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学園編
47話
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*視点が違います
グレーティエが自室を出る同時刻。
二階にある1年生の教室。
1年生の担当教師の言葉。
「今日、このクラスに編入生がくる。仲良くするように」
それを聞いた生徒たちは、
「女の子かな」
男子生徒がそう言い、
「男の子かな」
女子生徒が男子生徒の言葉に被せるように、そう言った。
「こらこら、静かに」
コンコン
「編入生を連れて来ました」
「お、来たか。入ってくれ」
「失礼します」
そう言って教室に入ったのは、編入生だけだ。
編入生は、金色のふわふわした髪に神秘的な翡翠色の瞳をした、5、6歳の子供だった。
「じゃあ、みんなに自己紹介してくれ」
教師の前まできた編入生は教師の言葉により、他の生徒たちの方に向いて、
「グレーティエ・ファルストーク・ギレストです、年は5歳」
ぺこりと頭を下げてそう言った。
簡潔な自己紹介だった。
「うん、じゃあ空いてる席は、ハイルの隣が空いてるな、灰色の髪のやつのとこに行ってくれ」
「はい」
編入生は教師の言葉に従い、灰色の髪の男の子、ハイルの隣に座った。
「よーし編入生がいるから、授業の受け方を説明するぞー、他のやつらも復習で聞いとけ」
教師の声に「えー」という声が返ってきたが、教師は「よしよしそんなに聞きたいか」とうんうん頷いています。
「いいか?編入生、この学園では魔法科と幻獣科があるのは知ってるだろ?ここ幻獣科の特徴は幻獣の力を最大限に引き出せるように訓練する、幻獣のことを知る、ただそれだけだ。でもこれが難しいから、編入生も頑張れよ。さて、授業内容は単純なんだが、授業の受け方が複雑なんだ。まず、編入生みたいな途中入学のやつは幻獣について初歩的な授業を受けてもらう。担当教師にお墨付きをもらったら、次は本格的な幻獣についての授業で、その次が幻獣の能力の使い方について、それをクリアした後にいよいよ幻獣の能力を引き出す授業になる。これを習得すれば卒業になる」
教師の言葉に編入生が手を挙げた。
「質問をよろしいでしょうか」
「いいぞ、なんだ?」
「自分の記憶には学園の在学期間は確か4年だったはず、幻獣科は在学期間が短いのでしょうか?」
「いや、幻獣の能力を最大限に活かすことが卒業条件になるが、さっきも言った通り、幻獣の能力を最大限使えるようになるのが難しく、そこでかなりの時間がかかる。だいたい平均的に2、3年はかかるから在学期間が4年で丁度良いんだよ」
「なるほど、ありがとうございます」
「どういたしまして。さて、授業の内容はだいたい、話したな。後は受け方についてか、受け方は同じ授業を受ける生徒についていけばいい。ということで、解散」
教師の言葉が終わり、他の生徒たちも移動し始めた。
「僕らと一緒に移動しよう?」
そう編入生に声をかけたのは10歳くらいの男子生徒でした。
編入生はその男子生徒の言葉に、
「ありがとう」
そう言いながら席を立って男子生徒の後についていこうとしましたが、編入生は席を立つのと同時に、いきなり窓がある方向に顔を向けて、
「全員伏せて!」
と緊迫した声で叫びます。
ですが、いきなり過ぎて生徒たちは不思議な顔で、編入生を見るだけです。
編入生は「ちっ」と舌打ちすると、手を軽く上げて下げました。
その後、生徒たちは風におされて床にしゃがみこみました。
生徒たちがしゃがみこんで数秒後に、窓が割れ、灼熱の炎が教室を襲います。
「きゃあああ」
「うわあああ」
しゃがんだ状態の生徒たちは、灼熱の炎に恐怖しています。
編入生は「ちっ」ともう一度舌打ちしながら、手を窓の方に向けます。
そうすると編入生の手から、灼熱の炎を凌駕する水が激流のように流れ、灼熱の炎を消し去りました。
炎が消え、安心したのもつかの間。
窓から新たに荒れ狂う風が押し寄せてきました。
その風のせいで割れたガラスの破片が、教室を舞い生徒たちに襲いかかろうとしましたが、またもや編入生が、何かを呟くと、風によって舞い続けるガラスの破片が砂のように細かく粉々になり、教室のそこかしこに落ちます。
その様子を外から見るものが。
『ふむ、この程度なら簡単に防ぐか。これは面白い、ではこれならどうかな?』
そう言った、何者かはくすくすと笑い続けていた。
炎と風に襲われたが、編入生の活躍により大事になることは免れた。
そう思った生徒たちの安心した心を、嘲笑うかのようなものが教室の窓から現れた。
