灰は何色に変わるか

ライ

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新しい仲間

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「あんたらが欲しい情報かは知らねえが、俺に依頼を出したのは、あんたと同じ王族だよ」
その言葉に、痴話喧嘩のように仲良く?言い合っていた二人は同時に振り返った。
「おいおい、それは驚いたぞ」
「うん、私も驚いた」
二人ともに、言った言葉通り純粋に驚いていた。
「はあ?そんなに驚く内容か?」
二人の驚きに逆に冷静になったキリルは、二人がそこまで驚くことかとつい反射で言ってしまった。
「そりゃな、俺を殺すことに直接的に王族が関わってるなんてそいつはあほかばかのどっちかって思うだろうが」
二人の気持ちを先に言葉に出したのは、暗殺対象にされたアシュタールだった。
「主さまの言う通り。暗殺者に直接依頼する王族なんてばか以外の何物でもない、例え言い訳を考えたところで暗殺者に名指しされるようなこと不名誉なことでしかない、まして、今は王位争い中で足の引っ張りあいをしてるんだから、敵となる者たちにスキを与えるようなばかが今も王位争いに参戦しているなんて、どれだけ悪運が強いのかな?」
アシュタールもなかなかにひどいことを言っているが、見た目は可愛いらしい子供の口から、もっと辛辣な言葉が出てきた。
「お前ら、どっちもひでえこと言ってるぞ」
この場で最も常識人(あくまでこの場にいるものの中で)であるキリルが最もな突っ込みを入れる。
「は?そんなひどくねえだろ」
「は?そんなひどくない」
二人同時に同じようなことを喋る。
「いやいや、本当のことでも結構ひでーよ」
しかし、キリルの口からでたこの言葉が無自覚で一番きつかった。
「まあいいや、お前これからどーすんの?もう雇い主の方にはいけねえよな?」
「うっ」
アシュタールはこれからどうするかをキリルに問う。
しかし、キリルはここでもう死ぬことを覚悟していたので、死ななかった時のことなど考えていなかった。
「主さま、こいつ雇っちゃえば?」
そこに爆弾発言?を投下する一言が出た。
「はあ?あんた何考えてるんだ」
初めに言葉を発したのは当事者ではあるが、この場で一番発言力のないと思っている、キリルである。
「使えるんだ?」
キリルの言葉をガン無視して、アシュタールはルカに問う。
「うん、結構優秀、気配の消し方うまかったし、なんか潔いから、信頼したら裏切らないと思う」
「へえー?ルカがそこまで言うなんて珍しいじゃん」
「別に優秀なのに遭遇しなかったからってだけ」
「まあいいか、おい、そこのえーと名前何だっけ?」
「キリルだ」
「じゃキリル、お前に選ばせてやるよ、俺の下僕になるか?」
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