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デストピア(2)
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ものの数分歩くと、スマートフォンから案内音声が流れる。
『まもなく、目的地です』
「ここって……」
南はそう言ってスマートフォンの画面を確認し、ナビが指し示す方向を確認し、そしてそちらを見る。
その先あるのは、巨大な鳥居だ。
「そっか、配達先は神社だったのか……」
住所ばかり気にして届け先の詳細を把握することを失念していたことを思い出し、南は軽く反省する。
「とりあえず早く配達しないと……」
南は一礼し、神社の境内へと脚を踏み入れる。境内は中に入るとすぐに石段があり、それをそのまま上る。石段の頂上にたどり着くと、本殿がそびえていた。年季の入った木造の本殿はどこか荘厳さを感じさせる。
(届け先は社務所かな……?)
そう考えて南は社務所を探して周辺を見渡す。
その時、本殿の前に一人の青年が立っていることに気が付く。
(この人が注文したのかな?)
そう考えて南は青年の方へと近づく。そんな南に気が付いたのか、青年がこちらへと振り向く。
(わっ……この人すごい美形だなあ)
青年の顔を見た南の内心に正直な感想が漏れる。青年の年齢は20代後半といったところだろうか。腰のあたりまで伸びた銀髪、白く透き通った肌、中性的な印象を与える整った目鼻。それらすべてが人間離れをした美しさを放っている。
(神様って実在したらこんな感じなのかな……)
そんな南の内心を知ってか知らずか、青年は軽く微笑む。
「最近はお客さんが多いみたいだね」
男にしては少し高く、妙に色気のある声だ。
(客はそちらでは……?)
などと南は思ったが、その瞬間、突風が吹き荒れ、南は驚いて目を閉じる。そして風が収まったのを感じ再び目を開くと青年が目の前から消えていた。
「あれ……?」
自分は幻覚でも見ていたんだろうか、と南は目をこする。しかし、相も変わらず青年がいたはずの青年の空間は無人のままである。
「うーん……」
南は首を傾げる。
「こんなところで何してるの」
「うわぁっ!?」
突如として背後から声をかけられて南は思わず振り向きながら飛び退る。するとそこには神社の境内の神聖さには似つかわしくない、俗世の垢にまみれてくたびれたような中年男性がたっていた。声も先ほどの青年に比べると、低くてどこか間延びしている。
「す、すみません!ちょっと幻覚……?が見えてみたみたいで……」
南の不審な挙動に中年男性は首を傾げる。
「そりゃあ大変だ。バイトなのにそんなに働き過ぎは良くないよ」
「ありがとうございます」
中年男性の気遣いに南は頭を下げる。
「その荷物、多分注文したの俺だと思うんだよね」
そういって中年は懐からスマートフォンを取り出す。その画面にはQRコードが表示されている。それをみた南は店長に教わった業務手順を思い出し、自身のスマートフォンでQRコードをスキャンする。直後に『確認が完了しました。商品を手渡してください』と、音声が流れる。南はそれに従い、背負ったバッグから商品の入ったビニール袋を取り出し、中年男性に手渡す。
「ご利用ありがとうございます。またのご利用お待ちしております」
そして、店長から教わった通りの挨拶を述べて頭を下げる。
「ん。こちらこそありがとね。降車位置からここまでちょっと歩かなきゃいけないから大変だったでしょ」
中年男性の言葉に今度は南が首を傾げる。
「どうして俺が車を降りてからここまで歩いてきたことを知ってるんです?」
南の言葉に中年は少し意外そうな顔をする。
「だってここらへんは自動運転の対象区域外じゃない。もしかして知らない?」
「自分は三日前に大学入学を機に、この街に来たばっかりなものでしてそこらへんよくわからないのですが……」
「あ、そうなの。ざっくり説明するとさ、星降スマートシティの大半は自動運転車が走行しやすいように街が作られてるのよ。自動運転車専用道路だけで街の主要道路を構成して、交差点とかも数を減らしたりとかさ。あとは人が入ってきたりしないように歩行者用の通路は全て歩道橋にしてあるの」
「え、それはすごい」
南は今まで自分が住んでいた町を思い出す。それらとは全く異なる理屈で一から街を作るとは一体どれだけ大変なのだろうか。先ほど、自身が何気なく自動運転に揺られて通った街の、そのスケールの大きさを今更ながら感じていた。
「ただ、ここらへんなんかは元からこの神社を中心にして広がってる住宅街でね。だから今住んでいる人の家をまとめてどかしたりでもしない限りは大規模な都市の改造も難しいのよ。で、そんなところで自動運転の導入は危ないってことで、ここら辺では原則自動運転は提供しない様にしているの」
