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しおりを挟む「……体力持ってかれた」
「はは、初めてだとそうだよね」
まさかシャワーするだけであんな体力を持っていかれるとは。これは一体何回か繰り返せば平気になるのか。よく分からなかった。
ガウンを着てベッドに倒れ込んでいると、ベルンハルトもシャワーから出てきて髪を梳くように頭を撫でてくれた。優しい手つきに、心地よくてつい眠りたくなってしまった。
「こらこら、寝ないでね」
ベルンハルトに髪をツン、と引っ張られた。撫でてきたのはそっちなのに、俺がどうして怒られるのか。
「だって、気持ちよくて」
「そういう事は私の腕の中で言って欲しいな」
のほほんと言った俺は、ベルンハルトの言葉に一瞬で意味を理解して顔が紅潮してくるのが分かった。
異世界だから?金持ちだから?良い男だから?そんなことをサラッと言わないで欲しい。上手く反応できない。
俺は真っ赤になった顔を隠すようにベッドに顔を埋めた。ベルンハルトの方からクスクスと笑う音が聞こえてくる。
「こっち向いて」
俺は恥ずかしくてベッドに顔を擦り付けるように首を振った。ベルンハルトはまた笑っている様子だった。
「向いてくれないなら、触るよ」
そう言うと、ガウンから出ている脚をベルンハルトの指先がツーッと微かに撫でるように触れてきた。俺はピクっと身体が反応して揺れる。ふくらはぎからゆっくりと、膝裏、太ももまで撫でると、ガウンがあるのも関係なく中に入ろうとしてきた。
「うわ、わっ」
つい色気のない声を出してしまった。うつ伏せだった身体を起こして、ベルンハルトから離れるため、ベッドの真ん中に座った。
「逃げないで」
ベッド端に座っていたベルンハルトはベッドの上に乗り上がり、四つん這いでにじり寄ってくる。
俺はほんの少しだけ、本能からか腰を引いた。けれど、ベルンハルトはそれより早く俺の肩に手を当てて少し強めに押した。
「わっ」
押されたまま、仰向けに倒れた。さすがの高級ベッドは倒れた俺も優しく受け止める。
ベルンハルトを見上げる形になった俺に、少し濡れているベルンハルトの髪から水滴が落ちてきた。それは冷たいけど、顔に触れてくるベルンハルトの手は暖かかった。
指が、唇に触れる。俺はまたピクリと身体が反応したが、今回は左手首を掴まれていて逃げられそうもなかった。
「キスはしていい?」
ベルンハルトに艶気のあるハスキーな声で聞かれる。俺は少しだけ戸惑ったが、結局頷いた。ベルンハルトの口端がほんのちょっとだけ上がったのを見逃さなかった。彼の機嫌が良いサインだろうか。
そんなことを考えていたら、彼の碧眼が近くまで来ていた。やっぱり綺麗だな、と思う内に触れる程の口付けがされた。
「こういう時は目を閉じるものだ」
「……ベルンハルトさんも、閉じてなかったのに」
そう言うと、また彼の口端がほんの少し上がる。そして彼の碧眼がまた近くにやってきたので今度は目を閉じた。ずっと見ていたかったから、勿体ないな、と感じながらもう一度口付けをした。
「……ん」
二回目の口付けは、長かった。それどころか、彼に舌で唇をノックされる。思わず声が漏れる。そろり、と唇を開けると、彼の舌がゆっくり侵入してきた。侵入した舌は侵入してきた時の控えめな感じは一体何処へやら。俺の口内を無遠慮に蹂躙した。
「んんっ……ん」
歯列をなぞられ、舌が歯茎に当たる。少しこそばゆい感じがする。俺の舌にも絡んで来て、もう口の中の唾液はどちらのものか分からなかった。
俺は息継ぎのタイミングが分からなくて我慢できなくなって、彼の肩を自由な右手で叩いた。
「んっ、んーっ」
彼は名残惜しそうに最後に俺の舌を舐めとるように離れた。俺は息も絶え絶えになりながら、肩を揺らした。顔や頭が沸騰しそうなほど熱い。
