滋味礼讃【料理編】

くさなぎ秋良

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はじめに

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 家の中でも特に学びの多い場所は『台所』だと考えています。私の母は『台所』、夫は『お勝手』、私は『キッチン』と呼び、人によっては『調理場』や『厨房』かもしれません。
 旬の食材を洗い、切り、炒め、煮て、焼いて、蒸し、炊き上げる。水と火と大地の恵みがぐっと凝縮された場所です。

 まるで魔法のように姿を変えていく食材。鼻をくすぐる湯気の香り。まな板に刻まれる包丁のリズム。『食べる』ことは『生きる』ことだといいますが、単に口に入れて栄養を摂取して生きるだけでなく、人が生きるということはどのような摂理に基づいているか考えさせられるときがあります。

 毎日の食事に感謝し、喜びをわかちあう幸せを実感するには、料理をしてみるのが一番だと思うのです。

 このエッセイは、食材や料理に見出したもの、思い出などを徒然なるままに綴ったものです。その中でも料理にまつわる話を集めました。イラストレーターの无域屋さんが可愛い挿絵を描いてくださいましたので、併せてお楽しみください。

 どうぞ、真夜中を避けてお付き合いくださいませ。お腹がすくと思いますゆえ。

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