「なるほど……」
中年男性の説明に南はようやく自身が目的地から少し離れた場所で降ろされた理由を納得する。そして、こういった場所にも対処するために自身のようなバイトが必要になっているということも。
「勉強になりました、ありがとうございます」
南は感謝の意を示すように頭を下げる。
「しかし……とてもこの街の事情に詳しいんですね」
南に言われて中年男性は薄く笑う。
「一応、このスマートシティの開発に関わっている会社の社員だからね」
そういって中年男性は懐から取り出した名刺を南に差し出す。そして南はそれを受け取り、眺める。名刺には『株式会社朝起 スマートシティ推進部・特殊事案対策3課課長 福田義秀』と書かれている。朝起と言えば大学生になりたての南ですら知っている国内有数の電機メーカーだ。そんなところの社員がこんなところで何をしているのだろうか、という疑問が一瞬脳内に浮かぶ。
「ま、今後もここに配達しに来ることあるだろうからさ、俺のこともまあ覚えといてよ」
「わかりました。今後もよろしくお願いします」
だが、そんな疑問は福田に頭を下げているうちに南の脳内では存在感を失い、他の情報に埋もれていく。
「はい、こちらこそよろしく」
「それでは失礼します」
もう一度頭を下げると南は神社の出口へと向かって歩き出した。
それを見送る福田に、先ほど南が少しだけ会話をした銀髪の青年がどこからともなく話しかける。
「彼が気に入ったのかい?」
青年に聞かれて福田は苦笑する。
「別にそんなんじゃないですよ。ただまあ、頑張っている若人には親切にしただけですよ」
「そうか」
福田の回答をどう思ったのか、青年は静かに笑った。
背後で誰と誰が会話しているのかなんてことも知る由もない南は、先ほど上った石段を下りていく。途中、息を切らしながら境内へと駆け込み、階段を必死の形相で上る小柄でパンツスーツを纏ったメガネの女性とすれ違う。
(なんか大変そうだな……)
そんなことを思いながら石段を降りきり、そして、一礼をし鳥居をくぐる。
(……)
先ほど奇妙な体験をしたせいか、まるで世界が切り替わったかのような不思議な感覚にとらわれる。
『配達が終了しました。車両を手配しますので、指定の位置まで向かってください』
しかし、アプリから流れる音声が南を現実に引き戻す。南はスマホを制服の胸ポケットから取り出すと、アプリの指示に従って指定の地点を目指して歩き始めた。
「ん?」
しばらく歩きアプリが指定した地点の手前まで来たところで、道端に何かが落ちていることに気が付いた南はしゃがみ込んでそれを拾う。どうやら、プラスチックケースに収められたSDカードのようだ。
「これって……たしかスマホとかに挿れると使える記憶媒体なんだっけ?」
摘まんだSDカードを眺めながら南はバイト前にあいねから受けたレクチャーを思い出す。しかし、何故こんなところに落ちているのか。持ち主は誰だかわからないが、交番にでも届けた方が良いのだろうか。そんな思考を巡らせていたが、それはアプリから流れてきた音声に中断される。
『まもなく、指定ポイントに車両が止まります。ご確認ください』
アプリに急かされた南は慌ててSDカードをズボンのポケットに入れて立ち上がり、アプリの指定したポイントへと向けて小走りに駆け出す。そしてすぐ近くに到着した自動運転車へと乗り込んだ。
自動運転車に乗り込んだ南は、先ほど福田に聞いた話を思い返しながら街を見回す。建物や道路の構造、行き来する自動運転車などといった街を構成するそのすべてが自身が今まで生活していた街のものと異なっていることを実感する。それと同時に胸の中に安堵のような感情が湧き上がってくるのを感じる。
(自分は違うところに逃げることが出来た……初めてそう思えたのかな)
そんなことをぼんやりと考えているといつのまにか自動運転車はすぐに24フレンドの星降りキャンパス前点の駐車場に到着していた。
『これで配達業務は終了です。司馬南さん、お疲れさまでした』
南を労うような音声と共にドアが開く。
『お気をつけて降車してください』
促されるままに南は自動運転車から降りた。
『まもなく、目的地です』
「ここって……」
南はそう言ってスマートフォンの画面を確認し、ナビが指し示す方向を確認し、そしてそちらを見る。
その先あるのは、巨大な鳥居だ。
「そっか、配達先は神社だったのか……」
住所ばかり気にして届け先の詳細を把握することを失念していたことを思い出し、南は軽く反省する。
「とりあえず早く配達しないと……」
南は一礼し、神社の境内へと脚を踏み入れる。境内は中に入るとすぐに石段があり、それをそのまま上る。石段の頂上にたどり着くと、本殿がそびえていた。年季の入った木造の本殿はどこか荘厳さを感じさせる。
(届け先は社務所かな……?)
