4 / 5
ふろふき大根
しおりを挟む
今回のお題は『ふろふき大根』です。
この料理を知ったのは実際の食卓ではなく、文学の世界でした。『きつねの窓』などで知られる児童文学作家、安房直子さんの作品にふろふき大根が登場するのです。題名はそのまま『ふろふき大根のゆうべ』といいます。
峠にて奥さんと小さな茶屋を営む男性が、ある日、一匹のいのししに出会います。そのいのししは、これからあちこちの山のいのししが集まってふろふき大根を味わう『ふろふき大根のゆうべ』のために味噌を買いにいくところでした。その男性もそこに招待されることになり……というお話。
透き通るような大根から真っ白い湯気がのぼり、味噌の旨みが口の中に今にも溶け出すよう。
お味噌も、くるみ味噌なんて魅力的なものをかけて頬張ってましたね。他はうろ覚えだけれど、ごまやゆずも出てきたかな?
冬の寒い空気にたちのぼる白い湯気の奥にあるもの。想像すると、とても素敵ですね。いのししがほっかむりをして集まってくるというのも面白い光景です。
夏の暑いときでも、あまり冷房のきいたところに長くいると、こういうものを食べたくなります。体の芯からあたたまりそうなやつを。本当は寒い時期にはふはふいいながら口にふくんで、熱燗なんぞきゅっと流しこむのがよろしいのでしょうが。
映画に出てくる食べ物も魅力的ですが、文学に出てくると文字だけですから、また空想がおおいに膨らみますね。鼻先を湿らす湯気や、ほろっと箸で切れる大根の柔らかさまで目に浮かぶようです。「いいなぁ、食べてみたいなぁ」という憧れを抱いたものを実際に食べてみると、登場人物の気持ちにもっと寄り添えた気がしたり、逆にこんなものかとがっかりしたり。こういう形の料理との出会いも面白いと思います。
このエッセイでも映画や文学、漫画に出てくる食べ物を多く取り上げていきたいと思います。
この料理を知ったのは実際の食卓ではなく、文学の世界でした。『きつねの窓』などで知られる児童文学作家、安房直子さんの作品にふろふき大根が登場するのです。題名はそのまま『ふろふき大根のゆうべ』といいます。
峠にて奥さんと小さな茶屋を営む男性が、ある日、一匹のいのししに出会います。そのいのししは、これからあちこちの山のいのししが集まってふろふき大根を味わう『ふろふき大根のゆうべ』のために味噌を買いにいくところでした。その男性もそこに招待されることになり……というお話。
透き通るような大根から真っ白い湯気がのぼり、味噌の旨みが口の中に今にも溶け出すよう。
お味噌も、くるみ味噌なんて魅力的なものをかけて頬張ってましたね。他はうろ覚えだけれど、ごまやゆずも出てきたかな?
冬の寒い空気にたちのぼる白い湯気の奥にあるもの。想像すると、とても素敵ですね。いのししがほっかむりをして集まってくるというのも面白い光景です。
夏の暑いときでも、あまり冷房のきいたところに長くいると、こういうものを食べたくなります。体の芯からあたたまりそうなやつを。本当は寒い時期にはふはふいいながら口にふくんで、熱燗なんぞきゅっと流しこむのがよろしいのでしょうが。
映画に出てくる食べ物も魅力的ですが、文学に出てくると文字だけですから、また空想がおおいに膨らみますね。鼻先を湿らす湯気や、ほろっと箸で切れる大根の柔らかさまで目に浮かぶようです。「いいなぁ、食べてみたいなぁ」という憧れを抱いたものを実際に食べてみると、登場人物の気持ちにもっと寄り添えた気がしたり、逆にこんなものかとがっかりしたり。こういう形の料理との出会いも面白いと思います。
このエッセイでも映画や文学、漫画に出てくる食べ物を多く取り上げていきたいと思います。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
七絃──キンのコト雑記
国香
エッセイ・ノンフィクション
琴をキンと読めないあなた!
コトとごっちゃにしているあなた!
小説『七絃灌頂血脉』シリーズを読んで、意味不明だったという方も、こちらへどうぞ。
本編『七絃灌頂血脉──琴の琴ものがたり』の虎の巻です。
小説中の難解な楽器や音楽等について、解説しています。
これを読めば、本編の???が少しは解消するかもしれません。
滋味礼讃【飲み物編】
くさなぎ秋良
エッセイ・ノンフィクション
日本の台所の片隅から。
食卓を飾る四季折々の旬の食材。
思い出を宿す料理の数々。
鼻をくすぐる台所の湯気。
毎日のご飯から小説や映画、漫画の料理まで。
他サイトで公開していた『滋味礼讃』のうち素材にまつわる話をまとめたものです。他に【素材編】【料理編】【菓子・果物編】があります。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

子供時代の後悔
もっくん
エッセイ・ノンフィクション
大人になってから、ふとした瞬間に子供時代の言動を思い出して「あれは本当にひどかったな」と自己嫌悪に陥ることはありませんか。
なんであんな残酷なこと…。
思い出すたびに、一人で「うわあああ!」と叫びたくなることもある。
そんな子供時代の後悔の中から、記憶に残るエピソードを紹介していきます。

【完結】仰る通り、貴方の子ではありません
ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは
私に似た待望の男児だった。
なのに認められず、
不貞の濡れ衣を着せられ、
追い出されてしまった。
実家からも勘当され
息子と2人で生きていくことにした。
* 作り話です
* 暇つぶしにどうぞ
* 4万文字未満
* 完結保証付き
* 少し大人表現あり

愛する貴方の心から消えた私は…
矢野りと
恋愛
愛する夫が事故に巻き込まれ隣国で行方不明となったのは一年以上前のこと。
周りが諦めの言葉を口にしても、私は決して諦めなかった。
…彼は絶対に生きている。
そう信じて待ち続けていると、願いが天に通じたのか奇跡的に彼は戻って来た。
だが彼は妻である私のことを忘れてしまっていた。
「すまない、君を愛せない」
そう言った彼の目からは私に対する愛情はなくなっていて…。
*設定はゆるいです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる