16 / 16
16
しおりを挟む
ネモはお母さんとたくさんお話をしたがりましたが、お母さんは夜更かしを許しませんでした。
それでも、ネモは朝寝坊をしてしまいました。
台所に行くと、ヤカンから白い湯気が吹き出していて、その向こうにお母さんが立っています。
「おはよう。ずいぶんゆっくりね。疲れていたの?」
「おはよう。うん、そうかもね」
それは疲れているでしょう。なにせ、大きなウワバミから逃げてきたんですからね。
ネモは食卓に腰をおろし、うっとりした目になりました。
片付けられて綺麗になった部屋も朝の挨拶も、なんて素敵なんでしょう。
なにより、遅く起きた朝の食卓は格別でした。
湯気のたつ甘いカフェオレ。
ふかふかのフレンチトースト。
ぷるんとした目玉焼きに、カリカリのベーコン。
一番素敵なのは向かいの席で微笑んでいるお母さん。
今ならどんなお説教でも素直に聞ける気分です。
でもその前に、お母さんの旅の話を聞かなくてはいけません。
それからフウセンウナギとウワバミの囲碁対決の話をしようと、ネモは楽しみにしていました。
庭の矢車菊が、いつにもなく朗らかな顔をしたネモを窓越しに優しく見守っていたのでした。
それでも、ネモは朝寝坊をしてしまいました。
台所に行くと、ヤカンから白い湯気が吹き出していて、その向こうにお母さんが立っています。
「おはよう。ずいぶんゆっくりね。疲れていたの?」
「おはよう。うん、そうかもね」
それは疲れているでしょう。なにせ、大きなウワバミから逃げてきたんですからね。
ネモは食卓に腰をおろし、うっとりした目になりました。
片付けられて綺麗になった部屋も朝の挨拶も、なんて素敵なんでしょう。
なにより、遅く起きた朝の食卓は格別でした。
湯気のたつ甘いカフェオレ。
ふかふかのフレンチトースト。
ぷるんとした目玉焼きに、カリカリのベーコン。
一番素敵なのは向かいの席で微笑んでいるお母さん。
今ならどんなお説教でも素直に聞ける気分です。
でもその前に、お母さんの旅の話を聞かなくてはいけません。
それからフウセンウナギとウワバミの囲碁対決の話をしようと、ネモは楽しみにしていました。
庭の矢車菊が、いつにもなく朗らかな顔をしたネモを窓越しに優しく見守っていたのでした。
0
お気に入りに追加
6
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(1件)
あなたにおすすめの小説
貝に住んだ猫
くさなぎ秋良
絵本
森の中に一匹の猫が住んでいました。
名前はネモ。男の子です。
ある日、ネモは綺麗な白い石を見つけます。
「この石でおうちに石垣を作ろう」
そして石を掘り出そうとするのですが……。
ベリーズカフェでも公開中です。
このせかいもわるくない
ふら(鳥羽風来)
絵本
以前書いた童話「いいとこ探し」を絵本にリメイクしました。
色んなソフトを使ったりすれば、もっと良い絵が描けそうだったり、未熟な点は多いですが、よろしくお願いします。
クジラと雨宿りした猫
くさなぎ秋良
絵本
森の奥深く、ネモという猫の男の子が住んでいました。
ある日、ネモがさくらんぼの花を見に出かけると泉に何か浮かんでいます。
それはクジラの置き物でした。
ネモはクジラと一緒に、お花見をしながらおにぎりを食べます。
「君の口は開いてるね。お腹すいたの?」
クジラの口におにぎりの梅干しを入れた途端、不思議なことが起こるのでした。
ベリーズカフェでも公開中です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
フウセンウナギを可愛いものだと思ってワクワクしながら調べてみたら、想像とはだいぶ違う姿に驚きました(((;°▽°))
考えてみたら深海の王様なので、可愛くはないですよね。
ネモくんはいつもいい子にしているので、お母さんが帰って来られると良いですね。
セロリさん、ありがとうございます!
そうなんです、かわいい名前なのになんでも飲み込んじゃいそうな面構えだなぁと(笑)
最後までお楽しみいただけたら嬉しいです!