立ち飲み母ちゃん

くさなぎ秋良

文字の大きさ
上 下
1 / 14

第1話 はじまりは紅茶豚の角煮

しおりを挟む
 夜更けの台所からこんばんは。

 私は子どもたちを寝かしつけた21時過ぎ、リビングでもなく自室でもない、台所でウイスキーを立ち飲みすることがたびたびあります。

 今夜の肴は『紅茶豚の角煮』でした。
 角煮は脂身の存在が最も輝く料理といえるでしょう。箸をいれたらほろほろと崩れる肉、味の染みた茶色い煮卵、トロトロのネギ。茶色いおかずはお酒もすすむがご飯もすすむ!脂身嫌いのはずの夫も角煮はぺろりとたいらげます。

 最初はいつもの作り方で角煮を作っていたのですが、ふと「豚肉を紅茶で煮ると柔らかくなる」という話を思い出し、下茹でに紅茶をぶっこんでみました。酔ってなくても、唐突に思い切ったことをする習性があるのです。

 結果はまずまず。でも作り方に「ああすればよかった!」という課題と改善点が。

 思いつきも行動を起こすのも大事。でも失敗を失敗のままにしない、転んでもただじゃ起きない精神はもっと大事。今度は満足いく仕上がりにしてみせます。

 角煮が照り輝く鍋を見ながら、そういう風に思ったことや感じたことをエッセイに残そうと思いつきました。

 いつもツイッターで作った肴の画像を呟いて記録しているのですが、ツイッターって『言葉の流しそうめん』だと思っていましてね。目の前を流れてしまったらそれっきりのことが多い。

 それはそれでいいんです。食べ物だって食べたらそれっきり消えるもの。
 でも私はその肴をどんな気持ちを抱えながら作って食べたか記録して、手繰りやすくしたいなと思いました。それにはエッセイのほうがいい気がしたのです。

 母ちゃんとして、奥さんとして、女として、他愛もなくてどこにでもあるような、でも確かにそのとき私は生きていたという証になるもの。それが一日の終わりに台所でウイスキーを立ち飲みしながら考えるあれこれに凝縮されています。

 なぜ台所かというと、睡眠をとるベッドの次に多くの時間を過ごす場所であり、私の最前線基地であり、瞑想場でもあるから。深水家の台所での呟きにお付き合いください。

 レシピは毎話、最後にざっと掲載します。『ざっと』なのは、いつも目分量だから。そんなざっくり立ち飲み母ちゃんをよろしくお願いします! 


【深水家の角煮の作り方】

ネギの青い部分と皮付き生姜と切った豚バラを30分アクをすくいながら茹でます。

下茹での湯を少し取り分け、いったん肉を取り出して水気をとります。

鍋に下茹での湯、水、調味料を入れて火にかけます。調味料は白だし、砂糖、みりん、酒、醤油。
煮たったら落とし蓋をして茹で卵とネギを加えます。
1時間煮たら蓋をはずし、煮詰めて完成。

ねぎをトロトロさせたくない人は入れるタイミングを蓋をはずしてからに遅らせてくださいませ。

どうぞ召し上がれ。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

命のボタン

倉澤 環(タマッキン)
エッセイ・ノンフィクション
糖尿病、人工透析、脊柱管狭窄症など病のデパートの彼の介護記録です。

「繊細さんの日々のこと」

黒子猫
エッセイ・ノンフィクション
「繊細さん」の私が、日常で感じたことなどを綴ります。 ちなみに私は内向型HSPです✨

Webコンテンツ大賞の戦い方【模索してみよう!】

橘花やよい
エッセイ・ノンフィクション
アルファポリスのWebコンテンツ大賞。 読者投票もあるし、うまく戦いたいですよね。 ●応募作、いつから投稿をはじめましょう? ●そもそもどうやったら、読んでもらえるかな? ●参加時の心得は? といったことを、ゆるふわっと書きます。皆さまも、ゆるふわっと読んでくださいませ。 30日と31日にかけて公開します。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

怠け者娘の料理修行

ひつじ
エッセイ・ノンフィクション
料理がめっちゃ美味い我がママ上 高校時代から、会食やら何やらで舌が肥えた父を十分満足させる弁当を作り上げる強者… 田舎に嫁に来てからは、昔のしきたりにめちゃうるさい大姑、姑2人を自慢の料理で堕としまくり、今や『旅行先の飯より家で食う飯が美味い』と言わせるほど… そんな母上の娘に生まれた私は、料理のりの字も分からん怠け者娘… ママ上が、おかず屋開いてくれれば万事解決するのに…泣 ってなわけで、怠け者でおまけにかなーり手遅れなほど腐腐腐な娘が、ママ上のレシピを取りあえず保存して、料理とはなんなのかを学ぶエッセーです! 完全に料理レシピを書いたり、覚えたりするためのモチベ維持のためだけに書いてます(^◇^;) ママ上は、分量を量らない感覚天才派なので、分量は分かりませぬ 泣 強いて言えば、いつも4人〜6人分〜8人分くらいの多めですねん 〜以下ママ上より激励〜 娘に残したい料理レシピ!! ちゃんと作れ! ※レシピは素人の怠け者娘が書いてるので、作ってまずくても責任は取れません きちんとしたレシピ本などで、調べてくださいませ 泣 いつか、ちゃんとしたご飯小説書けるように頑張ります!

ウェブ小説家見習いの第117回医師国家試験受験記録

輪島ライ
エッセイ・ノンフィクション
ウェブ小説家見習いの現役医学生が第117回医師国家試験に合格するまでの体験記です。 ※このエッセイは「小説家になろう」「アルファポリス」「カクヨム」「エブリスタ」に投稿しています。 ※このエッセイの内容は一人の医師国家試験受験生の受験記録に過ぎません。今後国試を受験する医学生の参考になれば幸いですが実際に自分自身の勉強法に取り入れるかはよく考えて決めてください。

子供って難解だ〜2児の母の笑える小話〜

珊瑚やよい(にん)
エッセイ・ノンフィクション
10秒で読める笑えるエッセイ集です。 2匹の怪獣さんの母です。11歳の娘と5歳の息子がいます。子供はネタの宝庫だと思います。クスッと笑えるエピソードをどうぞ。 毎日毎日ネタが絶えなくて更新しながら楽しんでいます(笑)

処理中です...