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一章
21:サリアとの交渉
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コボルト・最下級ダンジョンを脱出した朔斗と恵梨香は、ダンジョンに入る前に利用したモノリスが設置されている大部屋に転移していた。
WEO東京第三支部へと戻ってきた彼ら。
ふたりで雑談をしつつ、混雑を避けるため複数個設けられている自動ドアを通る。
広い通路を歩いている恵梨香が、少し前に【ディメンションボックス】から取り出してもらった左手にあるスマホへ視線を落としながら言う。
「面会の時間までもう少しあるね」
「ああ、遅れないように時間の調節をしていたからな」
コボルト・最下級ダンジョンのボス部屋に入る直前に、その時の時刻を確認していた朔斗は義妹にそう返した。
「正確にはあとどれくらいだ?」
「十七時まで四十分弱ね」
「微妙な時間か。今回手に入れた素材とかだけを売ってもたかが知れているし、売却には行かないで喫茶店で時間を潰すか」
「うん!」
恵梨香が朔斗と腕を組んで歩いている様子を、羨望の眼差しで見てくる多くの女性探索者。
そんな彼女らに若干の優越感を感じていた恵梨香。
ダンジョン内は危険なので、必然的にあまり義兄に甘えられなかった彼女が、ここぞとばかりに朔斗成分を取り入れているのだ。
そんな彼らは多数の人とすれ違いながら、喫茶店へとたどり着く。
朔斗から腕を離した恵梨香が問う。
「私が注文してくるね。さく兄は何にする?」
「んー、カフェオレで」
「おっけー」
数人が並んでいるレジへと向かった恵梨香を見送り、ここに来るまでに見つけていた空席に朔斗が足を運ぶ。
数分後、カフェオレをトレーに乗せて、恵梨香が朔斗と同じテーブルにやって来た。
冷たい飲み物を口にしながら、ふたりはダンジョン内における行動の反省点や改善点について話し合う。
しばしの間、身体を休めた彼らはカップをゴミ箱へ捨ててトレーを片付ける。
喫茶店を出た彼らが向かう先は、予約を入れておけば誰でも利用可能な部屋。
エスカレーターを使用し、二階に上がった朔斗と恵梨香が迷わず目的地へと到着した。
朔斗が軽くノックをする。
中から聞こえてくる「はい」という返事。
「本日予約をしていた黒瀬朔斗と黒瀬恵梨香です。入りますね」
室内にいる人物に聞こえるように、少しだけ声量を上げた朔斗がそう言い、ドアを開く。
自分らと面会の約束をしていた人物を視界に捉えた朔斗は目を丸くする。
無意識に零れ落ちる言葉。
「君は……」
立ち止まったまま、室内に入らない義兄の様子を訝しげに感じた恵梨香が問いかけた。
「どうしたの? 早く中に入ろうよ」
「ん、ああ……」
歯切れの悪い朔斗の背中にジト目を向け、さらに彼女は身体を横にずらして室内を窺う。
恵梨香の視線の先にいたのは赤い髪の少女。
ようやく再起動したのか、朔斗は足を動かして部屋の中に入っていく。
その様子を見ていた恵梨香は内心思う。
(私はこの子を知らないから、私たちの共通の知り合いってことはないはず。忘れてるってこともないし……さく兄の知り合い? それにしては相手に反応がなさすぎる)
赤い髪の少女はどこか戸惑った表情を浮かべたまま立ち上がって、朔斗たちに軽くお辞儀をしたあと、自己紹介を始めた。
「はじめまして。知っていると思うけど、ウチの名前は秋津サリア。ジョブは『ギャンブラー』よ」
「こっちも自己紹介をしなきゃな。はじめましてだ。俺は黒瀬朔斗で探索者のランクはC。ジョブは『解体師』。んで、こっちが――」
左にいる恵梨香に視線を一瞬向けた朔斗が、再びサリアと顔を合わせて言う。
「俺の義妹の黒瀬恵梨香。『大道具師』のジョブ持ちだ。探索者として活動したばかりだからランクはFだな」
朔斗からの紹介を受けた恵梨香は軽く会釈をして口を開く。
「はじめまして、よろしくね」
「さて、自己紹介も済んだし、早速話を進めていこう」
そう言って朔斗が柔らかいソファーに腰を下ろし、それに合わせて他のふたりも着席した。
今回の面会において申請者が朔斗だったことや、ここまでの流れで目の前のふたりのどちらに主導権があるのかを見抜いたサリア。
彼女が朔斗に目を合わせて疑問を投げかけた。
「本題に入る前に少し気になったことがあるんだけど……いいかしら? 黒瀬朔斗さん」
「ああ。あとこっちはふたりとも黒瀬だ。区別をつけるためにも、俺のことは朔斗って呼んでくれ」
