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きゃっちあんどいーと1

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薄切り食パンにキャベツとタルタルソースをたっぷり乗せ、斜めにフライを重ねる。もう一枚パンを乗せてフライと対角線になるよう包丁を入れれば、魚フライのタルタルサンドイッチの出来上がりだ。
 付け合わせは彩りを考えてトマトとブロッコリー。肉体労働の男性には物足りないかもしれないが、女性にはそれなりにお腹にたまりそうな軽食だ。
 「……いただきます」
後から来店した女性の方が先にそれに手を伸ばした。手掴みに対して躊躇いがないのは、貴族から離れてある程度時間が経っているからか、こうした料理だと納得しているからか。
かじりついた彼女の口許からざくりといい音がする。柔らかいパンに揚げたての衣、瑞々しいキャベツ。中身はまだ十分熱い、はふはふとその熱を逃がしながら彼女は目を輝かせている。
 「……美味しい……!こんな内陸の田舎で、こんな美味しい魚を食べられるなんて、思ってもみなかったわ……!」
 手掴みでサンドイッチにかじりついていても下品な印象を与えない辺り、この女性は骨の髄まで上品な所作が染みついているのかもしれない。
そんな躾は受けているはずもない男は、と言えば。おそるおそるつまみ上げたそれにかじりついたかと思えば一瞬固まった。
連れの女性の方はその反応を横目で伺いながら自分もサンドイッチに噛みつく。端っこの、多分フライがない辺りだったが、それでも目を瞬かせる。
 「お、おいしい……」
 勢いづいてぱくぱく食べてくれる、それが鈴にとっては嬉しい。 それはこちらの世界でもあちらでも同じ事だ。
 「お気に召したのなら良かったです」
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