そう考えて南は社務所を探して周辺を見渡す。
その時、本殿の前に一人の青年が立っていることに気が付く。
(この人が注文したのかな?)
そう考えて南は青年の方へと近づく。そんな南に気が付いたのか、青年がこちらへと振り向く。
(わっ……この人すごい美形だなあ)
青年の顔を見た南の内心に正直な感想が漏れる。青年の年齢は20代後半といったところだろうか。腰のあたりまで伸びた銀髪、白く透き通った肌、中性的な印象を与える整った目鼻。それらすべてが人間離れをした美しさを放っている。
(神様って実在したらこんな感じなのかな……)
そんな南の内心を知ってか知らずか、青年は軽く微笑む。
「最近はお客さんが多いみたいだね」
男にしては少し高く、妙に色気のある声だ。
(客はそちらでは……?)
などと南は思ったが、その瞬間、突風が吹き荒れ、南は驚いて目を閉じる。そして風が収まったのを感じ再び目を開くと青年が目の前から消えていた。
「あれ……?」
自分は幻覚でも見ていたんだろうか、と南は目をこする。しかし、相も変わらず青年がいたはずの青年の空間は無人のままである。
「うーん……」
南は首を傾げる。
「こんなところで何してるの」
「うわぁっ!?」
突如として背後から声をかけられて南は思わず振り向きながら飛び退る。するとそこには神社の境内の神聖さには似つかわしくない、俗世の垢にまみれてくたびれたような中年男性がたっていた。声も先ほどの青年に比べると、低くてどこか間延びしている。
「す、すみません!ちょっと幻覚……?が見えてみたみたいで……」
南の不審な挙動に中年男性は首を傾げる。
「そりゃあ大変だ。バイトなのにそんなに働き過ぎは良くないよ」
「ありがとうございます」
中年男性の気遣いに南は頭を下げる。
「その荷物、多分注文したの俺だと思うんだよね」
そういって中年は懐からスマートフォンを取り出す。その画面にはQRコードが表示されている。それをみた南は店長に教わった業務手順を思い出し、自身のスマートフォンでQRコードをスキャンする。直後に『確認が完了しました。商品を手渡してください』と、音声が流れる。南はそれに従い、背負ったバッグから商品の入ったビニール袋を取り出し、中年男性に手渡す。
「ご利用ありがとうございます。またのご利用お待ちしております」
そして、店長から教わった通りの挨拶を述べて頭を下げる。
「ん。こちらこそありがとね。降車位置からここまでちょっと歩かなきゃいけないから大変だったでしょ」
中年男性の言葉に今度は南が首を傾げる。
「どうして俺が車を降りてからここまで歩いてきたことを知ってるんです?」
南の言葉に中年は少し意外そうな顔をする。
「だってここらへんは自動運転の対象区域外じゃない。もしかして知らない?」
「自分は三日前に大学入学を機に、この街に来たばっかりなものでしてそこらへんよくわからないのですが……」
「あ、そうなの。ざっくり説明するとさ、星降スマートシティの大半は自動運転車が走行しやすいように街が作られてるのよ。自動運転車専用道路だけで街の主要道路を構成して、交差点とかも数を減らしたりとかさ。あとは人が入ってきたりしないように歩行者用の通路は全て歩道橋にしてあるの」
「え、それはすごい」
南は今まで自分が住んでいた町を思い出す。それらとは全く異なる理屈で一から街を作るとは一体どれだけ大変なのだろうか。先ほど、自身が何気なく自動運転に揺られて通った街の、そのスケールの大きさを今更ながら感じていた。
「ただ、ここらへんなんかは元からこの神社を中心にして広がってる住宅街でね。だから今住んでいる人の家をまとめてどかしたりでもしない限りは大規模な都市の改造も難しいのよ。で、そんなところで自動運転の導入は危ないってことで、ここら辺では原則自動運転は提供しない様にしているの」
「なるほど……」
中年男性の説明に南はようやく自身が目的地から少し離れた場所で降ろされた理由を納得する。そして、こういった場所にも対処するために自身のようなバイトが必要になっているということも。
