ことわざ人生

くさなぎ秋良

文字の大きさ
59 / 64

酒は飲むべし飲むべからず

しおりを挟む
 『酒は飲むべし飲むべからず』とは、酒には人それぞれ適量がある。適度になら飲んだほうがいいが、飲み過ぎると体をこわしたり、とんでもない失敗をするから、決して飲み過ぎてはいけないという戒めの言葉。

 『酒は飲むとも飲まるるな』という戒めの言葉のほうが耳にする機会が多いでしょうか。昔から、多くの人が酒の失敗をしてきたようです。

 うちの夫も若い頃は酔って田んぼに落っこちたり、コンビニで展開されていたワインを袖にひっかけて割ってしまったり、色々やらかしたらしいですが、私の父は二度ほど死にかけてます。
 本日のお話はあまり綺麗ではないので、お食事中の方は閉じてくださいね。

 父は子どもに言葉で諭したりしつけたりするような人ではなく、背中を見て学べというタイプでした。
 その父から言葉なしに教わったのは、それこそ『酒は飲むべし飲むべからず』ということ。

 彼はとても無口で声も低く、普段は愛想がないのですが、お酒を飲むと本当に楽しげになります。毎日のように晩酌をする人でしたが、そういうときの父はとても生き生きしていました。
 父は仕事の話を決して家庭に持ち込まない人でした。辛いこともたくさんあったと思うのですが、酒を飲んでも愚痴一つ言わず、常に嬉しそうにビールを手酌する姿を思い返すと、よほど酒が好きで生き甲斐だったのか、精神的にタフなのか……。

 ところが、そんな彼も時々は飲み過ぎて失敗したこともあり、その『時々』を目の当たりにしてすっかり反面教師になりました。

 幼い頃、酔っ払って帰宅した父が仰向けのままマーライオンと化していたときは、泉のように溢れる吐瀉物に「こうなってはいけない」と強く誓いました。というか、今考えるとこれって窒息の恐れがあるので危険なんですよね。
 
 あのときの印象が強すぎて、私は20歳を過ぎるやいなや、自分の適量を知り、どうすればスマートな飲み方で酒を楽しめるか急いで取得しました。
 そのうちバーに通うようになったために、なおさら酔い方の善し悪しを目の当たりにする機会が増えたせいでもあります。バーって、飲み方の格好良さ、格好悪さが、やたら目立つんですよね。

 父は老後になると、飲み方も大人しくなりましたが、年に一度くらい派手に失敗をやらかすようになりました。
 数年前は真冬に酔って帰って家の前の階段で転び、頭を打って流血したのですが、そのまま一階のリビングの隣にある和室(誰も使ってない部屋なのです)でごろ寝した父。
 翌日の昼まで爆睡していたようですが、なかなか起きてこない父が頭から流血していることに家の人が誰も気づかず……。発覚したときには頭がナメック星人のように腫れ上がっていたという……。数日入院となりました。

 別の年には、ほろ酔いのままお風呂に入り、うたた寝して頭を打ったらしい父。
 傷は小さかったのですが、アルコールを摂取した上に湯船に浸かっていたため、たらたらと血が流れ続け、湯船を茶色く染めたこともありました。
 あまりに遅いので様子を見に行った私の驚きたるや……。「飲んだらお風呂に入るな、血があれだけ出たんだから少しは水分をとって寝て」と叱ったのですが、彼は「平気平気」と小さな絆創膏をぺたんと貼って就寝したのでした。

 今では離れて暮らしているのできちんとスマートに飲んでいるか心配です。
 本当、適量でお願いしたいですねぇ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

熟女教師に何度も迫られて…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
二度と味わえない体験をした実話中心のショート・ショート集です

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

つまらない妃と呼ばれた日

柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。 舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。 さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。 リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。 ――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

裏長屋の若殿、限られた自由を満喫する

克全
歴史・時代
貧乏人が肩を寄せ合って暮らす聖天長屋に徳田新之丞と名乗る人品卑しからぬ若侍がいた。月のうち数日しか長屋にいないのだが、いる時には自ら竈で米を炊き七輪で魚を焼く小まめな男だった。

おじさん、女子高生になる

一宮 沙耶
大衆娯楽
だれからも振り向いてもらえないおじさん。 それが女子高生に向けて若返っていく。 そして政治闘争に巻き込まれていく。 その結末は?

処理中です...