「わかったわ。朔斗さん。ではひとつだけ聞かせてちょうだい。あなたはウチの顔を見て驚いていたようだけど、それはなぜ?」
「あー、ははは」
苦笑いをした朔斗が言いづらそうに口を開く。
「あれは二週間くらい前かな、俺はこの支部で君を見かけたんだ。なにやら穏便じゃなかったみたいだけど……日本でも赤く髪を染めている奴は多いけど、そんなにいるわけじゃない。だから赤髪は印象深くてな」
「そういうことね。ウチはハーフなの。母親がアイルランドの生まれだったわ。だからこれは地毛よ」
「そうなのか。まあなんとなく……あのときのことが記憶に残ってて、君の顔は覚えていたから……それでビックリしただけだな。特に他意はない」
十秒程度、真剣な顔つきで探るように朔斗の目を見ていたサリア。
三人の間にあるのは沈黙のみ。
このままじゃ話しが進まないなぁと内心朔斗が考え始めたとき、サリアが表情を緩めて口を開いた。
「じっと見ててごめんね。パソコンでウチの情報を閲覧したのなら予想できるかもしれないんだけど、きちんと契約を結んでいたとしても、ダンジョンを攻略中に不慮の事故で仲間を亡くした人が逆恨みして、ウチに詰め寄ってくる出来事がちらほらとね……だから、あなたがそういった人たちの関係者じゃないのかどうか……それを見させてもらったわ」
サリアの言い分に納得顔を浮かべる朔斗と恵梨香。
そんなふたりに対し、笑顔になったサリアが言う。
「あなたたちの表情の変化を見させてもらったけど、さっき言われたとおりに他意はなさそうって判断したわ。そもそもの話、ウチに対して負の感情を向けていたのなら、顔を合わせたときに驚くことはないわよね。ごめんなさい。ウチも少し警戒しすぎてたのかも……」
笑顔から一転、目を伏せて悲しそうな顔をしたサリアに朔斗が優しく声をかける。
「いや、君の気持ちはわかるよ」
「私も! ハイリターンを望むのなら、きちんとハイリスクを受け入れて、他の人に責任転嫁しちゃダメだよね」
恵梨香も慰めの言葉をサリアにかけ、そしてサリアが「ありがとう」と小さく呟いてから話を続ける。
「辛気臭い話は止めましょうか。じゃあ話を進めましょう。基本的にウチは朔斗さんと話せばいい?」
「ああ」
「ウチのスキル特性をある程度知っていて、今回ウチに声をかけてきてくれたって認識で間違いないかしら?」
サリアの問いに頷きをもって返す朔斗。
その様子を確かめてから、サリアが会話を続けた。
「パソコンで見られる情報以外で、何かウチに聞きたい点とかある?」
「率直に言って――君の契約金と年俸だな」
「それは年数にもよるから一概には言えないけど……あなたたちはどれくらいを考えているの? ちなみにウチは短期で雇用されるケースが多いわ。一番多いのが、ダンジョンに向かうごとに契約をするパターンね。レアボスが一回出現したらそれで終わりって人もわりといるから」
「短期か……でも長期間のほうが割引率が高くなるんだろう?」
「それはそうね。ウチが受け付けているのは最長五年で最短が三日間」
「ん? 特殊探索者は全員がそうじゃないのか?」
「一応、WEOの新しくなった規則が今言った期間になっているんだけど、人によって事情が違うから、個人個人で対応できる日数は違うのよ」
「そうなのか。教えてくれてありがとう。特殊探索者について、そこまで詳しくなかったから助かる」
「いえ、いいわ。それより期間はどれくらい?」
実は朔斗と恵梨香が、ふたりで最初に決めていたことがあった。
このふたりきりの兄妹は仲が良く、朔斗のスキルは強力無比のひと言。
そういった点を考慮して、秋津サリアという特殊探索者を雇うか雇わないか決定しなければならない。
サリアと今後ダンジョンで一緒に行動し、そしてそれが長期間にわたるのならば、兄妹の間をかき回すような我が強そうな人だったり、ダンジョン内で朔斗の指示に従わず直情的だったり、欲深い人だったりするのなら歓迎できないのだ。
パーティー内でトラブルを引き起こしかねない人物は必要とせず、能力は当然ながら何よりも重要なのは人となりである。
(こうして話した感じ、サリアに嫌なイメージはない。まあ、俊彦たちのことをわかっていなかった俺が思うのもなんだが……だけどトラブルを自分から起こす人だと、WEOに特殊探索者の資格を取り消されると聞く。さらに言えば契約を結ぶんだし、そのときに注意点を煮詰めればいいか。とりあえず、期間は事前に恵梨香と話をしてきたとおりでいいかな)
数秒間考えた朔斗は、一度恵梨香に視線を送る。