それは、消えぬ炎を纏い、灼熱の炎を自在に操る、不死の鳥、S級幻獣フェニクスだった。
グレーティエが自室を出る同時刻。
二階にある1年生の教室。
1年生の担当教師の言葉。
「今日、このクラスに編入生がくる。仲良くするように」
それを聞いた生徒たちは、
「女の子かな」
男子生徒がそう言い、
「男の子かな」
女子生徒が男子生徒の言葉に被せるように、そう言った。
「こらこら、静かに」
コンコン
「編入生を連れて来ました」
「お、来たか。入ってくれ」
「失礼します」
そう言って教室に入ったのは、編入生だけだ。
編入生は、金色のふわふわした髪に神秘的な翡翠色の瞳をした、5、6歳の子供だった。
「じゃあ、みんなに自己紹介してくれ」
教師の前まできた編入生は教師の言葉により、他の生徒たちの方に向いて、
「グレーティエ・ファルストーク・ギレストです、年は5歳」
ぺこりと頭を下げてそう言った。
簡潔な自己紹介だった。
「うん、じゃあ空いてる席は、ハイルの隣が空いてるな、灰色の髪のやつのとこに行ってくれ」
「はい」
編入生は教師の言葉に従い、灰色の髪の男の子、ハイルの隣に座った。
「よーし編入生がいるから、授業の受け方を説明するぞー、他のやつらも復習で聞いとけ」
教師の声に「えー」という声が返ってきたが、教師は「よしよしそんなに聞きたいか」とうんうん頷いています。
「いいか?編入生、この学園では魔法科と幻獣科があるのは知ってるだろ?ここ幻獣科の特徴は幻獣の力を最大限に引き出せるように訓練する、幻獣のことを知る、ただそれだけだ。でもこれが難しいから、編入生も頑張れよ。さて、授業内容は単純なんだが、授業の受け方が複雑なんだ。まず、編入生みたいな途中入学のやつは幻獣について初歩的な授業を受けてもらう。担当教師にお墨付きをもらったら、次は本格的な幻獣についての授業で、その次が幻獣の能力の使い方について、それをクリアした後にいよいよ幻獣の能力を引き出す授業になる。これを習得すれば卒業になる」
教師の言葉に編入生が手を挙げた。
「質問をよろしいでしょうか」
「いいぞ、なんだ?」
「自分の記憶には学園の在学期間は確か4年だったはず、幻獣科は在学期間が短いのでしょうか?」
「いや、幻獣の能力を最大限に活かすことが卒業条件になるが、さっきも言った通り、幻獣の能力を最大限使えるようになるのが難しく、そこでかなりの時間がかかる。だいたい平均的に2、3年はかかるから在学期間が4年で丁度良いんだよ」
「なるほど、ありがとうございます」
「どういたしまして。さて、授業の内容はだいたい、話したな。後は受け方についてか、受け方は同じ授業を受ける生徒についていけばいい。ということで、解散」
教師の言葉が終わり、他の生徒たちも移動し始めた。
「僕らと一緒に移動しよう?」
そう編入生に声をかけたのは10歳くらいの男子生徒でした。
編入生はその男子生徒の言葉に、
「ありがとう」
そう言いながら席を立って男子生徒の後についていこうとしましたが、編入生は席を立つのと同時に、いきなり窓がある方向に顔を向けて、
「全員伏せて!」
と緊迫した声で叫びます。
ですが、いきなり過ぎて生徒たちは不思議な顔で、編入生を見るだけです。
編入生は「ちっ」と舌打ちすると、手を軽く上げて下げました。
その後、生徒たちは風におされて床にしゃがみこみました。
生徒たちがしゃがみこんで数秒後に、窓が割れ、灼熱の炎が教室を襲います。
「きゃあああ」
「うわあああ」
しゃがんだ状態の生徒たちは、灼熱の炎に恐怖しています。
編入生は「ちっ」ともう一度舌打ちしながら、手を窓の方に向けます。
そうすると編入生の手から、灼熱の炎を凌駕する水が激流のように流れ、灼熱の炎を消し去りました。
炎が消え、安心したのもつかの間。
窓から新たに荒れ狂う風が押し寄せてきました。
その風のせいで割れたガラスの破片が、教室を舞い生徒たちに襲いかかろうとしましたが、またもや編入生が、何かを呟くと、風によって舞い続けるガラスの破片が砂のように細かく粉々になり、教室のそこかしこに落ちます。
その様子を外から見るものが。
『ふむ、この程度なら簡単に防ぐか。これは面白い、ではこれならどうかな?』
そう言った、何者かはくすくすと笑い続けていた。
炎と風に襲われたが、編入生の活躍により大事になることは免れた。
そう思った生徒たちの安心した心を、嘲笑うかのようなものが教室の窓から現れた。
それは、消えぬ炎を纏い、灼熱の炎を自在に操る、不死の鳥、S級幻獣フェニクスだった。
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