「勉強になりました、ありがとうございます」
南は感謝の意を示すように頭を下げる。
「しかし……とてもこの街の事情に詳しいんですね」
南に言われて中年男性は薄く笑う。
「一応、このスマートシティの開発に関わっている会社の社員だからね」
そういって中年男性は懐から取り出した名刺を南に差し出す。そして南はそれを受け取り、眺める。名刺には『株式会社朝起 スマートシティ推進部・特殊事案対策3課課長 福田義秀』と書かれている。朝起と言えば大学生になりたての南ですら知っている国内有数の電機メーカーだ。そんなところの社員がこんなところで何をしているのだろうか、という疑問が一瞬脳内に浮かぶ。
「ま、今後もここに配達しに来ることあるだろうからさ、俺のこともまあ覚えといてよ」
「わかりました。今後もよろしくお願いします」
だが、そんな疑問は福田に頭を下げているうちに南の脳内では存在感を失い、他の情報に埋もれていく。
「はい、こちらこそよろしく」
「それでは失礼します」
もう一度頭を下げると南は神社の出口へと向かって歩き出した。
それを見送る福田に、先ほど南が少しだけ会話をした銀髪の青年がどこからともなく話しかける。
「彼が気に入ったのかい?」
青年に聞かれて福田は苦笑する。
「別にそんなんじゃないですよ。ただまあ、頑張っている若人には親切にしただけですよ」
「そうか」
福田の回答をどう思ったのか、青年は静かに笑った。
背後で誰と誰が会話しているのかなんてことも知る由もない南は、先ほど上った石段を下りていく。途中、息を切らしながら境内へと駆け込み、階段を必死の形相で上る小柄でパンツスーツを纏ったメガネの女性とすれ違う。
(なんか大変そうだな……)
そんなことを思いながら石段を降りきり、そして、一礼をし鳥居をくぐる。
(……)
先ほど奇妙な体験をしたせいか、まるで世界が切り替わったかのような不思議な感覚にとらわれる。
『配達が終了しました。車両を手配しますので、指定の位置まで向かってください』
しかし、アプリから流れる音声が南を現実に引き戻す。南はスマホを制服の胸ポケットから取り出すと、アプリの指示に従って指定の地点を目指して歩き始めた。
「ん?」
しばらく歩きアプリが指定した地点の手前まで来たところで、道端に何かが落ちていることに気が付いた南はしゃがみ込んでそれを拾う。どうやら、プラスチックケースに収められたSDカードのようだ。
「これって……たしかスマホとかに挿れると使える記憶媒体なんだっけ?」
摘まんだSDカードを眺めながら南はバイト前にあいねから受けたレクチャーを思い出す。しかし、何故こんなところに落ちているのか。持ち主は誰だかわからないが、交番にでも届けた方が良いのだろうか。そんな思考を巡らせていたが、それはアプリから流れてきた音声に中断される。
『まもなく、指定ポイントに車両が止まります。ご確認ください』
アプリに急かされた南は慌ててSDカードをズボンのポケットに入れて立ち上がり、アプリの指定したポイントへと向けて小走りに駆け出す。そしてすぐ近くに到着した自動運転車へと乗り込んだ。
自動運転車に乗り込んだ南は、先ほど福田に聞いた話を思い返しながら街を見回す。建物や道路の構造、行き来する自動運転車などといった街を構成するそのすべてが自身が今まで生活していた街のものと異なっていることを実感する。それと同時に胸の中に安堵のような感情が湧き上がってくるのを感じる。
(自分は違うところに逃げることが出来た……初めてそう思えたのかな)
そんなことをぼんやりと考えているといつのまにか自動運転車はすぐに24フレンドの星降りキャンパス前点の駐車場に到着していた。
『これで配達業務は終了です。司馬南さん、お疲れさまでした』
南を労うような音声と共にドアが開く。
『お気をつけて降車してください』
促されるままに南は自動運転車から降りた。
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