その意味――サリアという人物を受け入れられるかどうかという意味だと悟った彼女が、朔斗に向かって小さく頷くのだった。
WEO東京第三支部へと戻ってきた彼ら。
ふたりで雑談をしつつ、混雑を避けるため複数個設けられている自動ドアを通る。
広い通路を歩いている恵梨香が、少し前に【ディメンションボックス】から取り出してもらった左手にあるスマホへ視線を落としながら言う。
「面会の時間までもう少しあるね」
「ああ、遅れないように時間の調節をしていたからな」
コボルト・最下級ダンジョンのボス部屋に入る直前に、その時の時刻を確認していた朔斗は義妹にそう返した。
「正確にはあとどれくらいだ?」
「十七時まで四十分弱ね」
「微妙な時間か。今回手に入れた素材とかだけを売ってもたかが知れているし、売却には行かないで喫茶店で時間を潰すか」
「うん!」
恵梨香が朔斗と腕を組んで歩いている様子を、羨望の眼差しで見てくる多くの女性探索者。
そんな彼女らに若干の優越感を感じていた恵梨香。
ダンジョン内は危険なので、必然的にあまり義兄に甘えられなかった彼女が、ここぞとばかりに朔斗成分を取り入れているのだ。
そんな彼らは多数の人とすれ違いながら、喫茶店へとたどり着く。
朔斗から腕を離した恵梨香が問う。
「私が注文してくるね。さく兄は何にする?」
「んー、カフェオレで」
「おっけー」
数人が並んでいるレジへと向かった恵梨香を見送り、ここに来るまでに見つけていた空席に朔斗が足を運ぶ。
数分後、カフェオレをトレーに乗せて、恵梨香が朔斗と同じテーブルにやって来た。
冷たい飲み物を口にしながら、ふたりはダンジョン内における行動の反省点や改善点について話し合う。
しばしの間、身体を休めた彼らはカップをゴミ箱へ捨ててトレーを片付ける。
喫茶店を出た彼らが向かう先は、予約を入れておけば誰でも利用可能な部屋。
エスカレーターを使用し、二階に上がった朔斗と恵梨香が迷わず目的地へと到着した。
朔斗が軽くノックをする。
中から聞こえてくる「はい」という返事。
「本日予約をしていた黒瀬朔斗と黒瀬恵梨香です。入りますね」
室内にいる人物に聞こえるように、少しだけ声量を上げた朔斗がそう言い、ドアを開く。
自分らと面会の約束をしていた人物を視界に捉えた朔斗は目を丸くする。
無意識に零れ落ちる言葉。
「君は……」
立ち止まったまま、室内に入らない義兄の様子を訝しげに感じた恵梨香が問いかけた。
「どうしたの? 早く中に入ろうよ」
「ん、ああ……」
歯切れの悪い朔斗の背中にジト目を向け、さらに彼女は身体を横にずらして室内を窺う。
恵梨香の視線の先にいたのは赤い髪の少女。
ようやく再起動したのか、朔斗は足を動かして部屋の中に入っていく。
その様子を見ていた恵梨香は内心思う。
(私はこの子を知らないから、私たちの共通の知り合いってことはないはず。忘れてるってこともないし……さく兄の知り合い? それにしては相手に反応がなさすぎる)
赤い髪の少女はどこか戸惑った表情を浮かべたまま立ち上がって、朔斗たちに軽くお辞儀をしたあと、自己紹介を始めた。
「はじめまして。知っていると思うけど、ウチの名前は秋津サリア。ジョブは『ギャンブラー』よ」
「こっちも自己紹介をしなきゃな。はじめましてだ。俺は黒瀬朔斗で探索者のランクはC。ジョブは『解体師』。んで、こっちが――」
左にいる恵梨香に視線を一瞬向けた朔斗が、再びサリアと顔を合わせて言う。
「俺の義妹の黒瀬恵梨香。『大道具師』のジョブ持ちだ。探索者として活動したばかりだからランクはFだな」
朔斗からの紹介を受けた恵梨香は軽く会釈をして口を開く。
「はじめまして、よろしくね」
「さて、自己紹介も済んだし、早速話を進めていこう」
そう言って朔斗が柔らかいソファーに腰を下ろし、それに合わせて他のふたりも着席した。
今回の面会において申請者が朔斗だったことや、ここまでの流れで目の前のふたりのどちらに主導権があるのかを見抜いたサリア。
彼女が朔斗に目を合わせて疑問を投げかけた。
「本題に入る前に少し気になったことがあるんだけど……いいかしら? 黒瀬朔斗さん」
「ああ。あとこっちはふたりとも黒瀬だ。区別をつけるためにも、俺のことは朔斗って呼んでくれ」
「わかったわ。朔斗さん。ではひとつだけ聞かせてちょうだい。あなたはウチの顔を見て驚いていたようだけど、それはなぜ?」
「あー、ははは」
苦笑いをした朔斗が言いづらそうに口を開く。
