花言葉かるた

くさなぎ秋良

文字の大きさ
5 / 44
あ行

【お】鬼百合

しおりを挟む
 『鬼百合』は、目の覚めるような鮮やかな橙色に黒い斑点がある、なんとも印象的な百合です。
 グアム東部、中国、朝鮮半島、日本に自生しています。日本では北海道から九州の平地から低山で普通に見られ、一説には中国からの渡来種と言われているそうです。
 別名を『天蓋百合《てんがいゆり》』といいます。聖書に出てくる白い百合とはまた違い、毒々しいまでの色合いですね。

 山形県にあった祖父母の自宅の庭には数々の植物が植えられていましたが、そこにも鬼百合はありました。庭木の手前にすっと立ちはだかるように咲いていたものです。
 キノコも虫もけばけばしい色のものほど毒性が強いというイメージを持っていたせいでしょうか、なんだか触れたら恐ろしいことが起こるのではないかとびくびくしたものです。
 鬼百合がまるで鬼の形相で「この庭の草花を手折ることは許さん」と守っているようでした。
 でもその鬼百合はたった一輪でした。なのに、今でも強烈にあの色を覚えています。

 それに、鬼百合は葉の付け根にはむかごと呼ばれる小さな球根のようなものをつけるのですが、これがまた怖かったのです。
 黒みを帯びた濃い紫っぽくて、妖しい丸薬か何かのようでした。なんだかそれを触ると皮膚がただれそうな毒々しい色に思えて、とても怖かったのを思い出します。
 もっとも、実際はそんなことはなく、むかごは地面に落ちると根を伸ばして新たな株となります。
 
 鬼百合の花言葉には『嫌悪』『荘厳』といったものがあります。
 その鮮烈な色合いゆえに何故か触れてはいけない存在ではないかと思った私には納得の花言葉です。
 けれど、その一方で『愉快』『華麗』『陽気』という花言葉もあるんですね。確かにあの橙色は南国を思わせる華やかさで、そんな明るい花言葉も似合いますね。

 幼い頃は恐ろしかった鬼百合ですが、触れるのが怖いということは、裏を返せば心のどこかで触れてみたかったという気持ちがあったということ。知らず知らずに魅せられていたけれど、気圧されたのですね。
 『純潔』という花言葉も持つ鬼百合は、その色で威嚇して触れようとする者から自分を守っているのかもしれませんね。ということは、あの一輪だけ咲いていた鬼百合は幼い頃の私から完全に勝利していたわけですなぁ。
 あの家は手放してしまいましたが、他の方がそのまま住んでいるはずです。今でも咲いているのでしょうか。もしも叶うなら、ちょっと庭を覗いてみたくなります。

 鬼百合は7/22、8/30、9/1、9/15、10/4の誕生花だそうです。


 鬼百合の花言葉一覧:『愉快』『純潔』『富と誇り』『嫌悪』『荘厳』『華麗』『賢者』『陽気』

 濃橙の鬼百合の花言葉一覧:『賢者』



文字札:おそろしげで美しい

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

つまらない妃と呼ばれた日

柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。 舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。 さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。 リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。 ――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜

来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、 疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。 無愛想で冷静な上司・東條崇雅。 その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、 仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。 けれど―― そこから、彼の態度は変わり始めた。 苦手な仕事から外され、 負担を減らされ、 静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。 「辞めるのは認めない」 そんな言葉すらないのに、 無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。 これは愛? それともただの執着? じれじれと、甘く、不器用に。 二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。 無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

処理中です...