親子誕生

くさなぎ秋良

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はじめての育児編

お風呂

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 息子をお風呂に入れるのは、私の役目です。

 産後、産婦人科で沐浴の講習もあったのですが、そのとき「夫が入れる予定」という人がほとんどで驚きました。
 我が家では、夫は夜勤があるので、どのみち私が入れることになるし、いずれ一緒に入れなくなるのだから、せめて今のうちだけでも出来る限り一緒に入りたいというのが私の希望でした。

 最初はベビーバスで赤ちゃんだけ沐浴させるのですが、腰痛持ちの私にはこれは辛かった。
 ところが夫は夫で、指が開かなくて赤ちゃんの耳をおさえきれず、恐くてたまらないと沐浴はできず。夫は『赤ちゃんに何かあったらどうしよう』とか『お湯に落としたらどうしよう』と動揺するのです。落としたら拾うしかないのが現実なんですけれど。

 一緒に湯船に入れるようになると、入浴は一気に楽になりました。
 しかも、楽しい。シャワーにはしゃぐ息子、ぞうさんのじょうろで遊ぶ息子、お風呂場をこわごわ覗く猫を呼びまくる息子。どれも私しか見ていない息子だと思うと、ほくそ笑みたくなります。

 そのうち、私の二度目の妊娠が発覚すると、夫は「今日は俺がお風呂に入れる」と言い出しました。
 父親としての自覚が芽生えたか? そう思って「しめしめ」と任せてみたら……息子、大泣き。夫、落ち込み。
 それ以来、彼が息子をお風呂に入れることに成功したためしがありません。もう少し大きくなるまで我慢でしょうか。どうして泣くんだと憮然とする夫に、心の中では「そりゃあ、今まで入れてこなかったからだろうね」と突っ込みたいところですが、実際には「おっぱいがないからじゃない?」と言っております。いや、母もそんなに胸を張って『ある』というほどにはないんですけどね……。
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