「あれは二週間くらい前かな、俺はこの支部で君を見かけたんだ。なにやら穏便じゃなかったみたいだけど……日本でも赤く髪を染めている奴は多いけど、そんなにいるわけじゃない。だから赤髪は印象深くてな」
「そういうことね。ウチはハーフなの。母親がアイルランドの生まれだったわ。だからこれは地毛よ」
「そうなのか。まあなんとなく……あのときのことが記憶に残ってて、君の顔は覚えていたから……それでビックリしただけだな。特に他意はない」
十秒程度、真剣な顔つきで探るように朔斗の目を見ていたサリア。
三人の間にあるのは沈黙のみ。
このままじゃ話しが進まないなぁと内心朔斗が考え始めたとき、サリアが表情を緩めて口を開いた。
「じっと見ててごめんね。パソコンでウチの情報を閲覧したのなら予想できるかもしれないんだけど、きちんと契約を結んでいたとしても、ダンジョンを攻略中に不慮の事故で仲間を亡くした人が逆恨みして、ウチに詰め寄ってくる出来事がちらほらとね……だから、あなたがそういった人たちの関係者じゃないのかどうか……それを見させてもらったわ」
サリアの言い分に納得顔を浮かべる朔斗と恵梨香。
そんなふたりに対し、笑顔になったサリアが言う。
「あなたたちの表情の変化を見させてもらったけど、さっき言われたとおりに他意はなさそうって判断したわ。そもそもの話、ウチに対して負の感情を向けていたのなら、顔を合わせたときに驚くことはないわよね。ごめんなさい。ウチも少し警戒しすぎてたのかも……」
笑顔から一転、目を伏せて悲しそうな顔をしたサリアに朔斗が優しく声をかける。
「いや、君の気持ちはわかるよ」
「私も! ハイリターンを望むのなら、きちんとハイリスクを受け入れて、他の人に責任転嫁しちゃダメだよね」
恵梨香も慰めの言葉をサリアにかけ、そしてサリアが「ありがとう」と小さく呟いてから話を続ける。
「辛気臭い話は止めましょうか。じゃあ話を進めましょう。基本的にウチは朔斗さんと話せばいい?」
「ああ」
「ウチのスキル特性をある程度知っていて、今回ウチに声をかけてきてくれたって認識で間違いないかしら?」
サリアの問いに頷きをもって返す朔斗。
その様子を確かめてから、サリアが会話を続けた。
「パソコンで見られる情報以外で、何かウチに聞きたい点とかある?」
「率直に言って――君の契約金と年俸だな」
「それは年数にもよるから一概には言えないけど……あなたたちはどれくらいを考えているの? ちなみにウチは短期で雇用されるケースが多いわ。一番多いのが、ダンジョンに向かうごとに契約をするパターンね。レアボスが一回出現したらそれで終わりって人もわりといるから」
「短期か……でも長期間のほうが割引率が高くなるんだろう?」
「それはそうね。ウチが受け付けているのは最長五年で最短が三日間」
「ん? 特殊探索者は全員がそうじゃないのか?」
「一応、WEOの新しくなった規則が今言った期間になっているんだけど、人によって事情が違うから、個人個人で対応できる日数は違うのよ」
「そうなのか。教えてくれてありがとう。特殊探索者について、そこまで詳しくなかったから助かる」
「いえ、いいわ。それより期間はどれくらい?」
実は朔斗と恵梨香が、ふたりで最初に決めていたことがあった。
このふたりきりの兄妹は仲が良く、朔斗のスキルは強力無比のひと言。
そういった点を考慮して、秋津サリアという特殊探索者を雇うか雇わないか決定しなければならない。
サリアと今後ダンジョンで一緒に行動し、そしてそれが長期間にわたるのならば、兄妹の間をかき回すような我が強そうな人だったり、ダンジョン内で朔斗の指示に従わず直情的だったり、欲深い人だったりするのなら歓迎できないのだ。
パーティー内でトラブルを引き起こしかねない人物は必要とせず、能力は当然ながら何よりも重要なのは人となりである。
(こうして話した感じ、サリアに嫌なイメージはない。まあ、俊彦たちのことをわかっていなかった俺が思うのもなんだが……だけどトラブルを自分から起こす人だと、WEOに特殊探索者の資格を取り消されると聞く。さらに言えば契約を結ぶんだし、そのときに注意点を煮詰めればいいか。とりあえず、期間は事前に恵梨香と話をしてきたとおりでいいかな)
数秒間考えた朔斗は、一度恵梨香に視線を送る。
その意味――サリアという人物を受け入れられるかどうかという意味だと悟った彼女が、朔斗に向かって小さく頷くのだった。
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