滋味礼讃【料理編】

サルサ

　今回のお題はトマトが決め手の『サルサ』です。踊りではなく、ソースのほうです。

　元々、『サルサ』はスペイン語で『ソース』という意味を持ちます。サルサ・ソースはソース・ソース？　可愛い響きですが。

　いつもはトマト、ピーマン、たまねぎ、ブラック・オリーブ（なければピクルスでも）、にんにく（生がなければチューブで可）を使います。

　たまねぎは刻んで水にさらしてから、水気を切っておきます。みじんぎりにした他の全ての材料を加え、砂糖、レモン汁、塩、あらびき胡椒、オリーブオイル、タバスコ、ワインビネガーを混ぜます。トマトの味が物足りなければケチャップを足してください。あとは冷蔵庫で２時間ばかり味を馴染ませれば完成です。

　調味料はワインビネガーがなければ普通のお酢で十分ですし、辛いのが苦手であればタバスコはいりません。胡椒もあらびきがなければ普通ので。トマト、ピーマン、たまねぎ、オリーブオイルと砂糖、塩、こしょうさえはずさなければいい。料理なんてそれでいいと思います。

　ソテーした鶏もも肉や豚肉にかけてもよし。バゲットに乗せてもよし。コーンチップスでディップ、サラダ、冷製パスタ、そうめん、冷奴にもよし。
　暑いときはカレーのおともとしてそのまま食べています。ビールにもワインにも合いますね。

　北海道にいた頃、ラテン文化にかかわる人たちの集まりに参加していました。フラメンコやラテンバンドを鑑賞しながら食べて飲んで、一緒に踊って歌って過ごすのです。

　普段は「人前で踊るなんて恥ずかしい」という人でも、いつしかおずおずと手足を動かし、やがて頬を染めて楽しげにしていました。スペイン語は聞いているだけでもリズミカルで明るくて魔法の言葉のよう。楽しまなきゃ！　という気分になるんです。

　サルサを作ると、夏のうだるような暑さにだらりとしているよりも、せっかくだから楽しまなきゃ！　と前向きになれるのです。みんなでディップしたり、わいわい楽しむ料理に使いたいソースですね。庭に植えたミニトマトがたくさん採れて消費がおいつかないという方にもおすすめです。