「はぁ、はっ…」
「鼻で呼吸していいんだよ」
「…うるさ、い……」
ベルンハルトを見ると、楽しそうに微笑を浮かべていた。慣れてない自分を見て笑っている彼を涙目で睨みつけた。ベルンハルトはそれを見て、目尻にリップ音を立てながらキスをした。
「いっ…なに?」
「泣いてるからつい」
そういうのやめてほしい、なんて恥ずかしげもなくスマートにしてくる彼を恨みがましく見上げる。彼は相変わらず微笑んでいた。
「シオン、もう1回」
彼はそう言ってまたキスをする。俺はなんの心の準備も出来てなかったから、あ、と少し口を開けている状態だったせいでベルンハルトの舌はすぐに侵入してきた。
「んっ」
いきなりだったので、驚いて声が漏れる。彼はさっきと同じように舌を俺の舌に絡ませるように口内を蹂躙し始めた。2回目の余裕に、キスって気持ちいいんだな、とか考えていると、彼は俺の上顎を嬲るように舐めた。
「んんっ、ん!」
上顎を舐められて、腰の辺りがゾクゾクする。びっくりして瞼を開けて彼を見ると、彼の瞳と目が合った。彼の瞳の中に、情欲が見て取れてまたゾクゾクと這い上がる感覚がした。
上顎を重点的に舌で嬲られながら、口内を蹂躙し続けられる。口端から唾液が垂れているのも気づいたが、どうしようもなかった。彼が唇を離そうとしてくれない。
口付けってこんなに貪るようにされるのか。俺はゾクゾクする快感を追いながらも、彼の舌の動きに必死に答えた。
「っ……はぁ…、っは」
ようやく唇を離されると、口の中がジンジンしていた。まだ彼が口の中にいるような感覚がする。
「シオン……」
彼の微かだけど掠れたハスキーな声が腰に響く。ベルンハルトの手が、俺の胸の頂きに触れる。そこはあまり何も感じなかった。
「ここは、おいおいね」
なんとなく、恐ろしい言葉のように感じたが、聞き流すことにした。
ベルンハルトは更に手を下へゆっくり下ろす。俺の胸、腹、臍に撫ぜるように触れながら徐々に下ろされる指に腹の中がゾクゾクしてくるのを感じた。
「っ……」
「キスが気持ちよかった?」
ベルンハルトが触れた俺のペニスは硬さをもって立ち上がりかけていた。恥ずかしくていつの間にか肌蹴られていたガウンで隠そうとするが、彼がペニスを包むように握りこんだため、それは叶わなかった。
「ダメだよ、隠さないで」
「んっ」
彼はゆっくりと丁寧に優しく、俺を昂らせ始めた。暖かくて大きな手に全て包まれ、その手が上下に動く。自分で抜く時とは違い、どのタイミングで気持ちよさが来るのか分からなくて思わず声が漏れる。
「んっ……ん、は」
声を出さないように唇を噛んでいると、ベルンハルトはまた顔を近づけ、噛んでいる唇を舌を出して舐めてきた。驚いて反射的に口を開けると、舌をぬるんと入れてきた。
「んっ! ん、ぁ……ん…」
ペニスを擦られながら、同時に口内を蹂躙され快感に浮かされる。心地よくて多幸感が出てきているように満たされる。
徐々に緩急を付けて擦られ、絶妙な強さに一気に快感が駆け上がってくる。
「んっ、んっ!……っ」
俺はキスをされながら、ペニスから勢いよく精液を出した。最近は忙しくて抜くのもしてなかったから、量が多く、濃かった。
俺は全力疾走後のようで、キスが離れた口からは息切れをしていた。
「は、はぁ、はぁ……」
「よく出来ました。」
ちゅ、とリップ音を立てながら前髪を上げられ、額にキスをされた。褒められるとは思っていなかったのと、痴態を見せていたことに急に現実に引き戻された感覚で、恥ずかしくて消えたくなった。頬が紅潮してくるのが分かる。
「……まだ、これからだからね」
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