親子誕生

くさなぎ秋良

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はじめての育児編

離乳食

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 産まれてからミルクで育ててきた息子に離乳食を食べさせるようになったのは、生後五ヶ月くらいからだったと思います。

 最初はほんとうにどろっどろの液体から始めるんだなぁと驚きました。水と米が10:1の10倍粥からスタートです。そのうち野菜、タンパク質と少しずつ増やしていくのですが、全部すりつぶしたり裏ごししたり、塩抜きしたりといった手間が必要になります。

 アレルギーの心配がないか、新しい食材は一口ずつ。まだ食べられない食材もあるので「これは大丈夫かな?」といちいちネットで調べる毎日でした。

 だんだんとお粥も濃くなり、野菜の切り方も大きくなってきて、口にできる食材も増えてくるのを見ていると、食べ方にも変化が。
 どんどん表情を見せるようになってきて、新しい食材には新鮮な驚きを見せることもありますし、気に入らないと「べぇ」と吐き出したりもします。

 実は夫は赤ちゃんの頃、ミルクが一切飲めない子でした。今でも乳製品が大嫌いなのですが、母乳も粉ミルクも駄目。大豆で作った代用品で育ちました。アレルギーではないのですが、どうしても飲まなかったんだとか。
 彼の妹はミルクは飲んだけれど、離乳食を全然口にせず、大人になった今でも回転寿司で3皿食べればお腹いっぱいだけど、お菓子類は大好きという少食かつ偏食なのだそうです。
 かたや私は魚介類が苦手ですし、子どもの好き嫌いを叱る資格があまりない父と母なのです。
 なので、息子もミルクを飲まなかったり、好き嫌いが激しかったらどうしようと夫と話していたのですが、まったくの杞憂でした。
 ミルクも大好き、離乳食もなんでも食べる。いやぁ、ありがたい。

 離乳食も慣れてくると楽しいものです。
 手の平にのるような小さな食器に、離乳食を用意していると、なんだかミニチュアでも作ってるような気分になりました。

 手づかみで食べる頃には、だいぶ作るのも楽になりました。野菜や納豆、シラスなどは下処理しておいて製氷皿で凍らせてストックしておきます。
 今は電子レンジや冷凍庫があるからいいけれど、昔の人はさぞ大変だったろうなとしみじみ。

 さて、昔の世代の人が子育てしていた頃は、大人と同じ食器を使ったり口移しであげたこともあったそうですが、今は控えるようにと言われています。
 なんでも、赤ちゃんの口には虫歯の菌がないのに、口移しすることによって菌が移ってしまうんだとか。
 時代によって育児の常識も変わるんですねぇ。特に、この口移しで菌が移るって、言いにくいなぁと思った記憶があります。離乳食の教室で、大人と同じスプーンも使わないほうがいいって言われたんですよ。たとえ洗っていてもです。
 でもそれって「洗ってるから大丈夫でしょ」と思いますよね。うちの姑もそういうタイプでした。それを「大丈夫じゃない」って言われたほうは、面白くないんじゃないかなぁと頭を抱えました。

 よく母親学級や育児教室が産婦人科や市の施設で行われていますけど、姑や舅を対象にした教室があってもいいと思うんですよね……。

 外を歩いていると、「母乳じゃないの? 可哀想」「まぁ、靴下もはかないで可哀想に」「帽子もかぶらずに可哀想」と、やたらと『可哀想』を頻発してくる人がいます。そう言う人ほど、育児経験者の年配の女性が多い。
 それは母乳万歳だったり、靴下ははかせるべきだといった当時の育児と現在の育児では常識が変わっていることを知らないだけでなく、赤ちゃんの個性(たとえば帽子が嫌いでどうしても脱いでしまうとか)も考えず思わず口走ってしまうのでしょうけれど。
 それに、今では『駄目』と言われていても、昔はその方法で子育てしてきたんだから、経験が自信や常識になっている人もいると思うのです。そういう人相手も含め、「最近の育児では」なんて伝えるのも、伝え方が難しいと思うのです。まして嫁だったら角が立つ場合もありますわな。
 これから数十年ぶりに育児を手伝う人への学級も是非、実施して欲しいと願ったものでした。
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