ぽっこり大賞……もとい! 「第2回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしています。  是非ともあなたの一票を、お願い致します。

「日常の呟き(雑談)」

黒子猫
エッセイ・ノンフィクション
日常のことを綴ってます✨

命のボタン

倉澤 環(タマッキン)
エッセイ・ノンフィクション
糖尿病、人工透析、脊柱管狭窄症など病のデパートの彼の介護記録です。

処理中です...